異世界転生したら、三国志だから、アレッと思って、美少女だっけ、性転換しちゃって、もうゴールインさ 作:にゃあたいぷ。
黄巾賊が世間を騒がし始めた頃、
私、
少し前までなら涼州から出て行けると喜び勇んで馬に乗っていた娘達は、何故か今回に限って出向こうとしなかった。それもそのはずで全員が互いに互いを牽制するように視線を送り合っているのである。いや、うん、良いことなんだけどね。私が仕向けたことなんだけどね。ちょっとのめり込み過ぎじゃないかな、と御母さん思う訳です。やっぱり私には子育ては難しかったようだ。現実から逃避すること数分、とりあえず娘達の派遣は保留にして、姪の
結果として諸侯には手紙を送るだけに留めることになった。相手は劉虞と公孫賛、陶謙。他には劉表や孫堅等々。董卓とは常日頃から連絡を取り合っているので今、特別に手紙を書く必要はない。どうでも良い話になるのだけども劉虞って、幽州刺史になる予定だったのに公孫賛に譲ってたりする。んで今は御隠居様を気取って、面倒な事は全て公孫賛に丸投げして悠々自適な生活を送っているようだ。偶に気が向いたように手紙を送ってきては、その暇を持て余した生活を自慢してくる。私だって、そうだったんだよ。月がいる間は御隠居様を気取っていたんだよ。でも月が并州に行っちゃったから、詠が月に付いて行っちゃったから、残された私が出張らざる得なくなった。「伯珪ちゃんは良い子だよー、何処にも行かないしねー」と手紙が送られるくる度に書かれている。殴りたい。返事を書かなくても手紙を送ってくる。蹴飛ばしたい。
閑話休題。
政治に巻き込まれないように馬家だけを取り締まってきたが、流石にそれも限界が近付いてきたかなと思う今日この頃だ。現涼州刺史の耿鄙は良くも悪くも働かない無能であり、軍事に関しては馬家がほぼ一任されている。また政治に関しても誰彼に任せてしまっているのが現状で、任された文官も無能ではないが有能とも呼べないような人物だ。漢民族思想に浸かり切っている奴なので異民族とは頗る相性が悪い。今はまだ月の影響が残っているので全ての羌族が攻め込んでくることはない。だが、その影響も何時まで保つのか分からなかった。正直、政治に関わりたくない。しかし、もう少し涼州軍が快適に戦える下地作りをしといた方が良さそうか。その場合、問題になるのは馬家で動けるのが私だけであり、ただでさえ面倒でやりたくもない書類仕事が増えるという点だ。
何処かに政治を代行してくれる人が居ないのかな、と溜息混じりに愚痴を零せば、偶然、新しい御茶を淹れていた葵がふと口を開いた。
「涼州の軍師と云えば賈詡先生ですよね?」
「賈駆は并州に行っちゃったけどな。って、賈駆の話をお前にしたことあったか?」
「後世だと賈詡先生って凄く有名ですし、この時代だと最強軍師の一角に数えられる程ですよ」
ああでも、なんか歴史が滅茶苦茶になってるみたいですから参考程度ですけどね。と葵は付け加える。そういえば葵は此処と似ているが、全く別の異世界から来た。とか言っていたような気がする。もしかすると今はまだ名を知られていない者達も知っていたりするのかもしれない。ものは試しと問いかければ、今から十年先の話になりますが、と葵は自分が知っている事を話し始めた。
「天水郡、今はまだ漢陽郡でしたっけ? まあそこに姜維っていう軍師が居ますね、涼州だと三番目くらいに有名な人です。この世界だと、なんだか時間が圧縮されている感じがするので、もしかするともう産まれているかも知れません」
話半分、とりあえず天水郡の近くに行く機会があった時に探してみることにする。
「ちなみに一番は?」と興味本位で訊いてみると「董卓です」と間を置かずに返された。
さて、それなりの月日が過ぎて、天水郡に訪れる機会があった。その際に私は姜維という名の人物を探したのだが、確かにその人物は存在した。しかしもう母と共に益州へと向かった後だった。また他にも金城郡の閻行も葵から話を聞いていたが、これもまた韓遂に取られており手遅れになっていた。だが、これで葵の話には信憑性が出てきた。屋敷に戻った私は早速、まだ世に出ていない者達の中で優秀な者を聞き出そうと葵に話しかけた。
「えー、もう居ませんよ?」
目の前が真っ暗になった。
†
最初は口だった。次に首筋で胸、そして今はお腹だ。
その次は言わずもがな。唾液を練り込むように開発される体は否応なしに自分が女であることを突き付けられる。今の自分は歴とした女だ。それは理解していても心の方が追いつかなかった。甲高い嬌声が上がる度に体が作り変えられていくのがわかる。それが恐ろしくもあり、一線を越える度に大した事がなかったように受け入れられて、体だけではなく心もまた自分以外の何者かになるようで怖かった。だから私は今日も蒲公英の部屋に足を運ぶ。
蒲公英は私を襲わない、ただ私のことを受け入れてくれるだけだ。お風呂に入っている時も変な場所を触ったりして来ないし、顔を真っ赤にして食い入るように見てくることもない。だから蒲公英の側は安心することができた。それに翠や鶸、蒼は捕食されるってことに意識が向いちゃうけども、落ち着いていられる分だけ、女の子と一緒に寝ていることが意識させられる。それは俎板の上の鯉とは、また違ったドキドキで、近頃は布団に入るなり寝たふりをしてやり過ごす。
ぶっちゃけると蒲公英に手を出したい気持ちはあった。しかし他から避難して来ているのに自分から蒲公英を誘うのは間違っているし、なにより蒲公英の信頼を裏切りたくない。だから背中越しに蒲公英が寝息を立てる事を聞いてから自慰に耽る。開発されつつある体は欲情しやすい。必死に声を殺しながら軽く達し、落ち着いたところで眠りに就く。それが蒲公英の部屋で眠る時のルーチンだった。荒い息を零しながら蒲公英の顔を見やり、欲望のまま、安らかな寝息を立てる蒲公英の頰にキスをする。
ただ唇を落とすだけの質素なものだ。満足感と罪悪感に微笑み、ゆったりと体を寝かせる。
†
寝台を共にする友人が、私の名前を呼びながら自慰に耽って時って、どういう顔をすれば良いのだろうか?
しかも最後に頰にキスまでしてくるし、その気がなくてもその気になる。あーもう、ムラムラしてきた。ゴソリと体を動かして、じぃっと葵を観察する。寝ているだろうか? 暫くすると寝息が聞こえてきたので寝ているようだ。体を起こして、そうっと私に背を向ける葵の横顔を見つめる。相変わらずの幼い顔付きだ。こんな子がつい先程まで忍ぶように自分を慰めていたなんて信じられない。……起きているのだろうか? ツンツンと頰を突いてみる。少し眉を顰めた程度で特に反応はない。……いや、と首を横に振る。大きく深呼吸をして、彼女から背を向けた。彼女の前で、そういう真似はしたくない。、布団を深く被って、ギュッと目を閉じた。
明日、また改めてすれば良い。と、そう自分に言い聞かせて、無理やりにでも眠る。
†
翌日、私は散歩がてらに街中を歩いていた。
護衛には蒲公英が付いている。涼州軍を取り仕切っているのは翡であり、小分けした部隊を率いるのは義姉妹達だ。蒲公英は助っ人として参戦することはあるが、他の四人と比べると仕事が少なかった。だから、こういう時に私と一緒にいるのは蒲公英であることが多い。今日は何時もと比べると、ちょっと素っ気なかった。朝から口数が少ないし、だんまりな横顔は少し艶っぽい。チラリと視線が合う度にトクンと胸が高鳴ってギクシャクする。なんというか気不味い、やっぱり怒っているような気がする。
なんとなしに不機嫌な蒲公英に意識を向けているとドンと肩をぶつけてしまった。
あうっと身が撥ね飛ばされる。地面に倒れてしまいそうな体を、何時しかと同じように片手で受け止められる。前を向くとゴツい体付きの男が居て、「おうおう姉ちゃん!」と因縁を付けて来た――が、それは数秒と保たず、顔色を青褪めさせる。背筋がゾワゾワと来る感覚、私の体を片手で抱き寄せる蒲公英が、何時もの陽気さをかなぐり捨てたかのように男のことを殺意を込めて睨みつけていた。
「で、どうする?」とドスを効かせた声に男はそそくさと離れていった。
「あ、ありがとう……」
「……もうちょっと、しっかりしてくれない?」
トンッと体を突き放される。そして勝手に先を進んでいった。また胸に残る高鳴りの意味を考える間もなく、慌てて蒲公英の背中を追いかける。相変わらず、機嫌が悪そうだ。どうしたら機嫌を直してくれるだろうか。あーでもない、こーでもない。と必死に考えを巡らせていると、ふと振り返った蒲公英の口元が笑っているように見えた。もしかして、機嫌を直してくれたのだろうか。試しに蒲公英の名前を呼んでみると「何?」と冷たい声で返される。やっぱり気のせいか。と思って彼女の機嫌を直す方法を改めて考え直す。
†
最初はちょっとした八つ当たりだったけど、葵を振り回すのは楽しい。
†
私、
とはいっても遠出する訳でもない。実際、葵が新たに教えてくれた三人の内二人は近場に住居を構えており、共に優秀と呼べる能力を持つ人材であった。名は傅幹と張繍と云う。特に傅幹は知略に優れており、政務に関しては大いに期待できる。張繍もまた文武両道を行く名将であり、二人の加入は馬家、強いては涼州軍の力を底上げしてくれるものであった。
であればこそ三人目にも期待が寄せられるというものだ。
隠居生活に大きく前進する新たな人材の登場に鼻歌交じりで馬を走らせていると目的の村に辿り着いた。此処には西涼の錦と呼び讃えられる翠と同格の猛者が居るとのことだ。正直、あまり信じられる話ではない。翠の武力に太刀打ちできる者が、この大陸に居るとは思っていなかった。少なくとも私が今まで見てきた官軍の中で翠を打ち負かすことができる存在は居ない。その武勇は楚漢戦争における黥布に匹敵する。そう感じさせる程に翠の武力は圧倒的であった。もし仮に翠と肩を並べる程の武勇の持ち主が居るとするならば、翠が錦と称されるように一目見てわかる存在感の持ち主なのだろう。少なくとも私は、そのように考えていた。
翠の武芸には華がある。
「……私に、何の用です?」
しかし今、私の目の前に居る幼子は、とてもじゃないが翠と同格には思えない。戦場を知らないようなあどけない顔に、儚く消えてしまいそうな薄水色の髪。そして赤茶色の瞳。少女はポケッとした顔で私のことを見上げてくる。こんな少女が? いや、しかし、と傅幹と張繍の事を思って考えを改める。実際に彼女は存在したのだ。となれば、彼女の才覚は見極める必要がある。そうと決まれば、と私は幼子に手を差し伸べた。
「龐徳、私と一緒に来てくれないか?」
幼子は独り身だった。
口減らしで村から追放されており、今日までたった一人で生きてきた。
その為、少女には身寄りがない。
「御飯が食べられるなら良いよ」
龐徳は小さく頷いてみせる。
さて、連れて帰るのは良いが、今、屋敷に連れて帰ると面倒な事になりそうだ。
というよりも今以上の混沌を招きたくない。なれば何処か適当な屋敷に匿うのが良い、そう思い至った私は城都に幾つかある屋敷の内一つを彼女に貸し与える。翠と肩を並べる程の武人、如何程のものになるか。まあ過度な期待はせずに見守れれば良いと思う、いざとなれば副官として書類整理をさせれば良いだけだ。
そんな軽い気持ちだった。
†
連れてかれた。
養ってやると言われた。
ここを拠点地とする。