遂に千年血戦篇が始まりました。長らくお待たせしました・・・。
本ssのメイン篇です。空座決戦ではなく、一応こっちがメインです笑。
かなりがっつり書くつもりでいるので、展開はなかなかにゆっくりになることをご承知おき下さい。
1巻分の内容だけで4~5話使いかねないため、千年血戦篇だけでいくつか章を分割するつもりです。
今回は人物紹介はネタバレ回避のため最後に回します。
神隠し
近頃、身震いすることが増えた。
それは単なる武者震いなのか。それとも寒気を感じ取ったからか。
空座町駐在の死神が引き継ぎを行っている間、死神代行とその友人しかいなくなるため何らかの異常を感じ取った場合にはすぐに報告出来るよう、始解して空座町の霊圧を読むよう頼まれていたのだが、身震いの後、巨大虚が出現することが日に日に増えていった。
まるで、何かを待ち構えているかのように。
「最近のお前は、霊圧を受信する力が強まっているからな。余計な霊圧も感知してしまうのかもしれぬ。」
狛村に相談するも、杞憂だと言われたようなものだった。
「何も、起こらなければいいのですが。」
「それに越したことはないな。」
この話をした日、丁度十三番隊の行木竜ノ介と斑目志乃が空座町赴任日であり、その日も隼人は数多くの巨大虚の気配に身震いしてしまった。
その2日後。
今度は尸魂界の中で霊圧の大きな動きがあった。
「・・・?・・・・・・!?」
「どうした、口囃子。何かあったんか。」
「えっ・・・?いや、ちょっと待って、これって・・・!」
「何じゃ!もったいぶらんで早く言うんじゃ!」
「流魂街で、一気に多くの霊圧が消えた・・・!!」
突然の重大事態に、射場も一瞬で肝を冷やす。
「!!すぐに隊長に報告せえ!!地区はどこじゃ!」
「ちょっと待って!!地区は・・・・・・錆面!!西六十四地区の!」
「おうし!!なら十一番隊にも伝令じゃ!儂は斑目と綾瀬川に連絡する。場合によっちゃ儂も調査に同行じゃ!おどれは狛村隊長に報告せえ!」
「了解!!」
大急ぎで狛村に今回の事態を報告すると、狛村も事態を重く受け止める。
「十一番隊には至急調査に向かうよう、儂が取り計らう。本来の仕事に戻って構わぬぞ、隼人。」
「あの・・・自分で言っては何ですが、何かの間違いの可能性も・・・。」
「いつになく血相を変えて執務室に入って来たお前の報告を、儂は偽りだとは思えぬ。受け入れろ。由々しき事態は現実に起こっているのだ。十三番隊隊士の話は貴公も聞いている筈だ。それは、霊圧の動きを感じ取ったお前が一番に分かっている筈だ。報告を受けた儂に言わすな。」
「はい・・・。」
退出後、狛村は更木に連絡を取り、射場から報告を受けた斑目と弓親を既に行かせているという旨を聞いた。
自分の机に隼人が戻った時、あまりの怯えたような顔に射場は心配せざるをえなかった。
「口囃子・・・。どうした。いつものおどれらしくないぞ。」
「いや・・・。僕ってさ、どうしても力の性質のせいで霊圧に敏感なんだけどさぁ・・・。だから何となく分かるんだけど、何かとんでもないことが起こりそうな気がして・・・。」
「そげな心配ばっかすんな!儂がおどれを心配しちょるわ!前に黒崎と会うた時のおどれとは大違いじゃのう。」
「そう?つってもあれ2ヶ月とか3ヶ月くらい前でしょ?」
「斑目と綾瀬川が調査しておる。おどれが心配した所で何も変わらん。大丈夫じゃ。気にすんな。」
「・・・そうだね。」
取り越し苦労で済んでもらいたいものだ。
そうした場合また十一番隊の席官二人から目の仇にされそうではあるが、異常事態が現実のものであることに比べたら、全然問題など無い。
しかし、隼人の推測はしっかり二人の目の前に起きている事象として証明されてしまう。
*****
流魂街 西六十四地区 錆面
斑目と弓親が現在降り立った場所は、つい昨日まで普通に存在した住民が存在せず、物静かな風景を作り出している。
生活の痕跡が至る所で見られるにもかかわらず、人の気配は一つも無い。
あまりに異様すぎる光景が、現実と受け入れることすら出来なかった。
だからこそ弓親は、荒唐無稽な考えしか浮かばなかった。
「ひょっとして、怖くなって移動したんじゃない?理由もわからず人がいなくなる場所にずっと居たくはないでしょ。僕だってそうだし。」
「移動したなら技術開発局が捕捉出来るし、何より口囃子さんが血相変えて狛村隊長に報告する訳ねえよ。あの人なら大人数の移動ぐらい分かんだろ。」
「だね。射場さんも『あんなに血相変えた口囃子見るんは久々じゃ!』って言ってたし、涅隊長からも信頼得てるあの人なら大体ソースとして間違いないでしょ。」
二人のぼやきを遮るように、部下の一般隊士が近辺捜索の結果を二人に伝える。
人っ子一人発見出来なかったそうだった。
「村落丸ごと神隠しか・・・。オカルトだね。まるで。」
自らの存在もオカルトと言われれば否定出来ないことを棚に上げ、弓親はぱっと思いついた感想を述べる。
「バカ言え。そんなモンで片付けさせてたまるかよ。俺達の管轄で起きたからにゃ、俺達できっちり調べねえと。」
「あの・・・。」
「何だ。まだ何かあるのか?」
「実は・・・。ご覧に入れたいものが・・・。」
別の、眼鏡をかけた部下が緊迫した様子で二人の席官を呼び寄せた。
二人で顔を見合わせ疑問こそ抱くものの、ただでさえ現実は異様なので隊士の申し入れもしっかり聞くべきだと判断した。
「案内してもらっていいかい?」
「はっ!こちらです。」
そうして案内してもらった場所にはたくさんの足跡があった。
何の変哲もない、よくある人だかりがあった場所の足跡と言ってしまえば、それで済む案件だ。
しかし先の死神は、ある異様な点を見逃さなかった。
「足跡が、この一箇所に集められてそこから途絶えているのです。これは、一箇所に集められた後、第三者の手でどこかに連れ去られたのではないかと推測されます・・・。」
この隊士の発言を聞いた上で、斑目と弓親はさらなる異様な点に気付いていた。
足跡の種類が、裸足と草履だけ。
「村落の中の一部の流魂街の民が、同じ流魂街の民を連れ去ったっていう事か・・・!?」
弓親は、自分が出した結論にすら理解が追い付かないような錯覚に陥りかける。
もしそうだとしても、一体誰が、何のためにやったのか。皆目見当がつかないのだ。
「それはどういう・・・!」
「それを調べるのが俺らの仕事だろうが!探せ!他にも何か手掛かりがあるかもしれねえ!!」
「はい!!」
部下を叱責し、共に探索に赴く斑目とは対照的に、弓親はその場に留まって思案を続けた後、伝令神機を取り出した。
自分が出した結論にどうしても違和感しか残らず、第三者の意見を聞くことにしたのだ。
「もしもし、口囃子三席ですか。」
『うん。流魂街で調査してるんだよね。』
「ええ。今から目の前の状況を写真で撮って送ります。同じモノは九番隊の檜佐木副隊長を伝って調査部門にも転送します。」
『
「
『なるほど。じゃあ頼むよ。』
それだけで察した隼人は、すぐに送られた写真を見て合点がいく。
『この草履、死神のだね。』
「やっぱりそうですか。一角や部下もいる以上、死神が流魂街の住民を連れ去ったと彼らの前で言ってしまえば、大騒ぎは避けられませんからね。」
『そもそも六十四地区で草履の足跡がある時点で、そこに死神が来てたのはほぼアタリでしょ。流魂街の力を持たない民が、今時わざわざ治安の悪い地区にこぞって行くとは思えない。100年前じゃないんだし。』
現在瀞霊廷からの御触書として、番号の小さな地区、つまり治安のいい地区に住む住民には、治安の悪い番号の大きい地区には出入りしないようにという旨の物を出している。
御触書を出した真意としては、旅禍騒動や、藍染の乱など大事件が近年頻繁に起きていたため、余計な事件を起こさせないように、との意味合いが大きいのであった。
「ええ。そう考えると、誰がこれをやったのか自然と導き出せる気がしますよ。」
『だろうね。調査したの君達だから後どうするかは任せるよ。』
「了解しました。御助力ありがとうございます。失礼します。」
ピッと電話を切った弓親は再びぼやく。
「やっぱあの人、本当にエスパーでしょ・・・。」
そうして弓親は形式上の報告文書の体裁を練り上げつつ、斑目と合流して更なる調査を続けていった。
*****
「どれ。どがいな写真じゃ。」
「これ。」
「・・・成程な。流魂街の民同士の仲違いの果てっちゅう結末か。」
「じゃあこの草履の説明、どうやってつけるのさ。」
「そりゃあ・・・。確かにそうじゃの。説明つかんわい。」
先ほどの弓親との会話を、隼人の声だけではあるものの聞いていた射場も、最初は弓親がとっさに考えた推測を立てたが、隼人からの質問に対し返答に詰まってしまう。
「やっぱり、死神がやったっちゅうことか。しかしどの隊がこがいな事・・・。」
「決まってるでしょ。」
「十二番隊以外ありえない。」
同様の結論は、九番隊調査部門でも出ていた。
九番隊第六席・
真央霊術院時代にその力があることを数年前に見抜いた修兵は、卒業前から彼を引き抜き九番隊で調査の力を磨き上げさせることに成功し、見事才能を開花。現在彼は第六席ではあるものの、調査部門の実質トップを任されていた。
あのマユリが欲しがるほどの人材らしい。
「どうだ、誉望。何かわかったか。」
「そうっスね。草履の足跡は死神の物で間違いないでしょう。目的までは掴めませんが、この人だかりから急に足跡がはたと途絶えているということは、何らかの科学力で彼らが転送、もしくは消去されたんじゃないっスか?」
「やっぱりか。口囃子さんに聞いた所だと、あの人も死神の草履で間違いないっつってたな。十二番隊がやっただろうって推測も立ててるぜ。」
ここで修兵が隼人の名を出したのは、ちょっとばかり対抗意識を持ってくれれば、成長が早くなるのではないかと焚きつける思いもあった。
手塩にかけてかわいがっている後輩の成長を願うばかりだ。
「この情報だけでそこまで結論出せちゃうんスか、あの人。」
「ま、それはあの人も確証ねえ推測だっつってたしな。お前もゆくゆくは、あの人みたいにガンガン調査できる死神になってくれよ。俺みたいな斬魄刀だと戦いしか役立たねえが、口囃子さんの補助向けの力だったり、誉望の力は調査に役立つ。適材適所で頑張るしかねえだろ?」
「そうっスね。俺は一応能力使って戦えますけど。」
「それじゃ!内容纏めといてくれ。後で十一番隊に渡して纏めて一番隊に提出してもらうから、よろしく頼むぞ!」
「了解っス。」
誉望の力は既に出てきた物の調査には役立つものの、隼人のように事態の発生を感じ取ることが出来ず、主にそこで遅れを取っているのだ。
その点は力そのものの性質に関わる為どうしようもないと修兵は考えており、むしろ分析能力を高めることで、七番隊の隼人に匹敵する程の実力者に育て上げようと頑張っているのだ。
誉望も修兵を信頼しているため、その頑張りに応えようと日々精進していた。
(この写真、やっぱりキナ臭いな。十一番隊のあの人達にも連絡取ってみるか。)
そう思い伝令神機を取り出そうとした所で。
黒陵門のある方角から、爆発音が響き渡った。
今回出てきた九番隊席官の
BLEACH世界で登場させるにあたって、彼は死神ですが、能力の根本は完現術にしました。そのため斬魄刀は使えません。
原作準拠の能力ですが、実際の能力について気になる方はWikiを参照して下さい。
ちなみに、原作で彼は死んでいるため、折角なので今回クロスオーバーさせてみました。一応タグつけてるし。
これからもあっちの原作で死んだキャラをちょこちょこ出そうと思います。本筋に深く関わらない程度にはなりますが。
あっちではトラウマを植え付けられたり、いつの間にか灰になってたりと中々酷い目に遭ってしまいましたが、超電磁砲Tのように活躍させようと思っています。
と言っても、恐らく千年血戦篇後に活躍させようかと考えてみます。