ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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話は繋がってますがAパートBパートで分かれている感じです。


板挟みって大変!/生意気で何が悪い!

「和食じゃ!」

「いいえ洋食です!こればかりは譲れませぬ!総隊長!」

「ええい誰が何と言おうと和食じゃぁぁーーーーー!!!!」

「・・・・・・・・・どうしましょう京楽さん。」

「うーん・・・どうしよっか・・・。」

 

 

事の発端は今日の昼食は何にしようかというものであった。

今まで一番隊隊舎はどことなく敷居が高く入ったことすらなかったが、総隊長直々に今日は預からせてほしいと言われ、渋々拳西が承諾したため初めて一番隊に赴いた。

事情を聞きつけた京楽が休日にもかかわらずわざわざ来てくれたため場がもたなくなることは無かったが、正直この二人を相手にするのはキツかった。

多分孫を見たいがために預かったおじいちゃん的な感覚だろう。泣く子も黙る総隊長は完全に空回りしていた。

 

 

「洋食などというハイカラな物は子どもに毒じゃ!儂の立てた抹茶と共に食す和食こそが適しておるわぁ!!」

「今日は現世から取り寄せた最高級品の茶葉で作る紅茶と共に食べる洋食こそいいでしょう!」

「ならぬ!今日のサンマの塩焼きとお吸い物は素晴らしい一品じゃ!!」

 

 

もうこんなんじゃ収拾つかないよ・・・。と呆れているところで、まさかの隼人に白羽の矢が立った。

 

 

「あの~。そんなに口論してもどうせ決まらないからここはこの場で一番最年少の隼人クンに決めてもらうのがいいんじゃないかな?」

 

 

まさかの提案を京楽がしたため、瞬時に焦ることとなった。

 

 

「(えっ・・・ちょ!京楽さん!無理ですよそんな!)」

「(大丈夫。いい案思いついたからボクに任せて♡)」

「(どういう形になったって命奪われる気がするんですけど!)」

「(キミは一切責任負わなくていいから大丈夫大丈夫。)」

 

 

声を潜めて会話していたが、二人はじーーーーーっとこっちを見ており恐怖しか感じなかった。

こんな自分の意見を曲げない方たちを納得させる京楽の策は一体何なのか不審に思いながらも話を聞いた。

 

 

「題して!一番隊隊長格、男の料理対決~~~~!」

 

 

ヒュ~~~!!!と一人で盛り上がりながら京楽は説明を続けた。

 

 

「要するに山じいと雀部さんが自分で料理を作って隼人クンに一口食べさせて、どっちが今日のお昼ご飯にしたいか決めてもらえばいいじゃん。」

「成程!なら儂の選りすぐりの料理番に「自分で作るの!」

「何じゃと・・・!」

「人に作ってもらったもので決めてもどうせお互いいやいや言うのは目に見えてるもん。まさか山じい抹茶点てることしかできないわけないでしょ?」

「むぅ・・・。それならば仕方あるまい。」

「雀部さんも構わないよね?」

「私は構いませぬぞ。自分で料理を嗜むうえ問題ありませぬ。」

 

 

あ、雀部さんちょっと余裕の表情見せたな、と隼人は一瞬の表情の動きで察知した。

しかし料理対決というやり方なら文句の言いようはないのはさすがだと思った。

こういう時の京楽隊長は本当に頭の回転早くてすごいなと改めて尊敬した。

 

 

料理を作っている様子だけで見れば、雀部のほうが圧倒的に優勢だった。

大量の油を使って揚げ物を作っているようだ。

いつも料理を作っている拳西と同じくらいの手際のよさで一つ一つ丁寧に作っていた。

 

一方の総隊長は、料理に不慣れではないものの、雀部よりは若干もたついてるように見えた。

七輪で魚を焼いているが最初の火加減の調節に難儀しているようだった。

だが、抹茶を点てる際の手際は熟練の技を思わせるかのような手際であった。

 

 

料理を作り終えた頃には、隊舎内での珍しい催し物にたくさんの一番隊隊士が集まっていた。

それに混じってなぜか浮竹も見物に来ていた。

 

 

「京楽から地獄蝶で知らされてね。元柳斎先生の料理はどんなものか直に見てみたかったんだ。」

「楽しそうですね・・・。」

「あぁ。一体何が出てくるのかな・・・!俺も少し食べてもいいかな?」

「構いませんよ?」

 

 

正直どう立ち回れば後の禍根を残さずに終わらせられるかを考えるので精一杯だったので、誰とも話す余裕は無かった。もう緊張で手が震えていた。

 

 

「じゃあまずは山じいの作った料理から食べてもらおっか。お願いしまーす!」

 

 

ノリノリで司会をしている京楽の合図で、黒子的な役割の一番隊男性隊士が料理を持ってきてくれた。

見たところ、抹茶、鮭の塩焼き、松茸のお吸い物、ほうれん草のお浸しと、いたってシンプルなものであった。

 

 

「一つの料理につき一口だけ食べていいからね。感想は結果を言った後に言うんだよ。あと山じいは隼人クンに圧力をかけないこと!少しでもやったら失格だからね!」

「ほう・・・!これが元柳斎先生の料理か・・・!」

 

 

横で浮竹が目を輝かせていたが、とりあえず気にせず食べてみることにした。

何の変哲もない和食料理だった。普通においしかったものの、それ以上の感想は思いつかなかった。抹茶は今まで飲んだものの中で一番であったが。

 

 

「うん。全部一口食べたみたいだね。次は雀部さんの料理をお願いしまーす!」

「む・・・これは美味しそうだな・・・。」

 

 

またも黒子的な役割をした女性隊士が持ってきてくれたものは豚カツとサラダ、コーンスープであった。

恐らく子どもの喜ぶ料理を考え、揚げ物の肉料理がいいと考えたのだろう。

紅茶も砂糖を入れず、食事に合わせたものにしていた。

 

一口食べたが、正直総隊長の和食よりもかなり美味しかった。

子ども好みの味付けがされており、家で食べるご飯とも近く食べやすかった。

だが、彼の作った料理には一つ致命的なミスがあったのだ。

 

 

「京楽さん・・・。これって美味しい方を選ぶ感じですか?」

「まぁそうだね・・・。隼人クンの好きに選んでいいと思うよ。」

「好きに選んでいいんですね。わかりました・・・。」

 

 

周りが固唾を呑んで見守る中、ついに勝者が決定した。

 

 

「僕は総隊長の方を選びます!」

「おぉ!!!やったぞ!!!儂の勝ちじゃーーー!!!」

 

 

観客たちも盛り上がりを見せる中、京楽は隼人に理由を尋ねた。

 

 

「正直美味しいのは雀部副隊長の料理でした。味付けとかも食べやすくてまるで家で食べているかのようだったんです。」

「へぇ・・・。じゃあ何でキミは山じいの方にしたの?」

「それは・・・。」

 

 

一呼吸置いて、隼人は単純かつ十分な敗因に値する理由を述べた。

 

 

 

 

「昨日の夕飯豚カツでした!先に言わなくてごめんなさい!」

 

 

 

 

あまりにも呆気ない理由に雀部は愕然としてしまった。

 

 

「何・・・だと・・・!!!」

「ほとんど昨日食べたものと変わらなくて・・・。」

「あら~雀部さんやってしまったね・・・。」

「これは痛い失敗だな・・・。」

 

 

結局隼人は総隊長の和食を完食した。その際総隊長は普段からは想像もつかない程の穏やかな顔で嬉しそうに隼人の食べる姿を見ていた。

 

一方雀部は、膝から崩れ落ちて恥も外聞もなく号泣していた。

同情した京楽と浮竹は雀部の料理を食べ、美味しいですよと声をかけるも、自らの不覚によるあまりのショックで逃げ出してしまい、昼間から飲み屋を徘徊していたとかしていなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後はこんなドロドロした思いのある場所に子どもを置いていけないとのことで十三番隊に行くこととなった。

頑固なおじいちゃん総隊長は嫌と言ったが、京楽に諭され、何とかここから脱出することに成功した。

 

 

「今日は体調いいんですね。良かったです。」

「ああ。朝はあまり気分良くなかったんだけどね、隼人君と喋っていると何だか具合が良くなるんだ!」

「そ、そうなんですか。へぇ~。」

「今日は海燕もいるから退屈しないと思うよ。」

「海燕さんはいつも遊んでくれてよくお世話になってますよ。」

 

 

志波(しば)海燕(カイエン)も貴族の出身であったが、飾らない性格のため話しやすく、浮竹がいないときはよく遊んでもらっていた。

彼は護廷十三隊で席官をやっており、副隊長にならないかを打診されているものの、義理立てでなかなか承諾してくれないと浮竹は嘆いていた。

 

 

「どうか隼人君も一緒に言ってしてくれないかな・・・?もう俺だけじゃ限界で・・・。」

「嫌ですよ。そんなことしたら十三番隊に二度と足を踏み入れるなって言われてますもん!」

「厳しいな~海燕も・・・。」

 

 

確かに海燕は副隊長になるべきだと隼人も思ってはいるが、やはり本人の意思が大切でしょ!という考えなので、そこは浮竹の手腕で頑張ってもらいたいものだ。

 

それに海燕の気持ちも十分理解できるものだった。

自分の実力を分かっているからこそあえて副隊長につかないという選択肢を選んだ海燕に、決して驕らない謙虚さを感じたのだ。それ以外はちょっとウザいところもあるが。

 

 

「まぁとにかく今日は俺も体調いいから仕事頑張っちゃおうかな~!」

「あんまり無理したらまた明日一日寝ていることになりますよ・・・。」

「そんなことはないぞ!明日もきっと元気一杯だ!」

 

 

自分の体調の良さをしきりにアピールしていたが、浮竹には別の思いがあった。

 

 

「あんまり海燕や他の部下にずっと隊を取り仕切らせるのも申し訳ないしな・・・。」

 

 

あぁそうだ。この人はいつも自分があまり隊にいれないのを後ろめたく思っていたんだっけ。だが、実際浮竹がいなくとも海燕含めた部下たちが頑張っているからこそ今までずっと続いてきたのだ。

だからこそ、浮竹に大丈夫だと励まそうとしたのだが・・・。

 

 

「大丈夫です!浮竹さんがいないときに何回かここに来たことありましたけど、普通に回っていましたよ!」

「そんな・・・!じゃあ俺は要らないのかな・・・。」

「えっ・・・!ちょ!そんなつもりで言ったんじゃ・・・あれ~~!?」

 

 

すぐに浮竹は笑いながら「分かっているから大丈夫だよ。」と言ったが、何かずーんと結構落ち込んでるように見えたので焦ってしまった。

意外と演技派なのかな?と思っていたところで十三番隊隊舎に着いた。

 

 

「おう坊主!久しぶりだな!今日は何するか?」

「今日は鬼道の勉強を「蹴鞠だな!」

「は?」

「オメーは遊びに来たんだろ?だから俺は今日の仕事急いで終わらせたんだぞ。」

「いや別に今日は遊びにきたわけじゃ「うるせぇ!いいから蹴鞠やるぞ!」

「なんて強引!僕が蹴鞠苦手なの分かってやるつもりですね!」

「当たりめーだ!俺がやりてーんだ!」

 

 

やいのやいの言いつつ結局蹴鞠をすることになってしまった。こりゃまた家に帰ったら拳西さんの雷落ちるよ。

そんなことで蹴鞠を始めたが、子ども相手に一切容赦しない海燕のせいでへとへとになってしまった。

 

 

「なぁオメー鍛錬してるんだろ?前よりちっとも体力増えてねぇじゃねぇか。すぐ疲れちまってよー。」

「体力増えるのに時間がかかるんですー!すいませんねーほんとー!」

「ナマイキ言うのはどの口だぁーー!!」

「いひゃい!いひゃいれすよ!!」

 

 

割と強めの力で頬を左右に引っ張られたのでかなり痛かった上、突然離されたのでゴムのように頬が戻りそれも少し痛かった。

 

 

「しかしコイツ本当に生意気に育っちまったよ。昔はもっと健気で可愛げのあるガキだったのになー。海燕さん今日も遊ぼ♡って。」

「そんなこと絶対に言ってませんしこれからも言うつもりありませんよ。あと生意気するのは海燕さんだけです。」

「テメー自覚あってナマイキ言ってんのか!こりゃあいつも以上のお仕置きが必要だな・・・!」

 

 

また隊舎の庭でギャーギャー大騒ぎしているのを浮竹は微笑ましくその様子を見ていた。

白哉とは違った形で兄弟みたいに仲良くしている様子を見るのは浮竹にとっても嬉しかった。

傍から見たら絶えず口喧嘩しているようにも見えるが、ある意味で十三番隊名物と化しており、他の隊員も面白がって見ていた。

 

 

「あ゛ぁ゛~疲れた~・・・って鬼道の勉強!忘れてた~~!!また拳西さんに怒られるよ・・・。」

「大丈夫だ。俺も一緒に六車隊長に謝りに行くから心配するな!」

「本当ですか~~!!って海燕さんのせいでこうなったんでしょうが!」

「わーったわーった。ほらもう夕方だし帰るぞ。」

 

 

こういう時の海燕はなぜかすごく頼りにみえるのだ。

浮竹に挨拶をした後の、「元気でいるんだよ~。」と浮竹の自虐混じりの見送りにツッコミを入れそうになったが海燕に「空気読めバカ!」と拳骨を入れられて止められた。本当に容赦ないなこの人!

 

ちなみに家で謝罪をするときも海燕は隼人に容赦のない仕打ちをした。

 

 

隼人が勉強をほっぽりだして遊んでいる、という噂を聞きつけた拳西が玄関で仁王立ちをし凶悪な顔で待ち構えている中、海燕の弁明は衝撃的な内容だった。

 

 

「いやーーーーどうしてもお宅の隼人くんが蹴鞠をやりたいと駄々をこねましてね。鬼道の勉強した方がいいんじゃない?って言ったんスよ。何度も。でもそんなの明日でいいと隼人くんはおっしゃったのでついつい付き合ってしまいました!ごめんなさい!それではさようなら!」

「はぁ!!!???話と全然違・・・!」

 

 

と海燕の方を見ても瞬歩ですでにいなくなっていた。

残ったのは自分のみ。恐る恐る拳西の方を見ると。

 

 

「今日は・・・分かってるんだろうな・・・・・・!!!!!!!!」

 

 

あぁ。もう日の目を見ることはないかもしれない。

 

 

その日の夜はご近所もびっくりする程の拳西の怒声と隼人の断末魔の叫びが響き渡ったという。

 

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