紅葉が桜に変わる頃   作:本条真司

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2話

「聞いてんのか主!」

「聞いてるっての…。あんま騒ぐなよ、黒鉄」

夜斗は黒鉄と呼んだ男を適当にあしらっていた

黒鉄がこうも怒鳴っているのは、昨夜元同級生を助けたことが原因として存在する

「フラッシュバン使いやがったから隠蔽めんどくさかったんだぞ!?音響使わなかったからまだいいが…」

「じゃあいいだろ、話終わり。さっさと仕事に入れ」

夜斗はそう言って腕を組み、背もたれに体を預けた

黒鉄はまだなにか言いたそうだったが、それを遮るように茶封筒が夜斗の机に投げられた

それを投げたのは、黒鉄の弟である草薙だ。双子ではないものの、同い年である

「依頼完了。犯人は弟だったよ」

「へぇ…。目的は?」

「保険金だ。依頼人の旦那には2000万の生命保険がかけられていたらしくてな、それの相続が依頼人とガイシャの弟だった」

「ほーん。結局どうなったん?」

「まぁ警察に出頭したよ。自首って形だし、反省してるっぽいから減刑されるんじゃね?」

草薙は封筒を開けるように促した

言われるままに夜斗はそれを開けた

「次の依頼が来てた。俺が行くか?」

「…連続強姦殺人…。東京都都心…?珍しいな、あんなとこでこの事件なんて」

「歌舞伎町も渋谷も東京っちゃ東京だからな。主の言う東京は渋谷とかなんだろ?東京だって郊外いきゃ犯罪の温床だよ」

草薙はそういって車の鍵を腰につけた

「…草薙は彼女が東京だったな」

「ついでに言うなら黒鉄もな」

「ばっ、お前なんでバラした!?」

「彼女いんの!?」

夜斗は思わず叫んだ

黒鉄はこうなることがわかっていたから言わなかったのだが

「…いるよ。莉琉だ」

「え?神楽坂莉琉?」

「ああ、そうだ。アイドルグループセンターだが、事務所の恋愛禁止をぶっ壊した張本人だな」

「ちなみに俺の彼女は舞莉な。同じグループの」

「…どこで知り合うんだよそんな奴らと」

「主がタコった立食パーティーだよ。黒鉄と一緒に行けっていってタキシード用意したろ」

夜斗はパーティー等、大人数でいることを嫌う

元々は引きこもりがちで、学校以外は外に出なかったのだ

高校を卒業してすぐにこの探偵事務所を設立してからはそうもいかないのだが

「…あー、総理大臣きたやつ?」

「そうそれ。そんときの舞莉は可愛かったぞ、いつも可愛いけど」

「莉琉もな。亜麻色の髪の乙女には赤いドレスが似合う」

黒鉄と草薙の惚気が始まりそうだったため、夜斗はため息をつきつつ付き合ってやるのだった

そんなとき、夜斗の机に置かれた電話機が鳴った

「探偵事務所図書館でございます」

『…依頼をお願いしたいのだけれど、いいかしら夜斗?』

「この声は…九条奏音…?」

夜斗は草薙にアイコンタクトで録音を開始するように指示を出した

草薙の端末が、時間を遡って通話が始まった瞬間からを録音する

「内容によるな。それ次第で料金が変わる」

『…そうよね。けどこれは簡単なものよ』

「…なんだ?」

『割のいい仕事…知らない?』

夜斗は大きなため息をついた

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