ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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決意

肉雫唼も消耗していたからか最初に乗った時よりも若干進むのがゆっくりで、双殛に着いた頃には夕方になっていた。

 

現場では多くの四番隊隊士が白哉、阿散井、旅禍の少年、狛村の治療を行っている。

 

 

卯ノ花についていきまずは白哉の元へ向かった。

 

 

「無茶をしましたね・・・朽木隊長。」

「白哉さん・・・。」

 

 

大量に出血し息も切れ切れの状態で隼人を見た白哉は一言告げた。

 

 

「口囃子・・・・・・・・・、」

 

 

 

 

 

「済まぬ。」

 

 

たった三文字だが、それだけで全ての彼の思いが伝わってきた。

 

 

「僕の方こそ・・・白哉さんのこと何も考えていなかったかもしれません。ごめんなさい。」

「・・・・・・ルキアを、呼んでくれぬか・・・・・・。」

「分かりました。」

 

 

四番隊によって押さえられていたルキアと直接喋るのも久々だ。

 

 

「ルキアちゃん、白哉さんが呼んでるよ。」

 

 

手招きしてルキアを読んだ後は、家族の話なので盗み聞きするわけにもいかずその場を離れた。

 

負傷している隊長羽織を着た者の所へ向かったが、見慣れない顔だ。

背中には七の文字。これが狛村の笠の中身だったのか。

 

 

「狛村・・・隊長・・・?」

 

 

振り返った狛村は、犬の顔をした姿であった。腕も犬のそれだ。

 

 

「これが儂の本当の姿だ。・・・・・・貴公は嫌か?」

「いいえ。・・・むしろ笠無い方がカッコいいですよ。そっちの方がいいと思います。」

「そうか・・・。人狼一族も、生きやすくなったものであってほしいな・・・。」

 

 

ようやく狛村の表情がわかるようになり、嬉しさすら感じた。

 

 

「って狛村隊長!よろしいのですか?まだ治療終わってない・・・。」

「構わぬ。朽木隊長に回すべきだ。」

「そ・・・そうですか。わかりました。」

「京楽隊長が呼んでいるぞ。行ってこい。」

「えっ?あ、はい。」

 

 

見ると、京楽、浮竹、七緒ら三人が手招きをしている。

 

 

「隊長・・・。」

「よく頑張ったよ、隼人クン。」

 

 

京楽のその言葉で安心した隼人は再び膝から崩れ落ちてしまった。

身体の震えが止まらない。

 

 

「あぁ・・・。」

「君一人で受け止めるのは辛かったろう。まさか海燕の死にも藍染が関わっていたとはな・・・。」

「矢胴丸さんが藍染のせいで酷い目に遭っていたなんて・・・。」

 

 

以前大切な者を失った者達は藍染に対し怒りで燃えている。

全ての事件が藍染のせいといえるようなものだ。旅禍をも巻き込んだここ数日の事件は皆に大きな傷を残した。

 

 

「これからは戦いだよ。ボクが隊長になって今までにない規模の戦いになるはずだ。鍛錬しないとね。」

「そうですね・・・何としても復讐してやります。殺しても許せません。」

「・・・しばらく大変な日々を過ごすだろうな・・・。」

 

 

三、五、九番隊は隊長が謀反でいなくなったため、残った副隊長がしばらくは隊長代理を務めることになる。

だが、藍染らが人心掌握に長けていたからか、彼らの副官は皆上官に心酔しており、その意味で心のケアが必要だろう。

 

そして、それと並行して藍染達へのあらゆる対策が必要になる。

大虚と手を組んでまで何を成し遂げたいのか、つまり彼の目的は何なのかを調べる必要もある。

 

 

「一丁、頑張っちゃいますか。隼人クン。」

「はい!」

「今日は疲れただろう。ゆっくり休むんだよ。」

 

 

浮竹に体を気遣われるのも何だかこそばゆいが、好意に甘えてしっかり休むことにする。

 

 

 

数日後。

旅禍達の現世への帰還を見送ることとなった。

 

 

「夜一さん・・・よろしくお願いします。」

「ああ、おぬしの事を六車にしっかり伝えておくぞ。儂の裸を見てぶっ倒れたこともな。」

「それは言わないで下さい・・・。あぁほら・・・。懐かしい視線が・・・。」

 

 

私の手で殺すとか言いつつも、結局101年間ずっと想い続けていた夜一と再会した砕蜂は、今まで以上に夜一への想いが爆発している。

裸を見たなんて彼女に聞こえる声で言ったせいで、昔よりも数十倍殺意のこもった視線で睨まれてしまった。

 

浮竹が一護を呼び止めて代行証を渡した後、どうしても彼に話しておきたいことがあった。

 

 

「あっあの・・・!一護くん、だよね?」

「え?ああ、確か・・・口囃子さん、だったよな。白哉から聞いてるぜ。」

「うん。白哉さんのこと呼び捨てって中々勇気要ること平気でするね・・・。じゃなくて、浦原さんによろしく言ってもらってもいい?」

「アンタも浦原さんの事知ってんのか・・・。」

「うん。君より何倍もあの人の事は知ってるつもりだよ。あとさ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「お母さんって、今現世にいるの?」

「え、いや、死んでるけど・・・それがどうかしたのか?」

「ううん、何でも・・・。あ、夜一さんとか呼んでるよ。」

 

 

オレンジ色の髪。黒崎という苗字。

間違いなく彼は、二十年前に会った女子高生滅却師の子どもだ。

彼女が生きているとすれば、子どもがいてもおかしくない年齢のはず。

しかし、滅却師の子どもが何故死神になったのだ?

片親が死神なのか?だとしたら一体誰だ。

だが、一番の疑問は別にある。

あれほどの実力を持った彼女が、何故亡くなってしまったのだ?

またこれも、藍染の策謀の一つなのか。

 

この青年がカギを握る存在というのは、この前の力を見てもすぐに理解できた。

あれほどの潜在能力を持つ者なら、藍染を打ち倒すことも出来るかもしれない。

 

正直、自分が倒せるとは思っていない。

全力の鬼道を断空でとめられてしまった以上、今の時点で圧倒的な力の差がある。

 

次は数日前の滅却師みたいに逃げてはいけない。

実力差があっても戦い抜く必要がある。

足止め程度になってしまうだろうが、それでも一矢報いることができるようにならないと。

 

まずは基本から見直しだ。鬼道を練る所根本から見直しを図る。

最終的には九十番台後半の習得を視野に入れよう。今は席官だから大霊書回廊に行ってより高度な鬼道の教本を借りることができる。

 

あらゆる自分なりの策を考え、口囃子隼人は決意新たに行動し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

現世 浦原商店にて。

 

「尸魂界も百年も経てば色々変わっておるもんじゃのう。」

「ありがとうございます夜一さん。アタシが行けば間違いなく藍染に見つかってましたからね。」

「へっ!ぬかしおって。」

「それで・・・どうでしたか?」

「ああ、喜助の予想通りじゃ。いや・・・それ以上かもしれんの。隼坊は藍染と直接対決するまで()()()()()()()()()()()()。絶対にじゃ。」

「そうっスか・・・。もう少し成長がゆっくりだったらよかったんですけどね・・・。」

 

 

 

 

 

現世某所にて。

 

 

 

 

 

「・・・・・・、」

「夜一サンから話を聞いてからずっとこの調子だよね・・・。」

「まぁ・・・ええやろ。手塩にかけて育てた自慢の息子が最後に大活躍しとった話を聞いたらああなるのもしゃーない話や。」

「置いて来たガキのこと未だに考えて何になるんや。ウチには理解できん!」

 

 

とある街の廃工場。

ここは仮面の軍勢(ヴァイザード)のアジトである。

藍染惣右介によって虚化させられた元死神達が潜伏し、藍染らに復讐を果たすためアジトの中で毎日鍛錬を行っている。

 

・・・はずだが、今は尸魂界での動乱について夜一から話を聞き、その後にこの中から誰が黒崎一護に接近するかを決めるために、ジャンケン大会をするところだった。

 

 

「夜一さんからはやちんの話聞いた後の拳西っていっつもボーゼンとしてるよね!ってゆーか、100年経ってまだ子離れできてないの?ゴリラのクセに親バカとかキモイんだけど!」

「あぁ!?!?!?」

「お、戻った。」

「天挺空羅で隊長格皆に伝える役割をしたんだからね。殊勲を立てたものだよ。」

「でも、童貞なのはヤバイやろ。」

「せっかくいい感じにまとめようと思ったのに~・・・。」

 

 

ローズがしょげている中、平子の号令で八人一斉ジャンケン大会は始まった。

一回目でパーを出した平子以外全員がチョキを出したため、あっけなく終わることとなった。

 

 

 

各々の場所で、長い戦いが始まる。

 

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