スカーレット姉妹の現代旅   作:松雨

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スカーレット姉妹とのび太のふれあい

「レミリアちゃん、フランちゃん! 大会、優勝出来たね! 2人のお陰だよ、ありがとうね!!」

 

 ドッジボール大会を勝ち進み、決勝戦での強敵との激しい戦いを制して見事に優勝を勝ち取ったレミリアたち女子組は、簡単な表彰式を済ませた後に教室へと戻ると、騒いだりなどして各々優勝の余韻に浸っていた。

 

 特に、レミリアとフランの2人に思い出を残してあげつつも、自分を含めたクラスの女子たちにも思い出を残したいと言っていた女の子は、目的を完全に達成した事によって狂喜乱舞し、先に戻っていた男子たちの半数と一部の大人しい性格の女子をドン引きさせるレベルで騒いでいた。

 ちなみに、この騒ぎの場に担任の先生は居たものの、しょっちゅうある大会ではない事と、レミリアとフランが今日最後の登校日と言う事もあってか、一切合切関わらずに見ているだけと言う状態である。

 

「そうやって感謝してくれるのは嬉しいわ。けど、他の子たちだって頑張ってたのだから、その子たちにも同じ様にお礼を言ってあげて。きっと喜んでくれるでしょうから」

「お姉様の言う通りだよ! ね?」

「あぁ……うん。確かにレミリアちゃんとフランちゃんの言う通りだね!」

 

 そんなテンションの高い女の子に捕まり、せっかく大会で優勝した事をのび太に早く報告したいと思っているレミリアとフランは、どうにか他に行って欲しいと思っていた。

 ただ、そうは言っても、直球に『のび太のところに行きたいから他に行ってくれ』などと言えるはずもなかった。フランが極端に、自分たちが直球で言ったのが要因で、巡りめぐって()()()()酷い扱いをされてしまう事を恐れていると言う理由が大きかったためだ。

 

 なので、自分たちのお陰で勝てたと思ってくれている事に対するお礼をしつつも、他の女子たちも頑張ったのだからその女子たちにも同じようにお礼を言ってあげてくれとの、最もな言葉でテンションの高い女の子を他の女子たちのところへ向かわせた。

 

「お兄様! 大会、優勝したよ! 私も頑張ったから褒めて褒めて!」

 

 テンションが高い女の子を最もな理由で他の女子のところへ向かわせた後、レミリアは直に行きたいの我慢して一応他の男子にも話しかけるなどの気遣いを見せた。

 しかし、フランはのび太のところへすぐに行きたい言う欲求を我慢する事が出来ず、誰からも話しかけられなかった事もあって真っ先に向かうと、満面の笑みでのび太に対して話しかけた。

 

 そして、頭をのび太に撫でて欲しいと色々な仕草でアピールをしながら、大会の優勝のために頑張ったのだから褒めてくれとの、直接要求を伝えた。若干名羨むような視線をのび太に対して向ける男子が居たものの、それらは全てレミリアが上手いこと対処したため、何も起きずに済む。

 

 まあ、仮にのび太に理不尽な被害を与えようものなら、被害を受けた本人が黙っていたとしても()()()早々にこれを探知され、フランとの()()()()()()に持ち込まれる羽目になると知られているが故に、レミリアが対処しなかったとしても何も起きずには済むが。

 

「頑張ったね、フラン。ほら、おいで」

「っ! お兄様……ありがと!」

 

 フランから褒めてくれと頼まれたのび太は、すぐにその要求に答える。そして更に、多種多様なその仕草から頭を撫でて欲しいのだとすぐに見抜いたのび太は、ドッジボール大会の時に負った怪我を治してくれたお礼も兼ねてか、両手を広げてフランを待ち構える体勢を取る。

 

 のび太から褒めてもらい、少しでも頭を撫でてもらえれば嬉しいと思っていたフランは、まさか抱き締めてもらえる事になるとは全く思っていなかったようで、一瞬だけ嬉しさのあまり固まってしまう。しかし、すぐに気を取り直してのび太に抱きしめてもらい、頭を撫でてもらったり、色々と褒めてもらったりしてこの時間を存分に堪能した。

 

 この瞬間、フランの中ではのび太に対する吸血行為を除くこの時が、マグカップをもらった時に次ぐ思い出となる。

 

「さて、男子と女子が1位の総合優勝で皆の気分が高ぶるのも分かるが……そろそろ席に着きなさい」

 

 そんなこんなで各々が盛り上がったりしていると、これ以上はあれだとおもったのか、見守っていた担任の先生が席に着けとの指示を教室の全員に向けて発した。

 流石に先生からの指示を無視してまで騒ぐクラスメートは居なかったようで、1分足らずでのび太たちを含む全員が席に着き、先程までの喧騒が嘘であるかのように静かになる。

 

「よし。まあ、皆も分かっているだろうが……今日がレミリアさんとフランさんの、最後の登校日だ」

 

 クラスメート全員が静かになった事を確認した担任の先生は、一瞬だけレミリアとフランの座る席に視線を送った後に、2人が最後の登校日であるとの話をし始めた後、何か言っておきたい事はないかと促してきた。

 だからか、2人は今までクラスの皆が自分たちと仲良くしてくれたお陰で、学校生活を楽しいものに出来た事に対する感謝の一言でも述べようかと思ったらしい。席から息ピッタリに立ち上がって壇上に向かうと、皆の方に向いて話を始めた。

 

「私とフランに優しく接してくれて、ありがとう。お陰で来た当初はどうなるか不安だったけれど、今ではもっと居たいと思える位に楽しい経験が出来た。またいつか、機会があったら会いたいわね」

「うん、私もお姉様と同じ! 皆のお陰で、スッゴく楽しかったよ! ありがとね! 初めて見たものに初めて聞いた事に初めてやった事……帰ったら館の皆にいっぱいお話をしてあげて、可能なら連れてきてあげたい位にね!」

 

 そんな感じで5分程今までの感謝などを述べた後、最後に2人で息を合わせてお嬢様的な挨拶をしたところで、再び教室内が少しだけざわついた。どうやら、クラスの皆の心にレミリアとフランの言葉が響いてくれたらしい。

 最も、レミリアのこの発言はのび太一行を念頭に置いた上でのクラスの皆に対するものであり、フランに至ってはのび太()()に焦点を当てた発言ではあるが。

 

「さてと……最後の記念に写真撮影をするから、教室の後ろに机をずらして皆は前に集まりなさい」

 

 2人の発言が終わって席に付き、担任の先生がいつも通りにプリントを配るなどをしてやる事を全て済ませると、最後に教室の後ろに机をずらして皆は前に集まれとの指示を全員に出した。担任の先生曰く、思い出に残すための記念撮影であるようだ。

 

 当然ではあるが、これに不満を示すようなクラスメートは居なかったため、記念撮影はそこそこ円滑に進んだ。一部の女子たちの間でレミリアとフランの近辺に誰が行くかと言う小さな争いはあったものの、これ自体はくじ引きであっさりと決まる。

 

「ねえ、先生。私とお姉様の個人的な撮影には応じてもらえるかな……?」

「ああ、勿論良いぞ。誰と写真を撮りたいんだ?」

「お兄様……のび太お兄様と取りたいの」

「野比か。分かった」

 

 クラスメート全員との記念撮影が終わり、机を元の位置に戻した後に各々自宅に帰る準備を始め、教室を出て行ってのび太たち一行だけとなったタイミングで、フランはレミリアと一緒に担任の先生のところへ向かうと、個人的な撮影には応じてもらえるのかとの質問を投げ掛けた。

 

 特に断る理由もなかったためか、担任の先生がこれを了承して誰と撮りたいのかと質問を返したところ、フランはのび太であると即答したため、頷いた後に帰る準備を済ませていたのび太を呼び、3人だけで記念撮影を行う事が決まる。

 

「えへへ、これでずーっとお兄様との思い出が残るね……あっ、そうだ! ジャイアンたちもこっち来てさ、一緒に写真撮ろうよ!」

「私からも、是非お願いしたいわ」

 

 のび太とレミリアとの写真を何回か撮った後、ご満悦だったフランは突然ジャイアンたちとの撮影を思いつき、帰ろうとしていた3人を大きな声で呼び止める。

 まさか、フランがジャイアンたちとまで写真撮影を要求するとは思わなかったレミリアは少しだけ驚くものの、すぐにそのお願いに秘めたとある意図(のび太を喜ばせる)を察したが故に、レミリアも同じようにして3人に対してお願いをし始めた。

 

 結果、ジャイアンたち3人とも写真撮影を個別に行う事になり、先程と同様に何回か先生が撮影を行った。ただし、のび太の両隣はレミリアとフランであるのは全ての写真で固定である。

 

「これで後は写真を現像するだけだから、結構かかるが待っててくれ」

 

 フランの要望通りに写真撮影を個別にし終えると、先生はデジタルカメラで撮った写真を近所のコンビニへと現像しに行くため、6人に待つように言った後すぐに教室を出て行った。

 

「1ヵ月間ありがとな、2人共。お陰で楽しめたぜ」

「うん。僕も、ジャイアンの言う通りだよ。のび太の奴も触発されたのか、駄目っぷりが随分と改善されてきてるしね」

「私も、レミリアちゃんとフランちゃんと遊べて楽しかったわ!」

「ふふっ……それは良かったわ」

「うん! 私もだよ!」

 

 先生が写真を現像しに行っている間、教室内の6人の間では今までの思い出を振り返るなどした会話が繰り広げられていた。その中でスネ夫が発した、()()()()()()()()()云々と言う話に若干フランがイラつきかけるも、当の本人がそれに対して傷ついた素振りを見せず、かつ悪い意味で言っている訳ではないと理解が出来たため、態度に出る事はなく済む。

 

「待たせて申し訳ない。ようやく出来上がったぞ」

 

 そんな感じで6人が会話を交わし続ける事30分、現像した写真を持ってきた担任の先生が教室に入ってくると、各々に数枚ずつ渡してきた。

 

 当然ではあるが、フランは先生から写真が渡されるや否や、早速自身とレミリアとのび太がしっかりと綺麗に写っている事を確認し始める。そして、自身の満足いくレベルで綺麗に写っている事を確認すると、これ以上ない位に幸せだと誰もが見ただけで分かる表情を見せ、聞き取れない独り言を呟き始める。

 ただ、レミリアには離れていても何を言っているのかが手に取るように分かっている様で、微笑しながらフランとのび太を交互に見ていた。

 

「お兄様! 私とお姉様に楽しい思い出を与えてくれて、本当にありがとね!」

「そうね。私からも改めて言うけど、本当に感謝しているわ。一緒に居て心がとっても安らぐ人物は、館の皆とフラン以外だとのび太だけよ」

「そうなの? ありがとう、レミリア。そう言ってもらえて、僕も凄い嬉しいよ」

 

 担任の先生から写真を受け取り、お礼を言ってから皆で教室を出て各々家に帰るために別れた後、レミリアとフランとのび太の3人は楽しげに会話を交わしていた。その際、珍しくレミリアとのび太の距離がいつにも増して近かったものの、フランは突っ込む事はしなかった。

 何故なら、のび太とズボンに入れた血付きのハンカチを見るレミリアの瞳を見て、全て察しているからである。

 

「ねえ、のび太。お願いがあるのだけど……良い?」

「……良いよ。でも、ここじゃ人の目があるから僕の部屋の中でね」

「っ……! 当然、そんな事は分かっているわ。大丈夫よ」

 

 帰るそして家が見えてくる位置まで来ると、レミリアはのび太に対してある事(吸血)をお願いしようと声をかけ、内容を説明しようとした。

 すると、お願い事の内容を説明する前にフランと同様、全て察していたらしいのび太は、自分の部屋の中である事を条件に許可を出し、レミリアを驚愕させる事となる。まあ、何も言っていないのに自分の思っていた事が全部筒抜けだったと分かれば、そうなるのも至極当然と言えるだろう。

 

「のび太。物理的な結界と防音結界の準備は済んだわ。後はその……貴方の準備はもう、大丈夫かしら?」

「うん、僕は大丈夫。後はレミリア次第かな」

「分かったわ。それじゃあ、失礼するわね……」

 

 家の中へ入り、色々やっていた事が原因での遅めの昼食や着替えなどを素早く済ませ、のび太の部屋の周囲に万が一に備えての準備を念入りに行った。その後、少しでも痛みを感じさせないために吸血箇所をある程度の時間をかけて舐めると、レミリアはゆっくりと首筋に噛みついて血を吸い始める。

 ちなみに、ドラえもんはフランの説明によってスペアポケットを置いて外出中であるため、今はこの場には居なかった。

 

「あぁっ……! のび太の血、直接飲むだけでこんなにも……!」

 

 フランと同様、のび太の命を奪う事のないように細心の注意を払うレミリアであったが、血を飲む度に感じる美味しさと快感に加え、もっと沢山欲しいと言う本能的な欲求に抗っているためか、何とも言えない表情をしている状態だった。

 

 そして、吸血時に吸いきれなかった血を溢してしまう癖を発揮してしまっているせいか、今回も例に漏れず思い切り溢し、部屋中に臭いが少しずつ充満し始める。のび太がこの光景を自覚出来ていたら卒倒間違いなしではあるが、本人は快楽でそれどころではないため、その心配はない。

 

「良いなぁ……お姉様、とっても美味しいお兄様の血を独り占めして、あんなに気持ち良さそうにしてる……」

 

 レミリアの吸血行為を間近で目にしているフランは、今すぐにでも一緒にのび太の血を飲んでみたいと言う欲求が沸き出てきてしまっていた。

 

 しかし、自分は既に3回も吸血している事と、それに対してレミリアは1回たりとも独占した事がなかったと言う事実が頭をよぎり、欲求に抑止力がかかったため、何とか踏ん張れた。

 何より、欲求の赴くままに自分も吸血に加わってしまえば、のび太の命そのものが危機に晒されてしまうだろうと言う思いがほぼ同時によぎった事で生じた、本能的欲求を押さえつける程に強力な抑止力によって、吸血に傾いていた天秤が理性の方に傾く。故に、部屋に漂う微かな血の臭いで我慢出来るレベルにまで欲求が抑えられた。

 

「レミリア……もうそろそろ、止めてくれたら……嬉しいんだけど」

「んぅ……はぁ……はぁ……」

 

 吸血行為が始まってからある程度の時間が経った後、色々な意味で限界が近づいてきたらしく、のび太がレミリアに吸血を止めるようにお願いをし始めた。

 あまりの血の美味しさと快楽などによって理性が殆んど吹き飛んでいたレミリアであったが、のび太のそんな懇願をなけなしの理性で聞き取ったためか、首筋から口を離して何とか止める事に成功した。

 

 が、回復魔法を使えるような状態ではなくなっていたため、代わりにフランが首筋の噛み傷を治すために回復魔法を使用して傷を短い時間で完治させる事となった。そして、その後はドラえもんの教え通りにスペアポケットを使用し、ひみつ道具や未来の生活用品を駆使して部屋中から吸血行為に関する痕跡を完全に消し去り、他人が入っても問題ない状態までに部屋を綺麗に戻す。当然、レミリアとのび太の服も『きせかえカメラ』で同じものを新調したため、そちらの意味でも万全である。

 

「ん……やっぱりお兄様の血、美味しい……!」

 

 時間が経って結局欲求を我慢出来なかったフランがのび太の首筋に噛みつき、1口分の血を飲んでしまうと言う出来事があったものの、何とか布団を敷き、吸血行為によって疲れきって眠ったレミリアとのび太をフランは寝かせ終えた。

 痕跡を消し終えた後は、一瞬だけ全力を解放してレミリアの張った物理的な侵入を阻む結界を上手く破壊してから『糸なし糸電話』でドラえもんに全て終わった事を伝え、本当にこれで全ての片付けが終わる事となった。

 

 その後、レミリアとのび太の2人はフランやドラえもんが何を試みようとも一瞬たりとも起きる事はなかった故に2人は起こすのを諦め、今日はそれで過ごそうと決意を固めた。

 

 こうして、学校生活最後の日は全員が良い気分のままに幕を閉じる事となった。

 

 




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