ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

160 / 182
グロ注意です。ヤバイと思ったら該当部分は飛ばして下さい。


The Zombie

「どういう事だ・・・!何故奴らが消えている・・・!」

 

 

謎の襲撃を受けた場所に戻ってきた砕蜂ご一行だったが、その場に置いて来たはずの死神達は、跡形もなく姿を消していた。

あの時飛んできた矢は明らかに動けない仲間ではなく、途中までは自分達を狙っていたにもかかわらず、真の狙いは動けなくなった死神だったのか。

だが、消えたと言ってもどこかで倒れている可能性はある。

 

 

「さっきの衝撃波でどっかにテキトーにふっ飛んだんとちゃうか?」

「だとしたら、岩に血液が付いていてもおかしくありません・・・。まだ処置を始めていない隊士もいましたし・・・。ですが、確かにさっきいた場所に戻ってきた筈なのに、周りには一切血痕が残ってません。」

「私達の味方が治療してくれたのであればいいが・・・」

「敵サンに利用されたっちゅうことも考えられるわなァ」

「死体の・・・利用・・・?」

 

 

雛森が気味の悪い事を想像して顔を青ざめていたら、平子の嫌な予感は見事に的中した。

 

 

「――――・・・ぁあう、あぁーー―――――・・・」

「うっ・・・・・・、ぼぉッ――――――」

 

 

生気を完全に失い、ゾンビと化した大多数の死神に、あっという間に囲まれてしまった。

 

 

 

*****

 

 

 

時は、昨日の深夜まで遡る。

 

 

 

「うっ・・・ううっ・・・・・・、ッ・・・」

 

 

記憶にあるのは、乱装天傀を発動した中で歯が立たず、路地裏で逃げてきたところまでだった。

そこからの記憶は、曖昧でしかない。何かに吹き飛ばされたような、何かが当たったような、・・・もう分からない。思い出せない。

敵だった男の記憶も、何だか曖昧だった。

 

 

「かわいそうに、バンビちゃん・・・。でも大丈夫、ボクがとびっきりかわいくしておいたからッ・・・!あ!目が覚めた?よかった―――ッ!」

「・・・な、に・・・?あたし・・・」

「バンビちゃん!傷ついてボロボロだったから、キレイにしておいたよッ!ほらほら!」

「・・・?――――――――――」

 

 

ジゼルが仰向けに倒れていたバンビエッタの身体をゆっくりと起こし、身体の状態を見せてあげたが、

 

 

バンビエッタの身体は、腰から下が完全に消えていた。

 

 

「いっ・・・イヤああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 

更に、斬られた腹から自分の臓物がはみ出ているのも見てしまい、反射的に嘔吐してしまう。

斬られているのに痛みが無いのも不気味でしかない。

だが咳き込んで身体を動かしてしまうと、更に絶望的な状況であることが明らかとなった。

 

上半身も無事であると思うのが浅はかだった。

咳き込むと同時に腹の皮膚がペロンと捲れてしまい、胸から下全部、身体の中がスケスケ状態になったのだ。

ドラマの手術シーンなど真っ青のリアルな自分の臓器に、恐怖で声も出なくなった。

 

 

「バンビちゃんの小腸、キレイな色しててカワイイなぁ・・・♡あっ、大丈夫!ちゃんとバンビちゃんの美脚もあっちにあるよ!ほら!」

 

 

強引にジゼルによって頭をぐいっと回された先に、バンビエッタの下半身は一糸まとわぬ姿で吊るされていた。

どこぞの海鮮市場で吊るされた干物のように、ジゼルの神聖滅矢を使って木に吊るされている。臀部を見てしまった瞬間、全身が拒絶反応を起こして痙攣が止まらなくなってしまった。

 

 

「イヤああああああああああ!!!!!!!!イヤッ!!イヤッ!!イヤ!!!イヤああああああ!!!!!!」

「も―――――!バンビちゃんったら、うるさいな――――――ッ!」

 

 

と言って、ジゼルが手元に携えた矢でバンビエッタの左首を貫いた瞬間、彼女は死の間際の記憶を思い出してしまった。

暴風に立つこともままならず吹き飛ばされ、飛んできた時計塔の尖った先端で首を貫かれた瞬間。今まで感じたこともないような激痛で、1秒も意識が持たなかった。

あの時のように、目と口が最大まで開き、苦しんだまま動けなくなってしまった。

 

更にジゼルは、ほんの少しの温情でかけていたバンビエッタに対する痛覚遮断効果を、完全に打ち止めた。

これにより、胴体を真っ二つに斬られた痛み、内臓をグチャグチャにいじられた痛みなど、考えただけで絶望するような猛烈な攻撃が一気に襲い掛かってきた。

 

 

「あ~~あ~~あ~~・・・すごいいい顔だよバンビちゃん・・・見て、ボク濡れちゃった・・・♡」

 

 

スカートをたくし上げて自身のタイツを下ろしてから、ジゼルは己の欲望を満たす。

勝ち気で自信家の少女は、一日にして従順な奴隷へと姿を変えた。

 

自身の欲を満たしたジゼルは最後に胸へ矢を突き刺し、バンビエッタは短い生涯を終えた。

 

 

 

*****

 

 

 

そして現在。

ジゼルのゾンビとなって再起動したバンビエッタは、男とバレて堪忍袋の緒が切れたジゼルを護るため、二人の前に立ち塞がる。

 

 

「嘘だろ・・・!僕昨日あいつ殺しましたよ!しかも何だよあの肌色・・・!」

「あれェ――――――ッ!昨日バンビちゃんを痛めつけたのってキミなんだ!ねぇねぇ、早く殺さなきゃ!」

 

 

しかし、バンビエッタは動こうとせず、ハァハァと荒い息を吐きながら、ジゼルに身体を向ける。

口からボタボタと涎を垂らす様は、さしずめ欲望に飢えた獣か。

 

 

「・・・ほしい・・・、ほしい、ほしいよ、ジジのが・・・ほしい・・・。おねがい・・・もう無理、ガマンできない・・・早く、バンビに・・・。バンビに、ジジの、」

「ああんもう!きたないなあっ!!」

 

 

バンビエッタの涎はジゼルの軍服を滴り、臭い上にシミまで作っている。

一発豪快に殴ると吹っ飛び、生前の姿は見る影もなくなすがままとなっていた。

 

 

「そんなにほしがっちゃって、ホントにガマンできない子だなァ、バンビちゃんはッ」

 

 

「ごほうびは、全部終わってからでしょ―――――――――ッ」

 

 

一連のやりとりを見た二人は、ぐじゅぐじゅとした不気味さと気持ち悪さが体内に蔓延って胸焼けしそうになっていた。

 

 

「(何ですかアレ、性癖ってレベル超えてる・・・)」

「(・・・世の中には、そういうヤツもいるからな。社会勉強だと思え)」

「(いやドン引きしてる人に社会勉強とか言われたくないですよ)」

 

 

と、ヒソヒソ話していたにもかかわらず、聴力がいいのか完全に聞こえていたようだった。

 

 

「ボク達をヒソヒソバカにするなんて許せないよね!!バンビちゃん!やっちゃえーーーーーッ!!!」

 

 

そのままバンビエッタは完聖体の力を使い、大量の霊子爆撃を繰り広げる。

ゾンビ化したことで根本的な霊力こそ下がっているが、いかんせん元の力が厄介なので受け流すことは出来ない。

「下がりましょう!」と隼人が叫んだのに倣い、同じように拳西も後退して距離を取る。

 

 

「で!?どうすんだよ隼人!」

「う~~ん・・・普通にやったらバレちゃうからな・・・」

「あんま考えてる時間無えぞ!次の弾来るぜ!!」

「逃がすと思うッ!?」

「取り敢えず逃げましょう!」

 

 

一度建物に着地してから再び移動することで、二回目の便を上手いこと消化する。

再び空中に飛んでから、隼人は拳西の肩に触れた。

 

 

「風の流れ、操作できますか?」

「あ?何だ急に。卍解してっから出来るがそれがどうかしたのかよ」

「じゃあ大丈夫です!今から拳西さんの力に干渉します!ちょっと変な感じするかもしれませんが我慢して下さい!」

 

 

それから軽い説明を受けていると、爆弾の第3便が二人めがけてやって来た。

何だか最初よりも多い気がするが、きっと大丈夫だろう。

 

まず、拳西が卍解の力を使って、二人の目の前に存在する大気を操作し始めた。

いつでも行けるぞ、と言われた隼人は、右手で拳西の左肩に触れたまま、攻撃用の杖から錫杖へと変化させる。

そのまま力を籠めると、拳西の力に変化が現れた。

 

(!)

 

自分の力に何者かが介入してくる妙な感覚に顔をしかめたが、我慢して下さいと言われたので後ろに飛びながら変わらず力を籠めていく。

数秒後、隼人の手が離れると同時に、錫杖からロッドに戻したようだ。

 

 

「よしっ!今度はこっちから行きます!」

 

 

奔放な振る舞いについていくのが並々ではない程に疲れてしまうが、考えあってのことなのは分かるのでこれも言われるがままについていく。

 

普段より一回りサイズを大きくした赤火砲を放った隼人の隣で、拳西はブーメランのような形をした特大の刃を風で作り上げて投擲する。

 

 

「これでどうなんだよ?」

「まぁまぁ、見てて下さいよ」

 

 

これも言われるがままに見ていると、さっきと状況が違うことはすぐに分かった。

 

拳西が操作した大気のエリアでは、霊子の動きが完全に止まっているのだ。

空中で爆弾の動きが静止し、ジゼルとバンビエッタの動きも一瞬止まってしまう。

空気そのものが、霊子を固定する壮大な空間へと変貌を遂げた。

そして、その空間を破壊するのが、赤火砲と風の刃だった。

 

霊子の止まった空間に二つのエネルギーが触れると、張り詰めていた糸がプツンと切れたかのように空間の霊子の動きが生まれ、二人の女性滅却師を巻き込んで大爆発した。

 

 

「拳西さんが大気を操作して、僕がその操作した大気の中に霊子を止めるエネルギーを混ぜました。力に干渉して捻じ込んだので、相手からすれば見えない空気の変化に気付けないでしょう?だからバレずに済んで良かったです!」

「成程な、それはいいんだけどよ、お前が俺の力に入ってくるときの気味悪い感覚はどうにかなんねえのか?」

「無理ですね!耐えて下さい!時間が解決してくれるはずです!」

「随分投げやりだなオイ」

 

 

だが、爆発のダメージを受けたのはバンビエッタだけだった。

土壇場でジゼルがバンビエッタの身体を盾にしたのだろう。彼女の身体は血色の悪さに加えて至る所傷だらけになってしまい、ジゼルの身を守るための都合のいい道具になっていた。

 

 

「へへっ、そうなんだ。じゃあバンビちゃんじゃ相手にできないね、()()

「・・・、・・・ッ!!」

 

 

ジゼルの声音に怯えたバンビエッタは再び翼から霊子を撃ち出したが、今度は撃った瞬間に全て爆発してしまう。

勿論この爆弾も、バンビエッタが全て身代わりにさせられた。

 

 

「お前らの周りにゃ、見えねえ空気の壁が大量にあるからな。その女が爆弾を撃とうが、俺の力で全部爆発させられるぜ」

 

 

空気を見えない壁に変化させることで、バンビエッタの爆弾は事実上物体に触れることになる。

その壁が滅却師二人の周りに展開してあるのであれば、バンビエッタの爆弾は撃てば撃つだけ自分の身を滅ぼしてしまうのだ。

こうして、ゾンビの滅却師の術は完全に封じた。尤も動ける状況には見えないが。

 

 

「そっかぁ―――――――、バンビちゃんじゃ、隊長さん二人には力負けしちゃうよね・・・。しょ――――がないな――――――――ッ」

「・・・しょうがない・・・?」

 

 

「出てきていいよ―――ッ、死神さ――――んッ!」

「「!!」」

 

 

ジゼルの声に呼ばれて、数名の死神が二人を取り囲む。

日番谷、松本、大前田、斑目、綾瀬川・・・。

その他にも、護廷十三隊の席官が、皆赤黒く濁った肌になって、意思のない人形と化していた。

 

 




バンビちゃんのゾンビ施術シーンは、ひぐらしのあのとんでもグロテスクシーンに影響を受けて書きました。と言っても僕は規制版でもあのシーン見れてません。途中で止めました。グロすぎて・・・。なので若干マイルドに仕上がっているかなと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。