ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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今回は前以上に展開のネタバレになってしまうため、人物紹介は最後に入れます!


空座決戦篇
破面(アランカル)


九月に入り数日経ったころ。

初めての破面による現世侵攻が起き、現世にいた旅禍数名の他、黒崎一護の友人ら数名が重傷を負う事態となった。

 

十二番隊の知らせが届いてすぐに、涅マユリから協力を要請(強制)され、現地に行かずとも尸魂界側から始解をして霊圧の計測を行った。

 

 

「それでどうだネ?口囃子三席。成体の破面の霊圧は。」

「二名ともなかなかの霊圧の持ち主です。隊長格並かそれ以上かも。」

「残念ながらそんな情報は奴等が戦う映像を見れば一目瞭然なのだヨ。もっと私の研究の一助となる情報を読み取り給え!死神の視点から見た破面の霊圧の情報を私は求めているんだ。解剖されたいのかネ?」

「嫌ですよ~。あ・・・。」

 

 

ここでうっかり読み取った情報は、今のマユリの機嫌を更に損ねることになってしまった。

 

 

「浦原さんと夜一さんが破面一人倒しましたね。これは向こうにダメージ与えられたんじゃないでしょうか。」

「何ィッッ!!!!!!!!浦原喜助め・・・!!現地調査とは姑息な手を使いおって!!やはり私も現世に赴くべきか!いやしかし技術開発局の仕事もある故それは不可能!何故浦原喜助は私にあのような仕事を押し付けたのだ・・・!!!」

 

 

普段は不気味でおどろおどろしい見た目なので迫力しかない雰囲気であるが、マユリは浦原絡みの話になるとやけに小物臭く見えてしまう。

 

そして藍染謀反の後すぐに浦原喜助は十二番隊にある仕事を頼んだ。

 

 

流魂街の外れに、空座町の完璧なレプリカを造り上げる。

重霊地である空座町で藍染らが何らかの行動を起こすことを予測した浦原は、空座町で戦闘可能にするため、一先ずレプリカを作ってほしいと頼んだ。

具体的な方策はまだ言えないと浦原は伝えたらしいので(ここでもマユリはキレていた)、まだ何をするかは分からない。

 

 

「あぁ・・・。どうやら虚圏に帰ってしまったみたいですね。ここまで来たら僕には無理ですよ。」

「全く・・・不便な始解だヨ。」

「その力を頼って調査させてるくせによく言えますねそんなこと・・・。」

 

 

やろうと思えば余裕でできる。しかし、藍染に逆探知されて鏡花水月に嵌められたら、遠隔操作で霊圧データの改竄が出来てしまうので、絶対に虚圏に探索範囲を広げないようにしている。

もっとも、隼人の出したデータも確証があるとは言えないので、技術開発局の面々も頑張ってくれている。

その影響からか、壷府リンと少し仲良くなった。

 

 

「お疲れ様です。これお礼のお菓子です。僕が作ったので、良ければ食べて下さい。」

「ありがとう。いつも美味しく頂いてるよ~。」

「えへへ。」

 

 

浦原とは違い、彼の作るお菓子は変な見た目でない上しっかり美味しいので、何も不満なく食べることができる。

一先ず探知は終わったので本来の仕事に戻る支度を始めた。

 

 

「謝礼は後日振り込ませて頂きますので、よろしくお願いします。」

「今日は用済みだ。さっさと帰り給え。今度は現世に赴いて調査をする可能性を考えておくのだヨ。」

「・・・失礼します。」

 

 

こうも温度差が激しいと何だか調子が狂う。

『今日は』ってことは、また今度もあるのか。自分の始解の鍛錬に繋がるので協力を快諾したが、やっぱり今でも十二番隊は居心地が良くない。

 

足早に十二番隊を去り、七番隊に帰る。

 

 

「ただいま戻りました。」

「破面はどうだったか?」

「やっぱ霊圧だけ見ても強そうですね。特に最近は破面の質が急激に上がっているように思えます。」

「・・・・・・藍染の仕業か。」

「はい。崩玉の影響ではないかと。具体的に崩玉がどのような物かは分からないのですが・・・。」

「くっ・・・・・・!一体何がしたいのだ・・・!何故東仙は儂を裏切ってまであの男についたのだ・・・!!!儂が何とかして東仙を・・・!!」

 

 

正直、未だに東仙に正気を取り戻させようとしている狛村を見ると、複雑な心境だ。

隼人にとっては、慕っていた拳西を裏切り現世に追いやった、憎いという言葉で表しきれないほどの憎悪を向ける相手なのだ。

たとえ正気に戻ってはい終わり、には自分はできない。

 

そして今回は、狛村本人にそれを伝えた。

鉄笠を被るのを止め、ありのままの性格を表すようになった狛村なら、自分の東仙に対する憎しみも理解してもらえるはずだと思ったからだ。

実際、狛村からの理解は得られた。

 

 

「・・・済まん。貴公の前で言うべきではなかったかもしれんな・・・。」

「・・・いえ。気にしないで下さい。狛村隊長は東仙要を正気に戻そうと尽力するのは予想できますから。だからこそ僕はあの人への憎しみを狛村隊長に打ち明けました。狛村隊長に伝えなかったらずっと僕の心の中で燻ぶり続けてましたから。納得いかないまま戦いに臨むところでしたよ。」

 

 

それは、つまり隼人自身の過去を狛村に話したことを意味する。

狛村が隼人の上官になって八十年。ようやく彼に自分の過去を打ち明けることができたのだ。

 

やはり、鉄笠を被らなくなった影響が強い。

以前よりも圧倒的に気さくに話しかけられるようになった。

藍染らの行いはあらゆる禍根を瀞霊廷に残していったが、逆に七番隊にとっては良い効果となった。

隊内、特に上官の間の絆がより深まった。

 

 

「本当に・・・隼人と鉄左衛門には感謝してもしきれぬ・・・。」

「そんな!僕はそんなに立派じゃないです。射場ちゃんは十分立派ですけど・・・。だって僕は、未だにけ・・・あの人達に心の中で依存してますから。百年もですよ。いくら何でも拗らせすぎですよ。」

「その思いが、お前の強さかもしれぬぞ。儂はそう信じておる。」

「そう・・・ですか・・・。」

 

 

今までに言われたことのない言葉で、少し困惑してしまう。

自分の弱さだと思っていた所を、狛村は強さだと評した。

拳西ら慕ってきた元隊長格への思いが、自分の強さということか。

残念ながらイマイチピンと来なかったので、とりあえず保留。すみません。

 

そうこうしているうちに、射場との鍛錬の時間となった。

 

 

「鍛錬、行ってきます。」

「儂も仕事が落ち着いたら様子を見に行くぞ。」

「はい。よろしくお願いします。」

 

 

藍染らが謀反を起こした日。

全てが終わり隊舎寮でそろそろ寝ようかと考えていた時に、射場が物騒な音を立てて部屋に入ってきた。

 

 

「入るぞ口囃子!!!!」

「わっびっくりした~~。突然何だよ・・・。」

「頼む!!!明日から儂と鍛錬させてくれ!」

「えっ?」

 

 

斑目との戦いでは酒を飲みながらも勝利したと聞いていたが、やはり藍染ら強大な敵を目の当たりにして自身の無力さを感じたのだろう。

気持ちはわかるが、正直射場と隼人は霊力のベクトルが全然違う。あまり適切でないのではないか、と思ったが。

 

 

「頼む!!男射場、一生の頼みじゃ!!!頼む!!!」

 

 

土下座で何度もそう言われたので、仕方なく引き受けることにした。

 

だが、実際何度か鍛錬を重ねると、隼人にとってもかなり有益なものとなった。

以前よりも相手の動きを先読みする力がついた。

そして刀で戦う者の戦術を理解することが出来た。

逆に射場は、術中心に戦う者の戦術を理解した。

二人とも、以前より頭を使った戦いをするようになった。

 

時々参戦する狛村に、昔は歯が立たなかったが、今はしっかり動きを見て避けることなどができるようになった。

数日しか経っていないが、白兵戦の対処力をみるみるうちに伸ばしていった。

 

 

「ふぅ・・・。今日もなかなか頑張った気分~。」

「狛村隊長に打たれた腰がにがるのぉ・・・。」

「そんなに強かったっけ?僕は躱したからわかんないんだけど。」

「あれを躱せぬとは・・・鉄左衛門もまだまだだな。」

「隊長~~!!」

 

 

こんな光景、以前は一度も無かった。

もちろん藍染との戦いのために皆集中して鍛錬を行っているが、休憩時間に皆で笑うのは、狛村が笠を被らなくなってからだった。

性格に反して、意外と狛村は表情豊かな男だということも気付いた。

 

 

「まだまだ儂は戦えるぞ!口囃子!もう一遍勝負じゃ!!」

「え~・・・。」

「午後の仕事で使い物にならなくなるような鍛錬はするなよ。疲れきったお前らを見る儂の気持ちを考えろ。」

「押忍!そんじゃ、今日はこの辺にしとくか口囃子!」

「結構流されやすいね射場ちゃん・・・。」

 

 

丁度お昼時でもあったので、皆昼飯を食べに隊舎の食堂へと向かった。

馬鹿みたいな量を食べる射場を見て隼人は逆に食欲が失せかけたため、あまり見ないようにした。

「何じゃ!口囃子ももっと食べんか!!」と促してくるが、こういう所は頑として断る。

 

射場のご飯ハラスメントを対処して隊舎の庭で休んでいると、黒猫がやってきた。

あぁそういうこと、と理解し、隼人は黒猫についていき茂みに隠れる。

 

 

「お久しぶりです。っていうか、さっきまで現世にいましたよね?」

「ああ、破面一人を軽くあしらっただけじゃ。まぁ・・・無傷とはいかなかったがの。」

「夜一さんがケガするほどですか!?そんな強い相手じゃ「しーーっ!!儂のことを大声で叫ぶな!砕蜂に気付かれたら厄介じゃ。」

「あ・・・すいません。」

 

 

黒猫の姿ではどこにケガをしているかは分からなかったため、隼人の回道で治してあげることもできない。

しかし本来の姿に戻ると、砕蜂センサーによってすぐに見つけられてしまうため、お忍びで瀞霊廷に来るときは黒猫の姿で来ているのだ。

砕蜂本人は最近黒猫を見つけたら手あたり次第捕まえているため、見つかるのも時間の問題だが。

 

 

「それにケガといっても儂の攻撃の反動じゃ。相手に負わされた傷ではないわ。」

「それならよかったです。それで、戦ってみてどうでしたか?」

 

 

暫しの沈黙の後、夜一は告げる。

 

 

「手強いぞ。厳しい戦いになるかもしれんの。十刃(エスパーダ)と呼ばれる破面は指折りの強さじゃ。天才の儂ですら反動で傷を負っておる故、さらに藍染と戦うとなると並の鍛錬でおぬしが奴等らと渡り合うのは不可能かもしれぬ。」

「・・・・・・、」

「何、案ずるな。おぬしが前線に出るとはまだ決まっておるわけではない。それに、戦いは恐らく冬じゃ。それまで死ぬ気で鍛錬すれば、十刃ぐらい倒せるくらいになるじゃろ。」

「死ぬ気で鍛錬・・・。頑張ります。今日も鍛錬いっぱいしたんですよ。」

「おお、そうかそうか。って大事なことを言い忘れておったわ。」

 

 

ここで告げた夜一の言葉は、非常に理解しかねるものであった。

 

 

「おぬし、尸魂界から出る用事はあるか?」

「いえ、今のところは無いですけど・・・。それがどうかしたんですか。」

「ならいい。いいか。隼坊。おぬしは絶対に尸魂界から出るな。」

「え・・・何でですか?」

「理由はまだ言えん。済まぬが尸魂界で鍛錬してもらうぞ。」

 

 

正直な話、現世で鍛錬してもらって強くなる方が絶対に効率がいい。

浦原達に相手してもらった方が自分は圧倒的に強くなれると思っているのだ。

そして、そのついでとして拳西達を探すこともできる。

と、こっそり自分の中で考えていた計画が崩れ去ってしまった。

 

手掛かりがある以上、早く探して会いたいのだ。砕蜂が羨ましくさえ感じる。

 

 

「そうですか・・・。拳西さん達に会えるかもって思ってたのに・・・お預けになってしまいましたね・・・。」

「もうしばらくの辛抱じゃ。我慢せい。六車達も六車達でやることがあるしのう。」

「・・・・・・、」

「その代わりといっては何だが・・・。鉄裁をおぬしの鍛錬のために送りつけるぞ。」

「えっ。」

 

 

代わりってレベルの話ではない。

 

 

「うっそぉ!まじすか!!!大鬼道長が来てくれるんですか!!!」

「ああ、おぬし専属の家庭教師じゃ!喜べ!!!静かにな!!」

「えーー・・・。何かすげぇ・・・。」

 

 

信じられない好待遇である。四十六室が全員殺され総隊長がその代わりを現在務めているが、京楽、浮竹、狛村の進言により、101年前の事件に関わり現世に追放された者の罪は全て取り消しとなった。

一方で、彼らの力を求めている程事態は逼迫しているともいえる。

その上、平子真子ら隊長格は依然として行方がしれない。

だからこそ隼人は探したかったのだが、夜一に尸魂界から出るなと言われた以上納得いかないが仕方がない。

 

鉄裁の家庭教師で十分ありがたい。

 

 

「破面の現世への干渉もある以上しばらくは待ってほしいのじゃが、必ず鉄裁を連れて行く。奴も楽しみにしておるぞ。」

「はい!その前に色々自分でもやっとかないとな~。あ、あと・・・。」

 

 

 

 

「拳西さん・・・何か言ってましたか?向こうに行けない以上直接会って話せないので・・・。」

「おぬしの活躍を聞いて呆然としておったわ。」

「えっ・・・やっぱ僕もまだまだですね・・・。はぁ~ダメダメだなぁ・・・。」

「あっいや・・・・・・喜んでおったと思うぞ・・・?」

 

 

夜一の困惑混じりのツッコミを聞いていなかった隼人は酷く落胆することとなってしまった。

 

 

 

一方現世では。

 

 

「さーて、薬買ってきましたよー夜一サーーン、ってあれーー!!いない!!!」

 

 




決戦では有耶無耶な活躍で終わった方とか、あんまり活躍出来なかった、というか出番の少なかった隊長副隊長を活躍させられたらいいなと思ってます。
それでも割を食う奴は出てしまいますが。
あとこれは千年血戦篇含めてですが、読んでいてモヤモヤした部分いくつかを自分なりにですが解決できたらいいなと思っています。
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