異世界転生したら、三国志だから、アレッと思って、美少女だっけ、性転換しちゃって、もうゴールインさ 作:にゃあたいぷ。
冒頭.
前述する、私は転生者だ。
よくある異世界モノの物語で見かけるような状況下に今、私は置かれている。
前世、と呼んでも良いのか分からないが、前の世界では私は男だった。聖フランチェスカ学園に通う極一般的な男子生徒であり、ひょんなことから異世界に飛ばされる。原因と思われるような事に思い当たりはない。本当に、気付けば、異世界に放り込まれていた。見渡す限りの荒地に呆然としているしかなかった私を拾ってくれたのは馬騰という大人の女性であった。歴史モノのドラマで見るような馬具に身に纏って、馬に跨る彼女との出逢いで私は此処が自分が知る世界とは違うことを知る。そして彼女の馬の後ろに乗せて貰いながら色々と話を聞いている内に、この世界が三国志に近い世界観であることを理解する。近い、と表現したのは、先ず、この世界の住民には日本語が通用するのが一つ。そして、この世界は女性優位の社会であり、三国志の史書に名を馳せた名将達が女体化してしまっている為だ。
私を拾った馬騰も例に漏れず、彼女の娘と姪の四人娘もまた同じであった。
馬超、馬休、馬鉄。この三人の内から一人、私は拾い主の馬騰から婚姻することを義務付けられている。いや、そのことは構わないのだ。現代人の感覚で云えば、その内の全員が美少女と呼べる容姿を持っており、胸も大きくて素晴らしい体格をしている。そして、どういう訳か三人が三人共に私のことを好いてくれていることもあり、元の世界に戻る事を考えなければ、これ程に素晴らしい話もない。誰か一人なんて選べない、もし許されるのであれば三人共に結婚しても構わないとすら思っていた。
問題があるとすれば、ただ一点、私の性別もまた男性から女性へと変化してしまっている事にある。
先述する、この世界は中華文化の皮を被ったファンタジーだ。
私に寝床は用意されなかった。
代わりに馬騰から渡されたのは大きな枕、両面に是と否が書かれている。余りにもあんまりな代物であるが、馬騰の話では早急な関係向上を見込んでのことだそうな。それからといえば、私は大きな枕を両手に抱き締めながら夜な夜な誰かの部屋にお邪魔するようにしている。最初こそドギマギすることもあったが、人間とは慣れる生き物であるようで、今となっては特に気にしたりとかしていない。湯浴みの度に誰かしらが付いてくるし、背中とか洗って貰ったりしているし、それに自分が女性になったせいか、以前ように女性の裸というだけで興奮するような事はなくなった。だからといって、男性に興奮する訳でもないけど。とにかく、私のことを好いてくれる三人の内、誰か一人を選ぶ決断を出せない私は毎夜、順番に三人の部屋を巡っている。偶に二人に挟まれることもある、気分的にはパジャマパーティー。眠たくなるまで、しょうもない話で盛り上がり、瞼が重くなれば夢の中、気付いた時には朝になっている。
目の前にある顔に、おはよう、と告げてから体を起こして朝餉の準備を始める。
馬家における炊事と洗濯、それに掃除といった家事全般は私の担当だ。この時代はまだ調味料の種類は少ないと記憶していたが、味噌や醤油の製法は既に確立されている。なんでも光武帝の偉業の一つらしい。ちなみに光武帝には、租税を収穫の一割になっていたところを半分以下に減らした逸話が残っているが、それは農業改革を起こすことで生産率を三倍に上げた事が元になっているようだ。中でも代表的なのは効率的な稲作の普及である。流石は中国史きってのリアルチート、まるで転生者のようだ。塩と砂糖の生産効率化を図っている割に、胡椒を後回しにする辺りがなんとも米キチ転生者っぽい。あまり言及し過ぎると首筋が涼しい事になりそうだ。ともあれ、この時代にしては豊富な調味料を活用できることもあり、私の手料理はかねがね好評であった。馬騰と三姉妹が戦働きに精を出す中、私は家を守っていることが多い。男としては情けないかも知れないが、これが適材適所だ。というよりも馬超を筆頭に、馬家の武芸には足元にも及ばない。下手について行けば足手まといになる。それが分かっているから私は私の出来る範囲で拾ってくれた馬家に恩を返していきたいと思った。
私は馬家の皆を好いている、それこそ本当の家族のように想っている。
私の名は
さて、ここまでの話で違和感に気付いた者も多いかと思われる。
当たり前の事実だが、同性では子供はできない。そうであるにも関わらず、彼女達の親である馬騰は結婚しろと言ったのだ。子を残す為に。繰り返す、この世界は中華文化の皮を被ったファンタジーだ。この世界には男性器を生やす薬も流通されている。そして後漢末期の不安定な情勢、馬三姉妹は全員が戦上手で涼州軍の要であった。それ故に子を孕むことで席を空けることは許されない。では、どうするのか。後継ぎは別の誰かに孕ませれば良い、という簡単な話だ。実際、馬騰も他の女を孕ませることで三人もの子宝に恵まれている。そして、大事なのは三姉妹は三人共にそういった事情を理解しており、私の事をそういう対象として見ているという事だ。
これは、つい先日の話になる。
首筋に擽ったさを感じて、ふと真夜中に目覚めてしまった。生温かい吐息に身動ぎすると背後から悲鳴が上がったのだ。まだ眠たい事もあって、そのまま振り返らずに寝付こうとすると背後から荒い吐息が聞こえ始めた。そして微かに粘着質な水音が聞こえる。くぐもった嬌声、水音は止まらず、背中越しに感じる身動ぎに気付かないふりをしながら事が終わるのを待ち続ける。それは深夜遅くまで続いた。
そういった事が起きてから私の寝付きが悪い。
私は女体は好きだ、美少女も好きだ。馬姉妹の容姿は勿論、内面も好ましく思っている。誰か一人とは言わずに全員を結婚したいと思える程度には好きだ。しかし、それは私が男としての話である。この世界は中華文化の皮を被ったファンタジーだ、この世界には男性器を生やす薬も流通されている。挿れるのは相手であり、受け入れるのは私だった。性的な目で見られることは少し恐ろしい、男性器を挿入される事は想像するだけで悍ましい。かといって拒絶する事もできない。それこそが私が馬家に拾われた理由であり、求められている事である為だ。
覚悟は定まらず、真夜中、背中越しに感じる情欲に怯える日々を過ごしている。