ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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イメージアップ大作戦!?

入学して六年、遂に隼人は真央霊術院最上級生である六回生になった。

この日は新入生が入学式を行っており、射場が代表として挨拶をしている。

 

だからといって六回生全員も入学式に参列しているわけではなく、隼人は教室で来年の進路希望をどうしようかと必死に苦悩していた。

 

 

「第一希望は九番隊・・・・・・でも第二以降どうしよう~~!!!!三番隊はローズさんうるさいし・・・六番隊は朽木家御用達って感じだし・・・十三番隊はあの憎い男がいる・・・・・・。はぁ~あ・・・・・・。」

「あのぅ・・・・・・。」

「わぁっ!!!・・・って勇音さんか。どうしたの?」

 

 

何やら相談に乗ってほしそうだったので話を聞くと、全く同じ悩みを彼女も抱えていることを知った。

四番隊を第一希望にしているらしいが、それ以降が決まらないらしい。

 

 

「四番隊って・・・勇音さんほどの鬼道の力があるなら別に他の隊でも・・・例えば十三番隊とか!」

「私は・・・・・・あまり戦いとか好きじゃないので。どちらかというと皆さんを治療して後方支援する方が向いてるかなって思うんです。」

 

 

なるほどそういう考えか。

四番隊は基本給が安く戦闘特殊部隊である十一番隊からも馬鹿にされているなどの理由で人気がなく、入る者は元々決めていた者以外は、成績不振で仕方なく、だったりする。

 

勇音は同期の間でも隼人程ではないが鬼道の実力が高く、縛道と回道が得意だと聞いていた。

彼女の心優しい性格が実力にも反映されているのか、攻撃重視の破道は苦手だと以前教えてくれた。

 

 

「あと、まだ院にも入ってないのに妹が十三番隊に入りたいって言ってるんですよ。浮竹隊長の講義の話をしたらすごい感動したみたいで。だから私が十三番隊に入ると居づらくなっちゃいますよ。」

「そんな妹のこと考えなくてもいいんじゃないの・・・?でもちゃんとした信念持って四番隊選んでるの尊敬するな~。僕なんてただ知り合い多いからとかそんな感じだよ?入りやすそうだし。」

 

 

コネ入隊を堂々と宣言する隼人は置いといて、勇音の心意気は素晴らしいものだ。

結局勇音は隼人の押しで第二希望は十三番隊、第三希望は友達と一緒に五番隊にしたそうだ。

 

そのまま隼人は決まらず、あぁどうしようと悩んでいたが、勇音が耳寄りな情報を持ってきた。

 

 

「そういえば明日の六回生向けの講演会、進路選択に向けた話って私は聞きましたよ。」

「えっ本当に!?」

「友達から聞いたので確かな情報ではないんですが・・・。それに講演者が誰かも機密情報扱いみたいで何だかやけに謎に包まれているんですよ。」

「えー何それ・・・・・・。まぁでも現に進路悩んでるし行ってみるか。」

 

 

講演者が謎な時点で隊長格の誰かが来るのかなとは予想がついた。

そしてこういう時は浦原あたりが一番怪しいのだ。

あとこういう遊びをしそうなのは夜一か、平子か・・・。

まずもって拳西はありえないので除外した。講演とか柄じゃねぇって言いそうだし。

 

あぁ誰が来るのかな~と考えつつ、とりあえず明日の講演に向けて自分の状況を整理して明日に備えることにした。

 

 

 

 

翌日朝。

 

 

霊術院の門の前でとある人物が哀愁を漂わせて院を見据えていた。

ある者はそれを戦前に精神統一する侍のようだ、と言えば別の者は風流な遊び人が好みの店を探す時の目をしている、とも言うだろう。

 

 

「さてと・・・・・・今日はちょっと頑張らないとね・・・・・・。」

 

 

覚悟を決めたその人物が、霊術院の門をくぐり、懐かしいものを見るかのように辺りを見回していた。

 

 

 

 

もともと講演会は適当に話を聞いとけばいいかと考えていたが、今日の内容は非常に重要だ。

現在進行形で悩み続けている進路について先達の方が教えてくれるからである。

今日は質問たくさんしちゃおっかな~とまとめた質問ノートを見て野心を膨らませていたところで、毎度お馴染みの「静粛に!!」という声が聞こえた。今日は比較的静かだったよ?

 

 

「それでは六回生向け講演会『進路選択のススメ』をこれから始める。今回は講演者の意向を踏まえて特例でこの時まで名前を明かさないでおいた。皆誰が話すかわからず心配しておるが大丈夫だ。何と今回は護廷十三隊現役隊長がわざわざ来て下さったからな!それでは登場して頂こう!!」

 

 

やけに熱のこもった口調で先ほどの『静粛に!おじさん』が語った後、何故か講演台の上から桜の花びらがひらひらと散り始めた。

 

なんだこんな凝った演出?浦原さんはここまでしないぞ?といよいよ誰かわからなくなったところで、当の人物は講演台の影から姿を現した。

 

 

「うわっ!!何か気持ち悪っ!!」

「こんにちは。京楽春水で~~~す。みんなヨロシクね♡ってちょっと隼人クン!気持ち悪いって酷くない!?」

 

 

何だよ京楽さんかよ・・・。期待してちょっと損した。

意識高く一番前の真ん中に座っていたのが台無しである。

 

 

「まぁいいや。とにかくヨロシク♡ンフフフフ・・・ンフフフ・・・フフ・・・・・・フ?ってあれ?リサちゃん!花ビラもういいよーー!!あれ聞こえてる!?おーーーーい!!リサちゃーーーん!!!花ビラもういいってばーー!!可愛い可愛い矢胴丸リサちゅわーーーん♡ってわぁあ~~~~~!!!」

 

 

上に潜まされていたリサが花ビラ係をやらされていたが、嫌になったのか残り全てをぶちまけ京楽は花びらに埋もれてしまった。

ちなみにこれは百年後副隊長になっている七緒もやらされることになる。

 

 

「リサちゃんったらすぐ怒るんだから。じゃあ気を取り直して始めますか!」

 

 

そして幸先の悪い講演会が始まった。

今回の講演は基本的に院生たちのお悩み解消会的な感じになっており。京楽は院生の質問に的確に答えようと頑張っていた。

 

思慮深く洞察力に長けた京楽なのでまるで占い師のようにかなり多くの院生の悩みを瞬時に解決しているが、よーく見てみると、やっていることは浦原のやる講演会と全く同じである。

 

そして女の子の相談に乗っている時に案の定京楽の悪いクセが出てしまった。

 

 

「キミは・・・・・・うん。八番隊がいいと思うよ。可愛い女の子は八番隊に入ると出世するって言い伝え知らなかった?」

「え゛っ。」

「あっあれ?そんな冗談だよ真に受けちゃダメ・・・ってあれ?」

 

 

あ~あ、やっちゃったよ。

女子生徒からの否定、軽蔑の目。

院生相手にただの変態オヤジとかしてしまった京楽の株はこれでダダ下がりしてしまった。

 

 

その後も質問への返答は素晴らしいものばかりで、隼人も悩みを解決できたが、やっぱり可愛い女の子には何度か粗相をやらかしてしまい、京楽の株が上がることはなかった。

 

 

終演後、隼人は進路希望用紙に以下のように埋めた。

 

第一希望 九番隊

第二希望 八番隊

第三希望 十三番隊

 

八番隊を選んだ理由は、やはり今日の京楽の洞察力の素晴らしさに感銘を受けたから、というのが一番大きい。

人の本質を見抜く術は間近で見ると凄まじく、圧巻の一言しか思いつかなかった。

おそらくこの代の八番隊は男子生徒ばかりが入ることになるだろう。女子ウケ悪すぎだしね。

京楽のがっかりする顔が目に浮かんでしまう。

 

また、第三希望を十三番隊にした理由は、海燕を除いてそれ以外の条件が個人的に合っていると気付かされたからだ。

 

 

「たった一人気に喰わない人がいるだけでその隊を選択肢から外すのは感心しないよ。それに海燕クンと長く一緒にいたら色んな一面知れて仲良くなれるかもよ?彼結構信頼されてるからね。ボクもそれなりに信頼できる男だと思うよ。」

 

 

絶対にありえません!とあの場では大見得切って告げて笑われたが、よくよく考えると浮竹のいる隊の気風は、どことなく落ち着いていて自分に合っていそうだと改めて気付いた。

海燕の対処法は考えないといけないのが非常にネックだが、第三希望ぐらい入れてやってもいいか、と思うくらいには十三番隊への心の障壁は無くなった。浮竹に非常に失礼だが。

 

希望調査用紙を提出するために職員室に入り担任に紙を渡した後、学長と話を終えた京楽とリサに遭遇した。

 

 

「あ!隼人クン!やっぱり気持ち悪いは無いよ~~ボクしょんぼりしちゃった。」

「すみません。思っていたことが直接口から出てしまいました。」

「ちょっとちょっと・・・何か最近当たりキツくない?」

「???」

 

 

わからないフリをしたが、あんな体たらくを上官が晒していたのを見せられるリサの気持ちを考えるとちょっと当たりがきつくなるのも許してくれ。

というかいつもそんな講演したがるようなタイプじゃないのに今日は何故来たのだろうか。

気になった隼人は本人に真意を問い質してみた。

 

 

「珍しいですね。今日はなぜわざわざ講演しに来たんですか。」

「ん、ちょっとね。久々に先達として皆の前にボクの存在をアp「若い娘見繕いに来ただけやろ!!」

「酷いな~リサちゃん。印象操作だよ印象操作!」

 

 

歯をくいしばって苛立っていたリサの毎度お馴染みのツッコミは今日も健在だ。

結構元も子もないことしてるな!!

というか何故そんな今時期に印象操作なんかしているの?と思ったら、結構生々しい実情を聞いてしまった。

 

 

「聞いてよ隼人ク~ン。実は最近何だかボクの隊の人気が落ちてきていてね・・・。その代わり浮竹の隊と浦原クンの隊が凄い人気なんだよ。しかも両方とも女の子ばっか!あ~~あ~~!!やってられないな~~~!!!!」

「それで自分が出張って隊の印象操作をしようとしたけど上手くいかなかったってわけですね。」

「まだ上手くいってないわけじゃないよ!そんな否定しないでよ~~。」

 

 

単なるオジサンの醜い嫉妬である。浮竹ならまだしも自分より全然若い浦原にも嫉妬するんか・・・。大人気ないことこの上ない。

そしてその印象操作に明らかに失敗しているにもかかわらず京楽は楽観視しているようだ。

我慢ならないリサにまた小言を言われていた。

 

 

「あんなモン失敗に決まっとるやろ!!どうせ男ばっか来てあんたががっかりしてるの来年も見させられるんやろ!勘弁してや!!」

「まぁまぁ・・・。たしかに今年も男ばっか行きそうですけどね。」

 

 

その隼人の発言に京楽はかなり落ち込んでいたが、勧誘活動とかするものなのかとかなり意外に思えた。

しかも八番隊のトップ、京楽春水が。

 

 

「他の隊も勧誘とかしているんですか?」

「いやぁ~。多分今やってるのはボク達だけだよ。何故かこの代だけボクの印象メチャクチャ悪いしさ。」

「あんたが入学式で居眠りこいただらしない変態オヤジやからやろ!」

「え~~。でもさぁ居眠りしてた浦原クンはファンクラブできるくらい人気なんだよ!?ボクと彼の違いは何!?」

「アホ!知るか!自分で考えや!!」

「やっぱ羨ましいなぁ浦原クンも浮竹も女の子から人気で。」

 

 

その若い女の子に対する犯罪スレスレの執着っぷりを改善すればきっと隊は人気になるはずだが、恐らく一生治らないのでもう言うのも諦めた。

そしてリサからしたら進路で悩んでいる隼人が珍しく思ったのか、質問したことに疑問を抱いていた。

 

 

「つーか何で隼人も今日質問しとったんや。別に悩むことでもにゃーやろ。」

「第二希望と第三希望も絶対書かないといけなかったので迷ったんですよ。僕六年間九番隊のことしか考えてなかったので決まらなくて・・・。」

「それで八番隊書いてくれたんでしょ?なんだかんだ言って隼人クン優しいよね~~。」

「色々考えた上で八番隊と書いただけです!僕の成績だったら隠密機動と十一番隊以外ならどこでも行けるって言われましたもん!だからこれは書類上の希望です!」

 

 

そうは言うが実際かなり京楽と浮竹にはお世話されているので、こんな形で感謝示そうかな、という思いもあるにはあった。まぁ感謝もへったくれもないけど。

 

そして京楽から進級おめでとうというお祝いとともに、普段なら伝えないようなことを告げられた。

 

 

「実は・・・。最近ちょっと物騒だから気を付けてね。貴族絡みで事件があって。まぁ隼人クンはずっと院にいるしあんまり関係ないけどさ。」

「えっ・・・あ、わかりました。でも何で僕に伝えたんですか?」

「六回生になると下級生の演習の引率とかあるからね。色んな情報知っておいた方がいいと思うよ?」

 

 

たしかに用心するに越したことはない。

ここ数年は現世演習なども問題なく続いているが、二十年前には演習先で虚による院生四十五名の死亡事件が起きており、悲劇を生み出さないためにも心を引き締め行動すべきだ。

やはり霊力を持つ者が集まると虚に目を付けられるのだろうか。

 

 

「わかりました。ご忠告感謝します。精一杯気を付けますね。」

「あと一年、頑張るんだよ。」

「はい!!」

 

 

あと一年。

 

一年後の未来など見通せるはずもない隼人は、毎日が希望で溢れていた。

 

 

 




そろそろ話が本格的に動き始めます。
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