なにやらチートのような体を手に入れたので楽しく生きたいと思います(願望) 作:nonose
前回の更新いつだー?
・・・わあってな感じで更新してみました
前までより地の文多めマシマシですどうぞ
朝日が登り始めた早朝。主の居ないためかこの屋敷は異様に静かでガランとしていた。
最初に会ったきり目にしなくなったメイドや、どこかへ行ってから見なくなったエミリアなどなど。
客人という立場の俺をまさか屋敷の中で1人置かれるとは思ってもいなかった。
眠気も腹も空かしているわけではないので、困ることなどは特段なかったりはするから良いんだが……。
「──まぁ、だからすることも無くこうしてブラブラと歩き回っているわけですけど」
館の壁を触れながら、そのまま壁沿いに歩いていく。
昨日見たばかりの屋敷の中は特に変わっているところもなく、同じような景色が続いているので流石に飽きが回ってきた。
そろそろ屋敷の中を歩くのをやめて、外にでも出ようかと考えていたとき不意に1つの扉から、ちょいちょいと小さな手が見えた。
どうやら、扉の前を通る俺を手招きして呼んでいるらしい。
伽藍堂の屋敷に、不意に見える小さな手というのは中々にホラー要素垣間見える。
見えはするが、どうやら見える手の主は相当なにか焦ってるのか急かしているように思える。
少し不可解な気持ちになりながらも、そっと手が出る扉へ近付いていく。
ドアノブに手をかけて、中を見れば幼女が1人と倒れ伏した男が1人と。
幼女の方は見覚えがないが、男の方は見覚えがある。前日、傷を負って治療されたらしいあとはどこかで寝かされているとは聞いてはいたが……。
まさか幼女の居るところで1人眠っているとは思ってもみなかった。
つんつんと足蹴にしてみるものの、動く気配も呻く様子もなく……。
どうやら昏睡してるようだ。
「これは、一体どういう状況なんですかね」
目の前の幼女にそう問いかけると、幼女は疑問気に首を傾げた。
見たことないようなやつが居ることに疑問を感じてるってところだろう。
幼女は数秒俺を見てからようやく口を開いた。
「メイドの娘たちかと思って呼んでみれば、まぁそれはいいかしら。早くそこの男を連れていくのよ」
なんともまぁ、傲慢な言い草。
いまどきこんな幼女現代でも見ることないんだけど、それはそれとして──。
「イヤです」
「……は? いま、なんて言ったかしら……?」
「だから、イヤです。そもそもなんで私がそこのジャージを……いまは違いますが、そこの男をせっせと運ばなきゃ行けないんですか?」
「この言うことかいて、そもそもそこの男はお前のツレなのよ。それならお前が持っていくのが筋って言うものかしら」
少しキレ気味な幼女、たまたま道中一緒に居ただけで別にツレって訳じゃねぇんだよな。このジャージ男。
「そう言われましても。どこに連れていけば良いのかも分かりませんし」
「そんなことべティーに言われても知らないかしら」
この幼女本格的に性根が腐っているようだ。言うこと理不尽態度は横暴、これは何を言っても聞き取ってくれないな。俺が折れるしかない……か。
「はぁ、解りました。解りましたよ、連れていけばいいんでしょう? 置いてくる場所は……まぁ、歩いていればそのうち見つかりますかね」
ボヤいて入ってきた扉から出ていこうとした。そこで茶々を入れてきたのはまたこの幼女である。
「ちょっと待つのよ」
「なんですか今度は、頼みは聞きますよ。これ以上何かして欲しいことでもありましたか?」
「……もう行ってもいいかしら。ほら早く出ていけかしら。シッシッ」
人を引き止めたと思えば用件も話さず、挙句の果てに待たせて出て行けと宣う。ちくしょうこの幼女嫌いだ。
そんなに出ていって欲しいなら喜んで出ていってやるよとドアを開け放って目に入るのは大きめな個室と中央に存在する大きめのベッド。少し布団が捲りあがっているのを見るに、誰かが使ったあとか。
そして、その誰かとは勿論いままさに運ぼうとしていたこの男だろうな。
「素直じゃないですね?」
「……うるさいのよ」
ちょっとは可愛いところあるじゃないかと、評価を改めて彼女の部屋から退室した。
◆
「おや、お目覚めですか」
目を開いたスバルに最初に声をかけたのはランサーだった。スバルが寝ているベッドの横に小さな椅子に座って本を読んでいた。
「アンタは……」
「2日ぶり、いや貴方からすれば昨日ぶりですかね。おはようございます。お腹の傷は大丈夫ですか」
「お、おぉ。腹の傷は……多分大丈夫だ」
「そうですか、それでは失礼しますね」
少しの問答。スバルの体調が健康になっていっていることをランサーは確認すると、読んでいた本を閉じて用はないと言わんばかりに席を立とうとした。
しかし、それを止めたのはこの男。ナツキスバルだ
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
大袈裟に声を荒らげ、いまにも部屋を出ていかんとするランサーの腕を逃がさないとばかりに掴むスバル。
しかし、ランサーの身体能力はスバル程度の力で止まるようなやわな身体をしていない。
つまり、どうなるかと言うとスバルより幾分華奢な風体をしている女性に男子高校生が引きずられていく……というなんともまあ、みっともない光景が出来上がるわけだ。
スバル自身、あの時の戦闘の記憶が薄れてる訳じゃないがこうも簡単に自身の力が少しもランサーに及ばないとは思ってもみなかった。という顔だ
そしてそんな光景を見ていたのは当事者2人だけじゃ勿論なく
「姉様姉様、貧弱なお客様が女性に引きずられていくみっともない姿を晒していますよ」
「レムレム、みっともないお客様が女性に引きずられていく貧弱な姿を晒しているわよ」
突然横からそんな声掛けをされたスバル、壊れたブリキ人形のようにゆっくりと声のする方向へと顔を向ける。
そしてその姿を見たスバルの視覚を通して脳内記憶メモリーにいままで蓄積してきた『オタク』領域の記憶周辺に暴力的な程の衝撃を与える。
スバルがそれほどまでに驚き、そして一瞬思考を止めた程の光景とは何か……。
そう、メイドだ。
「なん……だと、そんなバカなっ!? メイドだと!?」
ありえない、だがありえないわけじゃないなどと、スバルの脳内ではグルグルと同じことを考えてはやめて考えていた。
しかし目を覚まして最初に目にしたのが女武者の次にメイドと来れば思考能力がバグるのも仕方ないことだろう、そしてそのメイド他にも目を惹くような要素が1つある。
まるで鏡写しかのように同じ容姿をした双子なのだ。
ランサーもなんだかんだもう1人の方のメイドを見るのは今日が初である。スバルとメイドたちは騒がしく話しており、朝っぱらから騒がしいのは苦手だとランサーはそう思いつつスバルの意識がメイドに集中してる間に部屋を出る。
扉を開けるとちょうどスバルの様子を見に来たのかエミリアの姿があり、開けようとしていた扉が勝手に開いたことで少しビックリといった感じだ。
そしてランサーの方に気がつくとパァと擬音が付きそうな顔でランサーを見つめ声をかける。
「あっ、ランサーさん」
「……あぁ、貴女ですかエミリア。おはようございます」
その反面ランサーの顔は辟易としていた。面倒なのに引っかかったとでも言いたげだ。
向こうから挨拶をしてきたし返さないのも礼儀に反するだろうとランサーはエミリアに一応挨拶を返す。友好的な態度は1ミリも感じられない雰囲気ではあるが。
しかし、それとら裏腹にそのような態度のランサーに対しても挨拶を返してくれたというその部分だけを取って嬉しそうにするのがこの女エミリアである。
「うんおはよう!」
「貴女がどうしてそんなに朝から元気なのかは、まあ置いておきますね。件の男ならピンピンしていますよ、話があるならしておいた方がいいでしょう」
「あっ、うんわかった。ありがとう」
「……いえ、それでは」
「……あっ! レムたちが朝食、用意してくれるから良かったらランサーさんもあとで来てね!」
エミリアの言ったことに対して背を向けて手を挙げ振ることで了解の意を伝えるランサー。そのランサーの様子に少し怒らせちゃったかななどと考えつつ1度振り切ってスバルがいる部屋へとエミリアは姿を消した。
◆
今朝の出来事から、少したった頃。
俺はいま窮地に立たされていた。
「君は一体何者なんだい」
奇抜な道化の格好をしたこの屋敷の主ロズワール・L・メイザースに先程までの軽薄そうな言動さえもなりを潜めて、問い詰められていた。
……非常にマズイ。こういう展開を考えていなかったわけではないがなるべく避けておきたいものだった。
よくよく考えれば当たり前のことだ。話を小耳に挟む程度に聞いていたが、現在この王国は様々な問題事が起こってるようである。
そんななか素性のしれない強さを持つ俺が転がり込んできたと考えれば王候補のエミリアへの害をなしに来たか─またはこの屋敷にか─そう捉えられてもおかしくはないだろうな。
まあ、言い訳はいくらでも思いつくが下手なことを言って害的認定されると後々面倒なことになるのは目に見えている、さてなんと答えるべきか……。