孫悟飯が強くなることに意欲的ならば   作:naonakki

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第13話 大猿を倒すために

「はぁっ……はぁっ……」

 

 ベジータ……か、すげぇ奴だ……。

 

 4倍界王拳によるかめはめ波をまともにくらいながらも、まだまだ倒れる様子を見せないベジータを見て、素直に感心してしまう。

 

 こっちは4倍界王拳の反動で既に体はボロボロだ。

 ……キツイけど、ここで頑張らなきゃ死んじまうからな。

 界王拳、これ以上持つかな、ハハハ……

 

 しかし、そんな絶望的な状況も良い方向に裏切られることになる。

 ピッコロ達が助っ人にやってきてくれたのだ。

 あまりに必死で周りを気にかける余裕がなかったが、どうもあのナッパとかいうサイヤ人を倒したようだ。

 ピッコロはベジータに月がどうのこうと言っていたが、何のことかは分からなかった。

だが、これで一気に戦局はこちらに有利になった。

 

 さらに

 

 「悟空! 大丈夫か?? ボロボロじゃないか!」 

 

オラのすぐそばまで、飛んできて心配そうにそう声をかけてくれたのはクリリンだ。

 

 「あ、ああ、界王拳って言うすげえパワーアップする技を覚えんたんだけど、その反動でな……。」

 「そ、そうなのか、確かにすげえ気だったもんな……だけど心配はないぞ、ほらっ、仙豆だ!」

 「おっ! それは助かる!」

 「ついでにもう一個の仙豆も悟空に預けとくよ。そのなんとか拳ってやつはかなりの負担がかかるようだしな。だが、それで最後の仙豆だからな? 注意してくれ。」

 

 そうして体力が完全回復したオラは、改めてベジータに向き直る。

 ピッコロやクリリン達もオラのアシストをしてくれるようだ。

 

 「く、くそったれ……、ナッパの奴め。あっさりと倒されやがって……使えんやつだ。」

 

 一方のベジータも流石にこの展開がまずいと感じているのか、かなり焦っているのが分かる。

 

 ……回復したり、寄ってたかったりして悪いとは思うけど、全力で行かさせてもらうぜ!

 

 「はぁぁぁっ! 3倍界王拳っ!!」

 

 再び、3倍の界王拳を発動させる。

 だが、ここで妙なことに気付く。

 

 ……ん? 体に負担がほとんどかからねえぞ??

 

 先ほど3倍の界王拳を発動させている間は、自身の肉体に膨大な負荷がかかり、内側から引き裂かれるような感覚が常にあったが、今はなぜかその感覚が嘘のようにない。

 

 どうなってるんだ?? 

 

 改めて自身の体に意識を向けると先ほどよりも気が大幅に増え、充実していることが分かる。信じられないような話だが、この一瞬で飛躍的なパワーアップをしたとしか考えられない。

 なぜこんなことになったかと不思議に思うが、悟空の強くなることへの天才的な嗅覚・感覚がすぐさまその疑問の答えにたどり着かせる。

 

 ……さっきの仙豆による回復か?

 

 もしかしたら、人には追い込まれた状態で回復すると強くなるとかそんな性質があるのかもしれない。

 根拠など特にないただの勘だが、悟空は自身のこの考えが合っていると確信する。

 

 これなら……悟飯のしていた重力室での修行と仙豆を組み合わせたら、凄い強くなれるんじゃねえか?

 ……と、今はそんなこと考えている場合じゃねえな。

 

 とにかく、これならベジータを倒せるぞ!

 多少の負担はかかるだろうけど、4倍界王拳だって問題なく使えそうだ!

 

 そう考えた時だった。

 

 ブァアアアアッ!!!!

 

 感じたことのない膨大な気が少し離れたところから放たれ、嫌でもそちらに意識が持っていかれる。

 

 ……これは悟飯の気??

 す、すげぇ、なんて気だ……

 

 元々、別次元なまでの強さを手に入れていた悟飯だが、さらにそれを大きく上回るほどの気が今悟飯から放たれている。

 しかし、その気はどう考えてもまともに制御できていない、気が荒々しすぎる。

 

 ……まさか、界王拳を使ったのか??

 

 そうとしか考えられない。

 というのも悟飯は、どういうわけか最初から気のコントロールは抜群にうまかった。

 その悟飯が、ここまで気のコントロールを乱すのは界王拳を使ったとしか考えれない。

 3日間という短い期間で、界王拳を未完成とはいえ習得するという神がかり的な所業を果たした悟飯だったが、現状の習得状況では界王拳を使うのは体に負担がかかりすぎるため、まだ界王拳は使うなと忠告はしている。悟飯もそれはよく分かっているだろう。

 

 つまりは

 

 ……それほどラディッツは強いのか。

 

 悟飯が未完成な界王拳を使用せざるを得ない敵。

 改めて敵に対する警戒心を認識しなおし、目の前のベジータを見据える。

 オラがさっさとベジータを倒せば、全員でラディッツを相手にできる。

 今のオラならラディッツ相手でも、食らいつくことができるはずだ。

 

 そう考え、構えをとり

 

 「行くぞおおっ!! ベジータあぁ!!」

 「……っ!」

 

 

 

 その後、悟空はベジータに対し、危なげなく安定した戦いを見せていた。

 

 基礎的な戦闘力も上がったため、さらに威力を増した3倍の界王拳でベジータに一方的に攻撃を加えていく、先ほどのかめはめ波に似た技を打たれても3倍界王拳で十分対応できるだろう。しかも体への負担もほとんどない。

 ベジータは、もはやオラの動きが全く見えないようで攻撃はおろか防御すらかなわず、なすすべなく攻撃を受けていく。

 そのベジータは、こちらのわずかな隙を見ては、掌に気を集中して何かしらの技を発動させようとしているようだが、それはピッコロ達によって阻止されている。

 

 「ぐっ!……はっ……あ、あぁ……ち、ちく、しょう……」

 

 そして攻撃を受け続けたベジータが苦痛の声を漏らしながら、思わずと言った感じでその場に崩れ落ちる。

 ベジータの残っている気の量から判断するに、まだ戦えそうではあるものの蓄積したダメージはかなりのものらしく、苦しそうだ。

 

 よし、このままベジータのやつを気絶させて悟飯のところへ行k……っ!?

 

 そう考えた時、異常事態が起きていることに初めて気づく。

 

 

 

 ラディッツの気が消えている!?

 

 

 

 悟飯が倒した??

 

 いや悟飯はまだ界王拳を発動させているらしく、戦闘モードだ。

 その悟飯はどういうわけか、その場にとどまっている。

 

 何が起きているんだ??

 

 その時だった。

 ここにいるはずのないラディッツの大声が上空から聞こえたのは。

 

 「貴様らぁっ、こっちを見ろおお!!」

 

 これには倒れているベジータ以外の全員が何事かと上空に視線を向ける。

 

 その瞬間だった。

 

 強烈な光が全員の目を焼いた。

 

 完全な不意打ちであり、避けることは不可能だった。

 何が起きているのかと、混乱しているとこんな声が聞こえてきた。

 

 「はあ……はあ……おいっ、ベジータ!! いつまで寝ているつもりだ!! すぐに月を作れ!! このままでは地球の月が出るまでに負けるぞ! 悟飯の奴もすぐそこまで追いかけてきている、早くしろっ!」

 

 ……月? 月を作る……?

 どういうことだ??

 

 混乱する中、気を通じて分かってしまった。

 どうやったかは分からないが、とんでもなく最悪な事態になってしまったことを。

 

 ラディッツとベジータの気が何倍以上にも膨れ上がったのだ。

 

 

 

 「あ……あぁ」

 

 恐れていたことが起きてしまった。

 注意していたつもりだった。

 しかし最後の最後で気が緩み、相手に逆転の一手を打たれてしまった。

 太陽拳という不意打ちはあったものの、これは完全に僕の失着だ。

 視力の戻ってきた目で二体の大猿を確認し、思わずうなだれてしまう。

 

 く……どうして僕はいつも最後の最後で……

 結局僕は何も学習していないじゃないか……

 

 

 

 ……。

 

 

 

 だめだっ!

 諦めるな! 僕に諦める資格なんてないんだ!

 反省なら後で死ぬほどすればいい。

 今は、どうやって目の前の絶望的状況をひっくり返すかを考えるんだ。

 

 折れそうになった自分自身に甘えるなと、目を背けたくなる光景を真っすぐに見据えて考える。

 

 大猿化は、パワーが一気に増す分、スピードはかなり落ちるのが特徴だったと記憶している。

 だからこそ、ベジータさんだけなら仮に大猿化してパワーで上回られても、速さで圧倒し、勝てると踏んでいた。

 しかし、今のラディッツは……。

 スピードでならこちらに軍配は上がるだろうが、あまりにもパワーに差がありすぎる。これではスピードで勝ってもまともにダメージを入らないだろう。

 

 それを踏まえて、今ぱっと思いついた攻略法は二つだ。

 

 一つ目は、相手の尻尾を切ることを優先することだ。尻尾さえ切れば、相手の戦力は一気に落ちるため、こちらにも勝機が出てくる。

 二つ目は、僕とピッコロさん達で協力してラディッツとベジータさんを相手に時間を稼ぎ、父さんに高出力の元気玉を撃ってもらうことだ。

 

 ……。

 

 しばしの思考の末、結論を出す。

 やはり、尻尾を切る作戦だろう。

 

 二つ目の作戦を却下した理由は、今のラディッツを倒すほどの元気玉となると、元気を集めるのにかなりの時間がかかってしまうからだ。僕の界王拳を発動させられる残り時間的にもそれは避けたい。それに、父さんを除くメンバーであの二体を抑えることはかなり困難だろう。

 そして、一つ目の作戦を採用した何よりの決定材料になったのが、父さんの気が飛躍的に上がっていることだ。父さんの元気な様子を見るに、おそらく仙豆を食べたことで、サイヤ人特有の死にかけの状態から復活することで飛躍的に戦闘力が上がるという特性が発動したのだろう。

 今の父さんなら、ベジータさんの尻尾を単独で切ることも可能だろう。

 それならば、ベジータさんvs父さん、ラディッツvs僕の構図が成り立ち、一対一での対応が可能になるのだ。そこにピッコロさん達の助けが加われば、十分に尻尾を切ることも可能だろう。

 懸念点は、界王拳が使用できる時間は残り1分間のみだということと、仮に尻尾を切れても、界王拳が切れた後では、僕の体力が著しく減ってしまうことだろう。

 だが、こればっかりは気合・根性なりで乗り切るしかない、相手だってかなり体力を消費しているはずなんだ。

 

 そういえば、仙豆は確か2粒あったはずだけどあと1粒はどうなったのだろう?

 まだあるのであれば欲しいところだ。

 最初は、ナッパ戦に苦戦するかもしれないとクリリンさんに仙豆を持ってもらっていたが、ナッパ戦では余裕の勝利をしていたことから仙豆がまだ残っている可能性が高い。

 もし仙豆があれば、こちらの勝利が一気に硬くなる。

 ……まあ仙豆の有無にかかわらず、僕のやることは変わらない。

 

 『ピッコロさん。』

 

 考えがまとまったところで、心の中でピッコロさんに呼びかける。

 するとすぐさま返事が返ってくる。

 

 『……悟飯か。』

 

 ピッコロさんは隠してはいるようだけど、返事の声には心なしか不安や緊張を含んでいた。

 僕はそんな不安をかき消すかのように努めて明るく、言葉を口にしていく。

 

 『はい! 単刀直入に伝えます。今から相手の尻尾を切ることを最優先として戦っていきます。』

 『まあ、それしかあるまい。……それでどうする?』

 

 ピッコロさんもこちらの思いが通じたのか、声に覇気を取り戻し、そう質問を投げかけてくる。

 

 『はい! ここからの作戦ですが――』

 

 つづく

 




第13話読んで頂いてありがとうございます!

というわけで次話より本格的に本格的に第2ラウンドの始まりです!

後、今回少し悟飯が仙豆のことに触れていますが、ようやく仙豆をこの話でどう扱っていくかの方針が固まりましたので、この先どこかの話でそれについては触れていこうと思います。

感想・ご意見お待ちしております!
では、また次話でお会いしまいしょう!
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