ヒーローに助けられた者のお話   作:気まぐれプリンセス

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後半、ちょっと過激な描写があるため不快に感じる方は見ないで下さい。
自己責任でお願いします。若干R-18気味です。
ジジとバンビちゃんのやりとりで大丈夫なら問題ないと思いますが・・・。


Mission Start!

あの時撮っていた「ぶらり霊場 突撃の旅 特別編」は生放送ではなくただのロケだったので、隼人が全国に映し出されることは無かった。

万が一映しだされた場合放送事故確定なので出すわけにはいかないが。

そして、あの時から何度か拳西や平子に無理矢理引っ張られて外に出たおかげで、一度失った現世耐性を取り戻して自信をつけることができた。

 

そんな休暇も今日で終わり。

浦原商店までの道のりを、拳西と夜一と三人で歩いていた。

 

 

「これを明日の夜までに目を通しておけ。明日の夜から行動開始じゃ。」

「思ったより分厚い!」

「おぬしがこっちで遊んでおる中、わしが尸魂界で綿密に調べた情報を喜助にまとめてもらったのじゃ!」

 

 

㊙と書かれた表紙をめくると、そこには仮面の軍勢復帰に反対を示す人間がまるで履歴書のように詳細に並べられていた。

見慣れぬ貴族がいれば、四大貴族の分家の人間もいて中々に分厚い壁を感じる中、護廷十三隊の隊長格も含まれていた。

 

 

「砕蜂隊長、反対しているんですか?」

「ああ、奴は問題ない。わしがどうにかする。」

「はぁ。・・・冬獅郎くんも?何で?」

 

 

それには拳西が答えた。

 

 

「ひよ里と共闘したんだが、あいつがチビって言ったのにキレたらしいぜ。あと女の体に興味津々ってリサも言ってたな。」

「冬獅郎くんが・・・?女の体に・・・?」

 

 

あんな小学生ともいえる年齢で女の体に興味津々とか想像を絶するド変態になってしまうが、普段の日番谷を見ていれば藍染との戦いの中で何らかの誤解が生まれたのは明白だろう。

 

 

「まぁ、事実かどうかはこの際置いておく。奴には雛森という副隊長に色仕掛けをさせてけしかければどうにかなるじゃろ。」

「なりませんよ?っていうか、雛森ちゃんは色仕掛けするような子じゃ・・・。」

「松本とやらに頼んで色々吹き込ませておいたぞ。隊長が顔を赤くする瞬間を写真に撮って女性死神協会に広めるとかほざいておったわ。」

「あぁ・・・やりそう・・・。」

 

 

実際やった色仕掛けはほんの気持ち程度胸をはだけさせる、色仕掛けとは到底言えないものだったのだが、想像力豊かなお子ちゃまの日番谷には効果覿面であり、見事に顔を真っ赤にしたところを撮られて弱みを握られたそうだ。

 

藍染との戦いの後、雛森は色々と落ち込んでいたみたいだったが、病室で七緒や松本から励まされた後、元五番隊隊長だった平子が直接会って話したことで彼女も生来の元気を取り戻したようだ。

だからこそ彼女も平子の隊長復帰を望んでおり、松本の誘いに面白半分で乗っかったと見るべきか。

 

そうこうしているうちに、穿界門を開いて待っている浦原商店に着いた。

 

「着きましたね!じゃあ拳西さん、すぐに隊長復帰させますので、待ってて下さい!」

「俺としちゃあ、あんま変な事しねぇでいてほしいんだがな・・・。」

「資料、しっかり読んでおけ。明日の夜わしも猫の姿でそっちに行く。いつもの茂みで合流じゃ!」

「はいっ!」

 

 

いつもの茂みって何だよ、とツッコミたくなったが、拳西はパタパタと穿界門に向かって行く隼人の姿をしっかり見送った。

 

 

「浦原さん!鉄裁さん!またいつか会いましょう!」

「いつでもこちらにいらして下さいね。お茶出しますよ~。」

「お菓子を作って待ってますぞ。」

 

 

開いた穿界門を通り、隼人は半月ぶりに尸魂界に戻っていった。

 

 

 

 

 

翌日。

七番隊に戻った隼人は、狛村と射場にあるお願いをした。

 

 

「有給休暇を、もう一週間もらえないでしょうか!?」

 

 

そのお願いにはさすがに狛村も呆れてしまい、射場は開いた口が塞がらない。

 

 

「・・・遊び足りないのか、隼人。」

「おどれは、儂の仕事を、いつまで倍にするつもりじゃ!!」

「十分遊びました。あと、射場ちゃんには今度お土産渡すから許して?」

「お・・・お土産ぇぇぇぇ!?!?!?!?」

 

 

しばらく仕事を任せたお礼が、お土産で済まされるなんて悲しい事この上ない。

馬車馬の如く働いてきた射場に、数日は代わりに仕事やってあげるよ!とでも言われるかと思っていたのに。無念。

そして、今日射場は、隼人に対し何度も驚かされてきた。

 

まず、性格の変化だ。

たしかに霊術院にいた時みたいな活発な性格に戻ったのは、射場としても非常に嬉しいことだ。

嬉しいのではあるが、正直院にいた時よりもうるさくなっているのだ。

冷静で大人だった隼人の姿は跡形もなく消え、ただのちゃっかりしたやんちゃな子どもみたいになっている。

これでは隊士たちの間に最悪戸惑いを生みかねない。

数人の一般隊士の中には「あんなの、口囃子三席じゃない・・・!」と震え慄いている奴もいる。

 

一番の変化は、見た目の変化だ。

雀部、大前田と三人で副隊長ジミッ子トリオとやちるに言われて日陰で悲しんできたのだが、隼人の地味さはそれを凌ぐものだと勝手に射場は認識していた。

しかし、休暇から戻ってきた隼人は髪型を変えただけでとんでもないイケメンに変貌を遂げてしまった。

最初に会った時は霊圧を見るまで誰か分からない程だったのだ。

七番隊女性隊士は、顔を直視するのも恥ずかしく照れているようだった。

 

これでは、麗しの松本が奪われてしまうかもしれない。

 

いっそのこと仕事で縛り付けてやろうと考えていたのだが、まさかの休暇延長を申し出た隼人に、射場は居ても立っても居られなくなった。

 

 

「えっええ加減にせえよ口囃子!!やっっっと現世から戻ってきたと思うたら、そげなチャラチャラした見た目にイメチェンしおって!!さらに休暇の延長じゃと!狛村隊長!いくら何でも我儘すぎます!!」

「もうちょっといいじゃーん。二人分の仕事に慣れてきた頃でしょ?充実してるって、思ってた頃でしょ?」

「うるさいわ!!」

 

 

確かに、二人分の仕事に精を出してる儂、ぶっちゃけカッコよくね?と射場は考えていたのだが、実際負担は相当に大きいので、もう限界だった。

狛村もそれはダメだ、と言う筈だったが。

 

 

「分かった。」

「隊長~~~~~~!!!!!」

 

 

がっくりと膝を崩した射場は、失意に沈んでうなだれていた。

そんな落ち込む射場に対しても、狛村は「鉄左衛門、早く仕事に戻れ。」と吐き捨て、泣く泣く隊首室から出て行ってしまった。

 

狛村には、隼人の真意などお見通しであった。

 

 

「お前の言うように、一週間だ。それ以上はさすがに鉄左衛門が泣く。」

「今も泣いてましたよ・・・。」

「六車殿らの件、お前も聞いたのか。」

「・・・やっぱり、気付いてましたか。」

「本人達と一緒にいれば、自然とその話は出るだろう。」

 

 

数ヶ月も膠着状態に陥っている事情を改めて聞き、根深く大きな問題であることを再認識する。

それでも、決意は揺らがなかった。

 

 

「何としても、僕の手であの人達を復帰させます。一週間以内に。」

「儂はお前の行動の責任を一切取るつもりはない。それでもいいか、隼人。」

「構いません。元々僕一人でやるつもりでしたので。万が一何か言われたら、狛村隊長は一切関係ないって言うつもりでした。」

 

 

本当は猫夜一と共に暗躍するつもりだが、格好がつかないので敢えて一人と言う。

 

 

「ならばもう、儂は何も言わぬ。もう一週間休んでいいぞ。」

「ありがとうございます!」

 

 

こうして、隼人は射場を生贄に捧げて一度自宅に帰って資料を読み込み、日が暮れてから七番隊の茂みに向かい夜一と合流した。

射場には持ってきた物の中から三割増しでお土産を渡そう。

 

 

「夜一さん!今日はどちらへ?貴族街ですか?」

「花街じゃ。」

「・・・了解しました!」

 

 

少しためらいそうになったが、意を決して返事をし、夜一を抱え込んで花街へと歩いていく。

確かに貴族連中の弱みを握るためには花街が一番だ。

一番なのは分かっている。

 

(あそこ、行ったことないんだよな・・・。)

 

あまりにも縁のない場所に足を踏み入れるのは、決心したとはいえ特別な勇気はいる。

夜なのに目がチカチカする程明るく、喧騒に溢れた空間は好きではなかった。

飲みの席で修兵や阿散井が○○の娘がカワイイなどと騒いだりしていたが、お前ら好きな奴いて何してんだよという批判めいた思いしか感じなかった。

今の隼人も七緒を好ましく思っており、此処にそういう目的で行こうとは決して考えもしないのだが、いざ足を踏み入れるとなれば変な噂が流れてしまわないか不安になる。

 

今の髪型で会ったのは七番隊の死神だけなので、たとえすれ違ってもバレないことは既に頭の中から消えている。

 

 

目的のお店に辿り着いた。

 

 

「ここは・・・。」

「待合茶屋じゃ。所謂、いかがわしいことをするために男女が集まる場じゃの。」

 

 

現世でいうラブホテルだ。

無縁すぎる場所の前に自分がいることを再認識し、瞬時に顔が真っ赤に染まる。

 

 

「何顔を真っ赤にしておる。おぬしが使うわけでも無かろうに。」

「そっ・・・そそそそうですねぇ~。行きましょう!」

 

 

中に入り、妖艶な雰囲気を醸し出す女性に、待ち合わせですと伝える。

これなら一人で来ても問題ない。むしろ、死神である以上待ち合わせで茶屋を使う事の方が多いだろう。

 

 

案内された部屋の中には、一枚の紙が置かれていた。

 

【松の間】

 

 

「さっきのあの店主には情報を集める上で色々お世話になってのう。入っていった部屋まで熟知しておるとは、末恐ろしい。」

「顔広いですね夜一さん。」

「元とはいえわしも四大貴族の当主じゃ。花街の中に人脈(ツテ)を作ることなど、造作もないわ。」

 

 

そして、形ばかりではあるが周囲を警戒しながら松の間へとひそかに近づいていく。

霊圧を消しながら廊下をすり足で歩き、仄かに灯りの灯った建物が見えた。

障子から漏れ出る柔らかな灯りが、どことなくムーディーでヌーディー。

数日前に観たスパイ映画みたいで、テンションがあがる。

 

 

「何か、いいですねこういうの。憧れてたんですよ。音楽が欲しいくらいです。」

「しっ!・・・黙っておれ。べらべら話すと気付かれるぞ。」

 

 

松の間は、それだけで独立した一つの離れのようなものだ。最高級の部屋などそれこそ中級以上の貴族でなければ手が出ない。三席の隼人では、逆立ちしても敵わないだろう。

今日のターゲットは、貴族の一人か。

 

 

「(今日は誰ですか?)」

「(中級貴族、桐葉家の新当主じゃ。)」

 

 

資料に載せられた写真は横顔ではあるが、公家顔の美男、とでも言えばいいのだろうか。

白哉みたいに、品のあるイケメンの男だった。

 

 

「(瀞霊廷でも女子から人気のある男でのう、何度か九番隊の雑誌でも特集されておる。貴族の原理主義を貫く男である故、六車達の復帰には断固反対しておる。)」

「(なるほど・・・。)」

「(その割に、奴は多くの女子と浮名を流してとっかえひっかえしていたそうじゃ。じゃが最近結婚し、愛妻家としても人気を勝ち得ておる。妻は元死神の美人妻じゃ。ツーショットで表紙を飾った瀞霊廷通信は重版モノだったらしいな。おまけに妊娠6ヶ月じゃ。人生の勝ち組とでも言えるのう。おぬしとは大違いじゃ。)」

「(へぇ・・・。何か、化かしがいありそうですね・・・。)」

 

 

苛立ちで醜悪な笑みを浮かべた隼人は危うく資料を手で握りつぶそうとしたが、他の人物の情報もホチキスで挟まれているのでそういう訳にはいかない。

何故天は一人の人間に二物どころかたくさんの物を与えるのだろうか。

 

 

「(でも何で花街に・・・・・・まさか!)」

「(そのまさかじゃ。・・・・・・ほうら、声が聞こえるぞ。)」

 

 

耳をすませると、パンパンと音を立てながら肉体がぶつかり合う音が聞こえてきた。

 

 

「あぁっ♡桐葉様!!そんな、激しッ・・・♡」

「ほら・・・もっと君の恥ずかしい所を俺に見せろよ・・・!陸!!」

「いっいけません!供の分際で桐葉様に・・・!あっっ♡ああぁっっ♡」

 

 

 

「(へ・・・?)」

「(これが奴の本性じゃ。)」

 

 

 

中から聞こえてきたのは、男の喘ぎ声だった。

清廉潔白、愛妻家で女性人気の高いイケメン貴族が、よりによって男と不倫していたとは。

今まで浮名を流していたのは女性であったが、それはフェイクであり、本当は供の男を手あたり次第食いまくっていたようだった。

 

いやいや待て待てちょっと待て。

最初から刺激とスケールが強すぎる。逃げ出したいくらいだ。

だが、夜一は遠回しに隼人に心を鬼にするよう求めた。

 

 

「(行為中の写真を盗撮しろ。それで奴を強請れ。)」

「(えっ、いや、マジですか・・・?)」

「(こんな物見て心に留めておく方が辛いわ。)」

 

 

夜一の言う通りでしかなかったので、改めて覚悟を決めることにした。

深呼吸をした後に伝令神機を開き、無音カメラで僅かに開けた障子の隙間から写真を撮っていく。

うっかり見た写真は筆舌に尽くしがたい程の過激な性行為の様相を如実に写し出しており、気持ち悪くてこれ以上撮るのを止めた。5枚もあれば十分すぎる。

 

むしろ、妻を放置してこんな場所で供の男と性行為をしているこの男に怒りすら覚えてきた。

ご飯でも作って待っているかもしれないのに。貴族の仕事から帰ってきて疲れたのを労おうとしているかもしれないのに。

あんな美人妻を手に入れておいて、まだ足りないのだろうか。

結婚も、外面としてのフェイクの一つかもしれない。

憚りの無い声で喘ぐ供の男も、家庭を壊していることに気付いていないのだろうか。

ダメだと逆らえないその男もバカとしか言えない。

 

一際大きく喘いだ声が響き渡ってコトが終わり、二人が荒い息を吐くのを確認し、隼人は怒りにまかせて襖を開け放った。

 

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