孫悟飯が強くなることに意欲的ならば   作:naonakki

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第12話 界王拳

『界王拳』

 

 この技を使って、ラディッツを追い詰める。

 

 界王拳は体中の全ての気をコントロールし、瞬間的に増幅させ、力、スピード、防御力を何倍にもできる技。

 ただし、そのメリットに釣り合うだけのデメリット――使用者の体に絶大な負担をかけてしまうという諸刃の剣でもある技だ。

 

 この戦いまでの三日で父さんに界王拳を教えてもらった……が、

 結論だけ言うと、僕はこの技を完全にマスターしたというわけではない。

 

 理由はいくつかあるが、一つ目は、この技は気のコントロールがとにかく難しいのだ。

 超サイヤ人であれば一度変身してしまえばその後は特に気のコントロールに意識を向ける必要はなかった。実際、気のコントールが完璧でなかった悟天でさえ、超サイヤ人を使いこなしていたくらいだ。

 しかし、この界王拳は発動している間、ずっと全身の気をコントロールし続けなければいけない。じっとしているなら長時間のコントロールも可能だろうが、動きながらとなるとその難易度は一気に跳ね上がるのだ。

 気が通常時より増幅される感覚については超サイヤ人と同じなのだが、この動いている間もずっと気をコントロールする感覚がどうしても掴めきれなかった。

 といっても気のコントロール自体は元の世界でも散々修行したことであり、技の習得自体は難しいものではないというのが、僕が界王拳に対して抱いた感想だ。

 ではなぜ習得できなかったのか、それが二つ目の理由もなる。

 圧倒的時間不足だ。加えて今日の戦いに備えて体に負担をかけない為、この三日間は自分の体に負担がかからない程度にしか界王拳の練習をしてこなかったのだ。

 

 以上の理由より、僕がこの3日間で習得した界王拳の習得レベルはというと

 

 倍増させられる戦闘力は、2倍まで。

 倍数が上がれば、それだけ気のコントロールが難しくなり、3倍以上だと気のコントロールを失い、己の肉体を崩壊させる恐れがあるからだ。

 しかもその2倍の界王拳でも、もって3分だ。というのも、まだ増幅させた気を完全にコントロールすることはできないため、余計な体力を大量に使ってしまい、スタミナの消費量が激しいのだ。

 

 ……2分……いや……1分だ。

 

 1分でラディッツを再起不能まで追い込む。

 不測の事態に備えて、3分を使い切るなんて馬鹿な真似はしない、大丈夫、付け焼き刃ではあるが落ち着いていけば1分あればラディッツを圧倒できるはずだ……。

 

 気を開放し、まさに僕に襲い掛からんとするラディッツをしっかりと、捉えたまま体内の気をコントロールしていく。

 

 

 

 ……よし

 

 

 

 深く息を吸い

 

 

 

 「界王拳っ!!!」

 

 

 

 ブァアアアアッ!!!!

 

 界王拳の発動と同時に、これまでとは比較にならない倍増された気が爆発的に辺りに拡散されていく。

 それと同時に僕の前身を赤いオーラが包む、まるで己の血が蒸発しているかのようだ。

 

 「な、なんだと!? こ、この気の量は!!??」

 

 流石に僕のパワーアップは予想外だったのか、今回の戦いで初めて焦りの表情を浮かべるラディッツ。

 しかしすぐに何かに気付いたのか、考える様子を見せ、こちらを伺ってくる。

 

 ……?

 なんだ? ラディッツの様子が変だ……いや、構うな!! 

 

 「行くぞっ!!」

 

 倍増されたスピードでラディッツに迫る。

 ラディッツは構えをとり、迎え撃とうとする……が、

 

 ……遅いっ

 

 先ほどまでの倍の強さを誇る僕にとって、今のラディッツの動きはまるで止まって見える。

 相手の防御をかいくぐり、ラディッツのボディーに強烈な一撃を叩きこむ。

 ラディッツはあまりの威力に、声にならない苦痛の声を上げ、殴られた勢いをそのままに飛んでいく。

 僕も後を追い、すぐさまラディッツに追いつくと、左手でラディッツの胸倉をつかみ、強制的にその場にとどめさせる。

 そのまま右手で何度か相手を殴りつける。殴るたびにズンッ、ズンッと、大気を震わすほどの威力だ。そのたびにラディッツは苦悶の表情を浮かべるが、すぐに防御に徹しダメージを抑えようとする。

 それを確認し、右手をラディッツの顔にかざし、力を込め、気功波を放つ。

 一瞬で光輝く気の荒波に飲み込まれたラディッツは、そのまますっ飛ばされ、巨大な岩山に圧し潰されるように叩きつけられる。

 

 スドオオオオンン!!!

 

 岩山は一瞬で破壊され、辺りに砂煙と破片をまき散らす。

 かなりのダメージを与えたはずだが、ラディッツの気はまだ健全だ。

 

 1分まであと30秒。

 

 すぐさま追い打ちをかけるべく、まだ舞いあがっている砂煙の中に突き進んでいく。

 すると、ラディッツが反撃で放ったのであろう複数の気功弾が迫ってくる。気のコントロールをマスターしたラディッツの気功弾は砂煙のなかでも正確に僕の元へと向かってくるが、それを僕はさながら鬱陶しい虫を振り払うように次々と弾いていく。

 

 ここで、ラディッツは逃げるような動きで僕から遠ざかる動きをとる。

 当然逃がすわけもなく、回り込むようにラディッツの前に立ちはだかる。

 そして相手に考える隙を与えまいと、蹴りつける。

 勿論、この攻撃を受け止められるはずもなくラディッツは、そのまま蹴られた方向に飛んでいく。

 

 そのまま、追撃を重ねていく。

 

 次々に僕の攻撃はラディッツに確実に決まっていく。

 

 

 

 しかし

 

 

 

 ラディッツは倒れない。

 

 理由は明確だ。

 ラディッツは、逃げ、あるいは防御のみに徹しているのだ。己の気を全身にまとうという、気の消費が激しい方法をとり、少しでも防御力を上げようとする徹底ぶりだ。

 

 僕はその事実に気付き次第に焦っていく。

 

 当然だが、戦いにおいて逃げ、防御のみに専念しても勝つことはできない。

 しかし、今の僕の様に時間限定のパワーアップをしている相手の場合は別だ。

 パワーアップの時間切れになるまで、耐えれば一気に形勢逆転するのだから。

 

 おそらく、気のコントロールをマスターしたラディッツは僕のパワーアップが時間限定だと考えたのだろう。だからこその行動。

 

 そしてそれは事実であり、僕にとってかなりの脅威として立ちはだかってきている。

 

 くそっ……、とっくに1分は過ぎた……! 

 

 ラディッツへのダメージは着実に溜まっているはずだが、まだ決定的ではない。

 焦りと緊張、不安といった感情が一気に僕を襲ってくる。

 全身にかかる負担が僕の肉体を確実にむしばんでいるのもその感情をさらに増幅させる。

 

 ……だめだっ、焦るな!

 僕の攻撃は相手にとって脅威であることに変わりはないんだ。

 

 ……これは我慢比べだ、先に折れたほうが負けるんだ!

 絶対に負けるものか!

 

 それに先ほどちらりと父さんたちの様子を探ったが、父さんたちはベジータさんを上手く追い詰めているのが分かった。

 ピッコロさんも上手くアシストしているためか、大猿化するような気配もない。

 この状況なら2分まで界王拳を使っても問題ない。

 2分間を使い切って、確実にラディッツを倒すんだ!

 

 そのまま防戦一方のラディッツの元へ突っ込んでいく。

 

 

 

 そして

 

 

 

 ……いけるっ!

 

 

 

 倍増の攻撃を重ねた僕は、界王拳発動からもう少しで2分というところで、ラディッツを追い詰めることができた。ラディッツは一目見ただけでも意識朦朧としており、限界はもう近いだろう。

 

 体への負担がかなりきつくなってきているが、まだ余力はある。

 

 さあ……これで最後の攻撃だ!

 

 

 

 「はぁ……はぁ……」

 

 孫悟飯……敵ながら凄い奴だ。

 どうやったのかまでは分からないが、飛躍的パワーアップを果たした悟飯によって、もう一撃くらえば沈んでしまうというところまで、追い詰められた。

 

 

 

 だが……

 

 

 

 計画通りだ

 

 

 

 確かに、最初悟飯がパワーアップをしたときは焦った。 

 しかし、あいつの気の状態を見て、すぐに無理をしたパワーアップだということに気付いた。そして恐らく、あまり長い間はそのパワーを保つことができないことも。

 

 そして、俺はある計画を思いついた。

 

 しかし、その計画を成功させるためには、悟飯の警戒が最も薄まる時に行う必要があった。

 油断の少ない悟飯がそうなる時は、俺が限界まで追い詰められたときだろう。

 それまでは、防御と逃げに徹し、なるべく相手のパワー消費を狙う。 

 そうしてやれば、相手は焦り、思考を回す余裕がなくなる。

 

 それこそが、俺の望んだ状況。

 

 そう

 

 まさに今だ

 

 最後の一撃を与えんと、果敢に突っ込んでくる悟飯。

 

 そんな悟飯に対し、俺は片腕をバッと上げ、ある技を放つ。

 

 それは、俺がこの一年の間にベジータ同様に人工的に月を作れないかと試行錯誤している際にたまたま編み出した技だ。

 己の気を光に変換し、閃光のごとく――ラディッツは知る由もないが、太陽拳と同等の技――放った。

 

 そしてその技を、あと一撃で終わると、警戒が薄れていた悟飯にまともにくらわすことに成功した。

 

 よし、後は――

 

 

 強烈な光が僕の目を焼いた。

 その事実に、一瞬理解が追いつかなかった。

 

 くそっ! 油断してしまった……。

 まさかラディッツがあんな技を覚えていたなんて。

 

 視界を奪われた僕は、辺りを伺うが、ラディッツは気を隠したのか、簡単に居場所を探ることができない。

 僕の視界を奪って、不意打ちするつもりだろうか。

 そう考え、辺りを警戒する。

 だがすぐに妙だと気づく、一向に攻撃される気配がないのだ。

 

 

 

 いや……違う

 

 

 

 ラディッツの目的は、僕の視界を奪って僕に攻撃することじゃない……。

その考えに至った瞬間。

 

 父さんたちがいるところに、ラディッツの気が現れたのが分かった。

 

 

 

 瞬間

 

 

 

 僕は、倍速でラディッツの元へいく。

 ラディッツの思惑は全て理解した。

 

 たのむ……、間に合ってくれ!

 

 

 

 だが、その願いは無情にも潰えた。

 

 

 

 ベジータさんの気が一気に少なくなった、それを認識した数瞬直後

 

 

 

 

 

 

 巨大な

 

 

 

 

 

 界王拳を使った僕の気を遥かに超える

 

 

 

 

 

 二体の化け物が誕生した

 

 

 

 

 

 

 つづく

 




第12話読んで頂いてありがとうございます!

というわけで戦いも激しくなってきました、次話よりさらに激しさを増していきます。

あと、戦闘力等色々指摘いただいた胸について考えをまとめたものをまたこの休日くらいに活動報告で書こうかなと思っています。

では、次話でもお会いできるのを楽しみにしております!
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