「ぶっ・・・ぶはははははははっ!!!いやあ運がいい!おれは運がいいぜえ!!総隊長!おれはあんたに会いに来たんだ!」
「あんたの部下の卍解で、あんたの息の根を止めるためにな!!」
意気揚々と高らかに声を上げるドリスコールに対し、山本総隊長は少しの表情の変化のあと、いつもの顔つきに戻る。
ドリスコールが展開した雀部の卍解は、2000年以上前に雀部が披露した卍解の姿と何ら遜色ない。
「ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」
「懐かしいだろ!?あいつを殺した後に
BG9の奪った大紅蓮氷輪丸の天相従臨の効果を、ドリスコールが奪った雀部の卍解が上書きする。
元の持ち主が強大な霊圧の持ち主であったがために、ドリスコールの本来の実力に見合わない程の莫大な霊圧を背後の卍解は放っていた。
雀部と同じように、ドリスコールは腕を振るう。
瞬間。
山本総隊長に、極大の雷が降り注いだ。
「どうしたんだよ爺さん!部下の卍解に打たれて反撃する余力もねえか!?」
さらにドリスコールは雷を直接撃ち込む。
「何とか言えよクソジジイ!!!」
間隔を開けずに2、3発強力な雷撃を撃ち込み、ここまで攻撃すればさすがの総隊長でもひとたまりも無いだろう、とドリスコールは見立てる。
「長次郎よ・・・。」
「あァ?よく聞こえねえな。そうだ!電気ショックでもあたえてやりゃあ声も聞こえるんじゃねえ、かッ!!!!」
再び雷撃を撃ち込むと、山本総隊長は小さな、しかし厳粛とした面持ちで言葉を紡ぎ出す。
「・・・さぞ、悔しかろう、長次郎・・・。お主の怒り、儂にはよう分かる・・・・・・。お主の・・・お主の磨き上げた卍解は・・・!」
「この程度では、断じて無い!!!!!!」
総隊長の怒りから放たれた流刃若火の炎は、ドリスコールの皮膚、臓器を全てもろとも一瞬で溶かし尽くした。
骨だけの姿になるも、灼熱の炎によって全て灰燼と化す。
死神数百名を殺し、雀部を殺害し、阿散井を一撃で戦闘不能にした滅却師は、たった一薙ぎの剣によってこの世界に一切の痕跡を残さず消え失せることとなった。
立ち込める爆炎を見るまでもなく、山本総隊長は霊圧を全面的に解放し、敵の首領の許へと駆け抜けていった。
その霊圧に、護廷十三隊全隊士が驚きと恐れを抱く。
「ちっ・・・大昔にうるせえって怒られたのを思い出すな・・・。」
少なくない傷を負いながら、拳西は総隊長の霊圧に昔の記憶が引き摺り出される。
隼人を引き取る前に六車九番隊を率いていたころ、朝晩構わずうるさかったせいで総隊長が眠れず、大目玉を喰らったことがあったのだ。
お付きの子どもの声援で無限とも呼べる程に強くなる滅却師に対し、何とかして突破口を探そうと再び立ち上がって始解を炸裂させる。
「・・・あたし・・・・・・。あんなに怒ってる総隊長、初めて見ました・・・。」
「アホォ。俺かて見たことないわ。あんな最前線で戦うてる総隊長もなァ。」
破面、藍染惣右介と空座町で戦いを繰り広げた時も、山本総隊長は真打として参戦したことを思い出し、雛森は事の重大さを改めて実感する。
「急ぐで桃。早よせんと、ジイさんにエエとこ全部持ってかれてまうで。」
そして五番隊は、ボロボロになりつつも戦闘中の隊長格の援護に再び進みだす。
「立て!!!!」
「元柳斎殿が立っておられるうちに早々に横たわる事は、護廷隊士として有り得可からざる恥と心得よ!!!!!」
狛村の一喝で、射場含めた七番隊はバンビエッタの
理解出来ない死神側の行動に、バンビエッタも困惑を隠せずにいた。
「何ナニなにちょっと、いや、どーなってんのよコレ。意味分かんないわ・・・。」
「・・・まいったね、どうも。山じいの霊圧が瀞霊廷中に木霊してる。鳥肌が立っちゃうよ。こっちまで叱られてる気分さ。」
ロバートから受けた傷は目に受けたものしか今のところ無いのだが、浮竹と同じレベルの信頼度を今現在持っているロバートに本気の攻撃をすることがどうしても出来ず、お互いの傷は少なかった。
しかし京楽は、師でもある山本総隊長の全力の霊圧に、ロバートがもたらす心の圧力を強引に捻じ伏せる。
「この程度の敵に手古摺る様な―――――」
「腑抜けに育てた憶えは無い、ってね!」
(!!)
一気に速度の上がった京楽の動きに、ロバートの表情が硬くなる。
*****
「おー、やっと見つけたよ。」
山本総隊長が起こした爆炎の方向と、
ある滅却師の男は今まで一度も死神と交戦することなく、万が一遭遇した場合は一目散に逃げていた。
といっても、遭遇したのは平子達五番隊と、怪我をおして歩く浮竹だったため、どっちにしろ大規模な戦闘にはならなかったのだが、そんな事知る由もない。
その理由として、ある死神を探していたからだ。
「ここまで霊覚使って全力で探してきたってのに、ずっと見つからないってどんだけ堅牢な要塞に入ってんだよ。核シェルターか?」
両目の上に手を当てて望遠する仕草を取りつつ、滅却師の男はキザに独り言ちる。
瀞霊廷を周遊する死神の霊圧を探りつつ、最も自分の存在を気付かれないルートを逆算して、男は最高速度の飛廉脚を使って目的の場所に辿り着いた。
ニヤリと笑みを浮かべ、その建物を見上げる。
『ああ、まず十二番隊の涅マユリは危険だ。
『はぁ?何だよそれ。』
『分かんなくていいぞ。とにかく出くわすなって話だ。キャンディなら返り討ちにあってもおかしくないな。』
『うげっ、マジかよ・・・。』
その話を聞いたキャンディスは、最初に聞いたときこそビビりはしたが、リルトットが特別目をつけていなかったことも相まって、それ以上話を聞くつもりもなく適当に聞き流す。一応帰ったら
『他にもいるのか?』
『あぁ、実は場合によっちゃ、コイツが一番厄介だ。
『おい、それって・・・。』
「確かに最初、あんたの事を藍染惣右介並にヤバイと思ってたよ。でもな、」
「俺にとっちゃあ、
アスキン・ナックルヴァールは七番隊隊舎にある『七』の文字を見上げつつ、今日一度も行っていなかった戦闘行動の手始めとして、
*****
「悪いな、時間切れだ。お前の相手してるヒマ無くなっちまった。」
「・・・何だって?」
お互いそれなりの傷を負いながら、ナジャークープが発した言葉にローズが訝しむ。
それと同時に、とある場所から爆炎が上ると共に、総隊長の霊圧が地響きとともにローズまで伝わってくる。
「俺は元々あのジーさん相手にするよう頼まれてんだよ。お前に使った力で、全身麻痺させるためにな。」
「ボクの全身を麻痺させられてない時点で、それは不可能だと思うんだけど?」
今までローズが受けた攻撃はナジャークープの操る神聖滅矢と二回の麻痺攻撃であり、ナジャークープが受けた攻撃はローズの操る瓦礫が直撃した分。それだけだった。
実力は拮抗しており、ずっとお互い傷を負わず膠着状態に陥っていたのだ。
「ボクは今まで卍解を使っていない。でも君は特殊な力に頼っているにもかかわらず、それを外してばかりだ。総隊長相手に大見得をきりたいなら、ボクを瞬殺しないと。そもそもボクと争っている時点で総隊長に君の攻撃は届かないと思うよ?でもそれ以前に、君のアートじゃない攻撃で、ボクが遅れを取るとは思えないんだけど、そう思わないかい?滅却師。」
と、長々と喋っていたせいで、ローズはまさかまさかで撒かれてしまった。
「なっ!このボクの話を聞かずに逃げるとは!!後悔しても知らないよ!?」
虚空に叫んでも、一切返事は返ってこない。
ラブがいないので、ツッコミも一切無い。
「くっ・・・逃げられたか・・・。でも、」
「総隊長の前に立っちゃう方が、無事でいられるとは思えないケド、ね。」
*****
三名の滅却師を瞬殺し、無双の活躍を見せた更木剣八は、ユーハバッハになす術もなくやられてしまう。
そこに現れたのは、護廷十三隊総隊長・山本元柳斎重國。
1000年振りの対決だった。
「千年振りじゃな、ユーハバッハ。お主の、息の根を止めに来た。」
その言葉を発した直後。
完聖体を使用して、数名の滅却師が突如一気に襲い掛かって来た。
バズビー、ナジャークープ、エス・ノト、BG9、蒼都。
五名が皆全力で総隊長を殺すため、様々な技を駆使する。
しかし。
全く別の場所にいた京楽が、滅却師達の甘さを窘めた。
「―――――山じいは、そんな常識の通じる人じゃア無いんだよ。」
星十字騎士団五名の攻撃をものともせず、山本総隊長はドリスコールと同様に流刃若火の一振りで軽くあしらい、一蹴したのだった。
「お主の率いる部下の、脆いことよ、ユーハバッハよ。」
「貴様の率いる部下も、脆弱な死神ばかりではないか、山本重國。だが私の子ども達は未だ愚かでな、教育が行き届いていないことが残念でならない。」
「・・・。」
その言葉に、山本総隊長はただ首を曲げて調子を整えるだけで、何も言うつもりはない。
ただ、ユーハバッハの目を嘲りの視点で貫き通す。
「何だ?何か言いたげな眼だ―――――。」
一切の予備動作無しに、総隊長はユーハバッハを一閃する。
反応出来なかったユーハバッハは、なす術もなく斬られてしまった。
大量に流れ出た血を見て、側近のハッシュヴァルトも身を案じる。
「陛下!」
「変わらんな。部下を軽んじるその悪辣も。じゃが、それもここで終わるものと知れ。」
その言葉に、ユーハバッハも軽蔑の視線を向ける。
「お前は老いたな、山本重國。だが、怒りに身を任せるその姿は、若き日にも重なって見える。」
「ぬかせ!!!」
上から圧倒的な物量の炎を撃ち出し、それを爆発させてユーハバッハの体を焼き切ろうとするが、ついに剣を抜いたユーハバッハによって、それは防がれてしまうことになる。
しかし、ユーハバッハの右手からは先ほど斬った時に出た血が滴っている。
「私が、剣を抜くのを待っていた様な口ぶりだな。」
「何故、待っていたと思う。」
一呼吸置いて、山本総隊長はぐらぐらと燃え盛る炎を更に強めてユーハバッハと対峙する。
「お主の血肉も剣も魂も、髄から粉々に砕く為よ!!」
瞬間、山本総隊長を覆う全ての炎が一瞬で消える。
「――――卍解 『残火の太刀』」
「尸共、我が炎に散った亡者の灰よ、手を貸せ。暫し、戦の愉悦をくれてやる。」
焼け焦げた剣を地に突き刺した山本総隊長は、呪文を唱えるかのように言葉を紡ぎ出す。
「残火の太刀“南” “火火十万億死大葬陣”!」
総隊長が斬り捨てた亡者の灰に、残火の太刀の熱を与えて叩き起こし、敵を塵となるまで追い詰める。
たかが亡者相手に遅れを取る筈がない、それに死神の長が死者を蘇らせるという、矛盾しか持たない現象にユーハバッハは憤りを見せる。
しかし、彼は目を疑う光景をその眼で見てしまう。
大昔部下だった滅却師の男達が、自分を止めに入っているのだ。
「どうじゃ、嘗ての自らの部下達に取り押さえられる気分は。」
「貴様ァァァァアァアァァア!!!!こんなもので、この私を止められるなどと思うな!!」
「―――儂にはお主の涙が見えるぞ。苦しかろう。部下の亡骸を破壊せねば、儂へと辿り着く事すらできぬとは。憎かろう。死した部下すら戦場へ呼び戻す、この儂の悪辣が。」
亡骸の骸骨を手で砕きつつ、山本総隊長は言葉を続け、莫大な怒りを首領であるユーハバッハにぶつけた。
「じゃがそれらは全て、お主が殺した死神達の憎さ苦しさには足りぬと知れ!!!!」
「残火の太刀 “北”」
「天地灰尽」
その一薙ぎは護廷十三隊一破壊力のある斬撃であり、ユーハバッハの腹を真横に一閃し、滅却師の首領はなす術もなく倒れ込んでしまった。
かなりあっさり総隊長はユーハバッハを倒してしまいますが、理由はもちろんアレだからです。原作以上に力の差を描く為、技全てを使わずともユーハバッハは倒れるようにしました。