「すぅ……すぅ…」
学校の帰りカチューシャをおんぶしながら俺はカチューシャの家に向かっている。大体カチューシャは帰る時には眠ってしまうので毎回俺がおんぶして家に帰っている。
家は学校から歩いて15分程で着く意外と近いのだ。カチューシャの家はそこそこ大きな屋敷で幾つもの部屋がある。
「ふぅ…ただいま〜」
「お帰りなさいませお嬢様、タイチさん」
「ただいまアドリアンさん」
「今日もお疲れ様でした。」
玄関に入るとカチューシャの家の羊であるアドリアンが出迎えてくれた。
この人は、カチューシャの家の羊で主に家の家事全般を担っている。俺がカチューシャの面倒見係になる前は彼がカチューシャの面倒見係をしていた。白髪で何処にでも居そうなお爺さんだがこう見えて羊なので家事は完璧にこなし指示される前に動き要望に応えるスピードがエゲツないくらい早い。
カチューシャからは歳なのだから無理はするなと言われたらしいが本人はその気はないらしい。
元プラウダ高校戦車道部副隊長だったらしく色々とカチューシャと俺にアドバイスをしてくれる。頭の回転が良い為か沢山の作戦、妙案等を教えてくれるため、俺は彼を師匠のように尊敬している。実際試合でも彼の作戦を使って見事勝ったこともある。
「今日は確か……新入生が入部する日ではなかったですか?」
「そうですよ、それが?」
「その様だと今年も男性の入部希望者が居なかったと言うわけですな」
「流石アドリアンご名答」
このように頭がさえている為、今日学校で何があったかなんて彼には余裕に想像がつくのだろう。
「お嬢様は寝て居られてますな、まずは寝室にお連れしましょう。」
「俺がやるからアドリアンはお風呂の準備を頼みます」
「かしこまりました」
寝ているカチューシャを部屋のベットに寝かせて俺は自分の部屋へと戻る。カチューシャの部屋の前の廊下を少し歩くと後ろから声がした。しかも二人の子の声は間違いなくアイツらだ。
「どうしたんだお前ら?」
「兄さん!聞いてくれよラージンのヤツが」
「タイチ聞いてください!ショウヤが私の作戦に反対するのですよ!」
やってきたのはカチューシャの妹のラージンと俺の弟のショウヤだ。この二人は俺らの二歳年下で現在中学三年生、俺たちと同様中学校の部活で戦車道をやっている。
ついでにコイツらの紹介をしよう。ラージン、カチューシャの妹でさっき言ったように俺らの二歳年下の中学三年生、中学の戦車道部隊長である。的確な判断と臨機応変に対応できる所は姉と違う。髪はカチューシャと同じで金髪のロングヘア―で耳辺りで髪を錨型の髪飾りでまとめたおさげが特徴である。身長は姉のカチューシャと同じくらいの身長かと思えば全く違いカチューシャより遥かに高い俺の肩くらいはある。性格は真面目で後輩から熱い信頼を寄せられているが、意外と寂しがりやでお姉ちゃん子である。
次に隣に居る男の子は俺の弟であるショウヤだ、ラージンと同じく中学三年生で戦車道部で俺と同じ参謀総長を担当している。主に作戦を立てて実行するのだが何処か抜けていて失敗することが多々ある。俺と同様ラージンの面倒見係をしている。性格は俺と真逆でラージンより真面目な性格である。身長はラージンより少し小さく、本人曰く伸びない慎重にコンプレックスを抱いている。
この二人は喧嘩を頻繁にするが大体理由はしょうもない。喧嘩するほど仲が良いとはこのことだ、いざ試合になると二人は激変しあっという間に敵を殲滅している。
「んで?喧嘩の理由は分かった、互いの作戦を教えてもらおうかね」
「兄さんなら賛同してくれるよ!!」
「あら、残念ですが私の方が良いに決まっています。」
二人に付いて行き着いた部屋は外の暗さで何も見えない、ラージンが電気を付けるとそこには様々な地形の模型と様々な戦車の資料が置かれた本棚が置いてある。
ここは作戦立案室兼俺とショウヤの部屋だ。基本は試合に向けて念入りな計画を立案する場所なのだが何せ俺とショウヤは居候の身の為ここの部屋を使わしてもらっている為半分くらい俺とショウヤの私物が入っている。
「よし、じゃあ作戦を聞かせてもらおう」
「では僕から……」
先手はショウヤから、中央の大きなテーブルの上に地図を広げる、使われた地図は山岳地帯だ真ん中に周りを見渡せる山があり、両者のスタート地点があるところにその山と同じくらいの高さの丘がある、中心の山の西側は市街地が密集してあり、そこに占領基地がある。反対の東側には大きな川が流れており、その川を渡ると中心の山を横から見渡せる丘がある。すでに俺は試合でこのステージは何回か使用した経験があるので敵がどの様に出てくるか大体だが予想することができる。
「では作戦の説明をします。まず、このステージの重要地点は中心の山です、その為すべての車両をこの山に進めさせ山頂から麓の敵戦車を破壊します。これが俺の作戦です。」
「ありがとう、次はラージンの作戦を聞こうか」
ショウヤの作戦を聞き終わり今度は自信満々のラージンが作戦の説明をする。
「では私が考えた作戦を説明します。ショウヤと同じようにすべての部隊を市街地に進めて拠点の占領によるポイント勝ちを狙います、一両だけで拠点の占領を任せて、残りのすべての車両は占領中の車両の護衛です。これが私の作戦です。」
ラージンの説明が終わりタイチは双方どちらかの勝者を言い渡す。
「二人の作戦は良くわかった、だが俺や他の高校戦車道部の作戦立案者は絶対に初手ではその作戦は選ばない。」
『え~!!なんで!?』
「まず双方ともある一つのことに注意を背けている」
「それはなんだよ!?」
「簡単なことだお前達は自走砲の存在を忘れている」
『!?』
タイチの一言で二人は何かを悟った様だ。
「では自走砲の存在に気付かなかった場合で話してみよう、まずはショウヤから、確かにこのステージの重要な要所は中心の山だ、確かにここをとれば山頂から麓の敵に対して有利に攻撃することが出来るだろう、しかしお前は一つ過ちを犯している、一つ目は言ったとうり自走砲だ、山頂という隠れる場所が少なく一つの場所に味方が固まってしまう為相手の攻撃にさらされる可能性がある。尚且つ全ての部隊が山頂へ登れば下から敵に包囲されれば負けるのは濃厚だ。」
「あっ……!」
「次にラージンの作戦も悪くはない、だがショウヤと同様同じ過ちを犯している。」
「どこかダメなんですか!?」
「だから自走砲がいたら完全に良い的だぞ!確かにポイント占領作戦は悪くはない、だが一点に味方を集めると包囲しかねる事を二人とも考えなくてはならない」
「だったら兄さんはどうやって相手と戦うのさ!?」
「うんうん!」
二人とも欠点を率直に言われた為、納得がいかず答えをタイチに求めている。だがココで答えてしまえばこの子達の為にはならない、あえて答えないのがタイチのやり方だ。
「そこは自分で考えるんだな、答えが出ない限り優勝なんか夢のまた夢だ」
二人に厳しめに言い太一は朝を流す為お風呂場に行く。
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「あれ?電気がついてる…アドリアンさん消し忘れたのかな??」
お風呂場の電気が付いていた事に気付いたタイチは何も考えずにお風呂場に入り脱衣所で服を脱いで浴場に入る。
「ふぅ〜今日も疲れたー!明日からまた作戦を練らなきゃな〜そう言えば…カチューシャが未だに起きてこないのは珍しいな…」
普段のカチューシャならこの時間帯には既に目を覚ましているのだが、今日はやけに遅い。
「ん?まてよ…アイツ、起きたらまず俺と同様汗を流しにここに来るはずだよ……な」
その瞬間、浴場からサウナ室へ続く扉が開く。
「は〜…やっぱりサウナよね!サウナに入れるようになったから、また大人へ一歩近づい……!!!!???」
そこには生まれた姿でサウナ室から出てきたカチューシャがいた。
翌日、彼は学校に来なかった。
次回もお楽しみに!
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