なにやらチートのような体を手に入れたので楽しく生きたいと思います(願望) 作:火桜 葵
皆様あけましておめでとうございました。
リゼロ始まりましたね。なので書きました、文章が若干変わってるかも
揺れる竜車に身体を揺さぶられながら、ゆっくりといまは身体を休めていた。
あの女、エルザとの対決後、突如現れた赤毛の男。
アイツに全てを邪魔されたが、その後は特に何事もなく終わりを迎えた。
変わったことがあったとすれば、エルザに腹を裂かれたジャージの青年が俺の横に寝転がされていることとか、フェルトが赤毛の男に連れて行かれてしまったことくらいだな。
些事だな。
「ねぇ、ランサーさん」
対面に座るエミリアから話をかけられ
竜車の窓縁に頬杖を立てている状態のまま視線だけをエミリアへと移す。
「どうしましたか。竜車の方なら乗り心地は最悪ですよ」
「そうよね、竜車ってすごーく揺れるから私も……そうじゃなくって、本当に良かったの?」
軽い悪態をこぼしてみるものの、そちらの方にも共感して対応してくるエミリア。
どうやらどうしても話したいことがあるよう。
仕方なく、俺も頬杖を着くのをやめて身体をエミリアの方へと向け話を聞く。
「……なにがですか?」
「私、あの約束のこと──」
どこか心配そうに俯くエミリア。
イジイジと人差し指同士をつつかせてへこんでいるよう。
「……はぁ、いいですか。私のことは私でどうにかしますし約束事も大丈夫です。……えぇと、ロズワール……様でしたっけ? その人との話次第でしょう、貴女は気にする事はありません」
「でも……」
「貴女、大概に面倒くさいですね。本人が気にするなと言っているんですから気にしないでください」
「うん、わかった」
分かったと言いながら、どこか不満気な様子でこちらをじー、と見てくるエミリアに流石に俺も気分が悪くなる。
「はぁ……」
自然とため息が溢れ、少し行く先が不安になってしまう。
▽▲▽▲
屋敷に着いて、いま現在。
竜車を操縦していたらしい桃色の髪のメイドとは既に面を合わせたものの
エミリア曰くもう1人メイドが居るとのこと。
なんで、これから世話になる……かもしれない身として挨拶の1つでもしといた方がいいかと思ってそのメイドを探している途中だ。
「それにしても、こんな大きい屋敷を小間使い2人だけで維持するんなんて大変でしょうに」
思わず感嘆の息を洩らす。
窓縁を指でなぞって見ても、埃の1つすら見当たりはしないことから、思っていた以上に完璧な仕事らしい。
改めてここのメイドに感心してしまう。
桃色の髪のメイド曰くもう1人のメイドはキッチンでも探せば居るだろうとのことだったが……。
「キッチンがどこなんだか。本当に広いですね……」
これなら案内すると言ってきたエミリアの意見を拒否せずに、言葉に甘えておけば良かったか。
それにしても歩けば歩くほど屋敷内のどこを見ても丁寧に、かつ綺麗に整えられているのが見てわかる。
窓から見える庭園も、木々が見栄えよく剪定されていて、花壇も色とりどりの花が植えられていて目の保養にもなる。
あっちこっち見ながら、メイド探しの合間の屋敷散策途中。
ふと、妙に気を取られる扉を見つけてしまった。
まぁ、開ける必要もないかとスルーして1歩2歩、3歩と歩いてみるのだが1度気になってしまうと、どうしても心がモヤモヤとして開けなくてよかったのかと思えてきてしまう。
このままじゃ、ずっと気になり続けてしまうし、扉の前へと戻りゆっくりと扉を開けて部屋の中を覗き込んでみる。
すれば、何をそんなに気に取られていたのかと思えるほど、視線の先には想像していたよりも簡素な部屋があるだけだった。
結局、開けても開けなくても心がモヤモヤとする結果になってしまった。
屋敷の散策もメイド探しも、そのせいか興味が消え去ってしまいエミリア達のところへ戻ることになった。