ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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《番外編》ビーチバレーエキシビションマッチ!

「このままでは歯切れが悪いので、『えきしびしょんまっち』を行いましょう。」

 

 

ビーチバレー大会が終わった後、卯ノ花の鶴の一声で最後にもう一戦行うことになった。

七緒が頑張りすぎたせいで皆萎縮してしまい、期待していた戦いが見れず不満に思っていた一部の隊士に配慮した形でもある。

 

 

「参加者は全員隊長、もしくは元隊長です。どうせなら、『やんぐ』チームと『あだると』チームで分けましょうか。」

 

 

こうして、やんぐチームには日番谷、白哉、砕蜂と共に、砕蜂の強すぎる要望に応じる形で夜一が入った。相変わらず同じチームになった白哉は心底嫌そうな顔をしている。

あだるとチームには浮竹、浦原、拳西、卯ノ花が入る。

主審はやちる、副審は吉良が行うことになった。この時点で嫌な予感しかしない。

 

日番谷と浮竹のじゃんけんで日番谷が勝ち、砕蜂の要望で夜一がサーブを放つことになった。一緒のチームになれただけで砕蜂は舞い上がってしまい、男たちは若干肩身狭い思いをしていた。

 

この戦いでは本気を出してもいいため、もはやルールなどあってないようなものだった。

 

 

「いくぞ!!ふん!!!」

 

 

まさかの足で夜一はサーブを決めた。

 

 

「すげぇ!いきなり本気!」

「いやこれセパタクローじゃないですから!」

 

 

ギャラリーにいた隼人が早速テンションを上げる。副審の吉良のツッコミはいつも通りだ。

しかし夜一の球を受け止めたのは浦原だ。

何やら特殊な道具を腕に嵌めており、それで球の威力を軽減したようだった。

 

 

「夜一サン、いきなり本気出し過ぎですってば!」

「こんな球、おぬしで無くとも十分受け止められるわ。」

 

 

浦原がレシーブした球を前で構えていた拳西がトスし、浮竹にアイコンタクトを取る。

頷いた浮竹は球が落ちてくるタイミングで跳び、アタックの姿勢を取る。

浮竹の完璧なフォーム、跳躍の瞬間美しく跳ねる長髪に、清音は黄色い悲鳴を上げ、小椿は顔を赤くしつつ雄叫びをあげる。

他の面々もみな美の権化にどよめく。

 

 

 

しかし。

 

跳んだ時点で体力切れになってしまい、アタックを決めることは出来なかった。

へなへなへな~~と砂浜に倒れ込んでしまう。

 

 

「「うっ浮竹隊長!」」

 

 

三席二人が真っ先に駆け寄り、すぐさまパラソルの下に運んで水分を取らせる。

やはり真夏の陽射しの下でバレーをすることは、浮竹には厳しいようだった。

 

 

「しばらく、お休みになって下さい。肺にも負担が来たら大変なので・・・。」

「済まない・・・。せっかくアタックを決められそうだったのにな・・・。」

「やはり厳しかったですね・・・。では、どうしましょうか。3対4では人数的に不公平になってしまいますし・・・。」

 

 

う~ん、と一同考えていた中で、浦原がある提案をする。

 

 

「口囃子サンをアタシ達のチームに追加しましょう!」

「はぁっ!?!?無理無理無理無理!!!無理ですって!あんな激戦地みたいな空間に入れませんって!」

「藍染相手に一人で粘った奴が何言ってんだ。十分隊長レベルの力だぞ。」

「おだてないで下さい!鉄裁さんでいいじゃないですか!」

 

 

とは言うものの、何だか完全に隼人が参加する雰囲気が出来てしまっている。

これ以上頑なに嫌だと言えば、より一層冷たい視線が突き刺さるだろう。

極めつけは、後輩共の言葉だった。

背後に近付き、耳打ちで決定打を打ち込む。

 

 

「(伊勢副隊長に、カッコいいところ見せられますよ!)」

「(七緒にイイとこ見せられたら、きっと上手くいきますってば!)」

 

 

「~~~~!!!もう!しょうがねぇなあ!!分かったよ!!!」

((案外ちょろい・・・。))

 

 

それでもやっぱり鉄裁の方が実力的には向いているのではと思わずにいられないのだが、何故か鉄裁はこの場にいなかったため、仕方がない。

招かれたからには頑張るぞ。

 

 

再び仕切り直しで夜一がサーブを打つことになった。

だが、さっきと様子が違う。

 

球を持つ手から、金色の光が生まれる。

同時にその光は上半身に広がっていき、肩と背中、そして全身に渡り、雷の力が宿っていく。

 

 

「おお・・・!夜一様!何と凛々しく、お美しい!!!」

 

 

砕蜂は興奮しているようだが、吉良にとっては危険この上なく、すぐにでも止めさせたい程だ。

コートにいる死神達は誰もツッコミを入れず構えているのが余計にシュール。

 

瞬閧。

 

それも雷の力を携えた夜一の瞬閧は、バチバチと青白く、かつ金色に輝いた電撃を纏っている。

 

 

「隼坊がおるなら、わしもこれ位本気を出さねばいかんのう。」

「浮竹隊長の方が強いのに・・・。何でこんな目に・・・。」

 

 

だが、現状を嘆いても仕方がないため、すぐに諦め、迎撃態勢に入る。

幸いにも浦原ならどうにかしてくれる筈だし(さっきもどうにかしていた)、夜一はやはり浦原を見据えている。

まさか飛んでくるなんて。

 

 

しかし。

 

 

「何おぬしはぼさっとしておる。」

 

 

瞬閧の力をまとった状態で打ち込んだ球は、真っ直ぐ隼人の方に向かってきた。

バレーのルールを履き違えているとしか思えない夜一の蛮行に、一瞬で隼人は肝が冷える。

 

とにかくこの場合、これしかなかった。

 

 

「うおおおおおりゃあああ!!!!」

 

 

反鬼相殺。

相殺は出来なくとも、頑張って威力を弱める位なら何とかできた。

全力のレシーブは球こそ乱れたものの、落とさずには済んだ。

今度は前に移動していた浦原がトスをし、卯ノ花がアタックをする。

それを見越した後列の親子二人は、相手コートに細工を施した。

レシーブの直後、球に当たらないように拳西は断風で何本もの風の糸を生み出し、相手コート側の空中に糸を送り込む。

 

 

「やってくれるな!」

 

 

狙いに気付いた日番谷が氷輪丸を呼び起こして風の糸を集中的に凍らせようとしたものの、既に遅い。

隼人が遠くから打ち込んだ鬼道の弾丸が速度で勝利し、相手コートの空中は大爆発を引き起こした。

 

 

「わぁ~~!すごいすご~い!」

「規模が違いすぎるよ・・・。」

 

 

斬魄刀の力をもフル活用したビーチバレーは、今までの戦いとはワケが違う。

爆発によって生まれた黒煙のせいで、視界が奪われる。

そこに来て卯ノ花のいたってシンプルにもかかわらず、恐らく今日のアタックの中で誰よりも速い球が飛んでくる。

 

点を取られる。そう思ったが。

 

 

剛速球を寸での所で受けきったのは、同じく瞬閧を発動させた砕蜂だった。

圧倒的速度のおかげで、まさに砂に接しそうになるギリギリの所で球を落とさずに済んだ。

そして風の瞬閧を扱う砕蜂は、今の動きをしつつも黒煙全て風で吹き飛ばすことも怠らない。

 

 

「ちっ。やっぱ簡単にはいかねぇな。」

「拳西さんきます!」

「うるせぇわーってる!」

 

 

ここで来たのは、バレーの球ではなく、白哉が放った雷吼炮だ。

これを打ち込むだけで、やんぐチームは球に対応できる相手の人員を一瞬でも一人失わせることが出来た。

さらに。

 

日番谷が使った氷輪丸の力で、隼人は海から伸ばされた氷に足を取られ、身動きが取れなくなった。

 

 

「とっ冬獅郎くん!セコい!!」

「日番谷隊長だ!」

 

 

夜一のトスを受け、砕蜂が瞬閧を使った渾身のアタックを披露する。

白哉と日番谷の妨害工作で、瞬時に球に対応できるのは二人だけだ。

しかし、それでも決して油断しない。

 

相変わらずニコニコしている卯ノ花と、何を考えているのか分からない砕蜂にとって大嫌いな浦原が残っていては、警戒を怠ることが馬鹿とも言える。

 

そして砕蜂にとって憎き浦原が、案の定行動を起こす。

まさに球を打ち込もうとしたその瞬間、砕蜂の目の前にブロックしにきたのだ。

 

もちろん砕蜂にとってそれは予想の範囲内だった。

 

 

「甘いぞ!浦原喜助!」

 

 

しかし、タイミングをずらした途端、目の前の浦原は()()()()()

 

(なっ!!)

 

携帯用義骸。

難易度が高く、浦原しか使えない秘密道具がこの場において役立ってしまう。

浦原本人は、相変わらず砂の上でニコニコしていた。

面食らいこそするものの、砕蜂の今いる高度から球を打ち込むことは余裕だ。

騙された苛立ちで、球にはより一層威力が籠る。

 

 

「私をいつまでも、馬鹿にするなァァァァァ!!!!!!」

 

 

瞬閧の力が最大限まで籠った球の速度は、夜一の球に匹敵する程の速度を叩き出す。

風の力も入っているため、生身で受ければ骨が折れてもおかしくない。

 

 

だからこそ、浦原は次の一手を既に用意していた。

 

砕蜂の打ち込んだ球は、ネットの上を通り抜けようとした瞬間にパリーン!と陶磁器が割れる音と共に跳ね返り、威力そのままに自陣のコートへと真っ逆さま。

夜一ですら反応することが出来ず、遂に点を奪われてしまったのだった。

やちるのホイッスルが鳴り、あだるとチームの点数板を吉良がめくる。

 

最も理解出来なかったのは、球を打ち込んだ張本人。

 

 

「何故だ!何故私の球が跳ね返った!説明しろ浦原喜助!!」

「実はですね・・・。」

 

 

携帯用義骸から抜け出した瞬間、浦原は砂の上からネットの上にあるものを飛ばした。

 

 

「じゃーーん!現在目下開発中、現世駐在任務中の死神にお役立ち!?即席擬似障壁っス!」

 

 

それは、マーブルチョコ一粒程度の大きさの水晶のような材質で作られた秘密道具であり、指で持った状態から霊力を籠めると、人一人が入る程度の障壁を作り出すことが出来る代物だ。

 

 

「本来手に持っている状態でないと発動出来ないんスけど、事前に六車サンと口囃子サンと打ち合わせして、手から離れても展開できるように調整したんスよ。アタシが空中に投げたいくつかの障壁の素が飛ぶ軌道を六車サンが風を操って調整し、それに口囃子サンが霊力を飛ばして干渉し、障壁を形成しました。」

 

 

よりによって、一時的にでも潰したと思っていた二人がまたも暗躍していたとは。

砕蜂は言うまでもないが、日番谷と白哉もあまりいい顔をしていない。

 

 

「まぁ一回球が当たっただけで割れてしまうような粗末な壁ですけどね。ですが皆サン、一度潰したと思っても、安心しないで頂きたいっスね。足元掬われますよ?」

 

 

その浦原の言葉に砕蜂はより一層苛立ちを募らせるものの、十分道理に適っているため、悔しそうな顔をしつつ引き下がる。

相変わらずニコニコしている卯ノ花や夜一の存在が異様に感じる程、やんぐチームは殺伐とした雰囲気に包まれていた。

 

 

「これ、本当に大丈夫なのかな・・・。」

 

 

相変わらず一抹の不安を抱く吉良は、とりあえず死人が出ないことを祈りつつ副審としてバレーを見守り続ける。

 

 

今度は卯ノ花がサーブを放つ。

相変わらず笑顔で剛速球を打つ姿にももう慣れた。

白哉がレシーブし、砕蜂がトスをする。

アタックの日番谷は、ここにきて何と卍解してしまった。

 

 

「え~~っ!日番谷サン卍解!?」

「ガチになりすぎだろ・・・。」

「ほら!拳西さんも対抗して卍解!」

「しねーよ!!」

「群鳥氷柱!!」

 

 

アタックそのものはそこまで強い威力ではないものの、日番谷は自分の技に霊力を重点的に注いだため(しかも隣には海)、以前ハリベルと戦った時よりも圧倒的な物量の氷柱を飛ばしてきた。

 

しかし、こういった弾幕にうってつけの死神がこちらには存在した。

 

 

「むしろ俺の始解の方が弾幕にはうってつけだぜ!」

 

 

氷柱は全部拳西の断風が作り出した糸で爆散させ、近くで構えていた隼人がレシーブを難なくこなす。

しかし、さらに白哉からの千本桜が二人に襲い掛かる。

 

 

「拳西さん!これも!」

「バカ!数が多すぎるぞ!」

 

 

それに、白哉の千本桜は斬魄刀でもあるので、爆散させるには手間がかかる。

上空から二人のいた場所に桜吹雪が突っ込んでくるが、寸での所で二人は左右に避ける。

 

しかし、千本桜は次にトスをしようとした浦原に狙いを定めた。

 

 

「え~~!アタシに千本桜は防げませんよ~~!どうしましょ~~!」

「ご自分で何とかして下さい!」

「口囃子サン!そんな殺生な~~!・・・なんてね。」

 

 

狙いに気付いたあだるとチームの面々は事前打ち合わせをして水着に忍ばせていた耳栓を嵌め、腕で目を塞ぐ。

気付いた夜一が即座に反応した。

 

 

「伏せろ!!!」

 

 

その瞬間、浦原特製、隼人も藍染戦で使用したスタングレネードを発動させ、一時的とはいえ相手の目と耳を奪った。

 

これにより、白哉は自らに及ぶ危険性を踏まえて千本桜を戻すしかなくなり、卯ノ花のアタックになす術もなくやられてしまった。

 

 

「は~い!あだるとチーム、2点目~~!!」

 

 

連続で2点入れられ少し安心するものの、やはり隊長だらけのバレー大会はヒヤヒヤしかしない。

基本的に浦原の秘密道具があるおかげで点数が稼げているものの、それも無くなったら逆襲が待っているだろう。

 

それからバレーは同じように続いていったものの、やはり何度か逆襲にあってしまった。特に日番谷と白哉の妨害工作はすさまじいものだった。

千本桜など直撃しただけで大怪我モノなので、避けざるを得ない。

だが隼人達も負けるわけにはいかない。

 

パーカーを上空に飛ばすだけでブロックを攪乱させたり、卯ノ花と協力して縛道で敵の足を取ったり、様々な工夫を凝らした。

 

試合はあだるとチームが接戦を制したものの、コートの砂地はそれはそれは酷いものだった。

 

 

「うわ~・・・卯ノ花隊長、これ直せますかね・・・。」

「心配御無用ですよ、勇音。こうなった時の為に、あの方を残しておいたのですから。」

 

 

その言葉の直後現れたのは、隼人が参戦させようとしていた鉄裁だった。

何か重苦しそうな道具をたくさん持っている。

 

 

「では、砂地をならしましょう。皆さん、お手伝いを。」

 

 

鉄裁が自慢の力を用いた上で皆の協力の下、10分もかからず砂浜は元に戻った。

 

 

「しっかし、本当に凄い戦いだったなぁ~!俺も最後まで参加したかったなぁ・・・。」

「浮竹隊長、もう歩いても大丈夫ですか?」

「あぁ!水分もしっかり取ったし、もう大丈夫だ。隼人君は楽しかったかい?」

「・・・・・・疲れました・・・。」

 

 

地獄の『えきしびしょんまっち』は、これにて幕を閉じた。

 




アクションって、どうしても描写が長くなりがちです。上手くまとめるのが難しいですね・・・。
読みずらかったらすみません・・・。
ちなみにこちらはパラレルワールドの世界であり、直接物語との関わりはございません。ssのssみたいな感じです。
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