ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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原作同様、瀞霊廷の様子もぼちぼち残しておきます。
また、幕間なので少々短めです。


幕間

「あ~~っ、何とか勝たせられた・・・」

「調子はどう?」

「さっきよりはマシかな。でもキツイ・・・」

 

 

また椅子に座ってバナナシェイクを飲み、すぐに体力を回復させる。

脳に負荷がかかっているため、糖分か何かが必要なのかもしれない。このままではデブになってしまうではないか。

斬魄刀の世界ではカロリーの概念は無い筈なので、きちんと卍解を習得してここから出た後が不安になる。

 

周りでは研究員がカタカタピコピコと忙しそうに機械をいじくっている。これなら確かに一人だと大変だ。研究員を作り上げる方が労力もかからずに済む。

今まで特に気にもしてなかったが、同じ原理で闘技場に立つ死神や滅却師なども複数体彼女が創り上げているのだろう。

そろそろ時間だと言われたので、再びガラス窓の前に立つ。

 

 

「今度は複数。二人以上同時に力に干渉して」

「分かった。頑張るよ!」

 

 

席官三名と、十刃落ち三名による乱戦で、今回勝たせるのは席官の方だ。

斑目、綾瀬川と、あれは六番隊の阿散井の腰巾着か。

その相手は、噂によればマユリが回収した破面の死体だった気がする。

 

一気に難易度が上がるが、めげずに隼人は修行を続けた。

 

 

 

*****

 

 

 

隼人が一人修行を続ける中、他の隊でも一般隊士は休まず鍛錬を続けていた。

 

 

「なァ・・・」

「何だよ、話しかけんなよ」

「日番谷隊長、いつ帰ってくると思うか?」

「・・・ンなモン、分かる訳ねえだろ。命は留めたって話は聞いてるが、隊長に戻れるか分かんねえんだろ?俺に聞くなよ・・・」

 

 

素振りを重ねる十番隊一般隊士の二人は、指導官の長木曾にバレない声でコソコソと話をする。

目下の話題は、十番隊の今後についてだ。

身体が弾け飛ぶ重傷を負っても尚も生き残ったのはさすが隊長という感じではあるが、隊長がいつ帰ってくるか分からない以上、隊そのものがどうなるか分からない不安で隊士の頭の中はいっぱいいっぱいだった。

六番隊の一般隊士も皆同じだ。トップ二人が霊王宮に運ばれ、三席が滅却師にやられて治療を終えたばかりなので、隊の土台が脆く不安定な状況に立たされている。

 

 

鍛錬を重ねていた中、修行場に来客が訪れる。

ガラッと音がした開いた襖の先には、重傷を負った筈の日番谷が立っていた。

 

 

「ひっ・・・日番谷隊長!お体の具合は・・・」

「問題無い。花太郎の兄貴の治療のおかげで、昨日付で退院した所だ」

 

 

確かに身体は元通りに戻っており、数日前大怪我したようには思えない。傷跡も一切ない。

だが、滅却師との戦いの前に比べれば、霊圧は3分の1程度に落ちていた。

その現状を認識していた日番谷は、自分が隊長であるという変なプライドなどを考えず、長木曽に頭を下げた。

 

 

「稽古をつけてくれないか。卍解を奪われた俺は、始解と斬術のみで戦わなければならない。基礎から鍛え直して次の戦争に備えたい」

「隊長・・・」

 

 

日番谷が帰って来た喜びと彼の霊力が大幅に低下していること、斬術に頼る必要性のために一般隊士に混ざって稽古をつけないといけない日番谷の現状を知った当惑がその場の全員に降りかかり、場に静寂が訪れる。

「続けてくれ」という日番谷の声で稽古が再開し、日番谷含め十番隊では素振りが始まった。

 

 

「とりあえず、戻ってきてくれて良かったよな」

「あァ、皆一安心だ」

 

 

「七番隊に比べりゃあ俺達なんてまだマシだよ」

 

 

七番隊に比べればまだマシ。

その言葉が、治療中の隊長副隊長、高等席官がいる隊では、自分達を安心させるための流行り言葉になっていた。

 

基本的には自分の戦闘しか考えていない十一番隊でも、その言葉が使われているのだ。

戻ってきた斑目は大幅に霊力が下がっていたため、霊圧回復も兼ねて弓親などが鍛錬に付き添っているのだが、射場と深い関わりを持っていた斑目が心配する程だった。

 

 

「狛村隊長も射場さんも死んで、七番隊は大丈夫なのかよ」

「厳しいだろうね。京楽隊長が手を打ったとは思うけど、どうなるか」

 

 

武道場内のあちこちで打ち合いを見ている二人の慕う隊長は、現在斬術の手ほどきを受けていると京楽から聞いていた。

更木剣八は必ず帰ってくると信じている二人は、隊長のことを心配などするつもりはない。

むしろ心配などしたら殺される。

 

 

「口囃子さんがどうにかするんじゃない?」

「あの人がかよ?出来んのか?」

「さぁ、僕知らないよ。今は余所の隊気にしてる場合じゃないでしょ」

「・・・そうだな」

 

 

今のようにたくさんの部下が生き残り、滅却師の攻撃を耐え切るために団結するといったことも、人がいないと出来ない。

殆ど一人に近い七番隊は、そもそも隊として成り立つのかという点で疑問が残ってしまうのだ。

だが、弓親の言う通りそんな事に気を取られている場合ではないため、再び霊圧を取り戻すため打ち合いを行う。

 

 

「さっきよりも調子戻ってきたようだし、もう少し長くやってみない?」

「へっ、俺は全然問題ねえよ!」

「始めよっか!一角!」

 

 

いつものコンビで、最強の戦闘部隊の凌ぎ合いが始まった。

 

 

 

*****

 

 

 

夜が来た。

数日かかった瓦礫整理もある程度の目処がつき、交代で休みを取る一般隊士の数も戦後すぐに比べるとかなり増えた。

九番隊舎周辺も少なからず戦闘はあったが、奇跡的に建物の大きな崩壊などは無く他隊の手伝いをできる位には隊の状況も回復していた。

指揮をとっていた修兵も今日の分の仕事を終えていた。むしろ瀞霊廷通信をあくせくと編集していた時よりも落ち着いていた。

 

 

「副隊長、お疲れ様っス。今日の分の霊圧解析報告書、十二番隊に届けてきますね」

「ああ。終わったらもう帰っていいぞ。今は休むことも大事だからな」

「いつもの檜佐木副隊長ならそんなこと絶対言わないっスよね」

「・・・編集どころじゃねえだろ?」

 

 

まぁ未来のために記録を取るのは大事であり、写真や言葉で残せば後々役立つかもしれないが、そんな事に労力を費やせば他の隊からの批判は免れ得ない。

鍛錬もせず、かといって戦後処理の手伝いもせず、自分の隊の仕事をしていては十一番隊あたりから暴言が飛んできそうだ。

 

頼れる部下の書類提出兼帰り支度を見送りつつ、一人になった編集室(今は勿論編集してない)で鍛錬のために十一番隊に混ぜてもらおうかと考えていたら、己の上司の霊圧が近づいてくるのを感じ取った。

戦争前と比べると、霊圧の質が完全に別物だった。

もう修行が終わったのかと衝撃を覚えつつ、大慌てで編集室から顔を出す。

 

 

「隊長!!修行終わったんですか?」

「ああ。何か知らねえが今まで嘘の卍解使わされてたみてぇでな。やっと断風(コイツ)の真の力を使えるようになった。今まで認められてなかったんだよ、俺は。情けねえ」

「そっ・・・そうなんすか・・・」

 

 

卍解にもかかわらず、斬魄刀から認められないという事態があることに修兵は少なからずショックを受ける。

これじゃあ自分はたとえ卍解が出来るようになったとしても、多分認められず中途半端な力しか使わせてもらえない。

しかしそんな修兵の心情など拳西にとってはいざ知らず。

 

 

「何オメーが辛気臭ぇ顔してんだよ。隼人みたいだな。他人のコトより自分(テメー)のコト考えろ。明日から俺の卍解慣らすために付き合え。お前の修行だ。お前もついでに卍解しろ」

「えっ。いや、あの、俺卍解まだ、」

「流魂街で特訓な。白も連れてくから覚悟しとけ。じゃあな」

「はっ・・・はいっ・・・」

 

 

俺、持たねえかも。

拳西が完全にいなくなってから、ヤバイヤバイどうしようどうしようと頭の中で思考がグルグル回ってしまい、普段より眠りが浅くなってしまった。

 

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