梅雨が明け蒸し暑い季節になった7月、ついに全国の戦車道部員が待ちに待った全国大会が迫ってきた。当然我がプラウダ高校も出場する。
「今年も始まるわね、まぁ今年もカチューシャ達の勝ちよ!」
「おっしゃるとうりです」
「まぁ今年は新入生がかなり優秀な子達が多いからなだが他校も同様この日のために大幅に戦力を強化したようだ」
「そうかも知れないけど今年は絶対カチューシャの優勝よ!」
「抽選は午後からでそれまではこの部屋で待機だそうです。」
「暇だな.,,,」
流石去年の準優勝の我がプラウダ高校、待機室はそこそこ綺麗でなんなら机の上には少なからず紅茶袋とお菓子、ポットが置いてあって旅館なんじゃないかと思うくらいだ。
「すまん少しトイレに行ってくる」
用を足す為部屋を出てトイレに向かう。大きな大会の為会場は大きい、迷いそうだ。
「え~っとトイレは.,,,うわっ!!」
歩いていると突き当たりで誰かとぶつかり合い、相手の持っていた書類が飛び散る。
「すまない!!」
「こちらこそ、怪我はないか?」
「君こそ大丈夫なのか?」
相手は女の子で、胸に付いている校章を見た感じ黒森峰の生徒だろう、互いに怪我をしてないか確認し、無いことを確認し散らばった書類をまとめる。
「書類は全てありましたか?」
「問題ない、感謝している」
「それは良かった!」
「私はこれで失礼する、では.,,,」
「気を付けて!」
一言礼を言って彼女は去った、それを見届けたはいいが、尿意がやばい!!急いでタイチはトイレを探すのだった。
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「ふぅ.,,,スッキリした~」
ハンカチで洗った手を拭きながらトイレから出るとタイミング良くカチューシャとノンナがやって来た。
「いよいよ抽選の時間よ!」
「もうそんな時間か.,,,」
二人と共にタイチも会場に向かう。
大きなホールにたどり着き自分達の学校の指定されている席に座る。一応前大会準優勝しているため、椅子の質も良い。
『さぁやって参りました!第100回全国戦車道大会抽選会を始めます!!』
司会の進行が始まり抽選が開始される。やはり長く続いている大会なので、メディアも沢山きている。無論世間の声が気になる為、タイチはコソッとだが耳にインカムを付けてラジオを聞いている。
『抽選順番は予め我々が決めてあります!名前を呼ばれたら代表者は登壇をお願いします!!』
『トップバッターは前回優勝者の黒森峰女学院!代表者は登壇をお願いします!!』
最初の抽選者は前回優勝校の黒森峰女学院、代表者はチームの隊長らしい。
「前回の優勝に貢献した隊長であり西住流の次期当主西住まほ選手!です!!」
「あっ!あの娘は!?」
「あらタイチ、まほと知り合いなの?」
「いや.,,,さっきトイレの近くですれ違って.,,,」
「まさか.,,,あの娘が、隊長か.,,,」
番号が入っている箱に手を突っ込み中のボールを取り出す。
番号は13番だ。
「13番か.,,,」
「出来れば1~8までの番号を引きたわ!!」
『では西住さん!一言だけお願いします!』
「今年は大会10連覇が掛かっている大事な大会です、通常道理全力を出し、優勝します」
『ありがとうございました!』
彼女の一言が終わり、次の学校に移る。だんだんとトーナメント表に学校名が載ってきた、そして遂に最後の二つになった。
『次は前大会準優勝プラウダ高校です!』
「遂に私達ね!」
「カチューシャ頼むぞ!優勝するには8の番号しかしないぞ!!」
「頼みますカチューシャ」
「任せなさい!」
代表で隊長であるカチューシャが舞台に登壇する、前回準優勝であった為、マスコミも一斉にカーチューシャにカメラを傾ける。
『カチューシャ選手前回は惜しかったっですが、今年の目標は勿論優勝ですね』
「当然よ!!この日の為に日々練習をし、戦力を今日を強化したわ!まず負けるはずがないわ!」
『おっと!早くも優勝宣言です!』
カチューシャの一言でカメラマンが一斉にカメラを切る。
『では、カチューシャ選手ボールをお取りください!!』
「頼むぞカチューシャ!!」
「頼みますカチューシャ……」
「これよ!!」
カチューシャが取り出した数字とは……
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プラウダ高校学園艦
「……今年は負けだな……」
「おいっ!声に出すな!密告されたら終わりだぞ!!」
校内では一回戦の対戦相手を見て絶望の声を上げていた。それを見ていたカチューシャは耐え切れず久しぶりに涙目になっていた。
「……カチューシャ仕方ない、一回戦の相手でも全力で戦うしかない!!」
「そうね…私、今日は帰るわ」
そう言い残し、カチューシャは学校を去っていった。
「カチューシャ……」
「待てノンナ!」
「しかしタイチ、」
「今は一人にしてあげろ、今の俺たちには他にやらないといけないことがある!」
「…」
ノンナの気持ちは分かるが、だからといって諦めるわけにはいかない。ひとまず、授業が始まるので教室に戻る。
【第100回全国戦車道大会、一回戦 黒森峰女学院VSプラウダ高校】
授業が終わるとタイチはロッカールームに向かい、そこで着替えて部活動を始める。
「あら?タイチにしては早いじゃない」
「珍しい.,,,」
「今日は隊長と一緒じゃないんだ?」
「私が恋しくなったのかしら♪」
「それは無い、今日はカチューシャが先に帰ったからだ」
相変わらずこの四人は仲が良い、この前もタイチ抜きでスイーツ天国に行ってたらしい。
今日もいつもどうり戦車に搭乗し練習を開始する。
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「撃て!」
タイチの指示でカリーナは主砲の引き金を引く、砲身から出た砲弾は目標地点の遥か後ろに着弾した。
「あれ?おかしいな…」
いつもの練習だと百発百中のカリーナが今の目標を外すのは珍しい。
「リーネ次弾装填!……?」
「……はっ、はいっ!?」
続くリーネはボーっとして装填が遅れている。
「……っ!?」
アーニャはリーネと同様、何かにボーっとして移動に少しばかりか遅れている。
「……いったん休憩だ、アーニャ移動してくれ」
「わかった……」
タイチの指示でアーニャは戦車を動かせ校舎に向かう。道中、誰も喋らず車内は少し暗い空気になっていた。
「よし、では数分休憩~あっ!ジーナ」
「何タイチ?」
「ちょっと話がある」
ジーナを連れてタイチは車両から少し離れる。
「何タイチ……話って?」
「あの三人何かあったのか?」
タイチはジーナに三人について問いただす。今日のあの三人はあからさまに今までの練習での動きと全く違っていた。
「やっぱり気づいていたようね。」
「やっぱりって、何か知っているな」
「プレッシャーかしら」
「プレッシャー?何で今更」
「それは簡単、理由は一つよ一回戦の相手が黒森峰だからよ」
「黒森峰とは何回も戦っているじゃないか!」
「重要なのは相手が黒森峰ってことだけじゃない!!」
「一回戦……最初の敵がってことか……」
一回戦の相手が黒森峰と知った瞬間、彼女たちにのしかかった重圧は重かった。古くから我がプラウダ高校は戦車道全国大会に上位に成績を残すことが多く、いつしか戦車道の名門校としてその名を轟かせ戦車道に入部し自分も活躍したいと思い入学する生徒も多い。しかし一回戦の相手になった黒森峰に惨敗しその名の泥を塗り自分たちに責任が及ぶと恐れている。それはあの三人だけではなく戦車道部全員が思っていることだ。
「まずはそれがカギだな、ありがとジーナ!俺用事を思い出したから帰る!」
「あっ!タイチ!!……もうっ!!」
そう言い残しタイチは急いでロッカールームに戻り着替えを済ませて学校を後に家に帰宅した。
「ただいま~」
「お帰りなさいませ、タイチさん」
「ご苦労様です、アドリアン、カチューシャは帰っているか?」
「すでに帰ってきてはいますが、その後直ぐに部屋へ入ったきり出てきません。」
「そうですか……」
やはり例のことを相当根に持っているようだ。そのままタイチは部屋に自分の荷物を置きカチューシャの部屋に向かった。
「カチューシャ……入っていいか?」
「……」
彼女の世話役を務めている為入る前に必ず一声かける、いつもなら何かしらの声が返ってくるのだが今日は帰ってこない。経験上、過去に同じようなことがあったがその時はそのままドアを開け彼女の元に駆け付けた、今回も同じやり方で行く。
「入るぞ~」
一声かけ彼女の部屋に入る、カチューシャの部屋はとても大きくタイチとショウヤの部屋よりも大きい。家具は沢山の服を収納できる最高級の木でできたタンス、お姫様が寝そうな大きなベット、天井には綺麗な宝石が光る無数のシャンデリア、その他言い切れないほどの家具で埋もれている。
その部屋の窓際の所にカチューシャが居た。暖炉の前で前後に揺れる椅子、いわゆるロッキングチェアに腰を掛け、彼女の好きな色である赤色のブランケットを太ももから足に掛けて、飼っている愛猫の背中をさすりながら沈みゆく夕日を眺めていた。
「アドリアンがもうすぐ夕食だってよ、何も言わないからあの人心配してたぞ」
「うるさいわね……わかってるわよ、で、何か用?」
「いや昼から元気がないからどうしたかなっと思ってさ」
「……」
再びカチューシャは黙り込む、なぜ黙っているかは大体把握できる。
「カチューシャ、君もやっぱり責任を感じているな?」
「……当り前じゃない隊長なんだから」
「隊長だから一回戦の相手が黒森峰になったのか?」
「そうよ……そうよ!」
「それは違うと思うな……」
そう言った瞬間彼女は急に立ち上がり、膝に乗っていた猫はびっくりして駆け下りた。
「はっきり言いなさいよ!」
「何が!?」
「タイチも思っているんでしょ皆と同じで負けるって!」
「俺はそんなこと思っていない!」
「嘘よ!今日の練習を見てればそう思うもん!」
今のカチューシャは怒りで我を忘れている。クジで黒森峰と当った事で周りからの反応で自暴自棄になっている。そんな中やはり皆がその様に思っている事の悔しさで怒りながら彼女の眼は泣いていた。
タイチは膝を曲げてカチューシャと同じ目線の高さになる。その状態で両腕をカチューシャの後ろに回し包み込むようにカチューシャに抱き着いた。
「……っう!?なっ……何してんのよタイチ!はっ…離れなさい!!」
「嫌だねカチューシャの怒りが収まるまで話さない!!」
急にタイチが抱き着いてきた為カチューシャの顔は真っ赤に染まった。その効果がったのか段々と我に返り落ち着きを取り戻す。が、やはり顔は真っ赤だった。
「ようやく落ち着いたようだな、ふぅ~…」
「ビックリするじゃないそんな事されたら…」
「お前が落ち着いて良かったよ」
カチューシャが落ち着いたことでタイチは本題をカチューシャに話す。
「カチューシャ聞いてくれ、別に皆が試合に負けるとは思っていない、只、初戦が黒森峰だからプレッシャーに負けてるんだ。」
「だったらどうすればいいのよ?」
「簡単な話だカチューシャはいつも道理に余裕をかましていればいいそしたら自然と皆落ち着きを取り戻す」
「……」
今現状、カチューシャ自身が動揺している為、部員全員の士気が落ちてプレッシャーとなって本来のプレーに支障が出てきている。しかし隊長であるカチューシャが自ら練習を指揮して黒森峰恐るるに足らんと余裕にしていれば自然に士気が上がる、それを取り合えず明日から実践する。
「それは分かったけど……どうやって黒森峰と戦うの??」
「それは俺の仕事だ、お前は俺に構うことなく俺が言った事を試すんだ!わかったな」
「わかったわ!今回は貴方に作戦のすべてを任せるわ、私の期待に応えなさい!」
「当たり前だ!」
カチューシャは自信を取り戻し部員の士気回復に向けて励み、タイチは黒森峰との戦いに備えて作戦、戦術の思考を始めた。
全国大会まであと半月。