異世界転生したら、三国志だから、アレッと思って、美少女だっけ、性転換しちゃって、もうゴールインさ 作:にゃあたいぷ。
短い話です。
夜空を見上げれば星がある、星を詠めば未来を識る。
この大陸には無数の人間が暮らしていて、その数だけ夜空には星が浮かんでいた。私には星を詠むことができる、誰がどの星の下に生まれてきたのか正確に読み取ることができた。しかし、それは数多の可能性の一つに過ぎない。訪れるべき未来というものは、確定された未来ともまた違っている。宇宙は無限の可能性に満ちている、此処ではない何処か。あり得たかも知れない未来が幾重にも折り重なっていた。星詠みの力とは、つまり、そういうことだ。この大陸に登場する全ての人物には役割があり、決められた役割を持っている。しかし必ずしも星の定めた運命に従う訳ではない。星とは道標に過ぎない。この世界の登場人物は皆は皆、今を生きるのに必死で、掴み取るべき何かの為に、守り抜くべき何かの為に戦っている。未来とは一つではない、可能性とは常に折り重なっている。世界とは一つだけとは限らない。
星を眺めて、可能性を見る私はきっと観測者とでも呼ぶべき存在だった。
此処は涼州隴西郡。従姉、
奴婢の集落では毎日、個人にとっては三日に一度か二度の間隔で兵としての訓練を積んでいる。指導するは涼州においては侠者として名が知られる二人、李傕と郭汜。星見をしてみると彼女達と私は少なからず縁があった。私にとっての凶星でもあるようだけど、まあ、そこまで強い訳でもない。未来は変えられる、というよりも未来は運命によって定められている訳ではない。未来とは人間の意思によって決定付けられる。そう思えばこそ、二人を受け入れることに抵抗はなかった。
そもそもの話、吉兆とか、凶兆とか、暇潰しに詠んでるだけで占い以上の意味はないと思っている。それもそのはずで御姉様を照らす星は禍々しくも眩い光を放っており、誰もに忌み嫌われる魔王としての運命が示されている為だ。あの虫も殺せないような御姉様が? 魔王だって? ありえない。天地がひっくり返っても御姉様が畏怖の対象になるなんて想像できない。もし仮に、そんな未来があるとすれば、それは自分の為ではなく、誰かの為に自ら泥を被るといった可能性がある程度だ。
空を見上げて星を詠む、それだけだ。この世界をどうにかしたいとは思わない。でも、一生懸命に頑張る誰かを見続けたい、見守りたい。そんな欲はあったりする。
「張掖郡が韓遂率いる賊徒に落とされました。それに合わせて西からは氏族が、南からは黄巾党が涼州に攻め込んでいます」
屋敷のすぐ近くに置いた机で書籍を読み耽っていると奴婢の一人から報告を受ける。
以前、韓遂が忠告をしてきたのは、つまりこういうことだったようだ。御姉様の荘園は他民族に落とされるのは勿論、賊徒に荒らされることも許されない。何故なら韓遂が目指しているのは強い涼州、つまり涼州の要となった御姉様の荘園を失うことはできなかった。
連絡役の奴婢には、そのまま李傕と郭汜への言伝を言い渡す。
「念の為に防衛を固めるように言ってといて」
戦力として涼州軍の味方をするつもりもなければ、韓遂に肩入れをするつもりもない。
御姉様の荘園を守る為に尽くす。
それは役割とか運命に依存しない私の意思で決めたことだ。
次回から馬姉妹がメインで出てきます。