ONE PIECE//Another=Blue=GODDESS 作:すくのすくお
数日後、(いつの間にか結成されていた)[ガレーラカンパニー・お嬢見守り隊]の代表(に任命されてしまった)カクから数百ベリー程の小遣いを貰ったフラッグは、今日も今日とて賑やかなウォーターセブンの街中をウロウロしていた。彼女にとっては若干耳障りな程の喧騒に紛れながら屋台でつまみ食いしてみたり、気のいい老人に釣り竿を借りて釣りをしてみたり……(時々様子のおかしい禍々しい魚が釣れたり)と、街の人に愛されながらのんびり過ごしていた。
今日はちょっと大人な気分になりたいなぁと思ったフラッグは、たまたま通りすがった路地裏の小さなバーへと立ち寄ってみたようだ。カランカラン、と景気のいいベルの音と共にバーへと入店すると、フラッグを驚いた様な目で見る牛の角の様な髪型の大柄な店主や四角い海苔の様な髪型の女性客×2、そして……
「アゥ!誰かと思えばお嬢じゃあねぇか!ここぁお嬢みたいな子供にゃあちと大人な場所だぜ?ほらガレーラんとこに戻んな!」
青いリーゼントと丸太のような腕が特徴的な、この街を裏で仕切っている裏番長的な存在として有名な男。[フランキー]が居た。
「よっ」
「よっ!じゃないわいな!」
「おっちゃん、フランキーがのんでるのとおなじやつちょーだい」
「ハハハ、お酒はまだ早いけどコーラならお嬢でも飲めるね、ほらどうぞ!」
「せんきゅーべりべりまっち」
なんだこののみもの……しゅわしゅわしてる……あまいにおい……
グビッ!ゴクッ!ゴクッ!とそれを勢い良く飲み干したフラッグは、初めて飲んだコーラに大層興奮したのか、いつもよりもハッキリとした呂律で店主……ブルーノに向けて
「凄い美味しかった!ありがとうてんちょー!」
と言い、満足気な眩しい程の笑顔で言い放つと、代金分のベリー硬貨をカウンターに置き、わーいっ!と言う文字を幻視する様な姿で店を出て行った。
「……嵐の様な勢いだったな、お嬢は……」
「元気が良過ぎるのも困りものだわいな」
「……コーラの代金、ちょっと足りなかったな……」
バーに残された4者はそれぞれ、やんちゃで困った妹分を見るような視線と共に先程までと同じようにいつもの日常へと戻って行った。
───────が、この瞬間。この街に潜む[闇]が彼女を取り込もうと動き始めた。
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バーを出た後、路地裏を横切ったとても大きな猫を追って人気の無い路地裏に迷い込んだフラッグ。特に気にする事はなく猫を追いかけて追いかけて……あっちを曲がってこっちを曲がって……としている内に、大昔に使われなくなった、薄暗いドックへと出てきてしまった。気づけば彼女は、いつの間にかとても広く、全く人気もない、ただただ波の音とウミネコのミャーミャー鳴く声だけが響く空間に一人ぼっちの迷子となってしまっていた。
「あれー、猫はどこに行ったんだろー……?」
フラッグがボソリと呟いたその声は、だだっ広い空間にぼんやりと響いて消えていった……が、突如彼女の背後から聞き覚えの無い別の声が響いてきた。
「よぅ嬢ちゃん……悪いが死んでくれや!!シャウ!!!」
「知らないおじさんだーッ!」
「お兄さん!!だ!!!シャウ!!![剃]ッ!」
フラッグが振り返ろうとした瞬間、声の主は姿を一瞬でくらまし……猛スピードで彼女を背中から蹴り飛ばした!
「いったー……」
数メートル転がった先で、背中に着いたホコリを払いつつ痛がっているフラッグを見ながら、その男は残忍な笑顔で彼女を見ながら
「俺は四式使い、[海イタチのネロ]だ!アンタにゃ悪いが、こっちも仕事なんだ……殺すっ!シャウ!!」
と言い放ち、先程と同じ[剃]を使って距離を一気に詰め……
「決まったッ![嵐きゃ……
「やめてよ」
「…………ッ!?!!?!」
一気に勝負をつけようと至近距離で嵐脚を放ち、身体を両断しようとした。だが、出来なかった。嵐脚を繰り出そうとしたその脚は[青白い蛸の触手]で絡め取られ、ただ力の強い少女だと思っていたその相手(殺害目標)の表情は一般人のそれではなく、[人智を超えた狂気、若しくは領域外の恐怖を一点に集めた]表情になっていた。
「ねえ、あなたは死んでもいいにんげん?」
「…………シャウ!!ンなわけねェだろうが!!喰らえっ!」
ネロは腰に隠し持っていたピストルをフラッグへと向け、およそ1m程の距離から脳天に向けて発砲した。
───────あはは
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
へえ、そっちがそのきなら次はわたしのばんだよ
いあ いあ
「アガッッッ!?!!?」
眉間を撃ち抜かれたフラッグ。銃弾は後頭部を突き抜け、誰がどう見ても即死だった筈だ。しかし、傷跡はズブズブと直ぐに肉で埋まり、常にぼんやりと開いていた目はぐりんと見開き、最早人間とは認識出来ないような狂気に呑まれた様子で狂い笑っていた。袖の下から伸ばした触手で掴んでいたネロの足はあまりにも強い触手の掴む力によってメキメキと惨い音を立て、拷問の様な痛みを与えていた。
「ねえ、にんげんってころしちゃだめなんだってガレーラのみんなにいわれたの」
「クッ……アアアアア!!!」
「だから……あなたにはこれをあげるね」
別の触手でネロの頭を掴み、器用に彼の瞼を無理矢理開いて焦点の合っていない瞳で底なしの闇を注ぎ込むように彼の瞳を覗き込む。ネロは化け物嫌でも目と目を合わさざるを得ない状況の中必死で正気を保とうと自身の喉を掻きむしっている。それを何も気にすること無く、ネロに向かって歌うように、泣き叫ぶように、恐ろしく狂気的な声で[CURSE OF THE PUTRID HUSK]と呟いた。
「あっ…………あああああああああああぁぁぁ!!!!!!?!!!??!??!?!!!!!?!なんだ…………!????!?なんだよ……………………っ!!!!!俺の身体が…………皮膚がっ…………腐っ…………わあああああああああぁぁぁあああああぁぁぁああああああああぁぁぁ!!!!!!!!!」
「これにこりたら もう けんかは しないでね」
白目を剥き、叫びすぎて喉から血を吹き出しているネロを後目に、フラッグは懐に入れていたカリファの手作りクッキーを頬張った。
「うーん、やっぱりチカラを使うとニンゲンらしさが遠ざかっちゃうや」
クッキーを食べ終わり、彼女が最低限[人間らしい思考]を取り戻すと、ドックから港へ……港から海へと駆け出し、そのまま海へと飛び込んだ。
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「ただいまーっ」
「ンマー!お嬢どうしちゃったの!ずぶ濡れじゃない!」
「泳いできた!」
(恐らく)能力者なのにどうして海を泳げるんだ?とアイスバーグは夕方やっと帰ってきたフラッグを見ながら首を傾げていた。
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