ONE PIECE//Another=Blue=GODDESS   作:すくのすくお

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思い立ったが書きどき


フラッグ//アウェイキング

うーん、おなかすいた。ビタミンと糖が足りない。

 

海の中で大きな魚……魚?みたいなのをおやつにしたからいいけど……。

 

あんな魚、私の知識には無いんだけどなぁ……。

 

……なんか……ねむいや……。

 

裸足にボロボロの服、ボロボロの髪で只管どこへ行くわけでもなく彷徨うフラッグ。人間(ハイエナ海賊団)や魚?(※海王類)を食べてエネルギーを補給したはいいが、それでも動けるギリギリほどの量しか回復出来ておらず。

 

丁度、ウォーターセブンの造船ドックの外れの辺り……瓦礫が流れ着く海岸まで辿り着いた時に活動の限界を迎えてしまったのだ。

 

意識を失い、崩れ落ちる様に倒れたフラッグ。倒れる時に瓦礫に頭をぶつけてしまい、頭からは血を流している。

 

だるい……ちからもはいらない……いあ……いあ……

 

「そこのお前!大丈夫か!?意識はあるか!?」

 

「おなか……すいた……」

 

にんげんはそんなにおいしくないから……いまはいいや……

 

ぐぅ。

 

たった今行き倒れたフラッグをみつけ、直ぐに救助活動に移ったのは瓦礫を捨てに来た船大工。ロープ使いのパウリーだった。

 

「なんだ……?怪我してると思ったが……[血が流れた跡]だけあるが傷口が見つからないし……やけに安らかに眠ってるぞ……??まあいい!とにかく病院に連れて行くぞ!」

 

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うーん、うるさいなあ

 

あれ、ここどこだろ

 

「目が覚めたのか!見たところ怪我は無いようじゃが……」

 

「おなかすいた……ここどこ……?」

 

「ここはウォーターセブン、その造船所の事務所みたいなとこじゃ」

 

「あなたは……だれ?」

 

「ワシの名はカク。この街で働く船大工じゃ」

 

「そっか。おなかすいた」

 

「イマイチ話が噛み合わんのぅ……丁度晩飯時じゃ。飯に連れて行ってやろう」

 

目覚めたフラッグのケアを(パウリーからの報告を受けたアイスバーグがたまたま仕事終わりのカクを見つけたせいで)一任されたのは、四角い鼻と古めかしい語尾が特徴的な船大工、カクだった。

 

「やったー」

 

「ところでお前さんの名は何というんじゃ?ここらじゃ見ない顔じゃが……」

 

「フラッグ。フラッグ・C・オーシャン。邪し……」

 

あ、邪神っていっちゃだめなんだっけ

 

「旅をしてるんだけど……ちょっと体力の限界が来ちゃって……倒れてた」

 

「若いのに苦労してるんじゃのう。ほら、今の時間じゃと近くに旨い水水肉の屋台が来てるころじゃ。それ食って元気になるといいんじゃがなぁ」

 

わーい。

 

そう言って、ケアを押し付けられたカクと運良く助けられたフラッグは、夜のウォーターセブンでカクの財布に大打撃を加える程の量のグルメを楽しんだのだった。

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───────2日後。

 

この間までのボロボロだったフラッグとは見違える程に、服や靴、髪の毛等の身なりを整えられたフラッグが居た。

 

あの後、行く宛てが無い事を話したフラッグはアイスバーグの屋敷で面倒を見てもらえる事になり、秘書のカリファから(半ば愛玩動物の様に)可愛がられた結果、こうして一端の美少女と言っても過言では無い見た目に整えられたのだった。

 

フラッグ自体も、見た目によらない程の馬鹿力でもって船大工達の手伝いをしながら、バランスのいい食事や適度な運動のお陰で最初に流れ着いた時と比べると心身(&正気)共に一般人レベルまで回復していた。

 

そんなフラッグは今、船大工の手伝いとして資材を運ぶなどの深く考えることの無い作業を手伝っていた。

 

「おい!!!!!!船大工どもめ~!!!!!」

 

「うるせーですねぇ」

 

「おっ、嬢ちゃんは初めてだったかな?ここにゃあ時々あんな感じで無謀な海賊が因縁付けてくるんだわ」

 

「はえー」

 

「今まで乗ってきた船を捨てて!?より高い金で新しい船を買えだと~っ!??!!?」

 

パッと見で分かるように、いかにも雑魚と言うような感じの海賊が無茶苦茶に暴れて船大工達を脅して代金を踏み倒そうとしていた。

 

「さーて、そんじゃあ気晴らしに追っ払ってくるぜ!嬢ちゃんは危ないからここで待ってな!!」

 

「ふーん、あれは消えてもいい人間なんだね?」

 

「いやいや!嬢ちゃんそんな物騒な事はダメだよ!!殺さない程度に痛めつけたらあっちは逃げ出すから……って嬢ちゃん?」

 

なるほど、殺しちゃだめなのか

 

いつの間にか海賊の方へと猛スピードで駆け出したフラッグ。その速度は[六式]の[剃]に届くのではないかと思われるレベルだった。睨みを利かしていた船大工達を掻き分け海賊の目の前に躍り出た彼女は、速度を保ったまま地面を蹴って回転をつけ、船長と思われる一際目立つ男を蹴り飛ばした。

 

「「「「せっ……船長ーーーっ!!?!?」」」」

 

「うっ……あがっ……ぐっ…………」

 

「「「じょっ……嬢ちゃん……!?!?」」」

 

「いえい!」

 

ふんす、とガッツポーズを決めたフラッグ。その瞬間、子分A(仮名)がフラッグへとピストルを向け……そのまま胸を狙って発砲した!

 

……のだが、銃弾は身体へと届く事は無かった。彼女の袖の中からずるりと伸びた[禍々しい蛸の触手]が銃弾を掴み、握り潰したからだ。

 

海賊・船大工共々白目を向き、鼻水を垂らして酷く驚いた空気が流れた。漫画ならこのシーンは見開き2ページでドン!!!!!となっているだろう。

 

「殺しちゃだめ……殺しちゃだめなんだよね……?」

 

「ヒッ……!?こいつ能力者かよォッ!?!?畜生!船長の仇だ!!!!!殺っちまえーーっ!!!」

 

海賊達は無謀にも、各々の武器を構えてフラッグへと駆け出し、襲いかかった。

 

船大工達も工具や武器を構え、海賊達を迎え撃とうとしたが……

 

「……おなかすいたし、そろそろつかれてきた!」

 

「…………ヒィッ!?!!?」

 

ギン!とフラッグが赤黒い闇に染まった目で海賊達に睨みを効かせた瞬間、海賊達は一斉に[正体不明の恐怖]に襲われ、泡を吹いてその場に倒れてしまった。そう、まるで[覇王色の覇気]の様な、それでいて異質な、名付けるとしたら[邪王色の覇気]と言われるであろうチカラを使われたのだ。

 

「「「えっ…………えええええええええっ!!!!!??!??!?!」」」

 

ただの行き倒れの少女だと思っていたのが異常で異質なチカラを持っており、一人で海賊団を戦闘不能にした───────

 

そのニュースは瞬く間にウォーターセブン中のあらゆる場所に広がった。立ち寄っている海賊や海兵、船大工……そして、暗躍する政府直属の組織、[CP9]へと……。




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