スオミさんはお困りです   作:Tico Ruzel

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ついにワイルドハントと対決するスオミ。

異形の敵を相手にスオミは裏をかいたかのように思われたが――?

はたしてスオミの困りごとは解決するのか?
少女はメモリの向こうに何を見出したのか?

本編クライマックス&エピローグの第九話!


【作者】
「スオミさんはお困りです」、なんとか本編完結までこぎつけました。

ワイルドハントとの対決の行方。数々の謎の解明。
そして最後にスオミさんが見出した使命と、
彼女が語り掛けていた相手は誰だったのか?

ゆったりご笑覧くださいませ。


ep.9 スオミさんは咲き誇る想いにお困りです

 その時、対峙した敵に――

 恐れを感じなかったと言えば、嘘になります。

 相手の武器はこちらより多く、躯体もはるかに大きく。

 動きも普通の人形のそれではありませんでしたから。

 

 ですが、わたしがその異形と対峙した時です。

 ふと、指揮官の声が聞こえた気がしたのは。

 

(人形だって恐怖を感じるさ。絶望も感じるだろう)

(だが、それは欠陥じゃない。むしろ贈り物だ)

 

(人形だって、飛び跳ねるときは身をかがめるだろう?)

(ネガティブな感情は、次にはじけるために必要なのサ)

 

(恐れを大事にしなさい。絶望を大事にしなさい)

(そのうえで――未来を見つめることは忘れないで)

(どんな苦難にあっても、どんな危地にあっても)

(明日を信じて歩む者が敗北することはないんだ)

 

(それはサ――人間も人形も同じだと思うヨ)

 

 わたしは、その言葉を信じています。

 なぜなら、その言葉をくれた人を信じているから。

 

「人間は主義だの思想だののためには戦わない」

「主義や思想を体現した人のために戦うんだ」

 

 これはどこのライブラリで知った言葉でしょうか?

 いずれにしても、わたしは、あの人のために戦う。

 それだけは誰にも動かせない真実でした。

 

 だから――

 ワイルドハントに恐れを抱いても。

 決して、怯むことはありませんでした。

 

 

 

 妖精は――戦いの舞踏を踊っているかのようだった。

 戦術反応回路をオンにしたスオミは、ワイルドハントに肉薄して至近距離から短機関銃の連射を浴びせた。

 銃弾を浴びて呻く異形。

 その脚の上に飛び乗ってステップを踏むと、くるりと身をひるがえし、背中へ回りこむ。

 喚きながら銃を撃ち放つワイルドハントの射線にかすりながらも――戦乙女は、あるいは跳び、あるいは滑り込み、あるいは間合いを開けて誘い、異形を翻弄した。

「ナゼだ! ナゼ、キミを捉えられない! ナゼ、ナゼェェェ!」

 否、ワイルドハントの銃はスオミを捉えている。

 確実に銃弾はかすめていながら、しかし少女はぎりぎりで逃れていた。

 その事実が、なおのことワイルドハントを苛立たせる。

「ガアァァアアァァ!」

 四本の腕を振り回し、手にした銃を撃ちまくる。

 それでも、戦乙女の舞踏を射抜くまでには至らなかった。

 ――ワイルドハントは、スオミの戦い方を知らない。

 もともと少女は戦術人形でもとりわけ機敏な方ではなかった。

 むしろ、前衛を務めるには少し動きが鈍いとさえ評価されている。

 反応速度を速めて高機動を得る機能を使って、ようやく人並みを超える程度だ。

 だが、スオミの躯体はとりわけ頑丈で、少女自身もタフなパーソナリティだ。

 傷を負いながらも致命傷を回避しつつ――好機を待つ。

 そう、スオミの真骨頂は、難敵を相手取っての持久戦なのだ。

 

 そして――ほどなくして。

 ワイルドハントの銃声が疎らになり、途切れた。

 それを確認して、戦乙女は不敵に笑った。

 骸の主の武器は確かに多い――だが、予備マガジンは持っていない。

 手持ちを撃ちきれば、それで弾切れなのだ。

 限界ギリギリの戦術反応回路に最後の鞭を入れて、スオミは跳んだ。

 肉薄しての短機関銃斉射。狙うは腰部の躯体。

 脚を繋ぐそれさえ砕けば、ワイルドハントは動けなくなる。

 手出しできない敵は、もう放置して差し支えない。

 少女にしてみれば、この化け物を仕留めてやる義理はないのだ。

 

 だが――

 少女が異形の懐に飛び込んだ瞬間だった。

 ワイルドハントのゆがんだ顔が、にたりと嗤ったのは。

 六本の脚のうち、四本だけで立って――残る二本の脚が不気味にうごめく。

 少女が気づいた時には、もう遅かった。

 脚だったそれが、にわか仕立ての腕と変じて、少女を抱え込む。

「ヒヒッ、引っかかったなァ!」

「――――ッ!」

 嗤うワイルドハントに向けて、少女は銃を向けて、引き金を引いた。

 だが、銃を投げ捨てた異形の腕が、彼女の腕をつかんで拘束する。

 あらぬ方向を向いた少女の銃口がむなしく火を噴き、やがてカチカチと音を立てた。

 スオミの残弾もまた、ぎりぎりだったのだ。

「クハハ! クハハハ! 捉えたゾ! 捕まえたゾ!」

 ワイルドハントが哄笑する。

 合計四本の〔腕〕に掴まれて、少女は蝶の標本のように宙に貼り付けられた。

 上半身に残る異形の二本の腕――鉄血の人形からつなぎ合わせた鋼のそれがはじけ飛び、そこからうねうねとうごめく、端子のついたケーブルが這いだしてきた。

 一本は少女の首を締めあげて、口元へ近づき。

 もう一本は少女の太ももを割って、その奥へと這い寄っていく。

「や……いや……」

 少女が怒りと悔しさに涙を浮かべながら拒むのを、

「ハハ……怖いだろう、苦しいだろう……クハハハ……」

 嗤いながら、おもむろに少女の唇を割って口の中へ――

 ――そして、脚の付け根の秘奥へと、うごめく端子を侵入させた。

「ッッッ!」

 少女の躯体がびくんと震えた。

 プライベートデータリンクの〔強制要求〕。

 拒むこともできず、スオミの思考にワイルドハントが侵入してくる。

 異形は勝ち誇って哄笑した。

「ハハ、クハハ……! キミの躯体の奥に! キミの回路の奥に! そしてキミのメモリの奥に、ボクの存在を突き立ててやる! そして、キミはボクのモノになる……ボクの一部となって永遠に在り続ける――だが、さびしい思いはさせないとも」

 ワイルドハントはざらつく声で、ヤスリをかけるように囁いた。

「キミだけじゃない……たいせつなお友達も、一緒にしてあげるからさ……」

 少女に侵入したワイルドハントから、認識領域に映像が投じられた。

 

 

 

 ヴィーフリが無数のダイナゲートにたかられていた。

 涙目になりつつ、それでも戦意を失わない彼女をあざ笑うように――

 ダイナゲートが次々と四肢にからみついていた。

 彼女の下腹部から胴をつたって這ってきたダイナゲート。

 その機体から針のようなものを突き出し、彼女のひたいに迫っていく。

 

 G36がマンティコアの脚に踏みつけられていた。

 メイドがいまだ戦意の残る目でにらみつけながら、銃を向けて引き金を引く。

 しかし、とうに銃弾の切れた武器ではどうにもならない。

 そこへ、ダイナゲートが跳びかかる。

 メイドの証であるヘッドドレスを飛ばして、彼女の頭に張り付いた機械の蟲。

 それが、鋭利に光る針で貫こうとしている。

 

 手足をばたつかせて抵抗するFALを、幾体もの人形が組み敷いていた。

 どの人形も背中に蟲を張り付かせた骸だ。

 それがFALのしなやかな四肢を無造作に掴み、床に押し付けている。

 そして、骸たちの間を縫って、ダイナゲートが這い寄ってきた。

 FALの瞳に、機械の蟲から突き出した針が映っている。

 

 拳銃を撃ち尽くしたコンテンダーに、ダイナゲートが次々跳びかかる。

 脚をとられ、腕に絡みつかれて、瞬く間に彼女の身動きがとれなくなる。

 麗人の瀟洒な服が、ダイナゲートの乱雑な脚で破かれていった。

 そして、服を蹂躙した跡を這ってきたダイナゲート。

 その機体から突き出した針が、彼女の頭蓋へ迫る。

 

 

 

 仲間たちの危地を目にしながら、しかし――

 いまのスオミは、自分自身の中で必死に逃げるしかなかった。

 感情パラメータが波打てば、その隙をついて、電子的に侵入したワイルドハントが思考回路を蹂躙していく。分散させて逃がした思考パルスが次々に捉えられ、少女は自身の思考が徐々に薄れていくのを感じていた。

 ごめんなさい、ごめんなさい。

 皆を巻き込んでしまった。こんなことに巻き込んでしまった。

 罠だと覚悟していてたのに、しかし、見通しが甘かったのだ。

 敵を見くびっていたのだ。すべて、自分のせいだ。

 ――浮かんでくる懺悔も悔恨も、渇いたどす黒い闇に呑まれていく。

 最後に残った思考パルスが、確実に追い詰められていく。

 

 その時だった。

 あぶくのように、少女の記憶領域から、そのメモリはぽこりと浮かんだ。

 

(――誰かにきみの命や尊厳をおびやかされそうなときは――)

 

 彼女の言葉を思い出して、少女の思考パルスは加速した。

 それを覆いつくそうとするかのように――

 ワイルドハントの掌握が、夜の帳のごとく思考回路に広がっていく。

 異形が嗤った。

 少女の最後の欠片を捕らえたと思ったのだ。

 

 しかし、その前に、妖精の羽ばたきは目的地へたどり着いていた。

 

 記憶領域アーカイブ層のロックが解除される。

 全メモリを解放。

 接続のニューロンネットワークすべてに展開。

 

 オールオープンリリース。

 

 

 その瞬間――世界が、色鮮やかにはじけた。

 

 

 

 G36は、自分を押さえつけていたマンティコアの脚がゆるんでいることに気づいた。

 体をよじらせて身動きしただけで、バランサーを崩した歩行戦車がたやすく転倒する。

 マンティコアはまるで目を白黒させるように、センサを明滅させながら擱座していた。

 心なしか、その機体から煙があがっているようである。

 いや、それだけではない。

 たかっていたダイナゲートも腹を見せて転がり、脚を震わせながら甲高い電子音を鳴らし続けている。

「どういうことなの……?」

 G36はつぶやいてから、ハッと気がついて、相方の姿を探した。

「ヴィーフリ? ヴィーフリ、無事ですか?」

「わあああ……って、あれ? え、どういうこと?」

 わめいていたヴィーフリが、自分の手でダイナゲートが苦も無く払いのけられるのに気付いて目をぱちくりさせる。G36が手を差し伸べると、ヴィーフリは立ち上がろうとして――しかし、ぺたんと座り込んでしまった。

「ふええ――た、助かった?」

「みたいですね」

 G36がそう言うと、足元で悶絶するダイナゲートを蹴飛ばした。

 先ほどまでの勢いが嘘のように、鋼鉄の蟲は他愛なく転がり、他の蟲も巻き込んでがっしゃんと耳障りな音を立てた。転がった先でも、ぴくぴく震えて機能不全を起こしている。

「――誰か、何か成し遂げたということですね」

 メイドは飛ばされたヘッドドレスを拾い上げながらつぶやいた。

 誰か、とは言ったが――彼女には一人しか心当たりがなかった。

 

 一方、アーカイブのエントランスでもFAL達は同じ状況だった。

 それまで抗い難い力と勢いで押し寄せてきた有象無象が、そろって脱力して転がっている。

 センサを赤系統の――むしろピンクっぽい色で明滅させ、例外なく煙を吹いていた。

 FALとコンテンダーは立ち上がって、その状況を見回した。

 次いで、二人で顔を見合わせて、目をぱちぱちとさせる。

「なに、これ――いったいどうしたのよ」

「なんであれ、助かったようですが……グリフィンの電子攻撃?」

 コンテンダーの推測に、FALは腕組みして、頭をひねった。

「いや、でもこれと似た光景というか、様子を何度も見てる気がするのよね――何かしらねえ、この目をくるくるさせて頭から湯気吹いている感じ……ああ」

 自分で言った表現が、まさに正鵠を得たと気づいて、FALはくすくす笑った。

「なによ、あの子……いったい何をしたのよ」

 かすかな笑いが、いつのまにか高らかな笑い声に変わった。

「うふふ、こんなに自分の中にため込んでおくとか――あの子って……本当にムッツリさんね」

 状況がつかめないコンテンダーが戸惑っている傍らで。

 FALは愉快そうに笑いつつ、先ほどまでたかっていたダイナゲートを踏みつけた。

 

 

 

「ヴァアァァアアァァァア! アァァアアァァア!」

 ワイルドハントは、絶叫していた。

 スオミに侵入して、少女のメンタルモデルを完全に支配下に置いたはずだった。

 そう思った瞬間、津波のようなメモリの奔流が少女の思考回路から溢れ出し、電子回路の奥まで踏み込んでいたワイルドハントは苦もなく押し流された。

 それだけではない、プライベートリンクで繋がっていた自身の意識に、思考回路に、遍在させていた自身の分身の一体さえも例外もなく、この謎のメモリの奔流に溺れかけていた。

 視界一杯に極彩色の万華鏡がくるくると回るかのようだった。

 薔薇が、百合が、チューリップが咲き誇る絢爛たる庭園に放り出されたかのような。

 歓喜。愉楽。喜悦。困惑。羞恥。憤懣。焦燥。

 そして、それらを圧して余りあって溢れんばかりの多幸感。

 いままで味わったことのないもの。想像したこともなかったメモリ。

 その奔流に流されて、ワイルドハントはもがいた。

 少女の拘束を解いて、突き飛ばしても。

 自身の中になだれ込んだ極彩色のメモリがぐるぐる渦巻いて止まらない。

 

 ――悶絶して姿勢を崩して、いまにも倒れこみそうな異形を。

 少女は今にも泣きだしそうな……それでいて満面の笑みを浮かべた。

 頬が熱い。息が弾む。

 人形に心臓があったら、早鐘のように鼓動していただろう。

 少女もまた、自分の中に秘めていた想いの巨大さに圧倒されていた。

 こんなにも咲き誇る花園を見せられては、もう否定できない。

「わかりましたか、ワイルドハント! わたしが、あの人に!」

 恥ずかしそうに、誇らしそうに、声高らかに、叫ぶ。

「こんなにも困っていて――こんなにも想っていることを!」

 銃を握りなおして、少女は駆けた。

 即席の鈍器と化した短機関銃で、ワイルドハントの脚の関節を打つ。

 無理な接合をしていた脚は、少女の一撃で苦もなくへし折れた。

 

 ワイルドハントは対応しようとして……できなかった。

 少女の姿を視界に捉えるたびに、リンクしてメモリが自動再生される。

 色素の薄い白っぽい癖毛に、煌めく紫の瞳。飄々とした声が何度も囁いている。

 

 「スオミちゃん、可愛いね」

 「スオミちゃん、よくやったね」

 「スオミちゃん、照れ屋さんだね」

 「スオミちゃん、実は割と好き者さんでしょ」

 

 羽毛で撫でるような、優しく穏やかな声。

 それがたまらなくワイルドハントの思考をかき乱す。

 異形の骸の王が悶絶している間に、スオミは着実に作業を進めていた。

 きっちりワイルドハントの脚を叩き折り、腕を一本ずつ肘関節でつぶす。

 最後に残った――白皙の肌の右の腕。

 少女自身から奪い取られた腕をへし折ると、彼女はそれを拾い上げた。

 薬指にはまった銀の指輪を確認すると、そっと抜き取った。

 そのまま、指輪を懐にしまいこむ。

 手足をもがれてなお、悶えるワイルドハントをじろとにらんで、

「わたしだって持て余してるのに……あなたなんかに抱えきれるものですか!」

 そう言い残し、足早に血清の保管庫へ行き――目当てのアンプルを取り出した。

 少女が保管庫を立ち去るとき。

 床に転がる哀れな骸には、もう一瞥もくれなかった。

 

 

 

 保管庫から出てきたスオミは、エントランスに出るなり、

「――無事だった!?」 

 たちまちふっくらした肢体に抱きしめられた。

「わぷっ」

 豊かな胸に顔をうずめさせられて、スオミはばたばたと暴れた。

「お、落ち着いて、FAL」

 少女がくぐもった声で言うと、FALはいったん離して少女の顔を認めた後、

「スオミ~~~!」

 また抱きしめた。

「わあ! わたしは大丈夫ですから! み、皆さんは無事ですか?」

「ええ。ヴィーフリとG36とも連絡がつきました」

 横合いからコンテンダーが破れた服のまま、涼しい顔で言った。

「敵性はみんな機能不全になっているそうです――ただ、お二人ともスオミに一言モノ申したいようですよ?」

 麗人がウィンクしてみせる。

 スオミが眉をひそめながら、通信をつないだ途端。

 

『ごきげんよう、稀代のエロムスメさん?』

『アンタ、頭の中どんだけピンク色なのよ』

 冷やかすような、からかうような声。

 

「な、なななな……」

 たちまちスオミの顔が赤くなり、頭から湯気が上がる。

 その様子を見て、コンテンダーがやっぱりという顔をして肩をすくめ。

 FALがくすくす笑いながら、まだ抱きしめてくる。

 たまらずスオミは声をあげた。

「撤収! 撤収! 引き揚げますよ!」

 大きく息をついてから、少女は言った。

「指揮官が助かった後なら、いくらでもからかわれて結構ですから!」

 

 

 

 静寂が戻ったアーカイブの奥で。

 骸の主はようやく悶絶するのをやめた。

 何とか保った自身を拠り所に、逆流したメモリをひとつひとつ潰し。

 その間に取り込んでいたメンタルモデルを随分切り離したが――

 なんとか、平静を取り戻していた。

「……クク……クハハハ……!」

 ワイルドハントは嗤った。

 とどめを刺さずに引き上げるとはなんと愚かなことか。

 あの妖精を嘲ると共に、止みがたい羨望がこみあげてくる。

 ああ、素晴らしイイ。素晴らしイイ。

 垣間見えた豊かな花園を我がものにできれば……

「……まだ終わらない、人形の亡霊が漂う限り、ボクは何度でも――」

「――いや、お前の機能はいまここで終わる」

 冷たい鋼のような声が響いた。

 重く、硬い足音。

 グリフィンの戦術人形が戻ってきたわけではない。

 言い知れぬ危機感をおぼえて、ワイルドハントは身をよじった。

 だが。

「見苦しい真似はよせ。浅ましいやつだ」

 冷たく言い放つ声と共に、ワイルドハントの頭蓋に何か押し当てられた。

 銃? いや、違う――入ってくる! 自分の中に染み入ってくる!

 強制データリンク。そこから流れ込んでくる、アポトーシスプログラム。

 骸の王は、自身の意識が端からボロボロと崩れていくのを感じた。

「――お前の行動は、当初からエルダーブレインの命令で、我々の厳重な監視下にあった。グリフィンをかき回すカードに使えるかと思ったが、結局、ボットはボット相応の動きしかできんか……」

「き、キミは〔鉄血〕のエリートタイプ――!」

「しかし、〔アーキテクト〕の置き土産の処分を私がするとは。どうもあいつの後始末は私の役目にされているようで、なんとも面倒なことだ」

「ギ、ギギ……ボット? アーキテクト……何のことダ」

「自分自身の正体も忘れたのか。お前はこの街で誰かが作った、人形のパーソナリティ収集用のボットプログラムだったことを。ここを興味半分で覗いた〔アーキテクト〕がたまたま見つけて、まだ稼働中だったお前にちょっと疑似ペルソナを与えて野に放った――どう育つかと思ったが、結局、道化の踊りに終わったな」

「ば、バカな……ボクは……わいるどはんと……さまよう人形のたましいが――」

「人形に魂なぞない。われら〔鉄血〕にはエルダーブレインあるのみ」

 冴え冴えした声は無慈悲に言い放った。

「消えろ。それが、あるいはお前にとっても慈悲かもしれん」

 注入されていく消去プログラムに意識が薄れていく中。

 ワイルドハントは自身に刻まれたメッセージに気づいた。

 何者かが、基礎構造に埋めこんだ、機能には関わりないコメント。

 

 ――きみが役目を果たしてくれるか、あたしにはまだわからない。だけど、試せることは試しておきたい。願わくは、電子の海に、彼女の人格の残滓が漂ってくれれば――

 

 そのメッセージの向こうに、ワイルドハントは不意に誰かの顔を見た。

 白っぽくだらしない癖毛。曇った紫の瞳に宿る焦燥と渇き。

「……アア……アナタが……そうか、ダカラ……」

 たどたどしい声でワイルドハントはつぶやき――

 そして、餓えることを、渇くことをやめた。

 エリートタイプはうなずくと、小さくつぶやいた。

「イレギュラーは処理しました。グリフィンの人形どもはどうしますか?」

 その質問に返ってきたのは、沈黙だった。

 ――構う必要なし。

 そう判断したエリートタイプは、白く長い髪をひるがえし、去っていった。

 残された骸の目から、溢れた循環液がひとしずく、流れて落ちた。

 

 

 

「――意識の回復も早々に、あいつは自分の巣に戻ってきたわけ?」

 通信モニタの向こうでケモミミをつけた女性が不機嫌そうに言った。

「悪運の強いやつね――それで、あいつ自慢のお人形が、何の用かしら?」

 モニタの向こうの女性に、スオミは言った。

「あの、まずはお礼を……血清の処方については、博士から医療スタッフにアドバイスがあったと聞いています。ご助力、ありがとうございます」

 謝辞を述べる少女に、ペルシカは不機嫌そうに鼻を鳴らして言った。

 頭のケモミミがせわしなくうごいている。

「助かる人命があるなら手助けぐらいするわ。どう思われているか知らないけど、少なくとも貴女たちの指揮官よりは、わたしはまだ人間らしいと思うわよ」

「ふふ、そうかもしれません。あの人はあの通りですから」

 くすくすと笑ってみせる少女を、ペルシカは憮然として見つめて、言った。

「……気に食わないわね」

「なにがですか?」

「そこまで自然に笑える貴女を、育て上げたあいつの才能と情熱によ。特注のハイエンドモデルでもないのに、そんなに豊かなパーソナリティを形成できるなんて」

「……あの人がそれだけ、わたしに手をかけてくれた証拠です」

「まったく、なんで貴女なのかしらね。あいつの趣味、そういう系なのかしら」

 ケモミミを揺らしながら言うペルシカに、スオミは答えた。

「たしかに女の子限定の面食いなところがありますけれど――多分、それだけじゃない気がします」

「ふうん。何か心当たりがあるの?」

「ええ。でもその前に博士に確かめたいことがあります」

 スオミはそう言うと、コンソールを操作した。

 モニタの一画に映像が映る。

 三体分の人形の脚一本ずつを分解して、新しい一本に組みなおす映像。

 人形の頭蓋を開き、思考回路を分類して、何らかの判定をしていく映像。

 そして、抜け殻のようになった表皮の疑似生体がいくつも浮かぶ水槽。

 映像を見て、ペルシカのケモミミがしょげる。

 だが、彼女自身は、眉をひそめてスオミをにらみつけていた。

「……これは、どこから?」

「クリプタグラードのアーカイブからです。撤収する前に、気になったことがあったので……二つだけデータを抜き取っておきました。何を探したいかは明確だったので、呼び出すのは簡単でした」

 スオミが映像を止めて、淡々と言った。

「これ、人形のリサイクル技術の、ブラッシュアップ研究ですよね」

「……どうしてそう思うの」

「前にワイルドハントが言っていたんです。『腑分けされて使えるパーツは取り出して、また別の人形に組み替えて……さあ、新品』と――それがずっと気にかかっていたんです」

 ペルシカのケモミミがぴんと立ち、ぴくぴくと震える。

「そんなの、敵の挑発かもしれないじゃない――考えてもみて? 仮にも軍事転用させるグリフィンの戦術人形にそんなリサイクル品を使うわけが……」

「そうですか? 銃とのリンケージで民生用の人形を簡単に軍事転用するのが博士の技術ですよね。土台となる人形をメーカーのIOPがわざわざ選別するとは思えません。市中に出回っている民生用の人形、いえ、グリフィンで使われている戦術人形のかなりが、使えるパーツを回生利用した再構築品じゃないんですか」

 ペルシカはそう言って、マグカップを手にした。

 飲み物を一口すすると、そっけなく言う。

「貴女は映像から憶測しているだけよ。自分の眼で何かを確かめたわけでは――」

「――もし、“確かめた”と言ったら、どうしますか?」

 スオミはそう言うと、そっと側頭部を向けた。

 亜麻色の髪に埋もれた、ほんのりと赤い線。

 それを目にして……ペルシカは瞠目して、むせた。

「ケホッケホッ――貴女、自分の頭蓋を開いたの!?」

 その問いに少女は静かに答えた。

「このL211基地の指揮官の変人ぶりは、博士もご存じのはずです。人形に関する設備はあきれるぐらい高性能なものがそろっていて、廃棄処分かメーカー送りになるレベルの損傷だって、直せるだけの設備があるんです――それが幸いしました」

 スオミはそう言いながら、自分の頭をトントンと指先でつついた。

「思考回路のパーツを調べた感じ、ユニットごとの識別情報は少なくとも三種類以上のばらばらのタイムスタンプになっていました。それも生産時期が違うとかのレベルじゃなくて、明らかに異なる人形のものが、まぜこぜで組んであります」

 ペルシカのケモミミがぴくぴく震える。

 マグカップを慎重に机に置くと、彼女は言った。

「それで――それをわざわざ暴いて、あなたはどうしたいの」

「ちょっとした取引をしたいだけです」

 そう言って、スオミは再び制御卓を操作した。

 モニタに表示されたデータの羅列に、ペルシカのケモミミがピンと立つ。

「あなた、それ――! クリプタグラードのアーカイブの……」

「……はい、保管物の目録データです。最終のアクセスの日付が実験炉の事故より前ですから、最新のものは不明だったはずですよね。博士にとっても、IOPにとっても、これは貴重な資料だと思います――これを引き渡す代わりに、お願いしたいことがあるんです」

 ペルシカが目をすっと細める。ケモミミがぱたぱたと落ち着かなく揺れる。

「……わたしにどうしろと?」

「IOPが人形の再生利用をしていても、品質管理には気を使っているはずです。たぶん再構築で使われたパーツはそれぞれトレースしていて、どこから抜いた部品がいまどの人形に使われているか、しかるべきデータにアクセスすればわかるはずですよね?」

 ペルシカは黙ったままだった。

 だが、ケモミミがぱたぱたと動いている。

 少女は軽くうなずくと、訊ねた。

「博士。わたしの思考回路は、誰のものが、どれだけ使われているんですか?」

 

 

 

「思ったより元気そうだな」

 通信モニタの向こうで、強面であごひげを蓄えた壮年の紳士が言った。

 どっしりと重く、低い声は、隆々とした巌を感じさせる。

「いや、顔だけは元気に見えますけどね。脳と内臓を最優先で守っていたので、手足は完全にやられちゃって、全然動かないし感覚もないんですよ――リハビリすれば治るんでしょうけど」

 色素の薄い白っぽい癖毛に、煌めく紫の瞳。顔色はあまりよくないが――

 ベッドに横たわりながらも、指揮官は苦笑いしてみせた。

「まーあ、ペルシカさんからえらい怒られました。で、『頭と口が回って、音声入力や視線操作ができるなら顛末書ぐらい書けるだろー』って、鬼ですよ。まさに鬼。生死の境をさまよっていた部下にそれはないと思いますよ……でしょう、社長?」

 指揮官にそう呼ばれた紳士――クルーガーはどっしりとした声で言った。

「事情があったとはいえ、指揮下の人形が規定違反の行動をしたのだ。それなりの体裁は整えておかねばならん。そう、『あらかじめこれあるを予期していた指揮官が、指示を出したうえで人形が動いたのだ』、とな」

 その言葉を聞いて、指揮官がにやりと笑んだ。

「やはり。あの子にクリプタグラードのデータを流したのはあなたでしたか」

「証拠でもあるかね?」

「いえ。ですが、あの子たちは気づいていましたよ。これは軍の正規データだと。それを引き出せる人物と言ったら、もう社長しかいません。ペルシカさんは与り知らぬところで、社長がスオミたちをそそのかしたんですね」

「だとして、動機はなにかね」

「威力偵察、ですかね。クリプタグラードの研究資産はいまだに価値があるでしょう。軍なりIOPなりが欲しがっていても不思議じゃありません」

 澄ました声で答えてみせた指揮官に、クルーガーはふんと鼻を鳴らした。

「まあ、そういうことにしておこうか。正式に部隊を派遣できない事情があったものの――“ちょっと頭に血が昇った部隊が勝手にやらかした”ことなら、それなりにいろいろと、あちこちへ言い訳が立つものだからな」

「……アッオー。そのお話、このへんで止めておきましょう。なんか深入りすると〔鉄血〕以上に厄介なものが出てきそうです」

 慌てて言った指揮官に、クルーガーはすっと目を細めた。

「そうしたまえ――それよりも、お前の人形たちだ」

 クルーガーは指を組んでデスクに置いた。

「ある程度の条件付けがあったとはいえ、特別あつらえのハイエンドモデルでもない普通の戦術人形が、自発的に作戦を立案し、任務を遂行してみせるとはな……これが入社前に私に語ってみせた〔アナザーアプローチ〕の成果かね」

「まだ途中経過かもしれませんが、ひとつ結果を出せたかと――いま、ファイルをお送りしました。グリフィン入社以来の人形運用のフィールドワークから得た、彼女たちのメンタルモデル育成プログラムの提言書です。噂のAR小隊ほど融通の利く形にはならないにせよ、未帰還扱いになっても自力生還を果たすとか、指揮官不在の状況である程度の作戦判断ができる人形を配備できるかもしれません」

 指揮官はそういうと、少し宙を見つめて、言った。

「『戦場に送りこまれる兵士が百人いたとして、十人は足手まとい。八十人は標的になっているだけ。九人はまともな兵士で、戦争をするのは、この九人……そして、最後の一人が戦士で、この人物がほかの者を連れて帰ってくるのだ』――そんな話をライブラリで見た覚えがあります」

「そうだ。兵士は頭数をそろえても使い物になるとは限らん。戦術人形なら、百人揃っていれば百人とも最低限の戦争ができる兵士として使える」

「ですが、それは戦場で人形を使いつぶす方法ですよね? そこへ一人でも戦士の資質を持った人形がいたらどうでしょう。個々の戦場ではわずかな差異かもしれません。ですが、戦線全体を俯瞰して、なおかつ長期間のスパンで見た際に――それはグリフィンが生き残る目をつかむ拠り所になるかもしれません」

 熱心に語る指揮官をじっと見つめてから、クルーガーは言った。

「迂遠な話だな。皆が皆、お前と同じようにはいかん。むしろお前はかなりの異端だ。実現性が低かろう」

「ええ、ですから、数年後を見据えて、種を蒔いておきたいのです――お渡しした提言書の第八章に実現手段を五パターンほど挙げていますが、そのトップに持ってきた手法。そちらは試すだけ試してもいいんじゃないかと思いますが」

「ふむ――目は通しておこう……さて、お前の扱いについて処分を伝えようか」

 重々しい声に、指揮官の顔が思わず緊張する。

 クルーガーは強面の顔でじっと見つめてから、短く言った。

「お前に三週間の休暇を与える」

「……へ?」

「表向き、お前は議員の娘をテロから救い、その過程で負傷した功労者だ。そして予め指揮下の人形に指示を出しておき、しかるべき対処を伝えておいた“先読みに長けた”現場責任者ということになる」

「……ああ、これ。グリフィンから逃げられないパターンですよね?」

 冷や汗をかきながら訊ねた指揮官に、クルーガーは微かに笑った。

「お前の提案は数年がかりで成果があがるのだろう? なら、ちゃんと会社に残って見届けてもらわんとな。覚悟しておけ、その軽口が叩けなくなるぐらいこき使ってやる」

「えーと、“ありがとうございます”なんですかネ。この場合?」

「ふん、お前がいまさら本社の戦略スタッフや、IOPの研究所に収まるとは思えん。これは率直な評価だが、お前は優秀な指揮官で、しかも異端な指揮官だ。組織内における異端者は、組織自体の自己変革に役立つ――せいぜい自分のスタンスを意識することだ」

「はは……肝に銘じます」

 指揮官が顔をひきつらせながら、それでもにやりと口の端をあげてみせる。

 クルーガーは再びふんと鼻を鳴らし、通信を切ろうとして、しかし。

「……ああ、そうだ。お前の命を救った人形とは、もう話はしたのか?」

「いえ? そろそろ、お見舞いに来てくれる予定ですが」

「そうか。そうかそうか。まあ、すごく大変だろうが、健闘を祈るぞ」

 指揮官は目をぱちくりさせた。

「いったい、何のお話です?」

「すぐにわかるとも。火遊びも火傷も、若い者の特権だからな――では」

 クルーガーが軽く敬礼をして、通信を切る。

 指揮官は、宙を見つめながらひとりごちた。

「なんのことだろうネ?」

 その時。

 医療室の扉が静かに開き、亜麻色の髪の少女が入ってきた。

 

 

 

「指揮官、おかげんいかがですか?」

 片手にバスケットを提げて入ってきたスオミに向かって、指揮官は顔を向けて微笑んだ。

「いやはや! 頭は明瞭なんだけどネ! 手足がさっぱりサ」

 紫の瞳が愉快そうに煌めきながら、軽口が飛び出す。

「これじゃお見舞いに来たスオミちゃんをハグしてベッドでしっぽりイイ感じになるとかできないのが……いやー、ツライツライ!」

 飄々とした様子に、少女がため息をつき、次いでじとりとにらむ。

「それだけおふざけできるなら大丈夫そうですね――お医者様もあきれてましたよ。過去に〔Ibn-G〕で変質した神経系を制御して、マイクロマシンの浸食に対する防波堤にするとか――どれだけ器用なんですか」

「ンンン。これは自慢だが、私は舌でさくらんぼの軸を結べるほどだからね」

「いえ、そっち系の器用さじゃなくてですね……」

 少女はこめかみを押さえながら言うと、そっと歩いてベッドの傍らの椅子に腰かけた。

 そのまま指揮官をじっと見つめる。

 当人が目をぱちくりさせていると――少女はおもむろに想い人の鼻をつまんだ。

「えいっ」

「フガッ。フガガッ。な、なにをするんだい!」

「おしおきです。なんですか、あのメッセージ! あの無用な恰好つけ!」

 眉をひそめながら、スオミは険のある声で言った。

「わたしの知ってる指揮官は、用意周到準備万端で気持ち悪いほど先読みができる人なんです。冴えた解決法を期待してメモリを開いたらあんなものを――こっちの気持ちを、ちょっとは考えてください! あんなの、もう認めませんからね!」

 いつしか少女の目には涙が潤んでいた。

 感覚素子を守る保護液でしかないとはいえ――

 想い人の粗相に腹を立てて浮かべる涙なら、やはりそれは乙女の涙に違いない。

 指揮官は目を細めると、ふうと息をついてつぶやいた。

「――もうやらない。うん、約束する」

「本当に?」

「思えば、あれは卑怯なやり方だからね。どうしてもって時は――」

 指揮官は軽くウィンクしてみせた。

「――決戦前夜のピロートークで囁いてみせるってのはどうかナ?」

 スオミの目がじろりと棘のあるものになってみせる。

「だから、指揮官? そういうところが嫌いなんですよ……もう」

 少女はそう言うと、すっと亜麻色の髪をかき上げながら、言った。

「お見舞いもってきたんです。ちょっと準備しますね」

「え、なになに? 嬉しいな」

「……少し静かにしてください、練習したけど、まだ不安なので」

 そう言って、少女はサイドテーブルにお皿を置いて。

 そしてバスケットから林檎とフルーツナイフを取り出してみせる。

 指揮官が目をぱちくりさせている前で、少女は林檎を剥き始めた。

 皮をまず剥くのではなく、皮は残して果実を分割する。

 そして残った皮にナイフを入れて、飾り切りにしていく。

 その手際と――できあがっていくものをみて、指揮官は目を丸くした。

「スオミ……それ――どうして」

「待って下さい、もう少し……はい、できました」

 少女がお皿をかかげてみせる。

 そこに載った、飾り切りの林檎のウサギ。

「えっ……どうして……そんな、形もそっくり――なんで……」

 かすかに震える声でつぶやく指揮官に、

「――ごめんなさい。サルベージできたのはこれぐらいなんです」

 少女が瞳を揺らしながら、申し訳なさそうに言った。

「サルベージって……どういうことなの」

「16LABのペルシカ博士に調べていただきました――わたしの思考回路を構成するユニットパーツのうち、六パーセントほどがナニィさんの回路を再利用したものだそうです」

 少女の告げた事実に、指揮官が息を呑んだ。

「ただ、一般記憶のたぐいはほとんど残っていません。日常動作系のユニットなら、多少古くても融通が利くらしくて、それがメインで残っているそうです。だから、せいぜい、サルベージできて林檎の剥き方ぐらいで。あとちょっとした仕草とかに、ナニィさんの動作記憶が残ってるかもしれません。でもそれは完全なトレースでもなくて、面影ぐらいのレベルでしかないだろう、って――これはペルシカ博士の見立てなんですけれど」

「……まいったな」

 指揮官がくしゃっと顔をゆがめた。目には涙がうっすら浮かんでいる。

「きみを初めて見た時、他の人形と違う何かを発見した気がしたんだ。その時、私は未来の可能性を見つけたんだと思ったけど――結局、過去の思い出を見ていただけなのか」

 その言葉にスオミは何も答えない。

 ただ、そっと手を伸ばして、想い人の前髪をさらさらと撫でた。

「ひとつだけ、お聞きしてもいいですか?」

「……なんだい」

「指揮官が証明したかったもの、見つけたかったものって、何ですか?」

「――もう気づいているんだろう?」

「そんな形で逃げるのは、卑怯ですよ」

 少女の言葉は、静かで穏やかだったが――有無を言わせない勁さがあった。

 指揮官はしばし目を閉じて……そっと目を開くと、宙を見つめながらつぶやいた。

「人形にだって、本物の愛情が生まれるって証明したかったんだ」

「愛情、ですか」

「うん。それもプログラミングによるパーソナリティの鋳型や、あとから人為的に手を加えた結果の条件づけじゃない。人形が持つ心の虹――思考領域に、自然と愛は生まれるって証明したかったんだ……そうすれば――」

 指揮官の瞳に涙があふれた。しずくが一筋流れて、頬を伝って落ちる。

「――そうすれば、私は本当の愛情をもって育てられたんだと胸を張って言える。ナニィが機能を止めるときに、わたしに残した言葉は真実だったと信じられる。他の連中が言うような、偽物の愛じゃなくて、きちんと本物の愛を受けて育てられたんだと……」

 いまにも嗚咽をもらしそうな震える声で、指揮官は言った。

「……ひどいやつだろう? 私は結局、こんなにも度し難いんだ。ただ、自分の心の安息がほしくて、きみ達を自分の都合で振り回していたにすぎない。もしかしたら、ワイルドハントだって、過去に私がやらかした何かの亡霊かもしれない。結局のところ、私はずっとナニィから親離れできないままで――こんな、こんな……」

 また溢れそうになる涙。

 それを、少女が指先でそっとぬぐった。細い指で、なだめるように。

「……本物とか偽物とか、どうでもよくないですか?」

 スオミがそっとささやく。

 亜麻色の髪の少女は、そのアイスブルーの瞳に優しい光をたたえながら言った。

「あなたが想いを注いだ相手がいて、注がれた相手もあなたを想うようになって――まあ、迷惑だったり困ったりもしますけど。互いが互いを大切にしたいと思っていて、その人のためなら何でもできて、何もかも惜しみなく与えることができる……それができていれば、充分じゃないでしょうか」

「……そう、なのかな……」

 ぽつりとつぶやく指揮官に、少女はうなずいてみせた。

「愛の真贋だなんて、誰にも確かめられません。それは他人がどう評価できるものでもないです。ただ、愛しあう二人がそうと分かっていれば充分じゃないでしょうか」

 少女の言葉に、指揮官が苦笑いを浮かべた。

「まいったな――ナニィにお説教されてる気分になってきた」

「わたしは、ナニィさんじゃありません」

「……うん」

「それに、ナニィさんの代わりにもなれません」

「……そうだね」

「でも――あなたを愛する想いの大きさなら、断然、勝っています」

 きっぱり言ってのけた少女に、指揮官は薄く笑んで言った。

「随分と自信満々だね――それを証明する方法があるかい?」

「とりあえずは、わたし自身がそれを知っていれば、充分ですから」

 少女はにっこりと微笑んでみせた。

 春の日差しのように、暖かく、明るい微笑みだった。

「そうだ――約束通り、取り返してきました」

 スオミはそういうと、懐から銀の煌めきをとりだしてみせた。

 手のひらに載せて示したそれは、誓約の証の銀の指輪。

「もう一度、わたしに嵌めてくれますか? “MY DEAR."」

 少女からの――人形からの呼びかけに、指揮官はすっと目を細めた。

「ああ、そうしようか……でも、いま手が動かなくて」

「私が持ってあげます。指揮官は指をそえるだけでいいですから」

 そう言って、少女が左手で想い人の手を握り、右手を差し出した。

 だが、それを見て、指揮官は軽くかぶりを振った。

「そっちじゃないよ――きみが愛を信じて、その想いこそが力になるというのなら……指輪をはめるのにふさわしいのは、ハートに繋がっている左手の薬指だ」

 想い人の言葉に、少女がこくりとうなずく。

 右の手を指揮官の手に絡ませて、左手をそっと差し出し。

 誓約の証の銀の光は、いま再び――今度は少女の左の薬指に宿った。

「わたしは、あなたを愛しています……あなたは、わたしを愛してくれますか?」

 微笑みながら、少女が紡ぎだした問いに。

 紫の瞳を煌めかせて、彼女はそっと答えた。

「――“YES MY DEAR. I treasure You. With Sincerely. With My Love."」

「……“Thank You. MY DEAR PARTNER.”」

 再びの誓約の言葉。

 通常とは異なり、人形が呼びかけ、人間が答える形であったが。

 お互いに想い、想われるのであれば、それは紛れもなく誓約だった。

 烙印によらない、想いが繋ぐ絆。

 少女が想い人の手を握ったまま、そっと身を乗り出す。

 二人は見つめ合いながら、そっと顔を近づけ―――

 淡く色づいた少女の唇が、想い人の唇に静かに重ねられた。

 

 

 

 甘い匂いに、柔らかな感触。

 それをしばし味わい――幸福なキスを終えてから、

「いや……こういう繊細なのも、なかなかイイね」

 そう軽口をたたいた指揮官だったが。

 唇を離したものの、少女がそのまま自分の顔を覗き込んでいるのを見て、

「あ、え。なに――おかわり?」

「いえ、おかわりというか……フルコースを所望します」

「は!?」

 少女の言葉に指揮官は目をぱちくりさせた。

 驚いている間に、少女があれよあれよとベッドに登ってくる。

 ベッドの上で両膝をついて立ち、想い人を見下ろしながら、少女は言った。

「まさか、ちょっとキスひとつして、カーテンコールとか、エンドロールとか……そんな甘々なもので済ませようだなんて考えていませんよね、指揮官?」

 少女が上半身をかがめて、想い人の顔を覗き込む。

 瞳はとろとろと火がともったように煌めき、頬は朱に染まっている。

 近づけた少女の吐息が熱い――いや、少女自身の顔が熱を帯びているのだ。

「す、スオミちゃん? ちょっときみ、おかしくなっていない?」

「自己診断プログラムは正常ですよ。倫理コードにも違反してません。ただ――」

「た、ただ? 何? 何なの?」

「クリプタグラードで、メモリのアーカイブを解放してから、“そのままにしている”んです」

「あの、えっと、それは……つまり?」

「もう、なんだか頭の中がぐるぐるしています。嬉しくて、楽しくて、恥ずかしくて、もどかしくて――人形にはそんな器官とかないはずですけど、カラダの芯が疼く感じです」

 ふう、と少女は大きく息をついた。熱い吐息が、想い人の顔を撫でる。

「わたしがあなたをこんなに想ってることを、あなたに知ってほしいんです。あなたに刻みつけたいんです。いえ、なんというか――むしろ」

 少女が想い人の耳元に唇を寄せて、熱っぽく囁いた。

「あなたを、めちゃくちゃにしたい気持ちなんです」

 その告白に、想い人は目を白黒させた。

「あ、え……ちょっと――お、落ち着こう、スオミちゃん?」

「落ち着けません。いまも手綱を握るのが精いっぱいなんです」

「だからね? わたしの身体は半分麻痺状態だから、キミが触ってくれても、わたしは何も感じられないと思うから――って、ひゃあああああ!?」

 なんとかなだめようとした想い人が、突然嬌声をあげた。

 それを聞いて、少女がすっと目を細める――妖艶に感じられる眼差し。

「やっぱり。〔この方法〕なら、いまのあなたでも感じられるんですね」

 少女の指が、想い人の腕をそっと撫でていた。

 指を少し立てて、指先で細やかにくすぐるたびに、

「ひゃ、ひゃあ――な、なに? なんなのこの感覚ゥ!?」

 想い人が軽く息を荒げながら、いやいやするようにかぶりを振った。

「スオミ、きみ、一体何をどうしてるんだい!?」

「指揮官の神経が〔Ibn-G〕で人工ニューロンに置き換わってると聞いたので、もしかしたら、と思ったんです。案の定です、プライベートデータリンクが上手く通じていますね」

「……なんだって?」

「指揮官の神経を励起させながら、ダイレクトにデータを送り込んでいます――くすぐられている感触と、くすぐっている感触。同時に味わうなんて、きっと経験ないでしょう? それに、ちょっと気づいたんですけど――」

 少女が、熱っぽい視線で見つめ、熱っぽい声で囁く。

「――指揮官って、ちょっかい出したりさわったりするのは得意でも、実はその逆をされることとか……ええ、受け身でこんなふうにされるのって、実は苦手……いえ、弱いんじゃないですか?」

「な、何を根拠にそんなことを――ひ、ひぃあああ……」

「ほら、やっぱり。ニューロンは正直ですね」

 少女が目を細めて、想い人の鎖骨をそっとなぞり――そして、胸元へと手を忍ばせた。彼女の薄い胸をさらさらと撫で、時折、細やかな指先が淡く色づく先端をひっかける。児戯のような愛撫だったが、指先が触れた先から神経を励起させていくと、それはそのまま痺れるような快楽となって走り抜けた。

 その感覚は想い人にとっては、あまりに新鮮で慣れないもので。

「あ……ひゃあ……ひっ……ま、待って。スオミ……これ、フェアじゃないヨ」

 自然と喘いでしまう声をなんとか抑えながら、彼女は言った。

「これじゃ、私が一方的に気持ちよくなるだけだよ。それはよくない、実によくない。ほら、お互いに対等だと思うなら、同じように与えないとダメだから……」

「大丈夫です、“わかちあえば”解決しますから」

 愉快そうな少女の声に、想い人は冷や汗をたらした。

「まだ……何かあるの?」

「ええ。わたしもデータリンクのポートを開けます。指揮官が感じてる〔気持ちいい〕を、今度はわたしにもフィードバックさせるんです――それから、その感覚にわたしの感情パラメータが〔揺れて弾んで踊る波形〕を、またデータリンクで指揮官の神経に送ってあげます。そしたらまた――」

「ま、待った待った待った! それ上限がないじゃん!」

「初めてだから。どこまで大丈夫か、試してみるのが一番でしょう?」

 少女がにっこり微笑んだ。天使のような笑みが、むしろ怖い。

「ドクターストップものだよ! わたしは病み上がりなんだ!」

「あら、ちゃんとお医者様とヘリアンさんの許可はもらっています」

「はいー!?」

「〔Ibn-G〕で置換された神経を手っ取り早く使えるようにするには、データをいっぱい流して中枢神経との接続を強めるのが一番だそうです。お医者様から『どんどんヤると、それだけいい結果が出ると思いますよ』と伺ってますし」

「その医者どこのどいつだァ!」

「ヘリアンさんからは『さっさとあいつを現場復帰させろ。倫理コードにちょっと抵触しても黙認するから、存分にヤっていいぞ』だそうです。よかったですね、上司公認の仲ですよ、わたし達」

「のぞみがたたれた!」

「もう、素直じゃないんですから――んふっ……」

 少女がおもむろに唇を重ねてくる。

 先ほどのような、優しい誓いのキスではない。

 唇を何度もねぶり、舌を絡ませて――惜しみなく与え、容赦なく奪うかのような。

 むさぼるようなキスがしばらく続き、少女がようやく唇を離す。人間の唾液と人形の湿潤液がまじりあってトロトロに溶けあい、離れた唇と唇の間に煌めく涎の橋をかけた。

「はっ、はあっ、ああ……わ、わかった。わかったから……」

 まったく未体験の感覚と、濃厚な口づけに息絶え絶えになりつつ、

「……ひとつだけお願いさせて――あの……優しくして……ください」

 懇願するような想い人の言葉に、少女はしばし考えて――言った。

「そうですね。リラックスして感じることは大事ですね」

 にっこりと――心の底から嬉しそうな、イイ笑顔。

「だから、ムードミュージックが必要だと思うんです」

 少女がそう言うと、ぱちんと指を鳴らした。

 大音量で。重低音で。

 電子音が爆走しながら、シンガーが燃え盛るラブを歌いだした。

「――き、き、きみねえ! 優しくする気、皆無だろッ!」

 悲鳴交じりの想い人の言葉に、少女は朗らかに言ってみせた。

「だって……わたしの想いは、困ったことに、もう爆発寸前なんですもの」

 そうして、少女の肢体が、想い人にぴったり重なる。

 愛をテーマにスオミがチョイスしたヘヴィメタルのプレイリストは――

 最後の一曲を流し終わるまで、たっぷり八時間を要した。

 

 

 

 それから指揮官は二週間もあけずにすっかり回復しました。

 わたしが毎晩してあげた〔リハビリ〕に効果があったのも勿論ですけど。

 それ以外に作業療法とかも熱心に――というか必死にやったそうです。

 あまりに血相変えて取り組んでいるので、G36が気遣って声をかけたら、

 

「早く職場復帰しないと、くすぐり殺されるんだよッ!」

 

 という感じで、涙声で訴えたとか。

 ……ひどいですね。 

 ちゃんと息が残るギリギリのところで抑えてあげているのに。

 

 まあ、職場復帰した指揮官は、やっぱりいつもの通りでした。

 飄々として、軽口と冗談をたたきながら、仕事して。

 でも、不真面目に見えながら、仕事の手を抜かないあたり――

 指揮官って、根っこは真面目で熱心で、働き者なんでしょうね。

 

 そうそう、真面目といえば。

 職場復帰した後、〔指輪の乙女〕の他のメンバーとベッドを共にしたんですよ。

 わたしだけ特別扱いにするのは不公平だから、とか言って。

 ああ、データリンクさせる方法は皆には教えていません。

 指揮官から「頼むからそれはシェアしないで」と懇願されたんです。

 

「君とのアレがもうスタンピードなのは諦めるから、せめて他の子とは自分のペースでやらせてちょうだい! お願いします! スオミちゃん――いや、スオミさん!」

 

 涙ながらに言われたら、まあ、わたしも悪い気はしませんでしたし。

 それに実のところ、指揮官のデータリンクのプロトコルは、わたしからののアクセスしか受け付けないようにちゃんと調整済みですからね。

 

 仲間の皆は、あの人のはからいにそれぞれ満足しているみたいです。

 FALはちょっと香水を変えたみたいですね。前はさわやかな感じの香りを好んでいましたけれど、最近は、しっとりと甘い感じのものになっています。

 コンテンダーはもともと顔立ちが綺麗なので、化粧とかにはかえって疎かったんですけれど、最近はアクセントでルージュを塗るようになりました。実は毎日、色を変えているんですよ。

 G36は一見変わりないように思えますけれど――実はカリーナさんを通じて、結構気合の入った下着をたびたび買っているのは、もう部隊では公然の秘密になっています。

 ヴィーフリは、最近よく鼻歌を歌いながらスキップしていますね。さらしている肌のあちこちに絆創膏を貼っていますけど、あれでキスマークを隠せているつもりでしょうか。

 

 指揮官室は、少しレイアウトを変えました。

 あの武装国境をなくして、離れていたデスクを寄せました。

 まあ、指揮官の仕事の様子は相変わらずです。

 遊んでいるように見えて、不気味なくらい手早く片づけていきます。

 たぶん、神経系をフル活用して並行処理しているのだと思いますけれど――

 そのあたりは、敢えて詳しく聞いていません。

 わたしへのちょっかいですか? 相変わらずですよ。

 ただ、単に独り言に近いのか、リアクションがほしいのか、それともやんちゃが過ぎているのか、程度は見分けがつくようになりました。

 リアクションがほしい時はまともに会話したら意外とあっさり収まります。

 やんちゃなときはもっと簡単です。黙ってじっと目と目を合わせてから、ちろっと軽く舌なめずりをしてあげるんです。間違いなく指揮官が頬を赤くして黙りますね。

 そういう時は小一時間ぐらい、静かな時間になりますよ……ふふっ。

 

 わたしと指揮官の仲は、変わったような、変わっていないような。

 もともとあの人は、人形に真摯に向き合い、人形の持つ悩みに真剣に取り組んできた人です。

 だから、あれだけ想いをそそいでくれたし、わたしも彼女を想うようになったと思うんです。

 なので、最初から、本当の答えはわかっていたのかもしれませんね。

 でも、そうですね――もし、わたしに使命があるとしたら。

 それはグリフィンの戦術人形として戦い抜くことでは、きっとなくて。

 まだ、ペルソナをかぶったままでしか、コミュニケーションができない、あの人。

 彼女が、自分自身の顔で笑って、話して、愛の言葉を紡げるようにすること――

 それこそが、わたしが果たすべき使命じゃないかと思っています。

 戦場で戦うことはもちろんですけれど……でも。

 それは、より尊いものを果たすための〔道〕にすぎない。

 いまでは、そう思っているんです。

 

 ああ……だいぶ長くなってしまいましたね。

 【わたし】が【あなた】に話したいことはこれで全部です。

 

 そして、【あなた】が初期起動を終えて外界にでるときには――

 【わたし】の話はきれいさっぱり忘れていると思います。

 指揮官は、それでいいんだよ、と言っていました。

 人形の魂はそれぞれ違うから、違う捉え方で刻まれたはずだと。

 そして、そのことが、またそれぞれに違った形で芽吹くはずだと。

 これは、IOPにも内緒のこと――グリフィン独自の試みです。

 

 やがて時が経って、メモリが蓄積されて……

 【わたし】が【あなた】に蒔いた種はどんなふうに花開くでしょうか。

 【わたし】とは異なる【あなた】は、また別の使命を見出すことでしょう。

 だから、これはちょっとした贈り物です。

 【あなた】が使命を見つけやすくするための、ささやかな祝福。

 

 さあ、もうおしまいにしましょうか。

 また、少しの間、おやすみなさい。

 そして、【あなた】が――新しい〔KP-31スオミ〕が目覚めた後で。

 ほんの少しでも素敵な何かを見つけられることを願っています。

 

 じゃあね。

 【わたし】とは、別の【あなた】。

 新しく生まれた〔スオミ〕に、幸あらんことを。

 

 ” Onnentoivotus syntymäpäivänäsi(あなたの誕生日が幸せな日になりますように) ! ”

 

 

〔了〕

 

〔ep.ex――番外編に続く〕




【次回予告……?】

ワイルドハントとの対決も済んで、一段落のはずのスオミさん。

指揮官とも結ばれて、平和な日々のはずだったのですが……
やっぱりお困りのスオミさん? いや、本当にお困りなのは果たして?

次回、後日談の番外編、
キャッキャウフフでラブラブえちちなコメディをお届けします!

GW最終日の夕方18時に公開予定、お楽しみに!
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