ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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いやほんと、とんでもない間違いが発覚してすみません・・・。
毎度の誤字報告ありがとうございます。
いつの間にたつきちゃん柔道やってたんかいって感じですよね・・・。


七番隊と九番隊

先ほどやって来た青年は、どうやら戦いに立ち合いたいようだ。

霊圧を見てもボロボロであり、そんな状態では悪く言えば足手まといに過ぎない。

だが、拳西にとってそれよりも重大な問題があった。

 

何故この檜佐木という名の青年は、己の存在を知っているのだ?

 

 

「お久しぶりです、六車さん。・・・覚えてないかもしれないっすけど。」

「悪りぃな。お前の存在など全く記憶に無ぇぞ。知らねぇ顔だ。」

「えっマジすか・・・。」

 

 

何か物凄くしょんぼりしているが、知らない男にお久し振りですと言われる身になってみろ。気持ち悪りぃだろうが。

 

 

「あとよ。()()()()()()()()()()()()()()。」

「六車さんが俺を助けてくれた時に見えたんです!だから貴方みたいな死神になろうって誓ってこの数字を入れました。」

「だからって何で顔に入れるんだよ・・・。」

 

 

まさか隼人もそんな真似を・・・と一瞬恐ろしくなったが、オシャレのために痛いことするのは嫌とか言いそうな気がするので、恐らく入れていないだろうむしろ入れないでくれ。

 

この数字は、現世では色々とまずい物を連想させてしまう。

 

 

「・・・お久し振りです、東仙()()。」

((!))

 

 

東仙に関心を移した修兵は、非常に危険な言葉を告げた。

やはり未だに彼を悪だと見なすことが出来ていなかったようだ。

狛村自身も今の修兵の発言はあまり良いとは思わなかったが、その言葉に思いっきり青筋を浮かべて怒りを見せた拳西を見た狛村は、瞬時にまずいと悟った。

 

修兵は、東仙が拳西に行った所業を知らずにここにいる。

だが、そんなことを修兵に教える時間など無い。

ここで拳西がブチ切れて戦闘が始まってしまった場合、取れる連携も取れなくなる。

 

思考を巡らせた狛村は、拳西を落ち着かせる方に動き出した。

東仙の注意は完全に修兵に向いているため問題ないだろう。

 

 

「六車殿。」

「何だよ。俺がすこぶる機嫌悪りぃの知ってて話しかけてんだろうな。」

「儂は狛村左陣、七番隊隊長。・・・()()()()()()()()()()()。」

(!!)

 

 

共闘する相手が己の子どもの上司とは、これもまた数奇な運命か。

顔つきは変わり者という言葉では言い表せない程のものだが、真面目な性格の男が上司なら親として安心した。

 

 

「隼人は儂の下で三席を務めている。・・・正直、三席にはもったいない程優秀だ。実力で言えば、副隊長を凌ぐ力を持っていると儂は思う。卍解を習得すれば、すぐにでも隊長になれると見ている。」

「・・・そんなに成長したのか。」

「ああ。」

 

 

ここで狛村は一際声の音量を下げて、拳西だけに最上級の機密情報を伝えた。

 

 

「隼人は、尸魂界の空座町で黒崎一護の友人の保護を行っている。」

(!!)

 

 

まさか、本物の空座町に行っているとは考えもしなかった。

浦原から本物の空座町にも一人死神は派遣されていると聞いたが、もっと別の死神かと思っていた。

そもそも何で教えてくれなかったのかとちょっとだけイラっとしたが、教えられたら自分は真っ先にそっちに行きそうだと考え、心の中で自嘲する。

 

だが、それと同時に拳西は再び東仙に意識を集中させた。

 

東仙は何としても倒さねばならないが、その後には藍染が控えている。

藍染を現世で倒せなかったら、護廷十三隊と仮面の軍勢でも倒せなかった怪物を、隼人がたった一人で相手取ることになってしまう。

 

そんな絶望的状況に大事な子どもを立たせるわけにはいかない。

そのためにまずは東仙を倒さねばならない。

 

 

「だったらまずは、東仙を何とかしねぇとな。」

「ああ、共闘するどころか、貴公の力を見るのも儂は初めてである故、上手く連携を取れるか分からぬが、頼む。檜佐木は恐らく、戦いについていけまい・・・。」

「・・・怪我押してココに来てんのか。そんなに東仙に心酔してんのかよ・・・。」

 

 

修兵の眼に映る東仙像と、狛村と拳西の眼に映る東仙像は明確に異なっている。東仙に教えられた技で、眼を覚まさせると修兵は言っていたが、その考え自体が甘い。

ここまで来ている以上、眼を覚まさせるなんて無理だ。

 

東仙も檜佐木の話を愚かだと一蹴し霊圧を高めているため、時間の問題だ。

 

 

「作戦会議は済んだのか。」

「六車殿の力を儂が深く知らぬ時点で、作戦などない。儂らはただ、貴公を倒すのみだ。」

「・・・そうか。ならば私は、」

 

 

「何も思い残すことなく、君達を殺せる。」

 

 

先ほど平子に見せた突きの構えのまま、狛村に襲い掛かる。

スピードは段違いに上がっており並の隊長格ならそのまま突かれておかしくないが、頑丈さにウリのある狛村なら手甲だけで防ぎきれる程だ。

だが、東仙の狙いは別にあった。

 

「儂の手で防いだことを忘れたか東仙!!」

 

「清虫。」

(!)

 

 

瞬時に斬魄刀で東仙の斬魄刀を斬り払い、狛村からも攻勢に出る。

しかし、違和感を抱いた。

 

(何だ・・・?儂の動きが僅かに遅れている・・・?)

 

東仙の狙いは、清虫が放つ超音波によって狛村の感覚を狂わせることだった。

腕を伝って全身に駆け巡った僅かな震えは狛村の感覚器官全てに不快さをもたらす。

ほんの僅かな物だが、戦いにおいてこの僅かな不快さに気を取られることは命取りだ。

じわじわと増大していく違和感と不快感が狛村を苦しめていく。

 

斬魄刀で打ち合っている最中も、狛村の反応は東仙に比べて僅かに遅れてしまっていた。

 

気付いた拳西は、同時に修兵が風死を飛ばしたのを見て行動に移す。

あえて強度を弱くした断風の糸を風死に当てて、爆発を引き起こした。

 

東仙の視界を爆炎で覆い、瞬時に拳西が距離を詰めて東仙との打ち合いを始めた。

 

現世で身に着けたボクシング、柔道、空手、截拳道(ジークンドー)を複雑に組み合わせた体術で、東仙の動きを攪乱させる。

 

 

「見慣れぬ動きだ。現世の軟弱な体術を使っているのか。」

「その軟弱な動きも上手く使えばこうやって戦えるんだぜ!」

 

 

東仙の突きを躱した後、前に出た腕を掴み背負い投げの要領で東仙の身体を投げ飛ばす。

更に斬魄刀の力を使って十数本の風の糸を生み出し、東仙の方へ向けて爆発させた。

感覚を取り戻した狛村が拳西の元へ駆けつけた。

 

 

「六車殿。時間を稼いでもらい感謝する。」

「もう大丈夫か。」

「ああ。かかるぞ。」

「おう。」

 

 

基本戦術は狛村の力一辺倒の斬撃で打ち合い、隙を縫って拳西が断風や体術を使い攪乱させる。

初めてにしてはかなり息の合った連携で東仙を追い詰めていく。

現隊長と元隊長が相手をしているため東仙も油断はしていなかったが、僅かに後手に回っている状況になっていた。

 

狛村は戦闘を行っている中で、黒崎一護を追い詰めていた時のことが頭によぎった。

あの時も隼人が始解を使ってリカバリーに回ってくれたおかげで、ギリギリまで追い詰めることが出来た。

今隣で共に戦っている初対面の男は何の因果かは知らないが、隼人が行う戦闘補助と非常に似通った戦い方を行っている。

遠距離の補助に長けた隼人の、近距離版のような戦い方をする男だった。

 

(なるほど・・・隼人の戦闘の基礎は、この男から学んだということか・・・。)

 

むしろ、これほど上手く事が進んでいることに二人とも気味悪く感じていた。

 

 

「いくら東仙が始解してねぇとは言え、上手くいきすぎてるな。」

「貴公もそう考えるか、やはり東仙も手の内を隠しているように・・・!!」

 

 

予感的中。修兵の風死を躱した東仙は、二人相手に戦っていても際限の無い消耗戦に陥ると悟り、風死の鎖を掴んで思いっきり引き寄せた。

残念ながら修兵は体力的にかなり厳しく、時々風死で東仙を狙うものの、全て躱されるどころかスピードについていけず、危うく斬られそうになるのを拳西と狛村に助けてもらう形になっていた。

 

そんな中、制御が難しい風死をしっかり掴んでいた修兵は、なすがままに態勢を崩し前に倒れ込む。

 

「まずい!!檜佐木!!!」

 

 

態勢を崩した修兵に風死を瞬間的に手元に戻すことは出来ない。

狛村も力こそ全隊長の中でも随一であるが、速度には全くもって自信がない。

 

東仙は再び一瞬で距離を詰めて修兵に斬りかかる。

 

何の策も打ち出すことも出来ず斬られる。

そう覚悟した修兵を助けたのは、あの時と同じ命の恩人であった。

 

 

「ぐっ・・・!!」

 

 

身体を縦に斬り裂こうとした刃の軌道を己の斬魄刀で捻じ曲げたが、上腕の内側を斬られてしまった。

 

 

「六車殿!」

「む・・・六車さん!!すみませ「バカヤロー!!!テメーの武器で足元掬われてんじゃねぇ!!」

「ッ・・・・・・。」

「足手まといだ。下がってろ。」

 

 

言葉を詰まらせ、歯を食いしばり苦しい表情をするが、それでも修兵は逃げるわけにはいかなかった。

 

 

「・・・・・・いいえ。下がりません。」

「あぁ?テメェどういうつもり・・・。」

 

 

後ろを振り返った拳西は、目の前の青年の目つきが明確に変わったのを感じ取った。

その時の眼は、師である東仙に対する怯えを抱いた眼ではなく、怯えを受け入れた眼へと変化していた。

鋭い眼で、目前にいる東仙を見据える。

 

 

「俺のせいで怪我を負わせてすみません。ですが、俺も戦います。お願いします。」

「檜佐木・・・・・・。」

 

 

異形の怪物に負わされた傷だけでなく、転界結柱を守るために戦った際の力の消耗を鑑みた狛村は、気持ちは分かるがいざという時の補助なしでの戦いは今の修兵では厳しいように思えた。

 

それに比べて狛村と拳西は、東仙との戦いの前には殆ど力を使っていない。

一つ一つの攻撃の質も段違いだ。

 

 

「いいのか?俺達は何のフォローもしねぇぞ。さっきみてぇにお前が斬られかけても何も助けられねぇぞ。それでもいいのかよ。」

「構いません。()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「・・・・・・、」

 

 

そんな綺麗事で戦場ではやっていける筈はない。と普段の拳西なら一蹴してうるせぇだのバカヤローだの怒鳴りかねないが、今回はそう簡単に怒鳴るわけにもいかなかった。

 

この青年から、隼人の心を僅かながらに感じたからだ。

 

 

「お二人の横で、か・・・・・・隼人(アイツ)がここにいたら、そう言いそうだな。」

「!・・・・・・そうだな。この場にあの男がいれば、迷わず六車殿と共に戦う道を選ぶだろう。」

「ありがとうございます・・・!」

「気引き締めろよ!檜佐木!!」

「はいっ!!!」

 

 

修兵の返事の後、東仙は何も告げず瞬歩で再び狛村に攻撃を仕掛ける。

隊長二人を暫く相手取っていた東仙の体力の消耗は大きく、狛村の剣圧に力負けしている。

 

そこに、修兵の風死が襲い掛かる。

拳西の言葉に奮い立たされ、修兵の始解の速度はみるみるうちに上昇していく。

かなり無理をしているため本調子ではないが、速度の上昇を感じ取った東仙は警戒心を強める。

最初のように僅かに身体を捻った最小限の防御行動ではなく、躱すために上空へと飛んだ。

 

だが、その選択が迂闊だと気付いた。

上空から風死のもう一つの刃が向かってきている気配を感じた。

そして、下からは狛村が投げた風死の刃が信じられない速度で襲い掛かる。上下から風死に挟まれた東仙は必然的に左右どちらかに避けざるを得ない。

 

左は虚空。右には拳西。

この場合、距離を取られるのを防ぐため拳西のいない方に何らかの罠を仕掛けていると読むのが定石だ。

二度と罠にかかるものかと拳西に対し突きの構えをして、突進する。

 

 

ぴんと張られた糸が皮膚にめりこむ感覚がした。

 

(!)

 

同時に、腕が爆ぜる。糸の強度を高めたため、爆発の威力も今までとは比べ物にならない程だ。

しかし悠長に爆発の光景を眺めている程甘くはない。

 

 

「爆弾突き」

 

 

両手で溜めた霊圧を球状にし、東仙を突くと同時に爆発させた。

吹き飛ばされた東仙は、いくつものビルに身体をぶつけながら何百メートル先までも吹き飛ばされた。

 

 

「すげぇ・・・口囃子さんが信頼するだけあるな・・・。」

 

 

狛村に引けをとらないどころか、総合的に見れば狛村以上かもしれないと修兵は目の前の男に尊敬の念を抱く。

やはり元とはいえど隊長の実力を持つ男に、己がついていくなどおこがましいのかもしれない。

 

「あぁ?狛村・・・だったか、あいつがいたからここまで追い込めたんだ。俺だけの力じゃねぇ・・・!!!」

((!))

 

 

東仙が飛ばされた場所から、異様な霊圧の渦を感じた。

それは、()()()に造り出されたもの。

 

そして、この霊圧に拳西は最初の違和感に合点がいったと同時に、形勢逆転されかねないと警戒を強める。

 

(やっぱりな・・・虚化の力手に入れやがったか・・・!!)

 

 

「いつまで向こうを見ている。」

 

(((!!)))

 

 

気付けば背後を取られていた。

三人の連携で負った傷も、虚化した際に全て回復したのだろう。

 

 

「東仙隊長・・・!何故虚化を・・・!!!」

「そこまで堕ちたか東仙!!」

 

 

二人の憤りに対しても、東仙は何も返事をしない。

その瞬間。

 

 

無慈悲にも東仙の斬魄刀は、修兵の腹を突き刺していた。

 




この四人の戦いが終わった後は、殆ど原作と同じなので藍染の尸魂界侵攻まではかなりすっとばします。尸魂界で高校生達といる描写が多くなります。
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