前世の記憶が戻ったネブラ・シルヴァ   作:びーびーびー

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私はネブラ・シルヴァ

 ああ、なんてこった。こんなことなら、ブラック・クローバーを読んでおくんだった。どうしてかって?もうわかるだろ?そう転生だ。ブラッククローバーの世界に転生してしまったらしい。こんなことってある!?私は前世オタクだった。アニメ、漫画オタクだ。だからこそ悔やまれる。毎週ジャンプを買っているのにブラッククローバーだけ読むのを飛ばしていたのだから。そう、私が今まで生きてきたこの世界はブラッククローバーという話の世界なのだ。そんなことってある!?私の知っている世界に転生してくれよ。ちなみに私の原作知識は主人公と魔導書を使ってなんかするくらいのことしか知らない。確かに興味はあった。いつか漫画もアニメも見ようとしていた。しかし、何故かジャンプは読み飛ばしていた。何故だ?わからんそんなこと。ただの気分だ。

 

 「ネブラ、その魔導書を見せてみろ。」

 

 ぐちゃぐちゃ同じようなことを考えているとノゼル兄様が話しかけてきた。私の魔導書がどうしたんだ?そういえば今日は魔導書の授与式だった。この世界では魔導書と書いてグリモワールという魔導書をつかって魔法を使うことができる。正確にはなくても自分にあった属性であれば単純な魔法は使える。魔導書はそれの幅や魔力を高めてくれるものだ。

 

 そんなことはどうでもいい。そう今私は魔導書を授かったのだ。年に一度その年の齢15歳になる者たちを全国各地に集めて魔導書を授かるのだ。魔導書の塔にはたくさんの魔導書があり、魔導書が授与者に向かって飛んでくる。自分にあった魔導書が自分の元へ飛んでくるのだ。ある意味魔導書が使用者を選んでいるといってもいいのかもしれない。

 

 私は確かに魔導書をもらい受けた。それはいい。その後が問題だった。魔導書をもらった瞬間頭が痛くなり、前世の記憶が呼び出されてしまったのだ。王家の私が頭を抱えて呻きだすもんだから周りは騒然としていた。前世の記憶が戻ったら痛みが引いてきたので付き添いに来ていたノゼル兄様に大丈夫だと伝えた。そして、今に至る。そういえば、ノゼル兄様のこと無視しているな。話さないと。

 

 「はい、どうぞ。」

 

 ノゼル兄様に魔導書を渡した。まじまじと私の魔導書をノゼル兄様が見ている。どうしたのだろう?私の属性は霧だからただの霧魔法だと思うのだが…

 

 私が不思議そうにノゼル兄様を見ているとノゼル兄様もこちらを向いて目が合った。凄い剣幕だ。とても怒っている時の顔だ。母が死んでしまった時くらいの怖さだ。あの時のノゼル兄様は怖かった。誰かを憎んでいるようなそんな目をしていた。

 

 何でだろう。どうしてそんな顔をするのだろう。わからない。その目は私にも向けられている。私何か嫌なことしたかな?わからん。とりあえず話してみるか。

 

 「どうしたのですか?」

 

 「帰るぞ。」

 

 「え?」

 

 「早くしろ!!」

 

 「は、はい!」

 

 何があったんだろう?わかんねえ。原作知識があればわかったのかもしれないけど私はわからんぞ。どうしてノゼル兄様が怒っているのか。あれか?ノエルみたいに私をいじめるつもりか?もしかして標的が私に変わったのか?私の魔導書があまりにも貧弱すぎて弱すぎたから、シルヴァ家の恥だとか思われたのだろうか。

 

 結局、家に帰るまでノゼル兄様と会話することがなかった。なんてこったい。しかも私の魔導書返されてもらってないんだが。今まで楽しみにしていたから返してほしいんだが。先程の件でいっきに精神年齢が上がった気がするがそれでも今まで自分の魔導書に憧れを抱いていたのだ。返してくれないかな。

 

 家に帰るとノゼル兄様は自分の部屋へこもってしまった。ちくしょう。魔導書返してほしいのに。でも、怒っている時のノゼル兄様怖いんだよな。まあ、後でいいか。私が自分の部屋に戻ろうとしていた時銀髪の小さい少女がこちらに向かってきた。

 

 「ネブラ姉さま、お帰りなさい。」

 

 ノエルだ。今ならわかる。この子はかわいそうだ。前世を思いだした私だからわかるかわいそうな子だ。なぜなら私はこの世界の価値観にのまれていたからだ。前世の価値観が今あるからこそわかる。この世界の社会はゆがんでいる。王族や貴族とその他の人たちの差別が酷い。そして、身内にも酷い。少しでもできないと役立たずだ。王族や貴族は努力をすることは才能がない奴がすることとしていて、魔力のコントロールができないノエルを出来損ないだとののしっている。しかもいろんな人たちから。本当だったら優しいお母さまがどうにかしてくれていたはずなんだけどノエルが生まれた後死んだからな守ってくれる人がいないんだよね。

 

 今も考えるとノゼル兄様は大好きな母が死んだのはノエルのせいだとでも思っているのだろうか。だからノエルのことを邪魔者扱いしているのだろうか。まあ、私はそうなのだが。あんなに凄かった母が死ぬなんて。それで生まれてきたのが出来損ないだ。そりゃもう怒り心頭よ。

 

 けど、そんなこと間違っている。前世の記憶が戻りそう感じた。ここの価値観がおかしいのだ。ノエルに罪はないのだ。しかも、こんな可愛いい妹なのだ。よし、謝ろう今までの事。そしてこれからは仲よくしよう。

 

 「ただいま。ノエル。」

 

 私は優しくノエルに微笑んだ。ノエルは目が点になって口をパクパクさせている。可愛いかよ。確かにノエルにこんな顔みせたことなかったな。本当にダメな姉だ。しかし、ここまでの反応をされると面白いな頭でも撫でてやるか。

 

 「え?ちょ、ちゅ、え?…」

 

 頭を叩かれると思ったのだろう。咄嗟に頭に手をのせて身を守るようにしていたので、手をどかし頭を撫ででやった。最初は抵抗していたけど頭を撫でると、ポカーンとしている。面白い反応で笑ってしまう。ノエルの顔はどんどん赤くなってきて今にも泣きそうな顔をしている。優しくされてうれしくなったのかな?

 

 「どうしたノエル?頭を撫でられると泣いてしまうのか?」

 

 「う~、な、何で今日は優しいんですか?」

 

 「ふふふ、いつもは優しくないと?」

 

 「そ、そんなことないです。ごめんなさいネブラ姉様。」

 

 「冗談だよ。今まで悪かった。ノエルにきつい態度をとってしまったな。これからは私の妹として大切にすると誓おう。だから、今までのこと許してくれないか?」

 

 ノエルは、姉の言っていることが本当のことか分からなかった。自分は夢を見ているのではないかとさえおもった。頭を撫でられた時最初何かされるのではないかと恐怖でいっぱいだった。だが、姉様の笑い声が聞こえると初めて見るネブラ姉様の笑顔がうつった。その顔がとても優しくきれいで見惚れてしまっていたのだ。今日の姉様は何かおかしい。魔導書の授与式から変だ。こんなに優しいはずがない。けど、本当に私を妹として見てくれるならとてもうれしい。あの姉様に優しくしてもらえるなら、嘘でもいい優しくしてほしい。

 

 「許すも何も、恨んでいませんよ姉様。でもこれからは優しくしてほしいです。」

 

 「もちろんだ。ノエル。」

 

 よっしゃー!なんとかなったぜ。こういうのは早く言っといたほうがいいんだよな。子どものときは許してくれても大人になると頑固だしなかなか許してくれないからな。ノエルと年が9歳離れててよかった。

 

 「やったーー!!」

 

 「じゃあ、私は自分の部屋に戻るよ。」

 

 もう一回ノエルの頭を撫でてあげて私は自分の部屋に戻った。いやー喜んでいた時のノエル本当にかわいかったな。確かあいつ魔力のコントロールが苦手だったっけ?いつも特訓してるもんな。6歳児がすることじゃないよ。今度ノエルが魔力コントロールの練習している時私も一緒に練習してあげよ。

 

 私は上着を脱いでベットにドサッと寝ころんだ。

 

 しかし、これからどうするかな。とりあえず現状の把握といこうか。私は転生的な奴でいいのか?オリ主ってやつか?あれだよな主人公が原作知識を使ってその世界を楽しむみたいなやつだよな。ちょい待て私は知らんぞ。どうなってやがる。どうせならBLEACHの世界がよかった。卍解したいもん。本当に何でブラッククローバーの世界なんだ。まあこの話はいいループする。仕方がない。来てしまったのだから。

 

 でも、運がいい方でもある。なんたって王族に生まれたのだから。このおかげで英才教育によってこの世界のことは原作の知識がなくてもわかる。おまけに王族特有の強大な魔力がこの身に宿っている。問題なのは私がどういう立場であるか。原作の世界に転生したのか、原作キャラが運よく前世を思いだしたのか。原作を知っていればわかることなんだが残念ながら知らないんだよな。もっと恐ろしいのはこの世界の時間が原作前や後の時代だった場合。前後10年くらいだったらまだいい。唯一知っている主人公に会えるから。それにアニメ化されたくらいだ、さぞかし面白い話があるのだろう。原作を体験してみたい。話を知らない分楽しめるはずだ。ただこれが前後100年以上の話だった場合私は主人公に会うこともなくこの世界を生きることになる。まあ、別にいいんだけど。この世界にもう15年も生きているわけだし。でも、できることなら主人公と一緒に原作を体験したい。物語なのだからきっと楽しいはずだ。そうに違いない!!頼む原作の時間軸でありますように。

 

 まあ、このことは考えても仕方がない。まだ、魔導書しか見てないのだ。よくよく考えるとそれだけでブラッククローバーの世界と決めるのはまだ早いような気がする。しかし、設定が似てるような気が…まあいい。主人公のアスタがいればいいのだ。ともかくいるのならば会いたい。

 

 ふと気付く。あれ?そういえば私の魔導書ノゼル兄様に持っていかれたまんまだな。返してもらおうかな。そろそろ、ノゼル兄様も怒ってないだろう。私も早く見たいのだ自分の魔法がどんな魔法が使えるのか。返してもらおう。というか何で勝手に持っていくんだ。ノゼル兄様は本当にダメな兄だ。返してもらいに行こう。

 

 ノゼル兄様の部屋についた。しかし、前世の記憶が戻って初めて思うこの家広すぎ。流石王族。いやー王族って本当に凄いわ。

 

 ノゼル兄様のドアをノックして返事が聞こえたので私は部屋の中に入った。

 

 「ノゼル兄様、私の魔導書を返してほしいのですけど…」

 

 「ネブラ、お前の魔導書をよく見てみろ。」

 

 「はあ…」

 

 何だか、ノゼル兄様はまだご立腹中らしい。顔を見ればわかる。仕方がなくノゼル兄様から渡された自分の魔導書をよく見た。

 

 そうよく見た。そんなはずはないと。またよく見た。冷や汗が止まらない。よし、大丈夫。ちゃんと声に出して数えてみるんだ。

 

 「いーち、にーい、さーん、しーい。おおーよつばだー。めずらしいー。」

 

 「ほう、お前には四葉に見えるのか。」

 

 「…」

 

 「本当に四葉に見えるのか?」

 

 「5つ葉です…」

 

 ノゼル兄様が私の魔導書を見て怒った理由が分かった。そう、私の魔導書は5つ葉だったのだ。

 

 魔導書の表紙には三つ葉のクローバーがある。それぞれに意味が込められており、誠実、希望、愛が宿っている。そして、極たまに四枚目が現れる。四枚目の葉には幸運が谷堂といわれている。さらに稀に5つ葉が現れる。5枚目には悪魔が棲むと言われている。

 

 悪魔はもちろんみんなから嫌われている。そんな魔導書を授かってしまったのだ。なんてことだ。五つ葉の魔導書なんて悪役のそれもとてつもない奴が持つ代物だろ。どう考えても!

 

 あ、気付いてしまった。もしかして私は原作にいたキャラクターなのでは?そして主人公と敵対した悪役なのでは?だって五つ葉だし。あり得る。私がボスなんだ。多分。だって五つ葉なんてとても珍しいものだと思うから。主人公はどうせ四葉なんだろうな。うらやま。

 

 でも、そうか五つ葉か。王族から五つ葉なんてそれこそシルヴァ家の恥か。これは下手すると勘当くるな。急すぎると思われるかもしれないが悪魔憑きなんてこんなもんだ。でもスペードの国は悪魔が大好きな国だって噂されているな。まあ、魔神国家って言われるくらいだし。勘当されたらスペードに亡命でもしようかな。

 

 「私は勘当ですか?」

 

 「わからんが、先程父上に連絡したときそのようなことを言っていた。覚悟しておいた方がいいだろう。」

 

 「わかりました。失礼します。」

 

 私は気付いたらまた自分のベットに戻っていた。マジか。なんとなく覚悟はしていたが展開早くね!?なんでいきなり家から出されようとしているの私。あーこの世界厳しすぎるよ。

 

 ノゼルはネブラが出ていった後から、自分の母親のことを思い出している。妹たちは知らない。本当の母の死の原因。そう母は悪魔の呪いで死んでしまったのだ。その同胞が今度は妹についている。悪魔どもめ!

ノゼルは父に必死に弁明した。妹の魔導書の悪魔は母を死に追いやった悪魔とは違うと何度もそう説明した。しかし、父は聞く耳を持たなかった。例え違っていてもだめなのだと。妻を奪った悪魔達が憎いと。自分の娘であるのに家から追い出すといっている。もうどうすることもできないのだろうか。

 

 ノゼルは静かな部屋の中、頭を抱えた。

 

 使用人からご飯ができたと来たが、今は食べたくないと追い返した。ノゼルはこれ以上家族を失いたくないのだ。ああ、今日はもう気分が悪いもう寝よう。しかし、ノゼルはこの行動をこの後ずっと後悔することとなる。

 

 「ネブラ様、夕飯の支度が出来ました。召し上がりますか?」

 

 「わかった。食べる。」

 

 「かしこまりました。」

 

 ふー、飯か。ここで食べる最後の飯になるのかもしれないな。この先どうしようか。自分でも思うが特に何も思っていない。前世の記憶が戻ってから別に何も思わなくなったのだ。本当だったら家を追い出さないでと泣き叫んでノゼル兄様にすがるのだろう。しかし、そんな気が起きないのだ。そもそも魔力が強ければ基本何でもできる何でもできるのだ。なんとかなるだろ。さあ、飯飯。

 

 私は食堂に行くと、ノエルとソリドがいた。ソリドは私の弟でノエルの兄になる。こいつらも仲が悪いんよな。まあ、私も悪かったのだが。というかノエルが嫌われていただけだが。特にソリドのノエルに対するあたりは強い。ほらまたやっている。

 

 「俺より先に食うんじゃねえ!!」

 

 「ごめんなさい、ソリド兄様!!」

 

 ソリドは自分より先に先に食べる出来損ないに腹が立ったのだろう。ノエルの料理が入ったお皿をぶちまけている。そして、ノエルの髪を引っ張っている。ノエルは泣きながら謝り続けている。かわいそうに。これは止めに行かねば。ソリドにも歪んだ価値観を正してあげないといけないな。

 

 「ソリド、何をしている?」

 

 「何って、役立たずに躾をしているのですよ。ネブラ姉様もなさいますか?」

 

 「ソリド今すぐ、ノエルを放せ。」

 

 「は、はい。姉様。」

 

 私は威圧するために魔を出しながらいった。

 

 ん?私ってこんな魔力あったっけ?何か魔の量がとてつもなく増えてんだけど!?しかも禍々しい。これは、魔導書を持つようになったからか?しかし、ソリドならずノエルまでおびえている。少々威圧を出しすぎていたかもしれない。気のせいと思いたいが。自分の体から出ている魔が悪魔の形をしている気がするんだが。

 

 余談だか魔とはマナとよみ、魔は大気中や自然の至るとこらに流れている。生き物に宿ったその魔が、他の物質に影響を及ぼすものが魔力。その魔力がより洗練されたものが魔法。そんな風にこの世界はできている。魔法主義社会だ。魔力のないものは淘汰されるようになっている。

 

 ともかく、少々やりすぎたようだ。私は魔を抑え。ソリドに話す。怖くないようにとびっきの笑顔で。

 

 「えらい、よくやめたね。」

 

 「は、はい。ねえさ、ま。」

 

 ソリドは震えが止まらず、泡を吹いて気絶している。そんなに怖かった!?ちょっとショックなんだけど。何でだろう。とりあえず、使用人を呼んでソリドの介護をしてもらった。呼んだ使用人たちも怖がっていた。まあ、あんなにどす黒くて強烈な魔を放っていたんだ。王貴界に住む住人だったら気付くだろう、この禍々しい魔を。今になって心配してきた。魔法騎士団の人とか来ないよね?

 

 ソリドは使用人たちに連れていかれた。まあ、大丈夫だろう。ノエルは先程からガタガタ震えながらご飯を食べている。私も席についてご飯を食べよう。かわいそうに。あ、そうだ。ノエルの元気を出すために子どもが喜びそうな魔法私覚えてないかな?ていうか魔導書渡されてから一回も見てないんだけど。ご飯食べながら見よ。行儀悪いから本当は怒られるけど今ノエルしかいないからいいだろう。

 

 魔導書を見る。やはり、私は霧魔法が使えるようだ。すらすらと読み進んでいくと途中から全く読んだことのない文字が出てくる。何の魔法なんだ?読めない。しかも、そこからずっと読めない文字ばかりだ。どのページをめくっても。何だこれ。仕方がないので読めるところの魔法を使うことにした。

 

 霧創成魔法 夢幻の蛙

 

 口からただ霧を出す蛙だ。見た目がリアルな蛙と違い、デフォルメされていてこ憎たらしくて可愛い顔をしている。これをノエルにあげよう。

 

 私は手のひらに置いたその蛙をノエルに見せた。

 

 「ノエル、見てごらん。」

 

 ノエルは怖くて姉の顔を見ることができなかったが声を掛けられ姉の方を見る。そこには世にも可愛い紫色の蛙がいた。頭に角が生えている。

 

 「わあ、可愛いです。」

 

 「そうだろう。これノエルに上げる。」

 

 「え、いいのですか?」

 

 「ああ。」

 

 「やったー。じゃあ、今日からあんたはシルヴァンタスシュナウザー。いいわね!」

 

 どうやら、元気が出てきたようだ。よかった。しかし、ノエルのネーミングセンスはどうなっているんだろう。ただただ凄い名前を付けられたなという感想しかない。まあ、目論見通り元気が出たので良しとしようか。

 

 私はノエルが蛙と戯れているのを見ながらご飯を食べた。

 

 「帰ったぞ。」

 

 どうやら、お父様が返ってきたようだ。やはり追い出されるかな?

 

 「ネブラはいるか?」

 

 お父様が呼んでいる。さあ行くか。私は食堂を後にした。

 

 「およびですか?お父様。」

 

 「ああ、来たか。話があるから私の部屋に来なさい。」

 

 「わかりました。」

 

 私はお父様と一緒にお父様の部屋に向かった。窓から見える景色は真っ暗だった。お父様は魔法で明かりをつけた。部屋に入るとお父様は椅子に座り話し出した。部屋には二人しかいなく、父の声がよく聞こえる。

 

 「ネブラ、我が娘よ。五つ葉だったようだな。」

 

 「はい。」

 

 「そうか。私は長々と話すのが好きではない。だから簡潔に言う。悪魔憑きはシルヴァ家にはいらん。家から出ていってもらう。そしてシルヴァ家を名乗るのも許さん。」

 

 やっぱりそうか。しかし、覚悟していたことだ。そもそも前世の記憶が戻った時からここにそこまでの執着はない。こうなったら早く出ていった方がいいだろう。

 

 「わかりました。なら今日家を出ていかせてもらいます。」

 

 「今日出ていくのか?」

 

 「ええ。」

 

 私はお父様がなにか言いたそうな顔をしていたけどそのまま背を向いて部屋から出ていった。

 

 自分の部屋に戻るとさっそく家出の準備をした。リュックにお金をたくさん詰め込んだ。まあ、お金と魔法があれば何とかできる世界だ。いけるっしょ。

 

 私は準備を終えたらさっそくこの中世の宮殿みたいな家から出ようとした。玄関には父がいた。私はどうしたのだろうとわからず首を傾げた。

 

 「五つ葉は四葉ほど有名ではない。知っている者も一部のもののみ。普通に生きるなら何も起きない。」

 

 どうやら、父なりに心配してくれたみたいだ。不器用な人だ。

 

 「わかりました。お父様。今までありがとうございます。」

 

 私はシルヴァ家から出ていった。この魔導書を抱えて。

 

 さあ、あたりは真っ暗だ。明日の朝に出ればよかったかな?でもまあ、いいか。どこへ行こう。ここだと私がシルヴァ家のものだと思われるしな。みんなに迷惑はかけたくない。どこへ行こう。

 

 そうだ。主人公探しもいいのかもしれない。そうしよう。町の人たちからアスタの名前を聞こう。聞き込みだ。

 

 そうと決まればまず宿だな。私は箒にまたがり、空へかけていった。

 

 宿はとりあえず平界の宿にした。王貴界だと私だと知られてしまうからな。明日にでも、シルヴァ家から放出されたことはみんなに知られるとは思うが。新聞とかで。

 

 とりあえず、宿の部屋に入り鏡を見て自分の顔をみる。どうせもうシルヴァ家ではないのだ。私がネブラだと知られると、私自身生きにくい。そりゃそうだ。追い出された王族なんて周りからすれば腫れものだ。私は覚悟を決めた。

 

 リュックからナイフを取り出し自分の顔をめった刺しにする。すかさず回復魔法を顔にかける。よかった本当に回復魔法を覚えていて。それをたくさん繰り返す。自分の美しい顔の原型を留めないくらいに。

 

 よし、顔はとりあえずオッケーだ。顔中傷跡だらけでもうネブラらしいところはない。せっかく美しい顔だったので少しもったいない気もするがこれはこれでかっこいいのでありとする。片目に傷跡とか、かっこよくね?かっこいいよね。それ以外にもたくさん傷跡があるんだけども。無理に回復魔法でづちゃぐちゃに名をしたから人相が悪い。まあ、それもかっこいい一つの要素という事で。

 

 次は髪だ。前世の記憶が戻ってから思う。この髪型おかしすぎる。さっさと結んだ髪を下ろし、前髪も中央に集めない。普通に下ろす。うん、だいぶ見た目が変わった。というか髪の毛何もしない方が可愛いんじゃないか?そんな風に思う。

 

 とりあえず見た目はこんなもんでいいだろう。後は服装だ。こんな綺麗で装飾のついた服、平民は着ない。明日は服屋で服を買うか。そうしよう。今日はもう寝よう。魔導書をもらってから怒涛の一日だったような気がする。

 

 ふと、目を覚ました。ここはどこだ?変な空間に出てしまった。夢か。

 

 『おい、こっちだ。』

 

 声のする方を見ると、角と羽が生えた大きな影が話しかけてきた。

 

 『お前の魔導書の中に入っている。悪魔だ。よろしく。』

 

 なんだか、予想よりフレンドリーな悪魔だった。以外だ。

 

 「よろしく。」

 

 『ああ、あと親切に俺の魔法を教えてやる。俺の魔法は干渉魔法。あらゆることに干渉、干渉させなくすることができる。どう使うかはお前次第だ。あと悪魔の力を引き出すと単純に強くなるぞ。今日呼んだのはそれだけだ。』

 

 「え?ちょっ」

 

 気付くと朝になっていた。私は魔導書を見つめた。本当に悪魔が宿っていた。しかし、疑問がある一人につき使える魔法の属性は一つだ。悪魔の言葉を信じるなら私は霧と干渉。それによく見れは私の魔導書は見た目もおかしい。半分が紫色で半分が黒色だ。五つ葉もその半分のラインに合わせて紫と黒になっている。予想だが。ふたつの魔導書が混じったのか?聞いたことがある。ダイヤモンド王国では魔導書を合体させると。それと似たようなものなのだろうか。

 

 考えても仕方がない。宿を出て服を買いに行こう。

 

 服を適当に買い終え見た目は完全に平民だと思う。髪はつやつやしているがそのうちバサバサになるだろう。この世界は前世のように文明が発達してないから、貴族や王族以外は髪の手入れなんてそんなにできない。まあ、魔法があるのでできないことはないが。私はやらないあえてばっさばさにする。

 

 さてと、これで完全にネブラではなくなったが、これからは聞き込みだ。まあ、この世界にアスタはいないかもしれないが暇なのだやろう。

 

 王貴界ではアスタの名前は聞かなかった。いるなら平界か恵外界だろう。でもさすがに恵外界はないだろう。主人公があんなごみどもと一緒なはずがない。いかんいかん、王族の暮らしが住み着いている。差別はいけない。魔力の少ないかすどもだって生きているのだ。そんなこと言ってはいけない。

 

 とりあえず平界を回るか。平界を回るついでに、魔法の特訓もしよう。当面の目標はアスタを見つけること。よし、頑張るぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めるとネブラお姉様はいなくなっていた。それどころかお兄様やお父様はもうネブラ姉様を家族ではないという。どうして?せっかく仲良くなれたのに。遊んでもらおうと思っていたのに。どうしていなくなるの。ベットの上で膝を抱えて泣いている私に誰かが足をなめる感触が来た。

 

 「ひゃあ」

 

 見るとお姉さまの作った蛙だった。可愛い。唯一お姉さまからもらったものだ。大切にしよう。私は紫の蛙を大切に抱きかかえた。この時幼い私は気付いていなかった。この蛙の異常性に。

 

 

 

 




 主人公は前世の記憶が戻ってから魔が変質しています。禍々しい魔は冥界からきたものではなく主人公自身のものです。なぜ禍々しいのかは主人公の前世に問題があるからです。本編には書きませんが主人公は悪いことをして死んでいます。
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