ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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夏の慰安旅行!②

「よし!わしらの出番じゃな!行くぞ!白哉坊!!」

「・・・・・・。」

「・・・なんであたしがこの人達と一緒なの~~・・・。」

 

 

実力も華も段違い、四大貴族の現当主と元当主と同じチームになった清音は、半分絶望していた。

吉良以上に参戦出来ないかもしれない。

だが、そんな青い顔をしていた清音に、救いの手を差し伸べる者が一人。

 

 

「大丈夫ですよ、私も、多分あまり参戦しなさそうなので。」

「副会長!・・・ですがさっき、口囃子さんと一緒に頑張りましょうって言ってたじゃないですか~。私なんか、二人の会話に割り込むことも出来なくて・・・。」

「それなんですが、実は・・・。」

 

 

そう言って指さした方向には、一生懸命デモンストレーションを繰り広げている拳西と隼人の姿があった。

えらくガチな雰囲気が漂っている。拳西の怒号に不貞腐れず練習をしているが、すでにそれは常人の域を超えていた。

 

 

「あそこに私が割り込める勇気はありません。」

「あっちもですか・・・。」

「本当、羨ましいですね。男の人ってこういうのに熱中できて。」

「あれは・・・熱中しているのでしょうか・・・。」

 

 

あまりにも動きが速すぎてもはやギャグにしか見えないため、清音からしたら困惑しかしないものだ。

むしろ余計不安になる。

 

暫しの休憩が終わり、卯ノ花の号令でビッグマッチが遂に幕を開ける。

 

 

「隊長三人かぁ。俺もやりたいな~~。」

「いけません浮竹隊長!万が一があっては困ります!」

 

 

いつもの浮竹と小椿のやりとりを繰り広げ、じゃんけんによって馬酔木がサーブを打つことになった。

 

 

「はい!七緒さんお願いします!」

「私でいいんですか?」

「はい!むしろお願いします!」

 

 

ここで七緒に渡すことでしっかりチームとして競技に参加させる。そうして隼人はしっかり七緒を蚊帳の外にしないように配慮した。

 

 

「それでは、お願いします!」

「は~じめ~~!!!」

 

 

やちるが鳴らしたホイッスルをきっかけに、七緒はボールを上にあげて構えの姿勢を取る。

決してボールから目を離さず、集中してボールの落ちる速度を見計らう。

前の方にいた拳西と隼人も七緒がサーブする様子をしっかり見ていた。

 

 

「せいやぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!」

 

 

七緒が打ったサーブは、場全員の度肝を抜くことになった。

 

あまりにも本気を出し過ぎてしまった結果、白のサーブなど比べ物にならない程の破壊力を叩き出す。

落下点にズボォォォ!!!と球が入り込み、球の直径の太さの少し長いトンネルもどきが出来上がってしまった。

 

 

「こっ・・・これって・・・。」

「おぉ~。中々鋭いアタックだな。」

「いや、そんなこと言ってる場合じゃないですって!」

 

 

開いた口が塞がらない隼人と、天然をかます浮竹に、常識人の吉良が安定のツッコミを入れる。

相手チームにいた夜一は興味津々でボールが埋まった場所に向かって行った。

 

 

「七緒!アンタ何しとんねん!!強すぎや!!」

「えっ!嘘!ごめんなさい!!」

 

 

見ていたリサも一目散に落下点に駆け寄る。すでに砂中深くに球が埋まってしまったため、スコップか何かで掘らないと発掘できないだろう。

近くにある海の家にスコップを貰いに行くことになり、小椿と吉良が駆け足で取りに向かった。

 

 

「七緒さん・・・張り切りすぎちゃいましたか?」

「私としたことが・・・!お恥ずかしい・・・。」

「京楽隊長には後で伝「絶対に言わないで下さい!!!」

「あっ・・・・・・はい。」

 

 

額に手を当て俯く七緒は、大失態を犯した自分にかなりのショックを受けている。

そんな中でも拳西と勇音が手で発掘作業を続けていたが、一向に出てくる気配はない。

 

 

「これ相当奥まで埋まってんじゃねぇか?」

「私が腕伸ばしても取れないですねぇ・・・。」

「あらあら。手足の長い勇音が腕を伸ばしても取れないとは、これは相当に深いところまで埋まったようですねぇ。」

「ったく、ぎょうさん迷惑かけおって!七緒は優勝してもせんぶり茶確定や!!」

「えっ私確定ですか!?」

 

 

しょぼーんと更に七緒が落ち込んでいたところで、小椿と吉良が戻ってきた。

何故か、浦原と鉄裁も共に。

 

 

「えっ何故浦原さん達が!?突然すぎません!?」

「現世の人間がいない方が、皆さん羽を伸ばせるでしょう?卯ノ花サンに雇われて浦原商店海の家特別店を今日限定で出店したんス!!」

「いやまあ、確かに羽は伸ばせますけど・・・。」

「ではここは私が。ふんっっっっっっ!!!」

 

 

あっという間に鉄裁は、まるでアリの巣を撲滅するCM映像のように砂地を原因不明の原理で二つに割り、その中から球を取り出した。西洋の宗教に出てくる伝説っぽくもある。

ぎょっとする光景に、鉄裁に会ったことの無い小椿や清音は驚愕の表情を浮かべる。

ルキアは彼らの突然の来訪に驚きこそしたものの、鉄裁の仕事ぶりに感心していた。

 

 

「やはりこういう時にテッサイは役に立つな。それに比べて浦原はただ来ただけではないか!」

「そりゃあそうっスよ~~。アタシが砂深くに埋まった球を取り出せるように見えますか?」

「私は貴様を埋めてやりたいがな。いやいっそ埋めてやろうか?頭だけ出して西瓜割りならぬ浦原割りでもするか?貴様の頭を血祭りにでもあげぬと私は気が済まぬ・・・!」

「そっ砕蜂サン・・・お手柔らかに~~・・・・・・。」

 

 

浦原の存在を見た途端に砕蜂は秒で不機嫌極まりない顔になってしまったが、何はともあれ試合再開できそうだ。

鉄裁の力で元通りに砂浜は修復され、試合再開となった。

 

 

しかし、最初に七緒が意図せずブッ飛ばしたせいで隊長三人が自分の力量にかなり気を遣うことになってしまい、今までの試合の中で最もフツーなビーチバレーとなってしまった。

逆に清音と七緒は参加しやすくなり、今までの殺伐としたビーチバレーとは打って変わり、レクリエーション感満載の和気藹々とした試合が最後まで続いた。いや、続いてしまったと言うべきか。

 

接戦を勝ち抜いたのは、夜一率いるチーム菊が勝ち上がった。

 

 

「やるからにはしっかり優勝じゃ!」

「朽木隊長と夜一さんがチームにいれば大丈夫ですよ!決勝も頑張りましょう!」

「・・・・・・。」

 

 

清音も夜一と打ち解け、普通に会話できる程度には仲良くなれた。相変わらず白哉は無口だが、三人の連携はバッチリなので、特に気にすることでもない。

負けた馬酔木の面々もそこまで悔しそうにはしておらず、けろっとしていた。

 

 

「負けちまったが別に金一封欲しいワケじゃねぇしな。俺はどうでもいい。」

「雀部副隊長のトロピカルジュース飲みたかったな~・・・まぁそこまでこだわってないけど。」

「私も最初以外は何もやらかさなくてよかったです・・・。」

「やっぱ最初のは京ら「ぜ・っ・た・い・に・ダ・メ・で・す!!!!!」

「わかってますからっ。」

 

 

ケラケラと笑い三人はコートから退場し、竜胆の面々と入れ替わる。

先ほどの反省を踏まえ、霊力の使用は一切禁止、純粋なビーチバレー大会となった。

最終試合も接戦となったが、勇音のブロックが不発に終わるようになってからは風向きが決まり、最終的にチーム菊が優勝した。

 

仮にも貴族の二人には金一封など大したことの無い金額なので、金一封は全て清音の物となり、金欠の小椿や松本からかなり羨ましそうな目で見られていた。雀部特製トロピカルジュースも、誰も食レポをしなかったため詳細な味は分からなかったが、あの白哉が「・・・美味。」と言う程には美味しかったらしい。

 

一方最下位は、全くもって連携を取れなかった金盞花の手に渡ってしまった。せんぶり茶を渡されてからは、

 

 

「これは美容にいいもの・・・これを飲めば私は美しくなる・・・。」

「夜一様が力の足りない私に与えて下さったのだ・・・。夜一様のために飲まねば・・・。」

「ひぃ・・・何で俺がこんな苦いモン飲まなきゃなんねぇんだよ・・・。」

 

 

などと刷り込みやら嘆きやらをぶつぶつ呟きながらくいっと一息に飲み干した。

一方リサに言われて七緒も飲まされることになったが、何故か七緒は「少し苦いですが、普通に美味しいと思いますよ。」と、予想外の感想を述べてしまい、ギャラリーの失望を買った。嘘でもまずいアピールすればよかったのに。

 

 

バレー大会が終わった後は皆でパラソルの中に入って浦原商店の面々が作った重箱を皆で囲み、午後は浮竹主催の海浜芸術會を行うことになった。

 

女性死神からはかなり不満の声が上がったものの、こちらも総隊長からの金一封が出るとのことでまたも金欠の死神達はやる気を出した。

 

 

「お前も参加すんのか?」

「ん~どうしましょう・・・。僕粘土とか苦手で・・・。」

「それなら砂絵でもいいぞ。消えないように砂浜から離れた場所でやるといい。」

「本当ですか浮竹隊長!!」

 

 

ぱあっと顔色を明るくした隼人は早速少し離れた場所に駆けて行き指と近くにあった枝を使って砂絵を描き始めた。

そこから他の皆も参加を考えていた者は砂を集めバケツで水を汲み、各々砂の像を作り始めた。

 

今回は写真撮影に専念し、どうせなら隼人の自信作でも見に行こうかとした所で、何故か吉良にトントンと背中を叩かれる。

 

 

「どうしたんだ?」

「いや・・・あの・・・。六車隊長は口囃子さんの描いた絵を見たことがありますか?」

「無ぇな。そういやあいつ絵描けんのか・・・?」

 

 

よくよく考えてみると、血濡れのお守りの修繕跡は上手に縫えているとは言えず、何度も縫い直した跡があったような。

ということは、絵もあまり得意ではないのかもしれない。

遠くで指を砂の上に滑らせている様はいかにも絵が描けそうな雰囲気を漂わせているが、それもどうなのだろうか。

 

 

「口囃子さんのは、最後に見ましょう。集中させてあげないと。」

「・・・それもそうか。」

 

 

吉良は修兵から隼人の画力について聞かされているが、あまり他人のことを悪く言わない修兵からしても瀞霊廷通信に載せられない程の「ド下手」らしいので、一体拳西がどんな反応をするのか少し恐くもあった。

遠くから見ていても既に完成形はヤバそうなので、何とか拳西の気を逸らせればと思い、一緒に皆の作品を見て回ることにした。

 

最初は、やちる、白、リサの三人が砂の塔を作っている所に向かった。

 

 

「イヅルんにむぐむぐ!写真撮りに来たの!?」

「拳西参加しないの~~!?つまんなーーい!」

「俺は写真撮ってくれって修兵に頼まれてんだよ。」

 

 

やちるがあだ名をつけることは隼人からも聞かされているため、拳西は基本ノーコメントを貫いている。白にもつまんないと執拗に食ってかかられているが、正直それ以上に問題行動をしている女が一人いた。

 

 

「おいリサ!ガキの前でエロ本広げんじゃねぇ!」

「黙っとき拳西!この塔の横に作る砂像をどれにしようか考えてたんや!」

「塔の横にいかがわしいモン作んな!いかがわしさ倍増してんだろーが!」

「何言うとんねん!拳西も興味津々なクセに!!このスケベ!!」

 

 

それからも二人の言い合いをよそにやちると白は砂の塔をいそいそと作っていたが、さすがに卑猥な砂像を作るのはやちるの目に毒でしかない。そのため、エロ本は吉良が没収して悪戯目的で修兵に渡すことにした。

 

 

「あたし知ってんで!あんなすました顔して修兵がドスケベなの!あいつあたしの会社に半月に一度エロ本購入希望の依頼書出しとるんや!その本なんかもあいつ多分持ってんで!渡しても無駄や!!」

「顧客の秘密守るんじゃなかったのかよ・・・。」

「檜佐木さん、ハイペースすぎません・・・?」

 

 

 

「へぇっくしっ!!」

「檜佐木さん、今日えらくくしゃみ多いっスね。風邪とか大丈夫っスか?」

「風邪は引いちゃいねぇが・・・。何だろうな・・・。」

「噂っスか。まぁ檜佐木さん位になれば女の子から噂されてもおかしくないっスね。」

「何言ってんだ!」

 

(俺は・・・。どんなにカワイイ女の子に言い寄られても乱菊さん一筋だ!絶対に!!!)

 

 

 

またも選考に漏れた男たちは置いといて。

幸いにも白とやちるは塔作りに夢中になっていたため聞いていなかったが、拳西と吉良は聞きたくなかった修兵のそういう事情を聞かされ、複雑な気持ちになってしまった。

これ以上聞くと耳に悪いため、適当にリサをいなして二人はその場から離れた。

 

次は松本、雛森、ネムが何かやってる所に向かう。

少し離れた場所で立っていた七緒が血相を変えて怒っているようだった。

 

 

「そうそう!そうやって寄せれば、ほら、完成!胸バケツ~~!!」

「これが、胸バケツですか・・・。マユリ様にご報告を。」

「私、乱菊さんみたいに胸大きくないから出来ないなぁ・・・。」

「何やってるんですか三人とも!!」

 

 

そんなタイミングに拳西と吉良もたまたま来てしまったため、特に吉良は反応に困ってしまった。

 

 

「あ、六車隊長~~!・・・って、これは写真撮っちゃダメですからね!?」

「撮るワケねぇだろ・・・。」

「あれ?吉良くんどうしたの?」

「ひっ雛森く~ん!六車隊長と一緒に歩いていたらたまたまここに来ただけだから!」

「ふーんそっか。私も胸バケツ出来たらなぁ・・・。面白そうだし・・・。」

「~~~~!!!!」

 

 

雛森に関しては単なる興味本位で胸バケツが出来ればと考えていたのだが、そんな姿を想像した吉良は自分でも分かってしまう程に顔が真っ赤になってしまった。

悟られてはいけないので拳西の後ろにさりげなく隠れる。

一方七緒は胸バケツに関して松本と口論を続けていた。

 

 

「教育上よろしくありません!!中学生がご覧になる可能性だってあるのですよ!」

「あんた何言ってんのよ。っていうか何でそんなムキに・・・あっ!!」

 

 

七緒の胸を見た瞬間に違和感を抱き、その理由をすぐに解明する。

瞬歩こそ使えないものの、恐ろしい速さで松本は七緒の背後を取り、後ろから抱き着いてピンクのビキニ(()()京楽に頼まれた松本のお土産)(口外を禁ずる)の胸に手をスッと入れる。

 

スポン、と取り出した物のせいで、七緒は今日一日の誇りを失うことになってしまった。

 

 

「七緒の奴、胸にパッド入れてたわ!!」

「はぁぁぁっっっ!!!何てことするんですかぁっ!!」

 

 

七緒の胸に存在したふくらみは一瞬でしぼんでしまい、雛森とさほど変わらないボリュームになってしまう。

それを見てしまった吉良はほんのり顔を赤くし、拳西は一応見ないフリをしておいた。

別に拳西にとっては年齢だけで言えば古株なので興奮もクソも無いのだが。

むしろ隼人がこの場にいなくて良かったと心底安心する程だった。

 

 

「お前ら何か作るならそろそろ作り始めろよ。時間もそんなに無ぇぞ。」

「は~い!じゃああたし達も始めましょっか。」

「ええ、胸バケツで水も運べますし、問題ありません。」

「それはもういいですから!」

 

 

先行きには不安が残ったが、これ以上絡むのも疲れるので、早めに二人とも退散して次の場所へと向かって行った。

 

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