ダンジョンで手を休めるのは間違っているだろうか   作:語り下手な語り手

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下手くそではありますが、完結までは時間が掛かっても行くつもりです。プロットは出来てるのでやりますが、時間、どれだけかかるかなあ。


ダンジョンで手を休めるのは間違っているだろうか

ここから遠い遠いところでの話

ロスリックという国での話だ

そこには黒い手のゴットヒルトという男がいた

黒い手とは端的に言って王を守る者の事をそこではさしていた

ゴットヒルトはその一人

だが、ある時を境に王の前から消えた

その理由を知るものはいない

だが、誰が語った

彼は一つを残して全てを捨て

時を、世界を、

全てを越えて

彼は最後の最後まで

王の黒い手であった、と

 

誰かが言った

かの者に

一時的でいい

その場凌ぎでいい

かの魂に

束の間の休息を

 

永遠の螺旋の中

かの者は王の黒い手である

誰が何を語ろうとも

 

 

 

 

 

その巨大な街の外にある草原の木の下で男が座っていた。

黒い革の防具の上にボロボロなマント、左肩には銀に輝く甲冑を頭には鍔の大きな黒いトップハットの下の外周を黒い布が覆っている。下半身もまた黒い革のズボンに、その外側をスカートを前後の中央を真っ二つ割ったような黒い革が覆っている。

背には弓を、腰には長短2つの刀を携えていた。

そんな男の装備はやけに小綺麗で、黒い革が光に反射して輝いていたどう見ても旅をしてきたようには見えないほどだった。それも最初からここに居たと言ってもおかしくない程に。

 

男の指先がピクリと動く。そして、腰を重そうに立ち上がり、おもむろに腰の長刀に手をかけ、ゆっくり刀を抜く。抜いた刀を天へ向ける。

そこには男1人。

暫く時が過ぎ、刀を下ろして納刀する。その瞬間、全身がぐらつき膝から前のめりに倒れこんだ。

 

男の遠くから何かが此方へ向かって進む音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

何かに揺られている。男が気が付いた時、初めに感じたのはそれだった。重い瞼を開く。

 

「よぉ、兄ちゃん起きたかい」

 

渋い声が響く、聞こえた方を向くが日差しが眩しく、誰がいるか良く見えなかった。

 

「調子の方ははどうだい」

 

男は声を出そうと、口を開け閉めしてあーあーと呻きに近い声を出す。

声の調整が済んだのか、1つ深呼吸をした。

 

「…問題ない」

 

「お前さん、いい声しているな」

 

声の主が感嘆する

目が日差しに慣れ始めたのか、辺りがはっきりと見え始めた。

前、左手、右手、至る所に木箱やアクセサリーらしきものが積まれている。

先程の声を呼びかけてきたのは、馬を操るガタイの良い壮年の男性であることも分かった。そして此処は

 

「起きてすぐで済まないが質問をいくつかいいか?」

 

男の思考を遮るようにして再び声を掛けられる。

 

「問題ない、と言うか答えない、という訳には行かないだろう。」

 

男は手をあげたそこには金属の手枷が付けられていた。同様に足にも付けられていた。

 

「察しがいいじゃねか、話は早い」

 

声の主は少しくすめた。その様子に疑問を抱いた男はたずねる

 

「不服そうじゃないか、何か気にいらないことでもしただろうか?非礼を詫びよう。」

 

「いんや、ただ、肝っ玉が座った野郎だと思っただけさ」

 

「それはまた…褒め言葉と受け取って構わないかな?」

 

「好きにしな…」

 

男の少しおちゃらけた様子に今度は不服だと溜息をした

 

「そんな事はどうでもいい、質問、いやこの状況だと尋問なるが、させて貰うぜ」

 

「なんでも聞いてくれ」

 

「まず、名を聞こうか。ついでに出身も言ってくれりゃ楽だ。」

 

ふむ、と男は口を閉じ考える。そして、顔を顰めた。

幾ばくかの時が経つ、だんまりの男に不審を抱いたカイドウは切り出すこととした

 

「どうした、言えない事でもあるのか?」

 

「いや、そうではない。」

 

大きな溜息をしたのち語り始めた。

 

「私は名は”黒い手のカムイ”。出身は……」

 

口が再び塞る。

 

「…思い出せない」

 

「思い出せないだあ?」

 

あぁと返事を返すカムイと名乗った男

 

「ま、なんらかの理由で話せないとしても、その思い出せない事を追求しても埒は明かねえから置いといてやる。」

 

「済まないな」

 

「…次だ。此処に訪れる前は何をしていた。」

 

「戦っていた」

 

「誰と、なんの理由で」

 

「様々な者達だ。騎士と戦い、魔術を使う奴と戦い、異形の者とも戦った。時には変なヤツらも相手した。」

 

「ほーお、そいつぁ、英雄見たいだなぁ」

 

ククッ、と声の主は笑う

 

「なんの為に戦ってたんだ?」

 

「”それ”が思い出せないのだ。」

 

「都合の良い奴なあ」

 

頭を横に傾け天を仰ぐ

 

「なんだ、ただの戦闘狂って訳か」

 

「…それは…違う。」

 

カムイが劇的に低い声で返事を返す。

抑えてこれなのか、それとも無意識に出したからこれなのかは不明だが

 

「…!…やっぱ理由があるじゃねえか」

 

声の主の声が少し上ずるほどには殺意に似た激情が漏れ出していた。

声の異変にカムイは気付かずに話を続ける。いや、その事に興味を振り分ける余裕がない。

 

「思い出せないから、理由と呼んでいいのかわからんが、確かに理由はあった。」

 

手枷がされた手を見つめるカムイ

 

「だが、覚えていることはある。内容が思い出せなくとも、確かに剣に誓ったのだ。」

 

ゆっくりと手を開く

 

「戦う理由を」

 

手を力強く握り締める。

 

「その誓った剣とやらが、その双刀って訳か。」

 

「そうだ」

 

カムイは声の主の後ろに置かれた刀たちを見て肯定した。

成る程な、と声の主がぼやく。

幾ばくか馬車が揺れる音だけとなった頃。唐突に声の主が話始めた。

 

「カムイ、俺の名はカイドウ。ジンツウ・カイドウという。」

 

呆気んい取られ、返事が遅れる。

 

「カイドウ殿よろしく頼む。」

「よろしくな」

 

 




二話完成後の後書き
リアルがこれから“楽しく”なるのでやばいかな(苦笑

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