「雇ってくれてありがとう、夜斗」
「…主、この女は?彼女か?」
「昨日助けた元同級生だ。クビになったんだとよ」
「まだ10月だぞ!?入社から半年って…何したんだよ!」
「…上司の好きな人が私を好きだったのよ。恨みを買って、なんやかんや理由つけてクビにされた」
「職権乱用じゃねぇか。それを壊せばいいのか?」
「違うわ。あの職場に戻るのはめんどくさいから、働き口と住むところを探してるの。昨日夜に彷徨ってたのはホームレスだったからよ」
「何サラッとすげぇこと言ってんの!?」
一足先に東京へ移動した草薙の代わりに黒鉄がツッコむ
普段は草薙がツッコミをしているのだ
「ホームレスなんてよくある話よ。住んでたのが社員寮だから、クビになったら住む場所がなくなるのも仕方ないわ」
奏音はそういってポーチを壁にあるフックにかけた
社員用の荷物置き場として使われるそのフックには、すでに夜斗のコートや黒鉄のパーカーが置かれている
「社員は私入れて四人なのね」
「20人だ。関西に支部がある」
夜斗はそう言いながら奏音に鍵を投げ渡した
「お前の部屋が用意できていないから、しばらくは女性社員と共同生活になる。話は通しておいた」
「手が早いわね」
奏音は受け取ってすぐに、支給品であるカラビナにとりつけてポーチにくくりつけた
「ベルト通しにつければいいだろうに」
「ないわ。一番安いのをヤマムラで買ったから、便利機能なんてないの」
ヤマムラは全国展開している服屋だ。かなり値段が安く、その上サービスがいい
「…とりあえず黒鉄、草薙を追いかけて東京いけ。車使ってもいいぞ」
「運転キツイし、新幹線で向こう行って草薙と合流する。つか車もレンタカーだろ?」
「当然だ。お前らの車は草薙が持っていったしな」
「お前ら、ってどういうことなの?全員分車があるわけじゃないってこと?」
「そんな金どこから出てくるんだ…。と言いたいところだが、用意はできる。けど基本的に
夜斗はコーヒーを片手に話した
座っているのは自分用の机ではなく応接用のソファー。奏音はその目の前に座っている
黒鉄は立っていたが、夜斗の支持を受けて出発の用意を始めた
「…私って事務なのかしら?」
「それはこれから適性を見る。とりあえず筆記テストからだな」
「うっ…テスト、苦手なのよね…」
奏音はそう言いつつ、夜斗から差し出された紙を受け取った
夜斗は、自分の胸ポケットにあるボールペンを差し出した
「終わったら呼べ」
夜斗はそう言って自分の机に戻った
余談ではあるが、夜斗の机は黒いPCデスクだ。そこにはノートパソコンが一つ置かれている
また、二人用の事務机にもそれぞれノートパソコンが置かれており、合計11台ある
それらはローカルネットワークにより関西支部と繋がっているため、連携を取りやすくしているのだ
「やれやれ…。またパソコンを買わなきゃな…」
夜斗はそう言って、とあるところへと電話をかけた