ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

120 / 182
Berenice Gabrielli

「フハハハハハ!!!逃げてばかりでは俺に傷を与えることなど出来ないぞ!!」

「斬華輪!!」

「いよっと!刃を飛ばそうと、飛ばす寸前に貴様に異議を投げかければ造作もないわ!」

 

 

一箇所に固まって攻撃することを止めて移動しながら鬼道で迎撃を行う戦闘スタイルに変えた修兵は、何とかベレニケと拮抗状態を保っていた。

この拮抗は、いつ崩れてもおかしくないが。

 

 

「ッ!!縛道の六十三 鎖条鎖縛!」

 

 

ベレニケが飛ばした神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)を鎖条鎖縛で撃ち落としつつ、いくつか反撃も行う。

 

 

「破道の五十八 闐嵐!」

「隙だらけだぞ!馬鹿が!!」

 

 

速度の落ちた竜巻をベレニケは躱し、再び修兵に異議を投げかけて行動の阻害にかかる。

 

 

「ッ・・・!!」

「その一瞬のためらいが、命取りとなるのだ!」

「縛道の八十一 断空!」

 

 

しかし修兵の防御は間に合わず、ベレニケが再び撃った神聖滅矢は修兵の体を再び射抜く。

 

 

「くはぁッ・・・!!」

「良いなぁ、そうやってどんどんやられていくの、いいよお前!!やられ役、当て馬としての才能があるのではないかな?」

 

 

地面に仰向けに倒れ込んだ修兵は、そのまま起き上がることも出来ない。

ずっと移動しながら戦ってきたこともあり、霊力の底が近づいているのだ。

 

 

「ほう・・・もう、立ち上がることも出来ないか。哀れだな・・・。愉快に動き回って最終的に誰にも見られず野垂れ死ぬなんて、私には到底受け入れ難いな!」

「・・・そうだな・・・。」

 

 

しかし、修兵が()()()()()()()()一番の理由はもっと別の所にあった。

 

 

「俺もどうせ死ぬなら、最後に一度位、活躍しときたかったぜ・・・!」

「活躍?副隊長が?何言ってるんだお前は。星十字騎士団は全員、護廷十三隊の隊長格以上の実力の持ち主だ!!我々にお前のような副隊長が勝つことなど出来る筈がァッ・・・!!!!」

 

 

次の瞬間。

後ろから飛んできた巨大な岩が、ベレニケの頭に直撃した。

岩はそのまま、倒れていた修兵の上を通り抜けて後ろにゴロゴロと勢いよく転がっていく。

 

 

「全く・・・無茶言われても困るな、檜佐木副隊長。」

「あぁ、ありがとな、綾瀬川。」

 

 

*****

 

 

修兵がベレニケと始解の力で戦っている最中、近くを移動している弓親の霊圧を感じ取った。

一人では敵わないと瞬時に判断した修兵は、場所の移動を始めつつ天挺空羅で弓親と通信を始めた。

ある程度戦って自らの力で隙を作れずにいた修兵は、弓親に作戦を持ちかける。

 

 

『悪い綾瀬川、俺が何とかして瓦礫作り出すから、お前はそれを何でもいいから俺の相手の頭にブチ当ててくれ。』

『急に随分無茶なこと頼むね、檜佐木さん。』

『俺が今戦ってる奴の力は恐らく、存在さえ気取られていなけりゃ効かねえ。一撃で仕留めねえとダメなんだ。』

『それで僕に頼んだんですか。口囃子さんでも呼びつければいいんじゃないですか?』

 

 

そうやってあしらおうとしたが、現在隼人は霊圧によって探査されるのを防ぐために姿をくらませている。

気付いた弓親は、ため息をつきながら渋々修兵と連携を取ることにした。

 

 

『でも僕、十一番隊ですよ?』

『お前の斬魄刀見てりゃ分かる、お前鬼道ぐらい使えんだろ?』

『ッ・・・。やっぱあの力、使わなければよかったかな?』

 

 

旅禍騒動の時、弓親は修兵相手に本当の始解を披露し、修兵の霊力を根こそぎ奪い取ったのだ。

この力を知っているのは、修兵の他あの破面しかいないが、あの破面は死んでいる筈なので今は修兵しかいない。

しっかり覚えていた修兵に軽い不快感を抱いてしまう。

 

 

『ともかく、了解しましたよ。少々人遣い荒いのは気になるけれど、僕も恨み晴らしたいし。』

『あぁ?恨みって『何でもないです。じゃ、よろしく頼みますよ。』

『分かった、頼むぜ綾瀬川!』

 

 

そして修兵は倒れている間もずっと闐嵐を操作することに集中し、大岩を生み出したところで弓親が大地転踊を使い、一つの岩に集中して力を注ぎこむことで剛速球の巨大な岩をベレニケにぶつける連携を成功させられたのだ。

 

現場にやって来た弓親は、瑠璃色孔雀でベレニケの体から修兵にやったように霊力を奪い尽くす。

ツタのように手足に始解が絡まり、節々にある花が咲き誇ってゆく。

 

 

「念には念を。首の骨は折れてるみたいだけど、いつ意識戻すか分からないしね。」

 

 

後ろから岩が激突したにもかかわらず何故か首は右真横にぐにゃりと曲がって、というより変形していると言う方が正しいのだが、それでも死んでいないので弓親はトドメを刺す。

 

 

「君の力、頂くよ。」

 

 

しかし修兵は、今まさに霊力を吸われている滅却師の頭に、さっきは無かった円盤を発見する。

 

 

「おい綾瀬川!あいつ頭に何か「がァッ!!!!」

(!!)

 

 

両腕の至る所から出血した弓親は、瞬時にベレニケから距離を取り、始解を収めようとした。

だが、

 

 

「私の力を、頂くだと・・・!?周囲の霊子を集束させて操る滅却師相手に、よくもそのような戯言を述べられるな!!」

 

 

聖隷(スクラヴェライ)

 

滅却師の基本能力を極限まで高めた、霊子の()()()()

 

完聖体となったベレニケが最初にやったのは、聖隷によって極限まで自己強化をすることだった。

これにより、弓親の始解は僅かに吸収されてしまう。

 

 

「この力を使えば、私の完聖体“神の審判(エクテレウ)”はより素晴らしい効果を引き出せよう!」

 

 

「こんな隠し玉持ってたのかよ・・・!」

「まずいね。尸魂界は存在するもの全てが霊子。この力をずっと使われたら僕や檜佐木副隊長だけじゃない、尸魂界全部が吸収されてもおかしくないよ・・・。」

 

 

一度皮膚を吸収された弓親が冷や汗を垂らしてこれから起こりうることを予測していたら、

 

 

 

 

 

 

「あァ?だったらとっとと斬っちまえばいい話じゃねえか。」

 

 

えっ・・・?と二人が後ろを振り向いたが、そこには誰もいない。

再び前を向き直すと。

 

 

「くっだらねえ。こんな格下に手こずってんじゃねえよ弓親。」

「たっ・・・隊長!」

「更木隊長!!!」

 

 

更木剣八が一瞬で滅却師を殺していた。

上半身と下半身真っ二つ。鮮やかに決まっていた。

 

あまりにもあっさりかつ、あっけない戦いだった。

ちなみに更木の体には傷一つない。造作もない、といった顔でふんぞり返っていた。

何だったんだ今までの戦いは・・・と、修兵は軽く虚無感に浸ることになってしまった。

 

 

 

*****

 

 

 

日番谷冬獅郎の右腕は、大紅蓮氷輪丸がもたらした氷によって既に壊死しており、斬り落とさざるをえなかった。

 

 

「壊死した右腕を捨てて、利き手でもない方の腕を使ってよくここまで持ちこたえた。」

「はぁっ・・・・・・はぁっ・・・!ゲホッ!ゲホッ!!」

 

 

荒い息を吐き喋ろうとしたものの、喀血してしまい満足に言葉を発することも出来ない。

松本は既にBG9の体内から繰り出したガトリングガンで体を撃たれ、うつ伏せに倒れ込んでいる。

 

 

「隊、長・・・。」

「喋る、な・・・松本・・・。」

 

 

大紅蓮氷輪丸の攻撃と、BG9の聖文字“The Killer Weapon”「殺戮兵器」を組み合わせた攻撃により、日番谷も白哉のように大量の血を流していた。

何とか今は空中に霊子で足場を作れているが、これ以上怪我を負えば厳しいだろう。

BG9が聖文字で生み出す様々な現代兵器が肉体的に、自分のものではない大紅蓮氷輪丸が精神的に日番谷を苦しめる。

 

 

「戻って、こい・・・!戻ってこいよ!!氷輪丸!」

「いつまで己の卍解に固執しているのだ。」

「俺が斬魄刀と歩んできた今までの思いを、お前如きに潰されてたまるかよ!」

「浅いな。若さが引き起こす浅さは、目を背けたくなる程に愚かしい。」

「くっ!」

 

 

一心不乱に始解の氷輪丸を振るうものの、白哉同様に自分の卍解に敵う筈もない。

頭に血が上って正常な判断が出来なくなった日番谷は、とにかく目の前の滅却師を殺して卍解を奪い返すことにしか考えが及ばなかった。

 

 

「破道の八十八 飛竜撃賊震天雷砲!!」

 

 

掌から放つ鬼道は本来なら特大の濃度を持った砲撃になるのだが、霊力自体が弱まっているため満足いく攻撃にならない。

 

それは十分に分かっているので同時にBG9に対して距離を詰める。

 

 

「そんな子どもの悪戯、通用する筈も無かろう。」

(!)

 

 

目の前にいるBG9ではなく、()()()()声が聞こえた。

鈍った反応で避けることも出来ず、BG9の出したいくつもの拳銃で脚を何十発も銃弾が貫通した。

 

 

「がぁっぁぁあああっっっあああああああああ!!!!!!!!!!!」

 

 

鈍る感覚の中脚に銃弾が降り注ぎ、激痛に思わず大声で叫び苦しむ。

日番谷自身が使う斬氷人形をも瞬時にコピーしたBG9によって、日番谷は自分の技で騙されてしまった。

 

 

上から撃ち落された日番谷は、ゆっくりと地に墜落していく。

 

 

しかし聖文字「K」を誇りに思っていたBG9は、文字通り「殺戮」へと踏み切った。

ドリスコールと似ているのが、少し気に喰わないが。

 

 

「日番谷冬獅郎。お前はお前の力で、その命を落とすことになるだろう。」

 

 

墜ちていく日番谷に対しBG9は再びメダリオンから卍解の力を引き出す。

 

日番谷の魂魄の位置を正確に計算し、彼の技を使ってBG9は仕上げにかかった。

 

 

「これなら、痛みを感じることなく死ねるだろう。」

 

 

竜霰架。

対象を十字架型の氷塊に閉じ込める日番谷の技だ。

 

巨大な氷の十字架の内部に、日番谷は磔にされた。

本来斬魄刀を突き刺す相手に作用するものであるが、藍染戦後鍛錬を重ねた日番谷は、霊力だけで相手を氷の中に閉じ込められるようになっていた。

 

まさか、今まで鍛錬した技が全て自分に襲い掛かってくるなど、若い日番谷に考えることは出来ない。

 

そしてBG9は、聖文字の力を使い新たな兵器を錬成して取り出す。

 

 

「良い卍解だ。これからこの卍解は、お前の手元を離れて成長し続けるだろう。」

 

 

ロケットミサイル。

 

 

直接撃ち込まれた場合、普通の人間なら爆散してしまう代物を、BG9は日番谷が凍らされている部分目がけて直接撃ち込み、巨大な氷の十字架は爆発で木っ端微塵に砕け散った。

 

 

 

*****

 

 

 

「馬鹿な事を言うでないヨ!貴様はこれ以上隊長格の卍解を失ってもいいと言うのかネ!!」

「だから、可能性の話です!虚化した隊長格の卍解なら、奪う事が出来ない可能性もあるんじゃないんですか!?」

「知ったような口を利くな!!!!」

 

 

今までにない激昂を見せるマユリに、勢い余っていた隼人も口を詰まらせる。

 

 

「私は彼らの卍解を調査したが、彼らの卍解には()()()()()()()()()()()()()のだヨ。だから他の隊長格と同じだ。卍解を使えば同じように奪われてしまうのだヨ!!私もまだ詳細は分かっていないが、平子真子らと黒崎一護には、虚の力の浸蝕領域に関して明確な違いがあるネ。だから、卍解を奪われることが無いのは黒崎一護だけだ!」

「そう、ですか・・・すみません・・・。」

「要件はそれだけかネ?忙しいので切らせてもらうヨ。」

 

 

苛立ち、怒りの強く籠った口調でマユリから一方的に電話を切られてしまう。

卍解を奪われた隊長格と、奪われなかった一護の違いとして、虚の力の有無を最初に考えた隼人は、ローズ、平子、拳西なら卍解を使う事が出来るのではないかという推測を立てた。

しかし、マユリの以前の調査結果からそれが不可能であることを知らされ、いよいよ解決の糸口は無くなってしまった。

 

隊長格の霊圧を再び読んでいくと、六番隊、十番隊の二人だけでなく、ルキアの霊圧が消えてしまった。

さらに修兵や弓親の霊圧も弱まってきているが、更木剣八が近くにいる以上命は大丈夫だろう。

ローズや砕蜂の霊圧もかなり弱まってきており、何とか生き残ってほしい。

 

七番隊の二人はちょっと危険かもしれないが、今普通に動けている状態なら大丈夫だろう。

京楽も最初に霊圧が揺らいでから、特別霊圧の乱れは感じられなかった。

拳西も、最初に比べると霊圧が弱まっているが、砕蜂程弱まっているわけではない。

 

外を見ると、様々な場所から煙が上がっており、現在進行形で爆発している所もあった。

 

そこから感じたのは、二番隊の二人の弱まった霊圧だった。

 




ベレニケの「異議」も、ロバートに近い能力になっていますが、疑問を抱かせて隙を作る程度なので一瞬しか効果はありません。あと死神などの人間にしか効きません。その点で差別化を図っています。劣化版ロバートみたいな感じでしょうか。
また、自分の力を過信しちゃってます。だから更木剣八にやられちゃったんだよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。