ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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今回は少し短めです。


合流

「やっぱお前か拳西」

()()()()()()。いくら卍解しても俺だけでこんな事は出来ねえよ」

 

 

そう言うと、左肩に担いでいた隼人の身体を下ろし、一人で立てるように取り計らう。

 

 

「力のベースは俺の卍解だが、それをここまで伸ばしたのはコイツの卍解だ。無茶しすぎて一人で立てなくなっちまいやがって情けねえ。二度目だぞ!」

「いやもう本当、すみません・・・」

 

 

マスクとの戦いでは風を圧し固めて大気の槍を作り出し、腹に突き刺して爆発させることで二度と復活出来なくなるまでにダメージを与えられたが、その能力を聞いた隼人はとにかく風を吸収、圧縮して、猛烈な威力の爆弾を創り上げることにした。

拳西の身体が壊れるギリギリまで霊力を強めて力に干渉することで、霊王宮に広がる大気のほぼ全てを掌握し、大気エネルギー全てをジェラルドの身体にぶつけた。

また、敵側の手に渡っていた霊子も一部はこちらの手に戻ったお陰で混入させることもできたため、空気と霊子の混じった凶悪な性能を持つことが出来た。

 

形ばかり謝って支えなしに立ち上がった隼人は、相変わらずの親からの小言を受け入れて聞き流す。

 

 

「で、次!どうします?」

「切り替え早ッ!無茶した後なら休んだ方がええんやないか?」

「そりゃあ休みたいですけど・・・一応僕はやる事あるんで。他の皆さんはどうなさるつもりですか?一護くんに加勢・・・」

 

 

言葉を続けようとしたが、白哉の手によって遮られ、恋次とルキアに向かって指示をする。

 

 

「黒崎一護の許へは、お前達2人が行け」

「え・・・・・・?俺達が行っていいんスか・・・?」

「しかし・・・」

「何を迷う。自惚れるな。黒崎にお前達の力が必要だと言っているのでは無い。此処にお前達の力は必要ないと言っているのだ。―――解ったら行け」

 

 

2人の力をしっかり認めているからこそ、隊長達の後ろで戦うのではなく、友の隣で戦わせる。

部下と妹を送り出す白哉の目には、冷徹な中に昔持っていた熱さが垣間見えた。

 

 

「はい!」

「ありがとうございます!」

 

 

バレバレの気遣いを真正面でガッツリ受け取り、恋次とルキアは一護の霊圧の許へと走っていった。

平子ら他の隊長達に、誰も止める者はいない。

話を遮ってしまった本人の方へ振り返ると、ニヨニヨと気持ち悪い笑みを浮かべていた。

 

 

「色々バレバレですよぉ~最上級のツンデレですね!」

 

 

相当に珍しく、白哉からの平手打ちが飛んだ。

パァァァン!!と中々に痛々しい音が皆の耳をつんざく。

 

 

「・・・そんなに痛くないけど、音が凄い・・・」

「元より私の気遣いを見透かさせるつもりでいたのだ。何も問題無い」

「昔夜一と喧嘩しとった時みたいな事・・・って、怖ッ!オレにはビンタせえへんでくれよホンマ?」

 

 

蛙を睨む蛇のような目の白哉に平子がたじろぐ中、この中で最年少の日番谷が真央霊術院で学んだことを思い出しながら、2人の行く末を(おもんばか)る。

 

 

「俺は黒崎の許へあいつらを行かせるべきだと思うぜ。俺は霊術院で、上官や家族の為に戦えとは教わらなかった」

 

 

死神 皆須らく、友と人間とを守り死すべし。

日番谷の言葉を聞いた面々は、忘れていた教えを思い出してはっとした顔をする者もいれば、自分の友の事を考え、複雑な心境を抱く者もいた。

果たして射場鉄左衛門は、この教えを覚えていたのか。

教えの通りに死ぬなら、今後は誰を守って死ぬことになるのか。

直近で友達を喪った隼人にとって、この問題は簡単に纏められないものだった。

 

 

「俺達と黒崎は仲間だが、あいつらは黒崎一護の友だろう。死神として戦うなら、黒崎の所へ向かうのが正しいって事だ」

 

 

日番谷の言葉から、ローズとラブの2人が過去を懐かしむ。

 

 

「正誤の秤・・・だね。霊術院で皆と一緒に学んだの、もう何百年前だったっけ?」

「皆って、お前いた記憶無えんだけど」

「ボクいたよ!!!」

 

 

泣きそうな顔をするローズは置いといて、今後の動きをどうするか決めていく。

ここでも白哉が中心になって話は進んでいた。

 

 

「先ずは、総隊長や浦原喜助と合流する。分散した仲間を集めてから次の動きを決めるのがいい筈だ」

「オレもそうした方がええと思いまァーす」

「口囃子がやろうとしている事も、一度皆を集めてから戦力を分けた方がいいだろう」

「力結構使っちゃったので、僕もその方がいいと思います。霊圧は探せるので僕が案内します」

「頼んだぞ」

「承知しました!」

 

 

まずは霊圧の近い京楽と合流するために移動を始め、その間に平子が伝令神機を使って浦原とも連絡を取り、戦力を今一度整える。

 

(・・・?)

 

さっきまで戦っていたジェラルドの霊圧を隼人だけは一瞬感じたが、能力で検索しても見つからず、頭の隅に一旦留める。

程なくして身体の各部に痛々しく包帯を巻かれた京楽と、何故か斬魄刀のようなものを腰に提げた七緒の2人と合流した。

 

 

「何とか、損害はここまでで持ちこたえられたか・・・いやいや良かったよホント・・・」

 

 

京楽の言葉とは対照的に、七緒はここにいない死神のことを考えて不安を表情に出してしまったが、察した平子と日番谷が全部説明し、それに京楽が新たな情報を重ねた。

 

 

「リサとひよ里はハッチに任せてる」

「松本と檜佐木にも連絡を入れた。もうすぐで来ると思うぜ」

「そうですか・・・」

「滅却師に撃たれた隊長格は、伊江村三席を筆頭にした後詰の四番隊が治療し始めたから心配しなくていいよ。花太郎クンも合流したって」

 

 

情報交換をしていた所で、修兵と松本、そして浦原一派も全員治療を終えた状態でこちらに合流する。

完全に夜一と砕蜂の尻に敷かれた浦原を勇音は苦笑いで遠巻きに眺めており、2名の破面は何故か夕四郎に興味を持たれていて困惑していた。

グリムジョーに関しては平子の顔を見た瞬間に戦闘モードに入りかけたが、案の定ネリエルに止められる。

 

 

「いや~、皆サン本当にこうして集まられると壮観っスね。色んな策が思いつきそうっスよ」

「ほう、ならおぬしは今すぐにでもユーハバッハを倒す策でも考えんか!!」

「夜一様の言う通りだ!!貴様がそうやって含みを持たせて私達の注意を引きつけようとしても無駄だ!」

「まぁまぁ、夜一さん、砕蜂隊長、落ち着いて下さい・・・、ねっ?・・・もォ~~~・・・これ以上私には無理・・・」

 

 

せっかく治療をした結果、このような混沌を生み出してしまった事にがっくりと項垂れる勇音に雛森と七緒が労いの言葉を小声でかける。

強烈キャラの中に巻き込まれた優等生は、治療よりも仲裁に体力を使ってしまい、変な所で疲れていた。

グリムジョーとネリエルの小競り合いにも気を払っていたようで、彼らの場合は勇音が仲裁するとすぐにグリムジョーが落ち着いてくれて苦労しなかったが、夜一、砕蜂と浦原の場合は長年のアレコレがあるため、勇音の存在は悲しいことに無視同然だった。

 

 

「僕でも無理だ・・・」

「アレには俺も巻き込まれたくねえな」

 

 

どの口が言う、という目で修兵に見られたが、気付いた隼人はすぐさま修兵に駆け寄り、早速弱みを握ろうと探りを入れた。

 

 

「で?折角まつもっちゃんの所に行かせたんだから、カッコいいトコ見せられたん?」

「なっ、急に何すか!別に・・・いや、そうっすね・・・」

 

 

そして見事に、カウンターを喰らってしまう。

 

 

「『さすが修兵ね!あんたのそういうトコ好きよ!』って言われました!」

 

 

とんでもない大嘘なのだが、真に受けた隼人は慰める気満々という大変意地の悪い顔から、虚無な表情へと一瞬で変化する。

一護といい恋次といい修兵といい、自分よりも若い死神(代行)が着々と大人の階段を上っていこうとしている中、何とも情けないというか、ダサい自分の姿を実感してしまい、もうこのままおじさんになっていくのかなと一人で諦めムードになってしまう。

卍解の影響で身長を伸ばした日番谷を見た修兵が、「あの方は、日番谷隊長のお兄さんか誰かっすか・・・?」と言ったことに、「あぁ、うん、そう」と低い声で適当に返事している姿から、落ち込んでいることは明白だ。

ちょっとの嘘でまさかここまで落ち込むとは・・・と修兵も少し申し訳なくなってきたが、声をかけようとした瞬間、頭を下げた隼人が急にビックリしたかのように頭を上げる。

血相を変えて大声を上げたのだ。

 

 

「朽木隊長!!さっきの滅却師の霊圧が()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

「何・・・、!!」

 

 

皆が反応する前に、黄色い霊圧の柱が各地で突然立ち上がり、死神達の前で集められて巨大化していく。

さっきまでジェラルドと戦っていた死神は既にその霊圧が同じものである事に気付き、他の面々も警戒心を最大限までに強める。

 

 

「霊子なら・・・引き剥がせるか・・・?」

「馬鹿野郎!今無理したら動けなくなるぞ!」

「ッ・・・」

 

 

せめて鬼道で攻撃を・・・と思ったが、ジェラルドの霊圧は予想だにしない変化を遂げる。

一度霊子体として完成したジェラルドは、何とこちらに一切の攻撃をせずに、真世界城の頂上にある黒い霊子の物体へと分解、吸収されていった。

他にも、複数の場所から紫など、様々な色の霊子、霊圧が一点へと集まり、吸い寄せられていく。

 

 

「何だ・・・これは・・・?」

「不味いね・・・一護クン達が危ない」

 

 

その光景を見た浦原が隼人の許に向かい、切羽詰まった様子で指示を出す。

 

 

「黒崎サン達の所に行って彼らの治療を行って下さい。」

「治療だけで大丈夫ですか・・・?」

「ええ。くれぐれも無理しないで下さい」

「はい!」

 

 

不安定な走る姿から、他の死神の例に漏れず隼人もかなり消耗しきっていることは簡単に読めてしまう。

前線に立って戦うことは不可能であるため、何とか戦闘は避けて欲しいと願うばかりだった。

そして浦原も、霊王宮を元に戻すために動き出す。

夜一や勇音の話を聞いたことを利用して、もし浦原も隼人と同じことが出来れば負担を軽減できるだろう。

兎にも角にも、まずは初歩の初歩、霊圧地点を探すことから始めるつもりだったが。

 

浦原の伝令神機に、ある人物から電話が掛かってきた。

 

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