ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

13 / 182
入学試験!

真央霊術院入学試験。

ついにこの日が来た。

かれこれ死神になりたいと言い拳西に拾われてから50年ほどが経った。

 

本来なら30年ぐらいで行けるだろうと思っていたが、斬術と白打が信じられないほど足を引っ張ったため、試験に受かる段階まで余計に20年もかかってしまったからである。

毎年定員は約150名であるが、今年の試験は270名受けるため倍率が上がり、厳しい試験の年だという噂も聞いた。

冬のまだ寒さの強い日に、隼人は一大決心をして会場の霊術院に入った。

 

 

「焦るなよ。分からねぇ問題がでたら一旦深呼吸しろ。」

「深呼吸ですね。分かりました。」

「お前は緊張しやすいからな。まぁとにかくその時出来る全力を出せ。いいな!」

「はいっ!正々堂々頑張ってきます!」

 

 

拳西お手製(慣れない縫物を頑張った)のお守りを貰い、忘れ物もせずに出発した。

時間にも余裕がある状態で霊術院に無事到着し、座席について午前の試験のために備えていた。

 

緊張を紛らすためにあちこちを見ていると、急に声をかけられた。

 

 

「あの・・・そこ私の席なんですけど。」

「えっ」

「ほら、名前。私の名前なんですけど・・・。」

 

 

机を見ると明らかに自分のものではない名前の紙が貼られていた。

何たる失態。せっかく落ち着けていたはずの心が瞬く間に動転し、完全にパニクってしまった。

 

 

「わぁぁ!!!ごめんなさい間違えちゃった!!どうしよう僕の席この教室じゃない・・・?」

 

 

あぁぁぁどうしようどうしようと焦っていた隼人に、彼女は救いの手を差し伸べてくれた。

 

 

「えっと・・・。ひょっとして後ろの席じゃないですか?多分名前順に席割り振られているので。」

「へ?」

 

そう言われ、後ろの机を見てみると確かに自分の名前が書かれた紙が貼られていた。

なんて素晴らしい方なのだ・・・まさに救いの女神!と思い、彼女に感謝の気持ちを伝えた。

 

 

「あっ!!!本当だ!ありがとうございます!よかったーーー・・・。」

「いいえ。何となく予想できたので。その苗字何て読むんですか?」

「こばやしです。口囃子隼人っていいます。何かこの書き方特殊らしいんですよ。」

「へーそうなんですね。私は虎徹(こてつ)勇音(いさね)っていいます。今日の試験、頑張りましょうね。」

「頑張りましょう!一緒に受かるといいですね!」

 

 

新たな知り合い(?)ができたおかげか緊張も紛れ、筆記試験は全力を出すことができた。

 

午後の試験は受験者の霊力の素養を見る試験であった。

試験官に斬拳走鬼のどれをやるかをくじで直前に決められ、言われたものの技能を披露する場であった。

 

霊術院の狙いとしては四つの技能全て満遍なくできる死神になってほしいというものであるが、かなり運要素が強く、苦手な物に当たると合格の可能性が低くなるため周りの受験者は皆手を合わせて祈っていた。

 

もちろん隼人もお守りを握りしめ祈っていた。

(お願いします・・・どうか鬼道に当たってください・・・。歩法でもいいかな・・・もうこの際白打でなければいいかも・・・。)

 

近くで「いよっしゃあ~~!!わしゃ斬術じゃけぇ合格決定じゃ~~!!」と叫ぶ威勢のいい声すら聞こえないほど隼人は熱心に祈っていた。

 

自分の番になり、くじを引くと、

 

 

『歩法』

 

 

とりあえず安心した。これならいつも通りの実力で合格できるはずだ。

夜一に瞬歩を教えてもらい真似事ぐらいなら出来るようになったが、

「変に難しい技術で失敗したらすぐにお主は落とされるぞ。」と警告されたので、最低限できないといけないこととちょっとの応用を披露するに留めた。

 

規定の長さの距離を歩法で規定時間以内に走りきるものだが、他の受験者よりも少し早いくらいに着いた。

 

 

試験自体はこれで終わりだ。

これなら何とか受かるかもしれない。

午前中の筆記試験が大きな比重を占めると言われているので、きっと大丈夫だ。

 

まだ昼間であり九番隊隊舎に行くのは憚られたので、家の近くの川原で座っていると外の空気を吸いに来ていた浮竹と遭遇した。

 

 

「あれ?・・・珍しいねこんな時間に・・・ってそういえば今日統学院の入学試験だよね!?どうだった!?」

「はい。何とか受かってほしいです。午後の技能が歩法なので多分大丈夫だと思うんですけど・・・。」

「夜一に教えてもらっているんだから大丈夫だよ。しかし懐かしいな~。」

 

 

隣に座った浮竹が自身の頃の入試を教えてくれたが、なんと当時は総隊長直々に試験官を務めることもあり、皆緊張で実力を出し切れなかったらしいと話していた。

儂が直接見て見極めねば納得いかん!とのことだったらしい。

「俺もすごい緊張したよ~。」と笑いながら喋っていたが、自分なら恨むぞこれ・・・。と隼人は恐怖で少し身震いした。

 

 

「浮竹さんは霊術院にどんな思い出があるんですか?」

「俺は色んな人と話が出来て楽しかったよ。京楽ともそこで知り合ったんだ。あいつはいつも女の子の背中追っかけ回してたんだけどね・・・。」

「へぇ~いいですね~~・・・。」

 

 

以前ローズにも大丈夫と言われたが、やっぱり周りと仲良くできるかが心配だった。

今日話した虎徹さんとも今日限りの仲かもしれない。

 

少し俯いていた隼人に対し、浮竹は先達として言葉をかけてあげた。

 

 

「俺の言葉が役に立つといいんだけど・・・。隼人君はいい仲間に恵まれると思うよ。」

「そうですか?うーん・・・?」

「案外上手くいくものだ・・・あぁそういえば!三番隊の射場千鉄副隊長の息子さんも今日試験だって聞いたけど会ったかい?」

「へぇそうなんですか・・・残念ながら会ってないですね・・・。」

「きっと彼と仲良くなれば大丈夫だよ!」

 

 

前にローズから聞いた話ではかなりの変わり者っぽそうだったので、やっぱり仲良くできるか不安である。

というかよくよく考えると受かるかどうかも分からないのだ。

 

 

「そもそも僕が落ちたらどうするんですか・・・?」

「えぇっ!!そんなぁ・・・!だったら海燕に報告するしかないかな・・・。」

「それだけは止めてください!」

 

 

あの人の耳に渡ったら厄介なことこの上ない。最悪家に来てまでおちょくってきそうなのでしっかり口止めをした。ほとんど意味ないだろうけど。

 

川原を眺めて二人で心を落ち着けたあたりで、浮竹は隊舎に戻り、隼人も家に帰ることにした。

 

家で筆記試験の自己採点をすると、合格点は余裕でぶっちぎっていた。

ああ虎徹さん!緊張を紛らわせてくれてありがとう!と感謝し、ほとんど合格を確信したところで、拳西が帰ってきた。

 

一応保険をかけて何とか受かりそうだと伝えると、拳西も心底安心した顔をしていた。

 

 

 

 

一週間後。

 

結果を一人で見るのは怖かったので、休憩時間を見計らって九番隊に行き一緒に見てもらうことにした。

だが結果を見た隼人はさらに驚くこととなった。

 

特進学級への入学を認める。

 

 

「へぇ~~~~よかったね!!!!これならはやちんも隊長副隊長になれるよ!!」

「えっそんなすごいんですかこれ・・・?」

「お前何とか合格できるっつったが十分優秀だったんだよ。変に謙遜すんなバカ。」

「ゆ・・・優秀・・・!!!!よっしゃ~~~~!!!!!!」

 

 

鍛錬相手がほとんど隊長格であるせいで直接優秀と言われることが少なかった隼人はこの二つの言葉が信じられないほど嬉しかった。

すっかり有頂天になった隼人は白とともに手を取り合って飛び跳ねていた。

 

 

「しかし本人は極めて得意分野ではないものに当たったと聞きましたが・・・珍しいものですね・・・。」

「人数多かった割に全体の質が低かったんじゃねぇか?つーか東仙やけに詳しいな。」

「私も今年は試験官を任されて少し噂を聞いたので・・・。」

 

 

院の講師でもないのに個人の試験内容まで知っている東仙に少し不審に思ったが、単純に本人の言う通り噂を聞いただけかもしれない。

それに特進学級は入学試験の性質上最初は入れ替わりも激しいので、卒業まで生き残れるかも課題であった。

でもとにかく今は頑張りをねぎらってあげよう。

 

 

「今日は夜飯に俺がお前の好きなモン何でも作ってやる。覚悟しとけよ!」

「本当ですか!!嬉しいです~~~!!」

「白も食べたい~~~~!!!おはぎ作って~~~!!!」

「うるせぇ!お前は帰ってクソして寝てろ!!!」

 

 

周りの皆が笑いオチがついたところで隼人は家に帰り、机に入れていたお守りを握りしめた。

 

(本当にすごいなぁ・・・このお守りのおかげだよ・・・。)

 

合格したことだけでなく、特進学級に入れるのが非常に嬉しい。

さらに春からの新生活がどんなものになるかワクワクで止まらないのだ。

 

これからのことを考えていると、以前に家で霊術院に思いを馳せていた頃を思い出した。

あの日は確かすごくクセの強い隊長格の方々に絡まれて疲れていた日だ。

たしか今くらいの夕焼けで茶の間にごろんとして考えていたはずだ。

 

(あのまま寝ちゃってすげぇ怒られたんだっけか・・・。)

 

昔を思い出しこそばゆい感傷に浸っていた。

あの頃より自分は成長できただろうか。強くなれただろうか。逞しくなれただろうか。

知識のある者になれただろうか。

 

これからの未来、自分は死神になっても上の席次に行けるかは分からなかったが、自分は特進学級に進めたのだ。絶対に席官、いや副隊長くらいにはなってやろう!

 

固く決意したところで、何やら外が騒がしいことに気付いた。

 

(何だ・・・?やけにうるさいなぁ・・・。)

 

近所迷惑になっても困るのでとりあえず外に出てみると、

 

 

「あぁ~~~!!!何で出てくんねん!!せっかく驚かしたろ思っとったのに~~!!」

「一番やっちゃいけねーことやっちまったな・・・。」

 

 

何故か大勢の隊長が酒などを持って家の前に来ていた。

一、四、六、九、十、十一、十二番隊以外の隊長は全員揃っており、他にも副隊長数名もいた。

どうやらこの大所帯の原因を作ったのは九番隊副隊長・九南白だった。

 

 

「白がね!地獄蝶で拳西の家でお祝いやるよーーー!!って伝えたらこんなに来てくれたんだよ!」

 

 

こんなに来てくれたんだよ!じゃねーよ。帰ってクソして寝るんじゃなかったのかよ。いやあなたたち仕事は?って思ったが、よくよく考えるとこのメンツは仕事サボり魔ばかりということに気付いた。

というか浮竹さんあんたはダメでしょ。

 

 

「皆さん来てくれてすごく嬉しいです。嬉しいんですよ。でも・・・。浮竹さんそういうキャラじゃないでしょ・・・。」

「俺は止めようとしたんだ!だが気付いたらここに来てしまったのさ・・・。」

 

 

トホホ・・・とでも言いたそうな顔で言われたので、もう何も言えなくなった。

取り急ぎ中に入れて人数分(かなり大変だった)のお茶を用意してあげたところで、非常に大事なことを聞いてみた。

 

 

「あの・・・これ拳西さん知ってるんですか?」

「知らないよ?」

「はぁっ!!!!????」

「こっそり皆を呼んだんだよ!拳西をびっくりさせるんだーー!」

「びっくりって・・・怒るどころじゃ済みませんよ・・・。」

「そんなん構へんで~~~!!」

 

 

みると平子と京楽は酒を呑んでいたせいですでに完全に出来上がっていた。

あぁこれは非常にまずい流れになってきたぞ・・・。

 

 

「いや~~~平子クンもいい飲みっぷりだね~~~~ボクも負けられないなぁ~~~!」

「アンタは飲みすぎや!!」

 

 

負けられないとか言ってる場合じゃないって!矢胴丸さんも結局呑んでるし!

もうどうにかして止めないと・・・!と考えあぐねていると、

 

ガラガラと玄関の引き戸が開く音がした。

 

 

あわわわわわわ・・・これはとんでもない雷が落ちるぞ・・・自分は何も悪くないのにまた頭ぐりぐりの刑で意識を失うことになってしまう・・・。

 

あまりにも青ざめた顔をした隼人にさすがにまずいかと周りの大人たちも心配したが、

 

 

「やっぱりな・・・。」

 

 

帰ってきた拳西は怒っているのではなく、事情をわかっていたからか完全に呆れていた。

 

 

「あれ・・・怒ってない・・・?」

「白が地獄蝶使って何か企んでいるのは気付いてたからな。お前の合格聞いた後だったしどうせ家で何かするだろってぐらいは考えられるぞ。まぁさすがにこんなに来てやがるとは思ってなかったが・・・。」

 

 

出来上がってる二人にちょっとイラっとしてはいたが、雷が落ちなくて心底安心した。

だが安心したのも束の間、今度は面白半分で家を物色していた奴らに悩まされることになった。

 

 

「隼坊の部屋はどこじゃ!ぜひとも見てみたいのう!」

「そんなの汚いから見せられま「四楓院隊長!ここっすよ~~!」

「海燕さん勝手に物色しないで下さい!!」

 

 

帰ってきてばっかでいつもよりあまり整理していない部屋を見られてしまった。

別に見られてはまずいものは置いてないが、この二人に探索されるのは何かイヤなのだ。

 

 

「見た目と同じでつまらない部屋じゃのう。いやらしい本でも見とらんのか。」

「たしかにこの年で部屋にエロ本の一つもないのはおかしいっすよね・・・?」

「一体僕に何を抱いてるんですか・・・。」

 

 

拳西の堅い性教育バリアーの影響であっち方面の知識はほぼ皆無であったが、逆にこの年であまりにも知識が無いのはまずいのでは・・・と夜一、海燕は心配になった。

それに来月からは霊術院に入学だ、カワイイあの子とそんな関係になるかもしれないと勝手に考えた二人は、やはりこれはまずいとまた勝手に焦り、不健全も甚だしい性教育講座を行おうとしたが。

 

 

「お前ら隼人に何吹き込む気だ・・・?」

 

 

と、またも拳西のバリアーでいかがわしい知識が隼人に伝わることはなかった。

 

 

「飯色々買ったから食うぞ。人数多いからお前の好きなモン作んのはまた今度にしてやる。下で皆食ってるからすぐ無くなっちまうぞ。」

「あっお腹空いたから行きます行きます!」

「あぁ・・・あと・・・覚えとけよ海燕・・・・・・!!!」

「ひぃっ!!!」

 

 

実際何もしていないのに脅迫を受けた海燕は身が縮こまっていたが、基本的に皆楽しく飲み食いしていた。

数名は完全に悪酔いしており、特に京楽は浮竹に対する絡み酒で酷い有様であった。

一応隼人の合格祝いのつもりらしいが、主役そっちのけである。

 

 

「ボクも若いころはす~~~~っごいモテモテだったんだよ~~~。女の子み~~~んなボクにメロメロ♡幸せだったなぁ~~~。」

「モテモテじゃなくて振り向いてくれないから追っかけ回してたんだろ・・・。」

「酷いな浮竹~~~そんなこと言わないでよ~~~~~。」

 

 

酷いのは今のあんただよ。

だが他にも出来上がってる隊長がいた。ラブとローズである。

基本的にラブがローズをおだてて乗っかったローズの暴走にラブが容赦のないツッコミを入れていたが、ローズが使い物にならなくなった途端ターゲットを隼人に変えてしまった。

 

 

「おぉ~~~もう隼人も霊術院か~~~地味キャラは卒業しないとな!!」

「まだそれ言いますか・・・。」

「霊術院での自己紹介とか大事だぜ~?俺が伝授してやる!!ローズ!一遍やってみろ!」

 

 

俺が伝授するとか言っといてローズさんにやらせるのかよ・・・。

酷使されてボロボロだったが、それでも立ち上がるローズが不憫に思えてならなかった。

 

「えぇ・・・?ボクがかい・・・?ボクの痺れるような美しさを持つ自己紹介を見た「うるせぇ~~!!」

「はぶっ!!!!!」

 

 

そして言わせないんかい・・・。支離滅裂すぎるだろ・・・。

拳西さん止めないのかな・・・。と思い拳西を見たが、彼も結構酒を呑んでいるからか止めるつもりはないそうだ。

明日ご近所さんに怒られそうだな・・・。と絶望していると、今度は夜一に連れられた白哉が話しかけてきた。

 

 

「平民の食事は初めて食べたがとても美味しいものなのだな!感動したぞ!」

 

 

いつもよりテンションが高いなと思い顔を見てみると、しっかり赤くなっていた。

あぁ呑んじゃったか・・・。お爺さんに怒られても知らないよ・・・?肩掴んでそんなに揺さぶらないでよ普段の聡明なキャラが台無しだよ・・・。

白哉の変貌にもショックを受けていたところで、また夜一が声をかけてきた。

 

酒を呑んでいないからか酔ってはいないように見えるがそれでも何をされるか分からない。

今度は何だよ・・・と思ったが、何やら奇妙な球体を持っていた。

 

 

「何やら喜助が実験をしたいと言っておってのう。動画で伝言を送ったから見て欲しいそうじゃ。」

「浦原さんがですか?またこれは面妖な球ですね・・・。」

 

 

見るからに不気味な模様をした球体には、ある場所にボタンと、何やらレンズ?(よくわかっていない)の縮小版のようなものが内蔵されていた。

レンズとやらを壁に向けてボタンを押すのじゃと言われ実際にやってみると。壁に浦原が現れた。

 

 

「のわぁぁ!!!!びっくりした・・・。」

「こんにちは~口囃子サン。霊術院合格、おめでとうございま~~す。」

「あっ・・・ありがとうございま「先に言っておくんスけど、この伝言はボクから一方的に伝えるので返事はひ・と・こ・と・も受け付けないっス。」

「わかってることいちいち言わないで下さいよ・・・。」

 

 

映像を見た他の大人達は酔った頭ながらおぉ~~と驚嘆していた。それに値する技術を創り出したので、技術開発局ってやっぱすごいんじゃ・・・。と見直したところで完全に見抜かれていた。

 

 

「いや~~この映像を見て口囃子サンも技術開発局ってすごい!最高!大好き!入りたい!って思っている頃だと思うんスが・・・。」

「悔しい!見抜かれてた!悔しい!!!」

 

 

最後三つは考えてもいなかったがいとも簡単に心を見抜かれたのが悔しくて仕方がない。

でも基本的には応援してくれているのでそれは非常にありがたいので素直に気持ちを受け取ることにした。

 

しかしその後の内容は隼人にとって大問題であった。

 

 

「それではボクはこの辺で「オヤ?何をしているんだネ?浦原喜助。」

「実は、口囃子サンに応援の伝言を「何と!!私の崇高な実験の誘いを断ったあの愚かなグズか!!いやだが何度でも私は勧誘するヨ。私に臓器全てを捧げる覚悟が・・・。」

 

 

恐くなったのでボタンを押して切った。

この人真面目な顔でシャレにならないこと言うから心臓に悪いよ・・・。

というかほとんどこの人のせいで隼人にとって十二番隊は最も危険な場所になってしまったのだ。

 

 

「まぁあの男は喜助が何とか抑えてくれるはずじゃ。心配せんでもよい!」

 

 

何でそんなに呑気でいられるの夜一さん・・・。やっぱ隊長は違うな・・・。

と隼人はまたもズレた結論にたどり着いた。

 

 

夜中になったところで来客全員はようやく帰っていった。

最後も酔っ払った京楽が己の副官にセクハラをしようとし、「ええ加減にせぇ!!!」と恒例の顔面ドロップキックを浴びるなど中々の地獄絵図であったが、帰ってくれてよかった。いや本当に安心した。

 

茶の間は皆が酔って騒いだ弊害でとんでもなく散らかっていた。

拳西も酔っ払っているはずだ、ほとんど自分が片付けることになるだろうと憂慮したが、意外にも拳西はいつも通りだった。

これなら早く終わらせられそうである。

 

 

「あれ、拳西さん全然酔っ払ってないですね。」

「俺は酒強ぇ方だしな。滅多に酔わねぇぞ。」

「そうなんですね。僕は酒たくさん飲めるようになるかな・・・。皆さん見てると不安ですよ・・・。」

「お前弱っちそうだしな。酒飲めるようになったら色々教えてやる。」

「そうですね・・・いつか一緒にお酒飲みましょうよ。」

「あぁ。お前が一人前になるのが楽しみだぜ。」

「なれるかなぁ・・・。」

 

 

年の近い白哉が酒を少し呑んだだけで顔を真っ赤にしていたのだ。さらに普段とは全然違う言動であり、あれには衝撃を隠せなかった。

 

自分もあんな風になってしまいそうだ。

 

 

「つーか制服の採寸いつだよ。俺ん時は結構すぐだったぞ。」

「明日ですよ。」

「はぁ!?お前先に言えよ!だったらアイツらもっと早めに・・・。」

「午後だから大丈夫ですよ。それに明日は全隊一律で休みじゃないですか。」

「あぁ?そうだっけか。忘れちまったぜ。」

 

 

そうだ、正直お酒がどうこう言ってる場合じゃなかったのだ。

完全に宴会のせいで忘れていたが、明日から準備で地味に忙しい日々が続くことになる。

寮の手続きや制服の採寸、多くの書類の提出などで半月程は休む間もない。

 

 

「っていうか拳西さんわざわざ採寸についてくんですか?」

「一応な。お前ぜってぇー何かやらかしそうだし。」

「酷いですね。僕もう子どもじゃないんですよ。」

「んなことほざいてる内はオメーもまだまだガキだ。」

「なっ・・・悔しい・・・。」

 

 

いつまでも子ども扱いしてくる拳西に不満タラタラであるが、だったらこれから見返してやる。

霊術院を卒業したら、九番隊に入りいずれ拳西の副官になって成長を見せつけるつもりだ。

白がいるため相当厄介な道のりであるが、白にも認められるような人材になってやる。

 

固く決意し、これからの日々のために気合を入れた。

 

「明日から頑張りますよ!!!ふぉぉぉぉ!!!」

「明日はただの準備だろ。まずは目の前の片付けだ。」

 

 

仕方ない。片付けをやってやろうではないか。出鼻を挫かれたが。

 

 

 

 

 

死神見習い奮闘篇 ・ 終

 

 




次回から第二章に入ります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。