なにやらチートのような体を手に入れたので楽しく生きたいと思います(願望)   作:nonose

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深夜の密会 後編

 

 

 

ランサーからお前がやったのか? とそう問い詰められるナツキスバル。流石のスバルも核心に触れられる話をされては先程まで見せていた醜態から一変しランサーの方へと顔を向け2人の目が合う。

 

 ランサーはただジッとスバルの反応を待ち、対にスバルは得もしれぬ不安感に押しつぶされそうになっていた。

 スバルの額からは嫌な脂汗が浮き出ており、彼が感じるストレスが目に見えて分かる。

 

 暫しの沈黙。お互いにどういまを踏み込むか決め兼ねているようだった。

 そして漸くゆっくりとスバルが口を開ける。

 

「……それは、どういう意味」

 

 盗品蔵での戦闘。化け物じみた動きと、あのまさに悪魔のように戦いを楽しみその美麗な顔を愉しさに歪ましていたあの時の彼女の姿がスバルの頭の中にはいま浮かんで離れない。

 答えを間違えれば、もしかしたら殺されるかもしれないただ彼はそう思っている。

 だからこそ上手く言葉が紡げない、何を話せばいいのか分からない。口の中が乾き、上手く喋れない。

 口から出る言葉は一つ一つがたどたどしく、自然と両の手をギュッと固く握りしめている。次に彼女が喋る言葉を一言一句聞き逃さまいとただ彼女の方を向き目を向け耳を向け反応を待っている。

 

「……? 貴方がこの現象を引き起こしているのだとは思っていましたが、まあ素直にはいそうですと教える訳もないですね」

 

 ランサーはスバルの反応に訝しんだ後に、それはそうだと1人納得して言葉を続ける。

 

 

「貴方が何故どんな理由でソレを引き起こしているのかは知りませんが、私を巻き込むのはやめてください。貴方が死ぬ度に私も同じように死んでいるんです。そろそろやめて欲しいものですね」

 

 ランサーはウンザリすると顔に出るほど表情を歪ませる。この現象を引き起こしている本人が目の前に居ようとただ淡々とそう彼に言い続ける。

 その心の強さこそ彼女本来の強みだからだ。

 

「…………は? いや、ちょっ、ちょっと待ってくれ。それはおかしい、こんなことが起きてるのはお前のせいなんじゃないかっ!?」

 

 逆にスバルはそんなことは知らないと狼狽えている。

 彼女こそこの現象を引き起こしている本人なんだと、そうスバルは思っていたからだ。

 

 はて? あれおかしいぞとランサーは首を傾げる。そんな反応予想だにしていなかったからだ。もしかしたら本当に彼もこの現象に心当たりはないが巻き込まれているだけなんじゃないか? とそう思い始めてきた。

 勿論彼が知らん振りをしてこうして演技している可能性もあるが、ランサーがいままで主観で見てきた彼個人はそんな器用なことが出来るほどの人間には見えなかったこともあってよりその思いを助長させた。

 

 

 また暫くの沈黙。

 お互いに疑問顔のまま向き合い両者ともに少し居た堪れない気持ちになってきていた。

 その空気に耐えられずゆっくりとスバルが姿勢を変えて座り直す。

 それに釣られてランサーも姿勢を直す。

 

 姿勢正しく座った男女が1つの部屋で向き合う姿は傍から見ればそういう現場だと思われかねないがこの2人の中で流れている空気はそんな甘いものではなくただただ不安に思いあってるだけの謎の空気で───

 

 

「……えーっと、少し話を整理しましょうか」

「はい……」

 

 

 ────それに耐えられなくなったランサーがようやく次の話を始める。

 突然この世界に放り出され、そしてこの「死に戻り」の影響を受けるようになってしまったいまに至るでの経緯を話始める。

 

 この世界に来てしまったそのときに自身の容姿が変わり果てていた、という点には触れずに最初エミリアと彼女が会うまでに何度か理由も分からずに死を体験したこと 、そしてあの盗品蔵にてナツキスバルに出会ったこと。

 この屋敷に来てからは最初の1週間4日目の夜に息もできなくなるようにゆっくりと意識が消えていった、屋敷での初めての死に戻りを使われたこと。

 そして次は、1日目の夜。ナツキスバルと当主ロズワールが浴場にて会話を盗み聞きしその場から立ち去り浴場から出た瞬間。すぐさま景色が変わり1日目の朝に戻っていたこと……

 

 ナツキスバルも同様に突然この世界に放り出されたこと。路地裏で数回死に戻ったこと、1回目エミリアに出会ってそして盗品蔵でまた彼女とランサーに会ったこと。

 屋敷では最初の4日間、そして次の死に戻りのこと……

 

「なる……ほど、些か信じられませんが本当に貴方の意思でコレを引き起こしているわけではないんですね?」

「あ……あぁ、神様にだって誓える」

「貴方、私の前にしてその言葉は大分物知らずじゃないですか?」

 

 その言葉にスバルは首を傾げるものだが、宗教に入ってたかそんなところだろうと当たりをつけて1人納得する。

 実際死に戻りに関してはスバルは一切の関与もしていないし故意的に起こしている訳じゃないと彼はそう思っているからだ。

 そこで神様に誓うという言葉がどれだけ彼女からすれば重かろうと関係はないと、スバルは考えていた。

 

「まあいいでしょう。となれば、次に気になるのは」

「──最後の死に戻りについてか?」

「そう、それです。貴方の話を聞く限り覚えているのはお風呂から上がって浴場内の戸に手をかけた所まで、つまり」

「つまり、俺と最後一緒にいたヤツに俺は殺されて死に戻った……てわけか」

「まあ、そういうことです。これに関しては恐らくというか十中八九、メイドのラムと当主のロズワールのどちらかでしょうね」

「あ? ロズワールなら確かにわかるが、なんでラムなんだ?」

「ああ、それに関しては私が浴場の着替え場で彼女と会ったからですね。まあそれはどうでもいいんですよ、問題なのは誰に? ではなく、何故? 殺されたかなんです」

「──ああそうか、俺たちからすれば死に戻りがあるから誰に殺されたかはその都度確認できる。だけど何故殺されたか、理由は分からない。だから何故殺されたか? が大事なのか」

「──え? あ、あぁそうです。コホン、まあそこに付け加えるとするなら、何故殺されかそれを解明できないと今後の糸口が見つからないからです」

「なるほどな……」

 

 何故殺されたか、それの追求がどれだけ大事かランサーがスバルに話し、そのことについて考えるスバル。

 しかしそれとは裏腹にランサーの心中は少し驚愕の一言であった。

 それはあまりにも想定以上にスバルの物分りが良すぎるからだった。浴場での会話はなんだったのか? と言わんばかりである

 

 

「───でもまあ、それもすぐに分かるとは思いますがね」

「───は?」

「私の背に隠れなさいナツキスバル!」

 

 そのランサーの叫びと同時に──

 

「エルフーラ!」

 

 ───ベッドの上に座っていたスバルを背に隠したランサーに向けてドア越しに風の刃が襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 




多分本編初期よりスバルの物分りがいいのは仕様です
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