モンスターマスターは最強です。
僕の名前はテリー。ミレーユ姉さまとガンディーノの町に住んでいます。
ミレーユ姉さまは本当に女神のように優しくて、慈愛に溢れる性格で、僕の尊敬し、大好きな姉さまだった…
でもその姉さまもあの事件をきっかけに変わってしまった…
それはある日、突然現れた、薄汚れた毛の塊のような生物『わるぼう』に異世界のマルタの国という所に拐われてしまった時のことだ。
幸い、僕に同じく異世界のタイジュの国の精霊『わたぼう』が手を貸してくれて、助けることはできたんだけど…
ミレーユ姉さんは帰って来てから、性格が変わってしまっていた。
僕の前や、養父、養母、そしてみんなの前では、変わりはなかった。
でも、僕はある夜見てはならない、いや見たくなかったミレーユ姉さまの姿を見てしまった…
僕がトイレに行きたくて、目が覚めた夜中、姉さまの部屋の扉が微かに開き、光が漏れていた。
まだ起きているのかなと僕は軽い気持ちで覗いて見てしまった…パンドラボックスの中身を!
部屋の中には、ミレーユ姉さまと、その前で、ボロボロになった薄汚れた毛の塊、『わるぼう』がブルブルと震えながら、土下座をしていた。
姉さまは侮蔑を含んだ視線をわるぼうに浴びせかけ、冷淡な声で罵声を浴びせていた。
「どうゆうことなのわるぼう…」
「ご、ごめんよミレーユ」
「謝罪なんていらないわ。謝罪でこのことが解決するならば、焼き土下座だってしてもらうけど…やはりカメハ、カレハ、カメハメハ王子と遊んでいておろそかになっていたんじゃないの?」
「カメハは関係ない」
わるぼうが友達のカメハ王子を庇うために声をあらげた時だった。
姉さまの手が、わるぼうの顔面を掴み、宙吊りにした。
「あなたに反論は許されないのよ。立場が分かっていないのかしら…おバカさんね」
姉さまは吐き捨てるように言うや否や、わるぼうを壁に叩きつけた。
「ガハッ…ごめんなさい…」
「いきなさい。次はないわよ」
姉さまは振り向くことなくそう吐き捨てると、そのままベッドに入り、寝てしまった。
その衝撃的な姉さまの姿は、僕のまぶたから消えることはなく、その夜は一睡もできなかった。
次の日姉さまは、いつも通りの優しい笑顔で「おはようテリー」と言ってくれたが、答えることができなかった…あの姿が脳裏に浮かんでしまって…
姉さまは疑問に思ったように首を傾げていた。
それから月日が経ち、段々あの夜の光景が夢ではなかったのだろうかと思い始めた時だった。
僕たち姉弟に更なる試練が襲いかかった。
美しく成長した姉さまをガンディーノのマフィア『ギンドロ組』が目をつけたのだ。
ある日突然、家にやって来たギンドロ組は養父と養母を脅し、無理やりくんせいにくすら買えないようなはした金を渡すと、姉さまを無理やり連れていってしまった。
僕がそれをやめさせようと、飛びかかろうとした時だった。
姉さまが、いつもと違った妖艶な笑顔を浮かべてこう言ったのだ。
「テリー、いい子だから、少し待っていてね。すぐに迎えを送るから」
その言葉を残し、姉さまは去っていった。
ギンドロ組は、権力を更なるものにするために、ガンディーノの色ボケ国王に姉さまを献上したのだ。
その噂が町中に流れ、周りの人が、涙を流しながら、「耐えるんだよ」と慰めてくれたが、僕は、我慢ができずに、ひのきの棒をしっかり装備して、城に向かった。
しかし、いつもは厳重なガンディーノの城は、全く警備兵もおらず、すんなり城門から中に入ることができた。
入ってすぐに目についたのは、頑丈な鋼鉄の扉がひしゃげて、転がっている光景だった。
恐る恐る、扉が取れた所から中を覗くと、この世のものとは思えない光景が…
血の海が広がり、その血だまりに、切り裂かれた兵士や、砕かれた兵士の残骸がそこらじゅうに転がっていた。
僕は腰が抜けて、その場にへたりこんで、えづいていた時だった。
後ろからいきなり「ナニモノダ」と声を掛けられ、魂が抜けるほど驚きながらも、返事ができず、振り向くと、巨大な鳥型モンスターそう、ひくい鳥×ひくい鳥×ホークブリザード×ホークブリザードの四体配合でできる、にじくじゃくがそこに立っていた。
「オマエハタシカ主ノオトウトノテリーダッタナ。ムカエニイクテマガハブケタ」
そう言うと、僕の襟首を嘴で掴むと、ズンズンと城の中に入っていく。
城の中はどこも血の海が広がり、兵士の骸が転がっていた。
目を背けたくなる光景に耐えられなくなり、意識がとびそうになった時、にじくじゃくは僕を放す。
僕が解放された先には、屈強な機械兵『キラーマジンガ』と最強の盾『メタルキング』そして、ドラゴン種の『コアトル』が頭をたれて、控えている。
そして頭をたれるその先に、王座に腰掛けるミレーユ姉さんがいた。