ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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対峙

ドドォ!!!という地響きと共に隊舎内の襖を開けて外を見た隼人は目を丸くする。

恐らく他の隊士達も同じであろう。

 

 

「何だよ、これ・・・!」

 

 

一緒に来た射場、後から来た狛村も驚愕している。

 

 

「一体全体、どうなっているんだよ!!!」

 

 

得体の知れない光のような物が至る所で天高くまで上がっており、その場にあった建物を貫いていることが見て取れる。

隊舎の真下ならば死んでいた。

 

 

「隼人!今すぐ始解して隊長格の霊圧を確認しろ!」

「了解しました!」

「確認次第賊軍の霊圧調査を始めてくれ!鉄左衛門!行くぞ!!」

「押忍!!!」

 

 

狛村と射場はすぐに隊舎で待機していた残りの席官、隊士全員を集め、隊舎に残る隊士数名以外全員を連れて七番隊舎を出た。

 

 

「隊長!」

「・・・行ってくるよ、七緒ちゃん。」

 

「隊長!俺達はどうしますか!」

「別行動だ!修兵はあっちの火柱に行け!」

「了解しました!」

 

「おい朽木!」

「どこ行くの!副隊長!」

「火柱の根元へ!恐らくあの下に敵軍の幹部格がいる筈です!」

 

 

各隊が同時に行動するものの、突然の急襲に足並みが乱れる所も出てしまう。

一先ず隊長格は火柱の根元、火柱のあった場所に一目散に向かい、敵の動きを読むことにする。

 

狛村からの指示を受けた隼人は、真っ先に隊舎の最奥地である七番隊隊首室に入って、室内からかけられる結界をいくつかかけて人払いを行う。

これで、滅却師だけでなく、狛村と射場を除いた死神全員から無意識のうちに七番隊舎の存在を消した。

 

また、隊舎に最低限の障壁をかけて残った一般隊士の保護も行う。

まさか補助中心の自分をわざわざ狙ってくるとは考えてもいないが、藍染と戦ったこともあるので目をつけられるかもしれない。

その場合は問答無用で逃走を図るつもりだ。

隊士達とも打ち合わせはしてある。

 

自分の姿を霊覚で視認されないように、最初の準備を綿密に行ってから、始解をして隊長格の霊圧の確認を始めた。

 

 

だが。

 

 

既に、三番隊副隊長・吉良イヅル、十一番隊第三席・斑目一角の霊圧が消えていた。

 

 

「こっこの2、3分で一気に隊長格二人!?」

 

 

想定外すぎる事態に、一人でいるにもかかわらず声が出てしまった。

 

 

 

*****

 

 

 

「不意打ちとは陋劣!始解しろ!奴を逃すな!!」

「「はっ!!」」

 

 

吉良の部下の席官達が始解で応戦しようとしたが、火柱から出てきた滅却師によって脇の二人は頭を潰され、中央にいた席官の男は蹴打で頭を原型無く潰されてしまった。

 

 

「ひっ・・・ひいいいい!!!!」

 

 

 

 

 

「来るぞ!!手前ら!かかれぇぇ!!!!」

「うおおおおお!!!」

「ごがぁっ!」

(!!)

 

 

その啖呵もむなしく、滅却師からの攻撃は無慈悲にも襲い掛かる。

火柱の中から放たれた高速の巨大な矢は先頭で大声を上げた斑目の身体に突き刺さり、一瞬で壁に縫いとめられてしまった。

 

それは、雀部長次郎忠息を貫いた巨大な矢と全く同じ物だった。

 

 

吉良とその部下を殺した男がフードを外して呟く。

 

 

「・・・悪りーな。皆殺しって命令なんだわ。」

 

 

滅却師らの悍ましい蹂躙劇が、遂に幕を開けてしまった。

 

 

 

斑目一角の霊圧は確かに一瞬完全に消えたが、その後ほんの僅かに残っていることを隼人は確認する。

だが、このままではいつ死んでもおかしくない。

 

そしてそれは、珍しく別行動を取っていた弓親もすぐに気付いていた。

 

 

「一角!!!」

 

 

霊圧を辿って向かうと、矢ごと壁に縫い付けられた斑目の周りには、席官含め70名程の十一番隊隊士が皆血を流して倒れている。

全滅だった。

 

(この一瞬で・・・全滅・・・!?)

 

 

僅か3分程の出来事だ。矢を藤孔雀で斬りつけて破壊し、斑目を下ろすも既に虫の息。

あまりにも無慈悲な滅却師の行いに、弓親は我を忘れて斑目を四番隊へと運ぶことにした。

 

力の差がありすぎる。三席がこのザマなら、他の隊長格も苦戦するかもしれない。

嫌な汗が止まらなかった。

 

 

霊圧消失の情報は、十二番隊の許にも届いていた。

 

 

「三番隊吉良副隊長の霊圧消失!同隊席官三名も消失!十一番隊第三席・斑目一角の霊圧消失!同隊74名の霊圧も同時に消失!」

 

 

侵入から7分が経過したが、これだけで1000名以上の戦死者が出ている。

これは、霊圧消失者を含めておらず、純粋に死亡が確認された隊士の数だ。

もっと多くの隊士が死亡していると見るべきだろう。

 

 

「予想以上の速さだネ。」

「隊長・・・!」

「悠長なことは言ってられないヨ。たった19名の滅却師相手にここまでやられるのは私にとっても想定外だがネ。」

 

 

平静を装うマユリだが、想像以上の敵の力に僅かに歯を食いしばる様子も見られた。

 

 

勿論こちらも負けてない部分はある。

更木剣八が遭遇したジェローム・ギズバッドは、先の完現術者との戦い並の速さであっという間に倒されてしまった。

 

 

だが、それだけしか死神側の攻勢は見られなかった。

 

 

 

 

 

「仲間同士で粗の探し合いかい。アートじゃないね。」

 

 

部下の霊圧が消えたことを通信で知らされたローズは、いつになく沈んだ表情に、怒りも込められていた。

 

 

「・・・イヅルを見てるとボクのインスピレーションが執拗に刺激されるんだよね。彼の近くでギターを握るだけで、メロディが涙のように溢れてくる。イヅルがいなくなったらボクもボクのフライングVも悲しむよ。」

「悪いな。アートの話はまるで分からん。」

 

 

ローズの発言を対峙する滅却師・ナナナ・ナジャークープは一蹴する。

 

 

「だが、安心しろ。お前もお前のナントカVって奴も、泣く時なんか永遠に来ねえ。」

 

「お前はこれから5分で死ぬんだからな。」

 

 

左手を広げたナジャークープに対し、ローズは抜刀した斬魄刀を構える。

 

 

「どうやらホントにアートじゃないね。これだけの部下の死を前にして、泣かないギターがあるものか。」

 

「ボクもギターも既に泣いている。生きて帰れると思うなよ、滅却師。」

 

 

ローズの瞬歩から二人の戦いは始まる。

 

 

 

 

 

「八番隊隊長・京楽春水か。」

「ボクの名を知ってくれてるなんてね。だったらそちらも名乗ることが流儀なんじゃないの?」

「星十字騎士団N ロバート・アキュトロンだ。」

「そりゃどうも。このまま何もせず帰ってくれる・・・なんて、都合がいいか。」

 

 

目の前に立つ男は、どちらかというと理解がありそうなタイプに見えたので、ほんの少し時間を稼ぐ。

 

 

「少し・・・喋らないかい?」

「・・・構わない。有益な会話を望む。」

 

 

「有益さ。少なくとも、お互いにね。」

 

 

笠の端をつまみ上げた京楽は、滅却師の顔を見てニンマリとほんの僅かに笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「バーナーフィンガー 2!!」

(!)

 

 

The Heatの力を操る滅却師・バズビーの放つ炎を、浮竹はそのまま吸収し、わずかに変化させて反射させる。

 

 

「ちっ。俺の炎全部吸収して反射するたァな。破面との戦いの時の実力は伊達じゃねえって事か。」

「お前達は俺達の以前の戦いの時の情報を持っているのか。・・・厄介だ。」

「あぁそうだぜ!俺達にはテメェらの情報が山のようにある!だがテメェらに俺達の情報は無え!!」

 

「最初っからこの戦いの勝負はついてんだよ!バーナーフィンガー 3!」

(!!)

 

 

三本の指から生み出された炎が建物、土を溶かして溶岩に変えて、浮竹へと襲い掛かる。

 

 

 

 

 

「隊長!あたし達って直接は戦わないんですよね?」

「済まんなァ桃。オレの力は一対一やとあんま向いてへんさかい、こんな中途半端な役任せて。」

「いえっ、大丈夫です!」

 

 

平子の始解の逆撫は、端的に言えば視覚情報の攪乱だ。

訓練を重ねて聴覚も逆さに出来るようになり、より混乱させられるようになったのだが、この力で相手を攻撃することは出来ず、雛森の始解では主たる攻撃力としてパンチに欠けてしまうため、他の隊長のように直接戦闘を行うようなことはしない。

 

戦場の攪乱。

 

突然現れては敵の正しい視覚情報を怪盗のように盗み取り、乱した状態で去って行く。

匂いを鼻で感じ取っている間しか有効ではないのがネックなのだが、少しでも敵の動きが止まると死神側にとってもやりやすい。

平子の斬魄刀から放たれた匂いは、実際に滅却師にも有効であり、更木剣八が倒した滅却師は平子の力で身動きが取れなくなったため、格好の的にされた。

 

 

「更木の力がありゃ、オレの力なんて要らんかったかもな・・・。」

 

 

空中を闊歩しているとローズがまさに戦闘を行っている所を見つけたため、再び匂いでの攪乱を始めようとした。

 

 

 

 

 

「あれーー!一応あたしんトコにも火柱出てたのに何で誰もいねえんだよ・・・。」

「私がいるぞ。」

(!)

 

 

声のした方に手から雷撃を飛ばすも、氷で打ち消されてしまう。

 

 

「私以外の隊士達は、全員別の敵の所に移動させた所だ。」

「はぁ?何その自信。アンタは・・・。あぁ、朽木ルキアか。藍染の策略でまんまと殺されかけたガキじゃん。」

「私を知ってるのか・・・!」

 

 

全部リルトットから聞いた情報なのでそこまで詳しくないのだが、特記戦力の黒崎一護との関わりの深い人物として、キャンディスは教えられていたのだ。

 

 

「つーかあんた、一人でノコノコ来て大丈夫かよ?副隊長だろ。」

「先ほどの雷を私の袖白雪で防げた以上、相手としては同等の力ではないか?」

「なっ・・・!ムカつく!ぶっ殺してやる!!」

(!)

 

 

副隊長、それも一年前に昇進した死神に対して同じ実力と言われたキャンディスは、リルトットに「焦んなビッチ。」と言われそうな怒り方をしつつ特攻をかけた。

 

 

 

 

 

「ほう、偉大なるこのヒーローの前に現れた悪党は貴様か。」

「何だコイツ?レスラーかよ。こんな奴も滅却師にはいたんだな・・・。」

 

 

拳西を指さしたのは、レスラーマスクを被った滅却師の、マスク・ド・マスキュリン。

 

 

「ミスター!頑張って下さーーい!!」

「ああ!ジェイムズ!こんな小悪党に遅れは取らん!10カウントで倒してやろう!」

「ちっ。ナメた口利きやがって。こんな奴にやられてちゃ、あいつにバカにされちまうぜ・・・!」

 

 

拳西の言葉を待つまでもなく、マスクはスター・ラリアットを決めこもうとしたが、現世で身に付けた格闘技の動きを使って瞬時に見切る。

 

(!)

 

 

「遅れなんか取らねえよ。先手を取ってやる。」

「・・・ほう。面白い()()だ。」

 

 

ニヤリと口角を上げたマスクは、飛廉脚を使って再び踏み込んだ。

 

 

 

 

 

「やあああっ!!!」

 

 

サーベルを使って並み居る雑魚を一刀両断するバンビエッタは、さっきのタマった気持ちを消化できたこともあり、今現在非常にテンションが高かったのだが。

 

突然横から伸びた巨大な獣の手によって、その腕の動きを止められることになってしまう。

 

 

「こんな少女までもが賊軍の戦士なのか・・・!」

「こんなワンちゃんまで隊長やってんの?尸魂界って、ズイブン人手不足なんだね!」

 

 

強引に狛村の腕をほどきサーベルで斬りつけようとしたが、腕にはめた装甲で簡単に防がれてしまう。

 

 

(!)

「貴公の刀如きで、儂の腕を斬れると思うな!」

「ちょっと頑丈なだけで大見得きらないでくれる!?」

 

 

狛村がサーベルを弾き右腕で体を掴もうとするも、大きく距離を取られてしまう。

しかし、バンビエッタが移動した先には、射場が控えていた。

 

 

「二対一とかセッコ!!」

「小狡い真似したんはお前らが先じゃろうが!!」

 

 

廃炎を放つも躱されてしまい、互いに距離をとって着地する。

 

 

「隊長・・・。」

「十分だ。鉄左衛門。隼人と同じように補助してくれて感謝する。」

「押忍!!」

 

 

返事と共に射場は、瞬歩でバンビエッタに詰め寄り、狛村は始解して遠くから圧倒的物量で猛攻をかけ始めた。

 

 

 

 

 

二番隊の二人は中国系滅却師・蒼都(ツァン・トゥ)と、六番隊の二人は黒髪さらさらワンレン長髪の滅却師・エス・ノトと。

別行動をとった九番隊副隊長・檜佐木修兵は、黒い毛先をもった滅却師・ベレニケ・ガブリエリと。

十番隊の二人は機械人形のBG9(ベー・ゲー・ノイン)と対峙する。

 

舞台に立った死神と滅却師の死闘が、続々と始まっていった。

 




対戦表としてまとめさせて頂きます。
二番隊VS蒼都
ローズVSナジャークープ
六番隊VSエス・ノト
七番隊VSバンビちゃん
京楽VSロバート
拳西VSマスク
修兵VSベレニケ
十番隊VSBG9
浮竹VSバズビー
ルキアVSキャンディス

こちらがメインの戦闘になります。原作準拠もあれば、原作とは違う対戦カードもあります。

平子は時折現れ、更木剣八はどっかで無双してます。
最後の総隊長ももちろん出てきます。

また、最初にここで書いておきますが今回各対戦カードの戦闘を書いていく上で、どうしても時系列の問題にブチ当たってしまいました。

少々複雑ですが、序盤に描かれる戦闘は基本的に総隊長出陣前の物が中心となります。
総隊長の戦いを一つの目印として書いていこうと考えています。

そのため、総隊長出陣前に決着がつく戦いをいくつか、総隊長戦後に決着がつく戦いをいくつか、という体裁を取っています。

どうしてもわかりづらくなりそうなので、疑問点や気になる点があれば気兼ねなくご質問下さい。自分でも書いていて間違いがあれば、その都度訂正します。
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