ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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中心

「突入って・・・隊長格全員でか!?そないなことできんのかい!」

「できます。・・・できる筈です。夕四郎サンの持ってきてくれた天賜兵装と、涅隊長の作ったこの台座。それから・・・隊長格を集結させた膨大な霊力があれば・・・」

 

と言われても、机上の空論にしか思えず、イマイチ実感が湧かないため、皆の頭には出来ると考えれば、やはり無理ではないかとも考えてしまい、結論をまとめきれずにいた。

そもそも皆の霊力を集めて行けるなら、皆霊王宮で修行出来たのではとちょっとした不満が頭をよぎったが、後の祭りなので今更考えても仕方ない。

思考が止まる死神もいる中、探るように隼人は声を出す。

 

 

「・・・あの・・・僕の簡易的な空間転移じゃ無理ですか?」

「いやあの、一応ソレ禁術ですから・・・」

 

 

ガッツリ皆に自分が禁術を使えてしまうことを喋ってしまったため、「はあぇっ、」とお決まりの変な声を上げて一気に一人で追い詰められる。さっきも使ってしまったのだ。

別に詰問されている訳でもないのだが、誰かにチクられたらお縄にかかってもおかしくない。

 

 

「・・・聞かなかったことにして下さい・・・」

「大丈夫っスよ、誰も四十六室にはチクりませんから。それより口囃子サン、霊圧読めるようになりました?」

「いやぁまだ・・・、って!何で知ってるんですか!」

 

 

どうやら浦原は、昨日と今日の隼人の戦闘をカメラ越しに見ていたようで、卍解の副作用で一人でパニックになる様子も完全に知っていたらしい。

浦原が懐を指さしたのでゴソゴソ探ってみると、紫色の宝玉的な持物が入っていた

何でも、これに触れていれば副作用の時間を数十分程度に収めてくれるとか説明されたが、とんでもない代物だ。

七緒に顔面ストライクショットを喰らって気を失っている間に、懐に忍ばせていたのだった。

 

事実、ちょっとずつであるがもう霊圧が感じられるようになってきた。

 

 

「小さい時くらいには・・・読めるかなぁ・・・?」

「なら十分っスね。口囃子サンはあの頃から霊圧知覚は図抜けてましたから。多分、檜佐木サンと同じくらいでしょう」

「・・・今の俺と、子どもの口囃子さんが同じ・・・・・・」

「しょげてんじゃねえよ。何度も言うがコイツは昔から色々とおかしいから比較しても無駄だ」

 

 

色々とおかしいなど、とんでもない暴言を吐かれたために毎度の如く怒り心頭となるが、そんな隼人のまくし立ては右から左へと風のように流れていく。

おまけに納得している修兵もムカつく。お前昔の僕の姿知らないだろと飛び蹴りしてやりたい程だ。落ち込んだままでいとけよ。

 

 

「ほら落ち着け!隼人がおるといっつもオマエ中心になるさかいちょっと黙っとれ!」

「そっ、そうですか?それは・・・良くないですね。・・・自重します・・・」

「・・・自重するのか・・・・・・」

 

 

思考回路のハチャメチャ具合に白哉が静かに困惑した所で、後ろの方で存在感を消していた花太郎が口火を切る。

彼が気になっていたのは、今後の四番隊の動向だった。

霊王宮に行くにしろ、四番隊がいれば防御、治療面は確かにより強固な一団となるだろう。

だが、

 

 

「・・・僕達、足手まといになりませんか・・・?」

 

 

先程ジゼルの作り上げたゾンビ軍団に対しては、ほとんど、というか完全に、五番隊の二人と砕蜂に任せっきりで、四番隊は皆護られていただけだった。

平子の逆撫による同士討ちで大半は勝手に無力化されていったが、護る対象が近くにいるだけでどうにもやり辛く、時間だけが掛かってしまって他の救援などに向かうことも出来なかった。

そして浦原も、カメラ越しにその様子はしっかり見ていた。

 

 

「多くの四番隊は、全てが終わってから霊王宮に突入して下さい。幸いにも隊長が多くいるので、皆サンは後からで大丈夫っスよ。花太郎サンはアタシ達と一緒に来てもらいますけどね」

「はっ、はい!精一杯頑張ります!」

 

 

今までなら「うえぇえぇ~~・・・どうしよう・・・」と弱音を吐いてそうだったが、今回は珍しく威勢よく返事をした。

成長し、逞しくなったのか、それともただ状況に追い付けず話を聞いていないだけなのか。

三席にもなったので、前者を祈るばかりだ。

そして、しばらく霊王宮に行かずに待機となることを告げられた四番隊の一般隊士や席官たちは、皆揃って隊長格の治療に動き出した。

目に見えなくとも、疲弊して身体の中はボロボロな隊長格も少なくないため、彼らの霊圧治療は非常にありがたいものだった。

 

 

「皆サン、ありがとうございます。・・・何だか、催促したみたいになってしまいましたが・・・」

「ありがたいモンは素直に受け取るんがええっちゅうモンやで喜助ェ」

「寛ぎすぎですよ、平子隊長」

「せめてオレの方ちゃんと見て言わんかい桃」

 

 

平子には背を向けた状態でツッコんだ雛森を見て昔を思い出したが、必要のないことなので不躾に口を開くような真似はしない。

といっても、ぐでーんとした平子の姿は寛ぐというよりもだらけるに近い姿勢だ。

悪い子なら真似しそうだ。そんな平子の視線は、更木が眠っていると思しき部屋のドア上に向いていた。

 

 

「・・・何やろな、ここ。普段は何してんねやろか・・・」

「それはですね平子隊長、口囃子のいい加減な推測によると、中にこれまた恐ろしく気味の悪い生き物が吊るされて実験されているらしいですよ!」

「あァ、破面の生首とか?」

「あっ、破面の生首!?!?!?ひぃぃぃぃ!!!!」

「人に話振っといて勝手にデカい反応すんなや!うざいわホンマ!またオマエ中心になるやんけ!!」

 

 

適当な返しをしたはずが、過剰に隼人が反応するせいで、やっぱり話題の中心が隼人の言動になりかける。ボケるにしろ毎回情報量が多いため、ツッコミに疲れるのだ。

当の本人が「つい癖で・・・」なんて返しをするせいで、「ホンマにお前はもう・・・!」とマジで不快そうな顔を向けてしまう。

 

だが、確かに今の言動は言われてみればウザいと思われても仕方ないので、冷静になって隼人は謝った。

拳西なら断じて謝らないが。

そして話題になった治療室は、丁度普段の解剖室へと変わり、完全に処置が終わったようだった。

 

 

「何で通常の状態が解剖室やねん・・・」

「案外当たってましたかね?」

「もう・・・何でもええわ・・・」

 

 

辟易とする平子だが、キレの鋭いツッコミのできる人材は彼しかいないため、まだまだ仕事は続く。

 

 

「更木隊長、もう動けるみたいだ!やったな!」

「浮竹サン!?あんた何してんねんな!他の四番隊に治療されとるんとちゃうんか!」

「何を言うんだ!今の俺はすこぶる体調が良い!俺はそもそもが病弱だから、治療の術にも造詣が深いからな!喜んで手伝ってやるさ!」

「・・・あァ、せやったな・・・」

 

 

小椿と清音の二人はまた何か言い争いをしており、おかしなことに後ろから来た更木の存在感が薄れている。

浮竹が身体を支えようと手を出したが、大丈夫とでも言うように手を軽く払い、他の隊長格を意に介さず前へと進んでいく。

珍しく沈黙したままなのが不思議だったが、周囲を探っている素振りを見せたため、目的はすぐに判別できた。

 

 

「・・・やちるはどこだ?」

「十一番隊の皆サンが捜してくれてます。心配しないでここで待ってて下さい」

「・・・ふん」

 

 

えっ、行っちゃうんですか?と思わず口に出かけたが、珍しく慌てた浦原を見た隼人はそっちに気を取られた。

一瞬ではあるが、浦原の身体から霊圧が強く発せられたのだ。

それを証明するように、更木が出ようとした扉には鬼道によるバリアが張られている。

並大抵の死神には解除不能な、相当に高度の術だった。

 

 

「・・・・・・何の真似だ」

 

 

同時に、更木の霊圧も濃密で、鋭い切っ先を孕んだものへと変化する。

完全に霊圧を読めなくとも、元々の受容体質のせいで隼人はどういった霊圧なのかを理解することはできた。

下手に口を挟めず、黙って様子を見ていると。

 

 

「口囃子、術を解け」

「えっ・・・、いや、それは、」

「解けませんよ?術を解いた死神は反動で命を落としますから」

「うっ・・・嘘・・・・・・」

「てめえ・・・」

 

 

浦原の真面目な一言に加えて更木の鬼気迫る表情が拍車をかけていき、息も詰まる場の緊迫感が生じる。

今でさえ更木とは対等な立場にいるものの、圧倒的な力を持ち、凄みを帯びた霊圧を際限なく放出する更木に、口答えすることなどできた試しがない。

今回はどうにも無理矢理二人の間という土俵に立たされてしまったので仲裁すべきであるが、更木に加え、浦原からの圧も全く負けておらず、両側からの霊圧に圧し潰されてしまいそうだ。

機械人形のように首を横に振ってあわあわしていたが、予想外の人物が仲裁に入った。

 

 

「更木隊長。・・・おやめ下さい」

「なっ・・・七緒さん・・・」

 

 

瞬歩で隼人の近くに移動した七緒は、後ろの隼人を気にすることなくしっかりと更木の目を見据える。

左手で強く本を握り締めてはいるが、しっかりと自らの足で立ち、怯える様子は微塵もない。

情けなくおろおろしていた隼人とは大違いだった。

 

 

「どけ」

「お言葉ですが、今はこんな事してる時じゃありません。更木隊長が捜すよりも大勢の隊士達に任せた方が早いし、ここでの更木隊長の仕事は隊士達には務まりません!今は為すべき務めを果たすべきです!違いますか、更木隊長!」

 

 

七緒の気迫に、全員が固唾を呑んで見守らざるをえなかった。

副隊長だけでなく、元仮面の軍勢の隊長格すら見たことの無い七緒の勢いに口を堅く結んでいる。

ポロっと喋りがちな隼人も、口を開くことが出来なかった。

 

更木の目は確かに一度僅かな苛立ちを見せたものの、旅禍騒動の時に東仙や狛村に見せた目とは性質が異なっていた。

どことなく、溜飲が下がったような目つきだったのだ。

気迫の籠った目で更木の目を見ながらも、本を掴む両手はほんの僅かに震えているのを感じ取り、むしろ七緒の強い意思を改めて認知した。

 

鼻でため息をつきそっぽを向いた更木は、入り口とは別の方向へと歩いて行った。

 

 

「・・・違わねェな。確かにウチの連中に任せた方が早そうだ」

 

 

その瞬間、皆が一様にホッと安堵し、無駄に張り詰めた緊張感はすぐに解れていった。

特に元十一番隊の恋次は止まっていた息を一気に吐き出して「マジで恐かった・・・」と呟き、隣のルキアに生暖かいジト目で見られていた。

後ろにいた浦原もにこやかな顔をし、いつも通りの霊圧に戻った。

 

ただ一人、板挟みになった隼人は、あまりの安堵で腰を抜かしそうになってしまった。

 

 

「あ・・・・・・、はぁ・・・」

「ちょっと、口囃子さん!?大丈夫ですか!」

 

 

べちゃっと思いっきり尻餅をついてしまったが、何しとんねんと近くにいた平子に引っ張り上げられて立たされ、体裁上身なりを整えるふりをして居心地の悪さを緩和しようとする。

おわっと、おおっと、と、よたよたしていたが、重心が安定してからたった一言で、さっきまでの出来事に対する個人的な感想を述べた。

 

 

「僕も、頑張ります!」

「は・・・はぁ・・・、??」

 

 

唐突過ぎて七緒は困惑してしまう。

だが、どのような場であっても逞しく己の意思を他人に伝えることができない隼人の目からすれば、七緒は明らかに自分よりも強い存在だ。

言葉の力の強さを、完全に侮っていた。

精神面でも未熟すぎて、席官如きとは格が違うことを思い知らされた。

ただ力が強いだけで、隊長職は務まらない。

 

こんな時ではあるが、後々の課題が見えた気がして、七緒のおかげで心が奮い立たされたのだった。

 




そういえば、読切読みました!読んですぐに浮かんだ感想は、伊江村さんどこ・・・です。
ゆゆちゃん可愛かったですね。あと、スマホもあるんですね。10年後というか、5年後くらいにはあってもおかしくないのかなーと思いました。LINEがあるならTwitter、YouTubeもあるのでしょうか。修兵はYouTuberやってそうですね。無茶な企画やって炎上してそうです。Instagramは代わりでVanitrictがBTWの世界にあるので、そっちを使っているのかなと思います。フォロワートップは平子、乱菊、弓親の誰かかな・・・?
あとテレビもあるなら、瀞霊廷でもオリジナル番組とか作っていそうですね。グダグダ生放送とかありそうです・・・。
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