小さな暴君の頭脳になりました!?   作:テアイチ

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プレッシャーとの戦い

次の日、戦車道部部員の皆はいつもどうり学校に登校して授業で勉学を習い、午後の授業が終わると同時に部室に入り着替え部活動を始める。

 

『……』

 

皆元気がなく空気が悪い、そんな皆をカチューシャは遠目から見ていた。やはりタイチの言うとうりプレッシャーに負けているからなのか、緊張しているからなのか搭乗している戦車の動きを見れば一目瞭然だった。

 

カチューシャは取り合えず着替え、自分の搭乗する戦車であるT-34/85が近くに来るのを待つ。近づいてきたところで手を挙げる。するとT-34/85はカチューシャの目の前に止まる。

 

「カチューシャ隊長!?どうしたんですか!!」

「あなたたちが情けない練習をしてたから指導しに来たのよ」

 

カチューシャの言葉に他の皆は呆気にとられていた。急に隊長自ら指導するのは珍しい為、搭乗員は驚いていた。

 

「通信手」

「は……はいっ!」

「各車に通達、B地点に集合」

 

通信手は各車に無線で集合を知らせる。隊長命令の為か各車動きが早く直ぐに集合地点に着き、綺麗に列を整え戦車から降りて各戦車の前に横に整列して集まった。

カチューシャは背が低いので車高の高いKV-2の上に上り部員たちを上から見下ろす。

 

「皆、練習ご苦労様、私が練習に顔を出したから驚いているようね。」

「……」

 

「いつもなら私が来ることがないから、あなた達がどの様な練習をしているかは分からないけど今日の練習は見てて動きが鈍いことに、直ぐにわかったわ」

「……」

 

「なぜかしらね……理由がるなら言ってみなさい」

「……」

 

カチューシャが問いただすが誰も口を開かない。

 

「あ……あのっ!!」

「あら?何かあるようね」

「kv-2装填手、1年生のニーナです!!」

 

手を挙げたのは一年生のKV-2装填手のニーナである。一年生の彼女が手を挙げたことで、その場にいた三年生、二年生、一年生の全員が彼女のほうを向く。

 

「何か言いたいようね、言ってみなさい」

「はっ……はいっ!皆さんが思っているのか分からないですが、私は黒森峰と戦うのが怖いです。」

「怖い?確かにあなたは新入生だから最初の実戦が黒森峰だから怖くなるのは当たり前だけど、二年生、三年生は何回も戦っているから、そこまで恐れる事はないけど……」

「恐れながらカチューシャ、一年生のみならず二年生、三年生も同様に思っている者が多いです」

 

そう言ってきたのは遅れて着いたノンナだった、彼女は他校から『ブリザードのノンナ』と言われるほど冷静沈着で物事に動じない、彼女は去年から副隊長になって隊長であるカチューシャを支えてきた。二人は隊長、副隊長としての信頼があり、また同じクラスメイトであり友人でもある。その為カチューシャには何も恐れる事無く、副隊長として自分が思っている事を正直に言えることができる。基本どの学校の戦車道部の副隊長も隊長に進言するのは少し躊躇うものだが、ノンナに至ってはそんなの関係ない、これがプラウダ高校の強いところなのかもしれない。

 

「ノンナ貴方はどう思っているの?」

「事実、例年道理なら黒森峰との戦いは準決勝以上で戦ってきました、今回は初戦です」

「朝タイチに言われたわ、わかっているけど私は隊長なの、あなた達以上に緊張しているのよ!」

「だったらカチューシャ一人で考え込まないで私たちを信じてください」

「そうですよ、隊長!」

「あなた達に言われなくても私は貴方たちを信じているわよ……」

「またまた隊長ったら~」

「うるさいわね!」

 

皆に励まされカチューシャは顔を真っ赤にする、こんなに皆の前で顔を赤くするのは珍しい。部員全員カチューシャの鼓舞で士気が上がっている、さっきとは偉い違いだ。

 

皆にちやほやされるカチューシャを見てノンナは少し笑みを浮かべた。

 

「流石だなノンナ、良くこの状況の解決策を思いついたな」

 

遅れてきたタイチはノンナの功績を褒める。

 

「タイチですか、あなたがここに来たということは……」

「あぁ……」

「タイチ……その様子だと」

 

カチューシャもタイチの存在に気づき声をかける。

 

「作戦の立案が完成した、至急作戦会議を開く、部員を作戦室に」

 

~~~~~~~~~~※~~~~~~~~~~~~~ー

 

プラウダ高校校舎、5号館の三階の一番淵の教室に作戦室がある。もともと五号館は滅多に授業で使われることが無い、そのため余り人が寄り付かないため情報漏洩の対策としてここに作戦室が設置されている。

 

「では早速、つい先ほど大会組織委員会から対戦マップの場所の通達が来た、場所は相手が前回優勝の黒森峰の為、我々へのアドバンテージとしてマップは我々に有利なところになった。それがこれだ」

 

タイチはパソコンのEnterキーを押してプロジェクターで投影し皆にマップを見せる。

 

「マップは冬の廃線跡になった」

 

冬の廃線跡、雪で覆われたマップ。陣地は中央線路内、やや東に設置されている。中央に鉄道路線が通っており、線路上に放置された列車が複数ある。西側は中央より一段低く、東側は逆に1段高くなっている。中央付近に敵味方の出撃地点があり、東側が空きやすい。

 

「今回は冬の廃線跡、おそらく当日は少々の雪がちらついている事が予想されるため視界が悪い、そのため今回は機動力重視の編成で行く」

「では、序盤の行動を支持して」

 

カチューシャは次に行くように催促する。

 

「まず序盤は二つの部隊に分かれる、これをA部隊、B部隊と呼称する。まずA部隊は主に重戦車と駆逐戦車が担う、この部隊は主に敵主力の足止めが任務になる。B部隊は側面に回り込み敵の別動隊と交戦が任務、この際どちらかの部隊の敵の多さによってはプランが変わる。αプランの場合、A部隊の敵が少ないと判断した場合、A部隊の中から数両の戦車を引き抜きC部隊として別の作戦の任務にあたってもらう。βプランはαプランの任務をB部隊が同じようにする」

 

「敵の戦車は何を持ってくるか分かる?」

「大方の予想はこちらと同じような編成とみている、先に重要ポイントを取った方が戦いを有利に持っていけるだろう」

 

「重要ポイントはどこですか?」

 

後ろの二年生が挙手をして質問する。

 

「重要ポイントはここ東側の丘だ、ここを手に入れれば中央と西側の敵を発見しやすくなり迅速な行動が行える。それは敵も同様だここを占拠するのは、さっきのプランで言ったとうりC部隊が担当する。最悪ここを失った場合、各部隊は数ブロック撤退し防衛戦に移行する。

 

~~~~~~~~~~※~~~~~~~~~~ー

 

黒森峰女学院学園艦

 

「いよいよプラウダ高校戦ですね隊長」

「エリカか、そうだなだが相手にはカチューシャ、ノンナそれに……」

「プラウダの頭脳……タイチ」

「今回の試合の流れは彼にかかっている早急に潰したいな」

 

黒森峰戦車道部隊長西住まほ、副隊長逸見エリカ、大会十連覇をかけた戦いが今始まる。

 

 

 

 

 

 


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