孫悟飯が強くなることに意欲的ならば   作:naonakki

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第14話 vsベジータ

 視力の戻ってきた目に飛び込んできたのは、夢ではないかと疑うような光景だった。

 

 山を彷彿させるような巨体から放たれる圧倒的存在感を前に全身が金縛りにあったように硬直してしまう。

 全身を覆う剛毛、長い尻尾、そして血のように赤い瞳を浮かべるその顔の形状は、体のサイズを除けば猿を連想させた。

 しかしその大猿が身にまとっているものがサイヤ人が来ていた服と一致していること、そしてなにより大きさは違えどその気は間違いなく先ほどまで戦っていたベジータとラディッツのものだ。

 

 ……どうなってんだ?

 

 何が起きたかはわからなかった。

 しかし、どう考えても事態は良くない方へいっているのは確かだ。

 

 「おいっ、孫悟空! 手短に説明する、よく聞け!」

 

 突如、大声でそう言ってきたピッコロは返事も待たずにそのまま言葉を続けてきた。

 

 「あの化け物は、サイヤ人のやつが変身をした姿だ。だが、尻尾を切れば元の姿に戻る! だから今からはあいつらの尻尾を切ることに集中するんだ! 俺たちはベジータを倒すぞ!」

  

 声を荒げてそう語るピッコロの表情には緊張と焦りの感情が浮かんでいる。

 なぜそんなことを知っているのか、そんな疑問もなかったわけではないが、今はそんなことを考えている場合でないのは火を見るよりも明らかだ。

 

 「……よくわかんねーけど、尻尾だな? 信じていいんだな、ピッコロ?」

 

 敵対関係でもあるピッコロにそんな風に確認を付け加える。

 だが、この戦いでピッコロは周りを陥れるような真似はせず、純粋に地球を守るための戦士としてここにいることは、これまでの様子を見ていれば分かる。そして何より悟飯が懐いていることからも、ピッコロに対する信頼度はかなり上がっている。

 だからさっきの言葉も、協力して頑張ろうぜという意味を込めてのニュアンスで言ったに過ぎない。ピッコロもなんとなくその言葉に含まれた想いをくみ取ったのか

 

 「はっ、この状況で嘘などつくわけないだろう。分かっているとは思うが、戦力差的にきついのは悟飯の方だ。とっとと片付けて加勢するぞ。」

 

 と、緊張の表情を保ちつつも、ニヤリと笑みを浮かべながらそう言い、気を高めていくピッコロ。

 

 「へへへ、そうだな。とっとと倒しちまうか!」

 

 同じく、笑みを浮かべながら界王拳を発動させる。

 

 「……あの、一応俺もいるからな?」

 

 今までオラとピッコロの会話を聞いていたが、たまらずと言った感じにそう声をかけてくるクリリンは疎外感があったのか、忘れないでくれよと不安そうだ。

 勿論忘れているわけもないが、申し訳ないことをしたらしい。

 ちなみに天津飯、餃子、ヤムチャは悟飯のもとへ加勢しにいった。

 その際、ヤムチャに残りの仙豆の一粒を悟飯に渡すように言っておいた。

 今の悟飯はまだ気は残っているようだけど、相当体力を消費しているようだからと判断したためだ。

 

 「じゃあ行くぞっ!」

 「「おう!!」」

 

 気合を入れるためにも大声で叫び、二人もそれに答え、ベジータに向き合おうとしたその瞬間だった。

 

 

 

 うおおおおあああああっっっ!!!!

 

 

 

 「「「っ!?」」」

 

 ラディッツから放たれた大地を揺るがすような雄たけびに、思わず両耳をふさぐ。

 なんだと思い、ラディッツの方に視線を向けるとラディッツはその巨大な口を開き、でたらめな方向に向けて気功弾を吐きまくっている。

 しかしその気功弾の一発一発がとてつもない破壊力を持っており、大地に被弾するたびに大爆発が起こる。

 

 ……な、なんだ?? 理性を失っているのか??

 それにしても、あの威力……。

 あんなもんが人のいるところに当たったらとんでもねえことになるぞ……。

 

 ラディッツはひとしきり気功弾を打ち終えると、次は周りにあった岩山を殴りだしてしまった。

 だが、ラディッツに気を取られていると、もう一方の大猿ベジータがこちらに突き進んできていた。

 

 「貴様らあああ!! このベジータ様にたてついたことを後悔させてやる!!」

 

 ラディッツと違い理性を保っている様子のベジータは勢いをそのままに自分たちがいた場所を殴りつけてくる。

 全員何とか避けることはできたが、その威力に思わず背筋に冷たいものが走る。

 ラディッツよりも気の量は少ないが、それでも界王拳を使った自分と比較してもそれを余裕で上回るだけの気を持っていることは確かだ、直撃だけは避けなければならない。

 

 ベジータは、オラに狙いをつけているようで赤い目をこちらに向けて、続けて殴り掛かってくる。

 それを避けるが、同時に視界の外からやってきていた尻尾に反応が遅れた。

 遠心力をうけ勢いよく迫る尻尾が容赦なくオラの体を打ち付ける。

 尻尾による一撃とは思えないほどの威力だが何とか態勢を保ちなおし、相手に向き直ろうとした時

 

 「悟空っ!! よけろおお!!」

 

 クリリンの絶叫にも近い警告に状況を確認する前にその場から緊急離脱する。

 次の瞬間、大威力をもった光弾が元いた場所に凄まじい速さで駆け抜けていくのが確認できた。

 

 「……あ、あぶねぇ。さんきゅークリリン。」

 

 さっきのに当たっていれば、ただでは済まなかっただろう。

 そして今の攻防だけでも分かる。3倍界王拳のままでは厳しいだろう。

 

 ……4倍界王拳いってみるか。

 

 「ちっ、鬱陶しいハエめ、貴様から殺されたいのか?」

 「う、うわわわ、こ、こっち来た!?」

 

 邪魔されなければ攻撃が決まっていたこともあり、いらいらした様子でクリリンに標的を移すベジータ。お前の相手は……オラだ!!

 

 「4倍界王拳だああああ!!」

 

 全身に一気に負荷がかかると同時に、爆発的な力がこみ上げてくる。

 

 よし……ちょっと体に負担はかかるけど動ける! これなら、いけるぞ!

 

 ベジータもオラのパワーアップに反応を示し、再度こちらに警戒の目を向けてくる。

 

 ……ベジータの奴は確かにパワーはすげえけど、その分速さが殺されてる。

 4倍界王拳のスピードなら、十分ベジータについて行けるはずだ。

 

 後はベジータの気を引き、隙を作るなりしてクリリンとピッコロに尻尾を切ってもらえればいい。

 

 

 

 

 

 「はぁっ……はあっ……!」

 

 その後も、ベジータを相手に戦いを繰り広げていたが、戦いは膠着状態に陥っていた。

 

 まさか、4倍界王拳でも押し切れないなんて……

 

 スピードではベジータを上回っていることもあり、尻尾を切るだけなら難しくはないと考えていたが、その目論見は外れてしまう。

 その最たる原因は、ベジータが大猿としての戦いに慣れていることだった。

 ベジータは、巨体であることをデメリットとして捉えるのではなく、メリットとした戦術でこちらに迫ってくるのだ。

 対するこちらは、基本的に同じサイズの相手と戦うことを前提とした修行を行ってきたので、どうしても戦い方にぎこちなさが出てしまうのだ、その差が膠着状態を生み出している。

 とは言え、こちらも何とかベジータから隙を作り、その度にピッコロとクリリンに攻撃してもらい尻尾を切ろうと試みているのだが、ベジータは周りへの警戒を常に持ち、すんでのところで避けられてしまうのだ。

 ラディッツと悟飯が強すぎて気付かなかったベジータの戦闘センスに敵ながら尊敬の念を抱いてしまう。

  

 「はぁ……はぁ……しつこいゴミどもだ……っ!」

 

 そのベジータは変身前に大きくダメージを受けていたこともあり、かなり体力を消費している様子だ。

 これなら体力の差でわずかに有利かと考えるが、こちらも4倍界王拳による負担が徐々に体力を蝕んでいることから余裕はない。

 

 しかしその若干の有利性が悟空にわずかな思考を許してしまう。

  

 でも、ベジータとラディッツの奴はなんでいきなり大猿なんかに変身しちまったんだ??

 これもサイヤ人の能力なん……っ!?

 

 その瞬間、気付いてしまった。

 

 

 

 “自分も過去に大猿になったことを。そして最愛の祖父を殺してしまったのが誰であるのかも”

 

 

 

 わずかな動揺

 

 時間にしてほんのコンマ何秒

 

 しかし

 

 それを戦闘において天才的な才能をもつベジータが見逃すわけがなかった。

 

 「死ねえええ!!!」

 

 気付いたときには、正拳突きの要領で全身の力が込められたベジータの巨大な拳が目の前に迫っていた。

 避けることは不可能。とっさに腕をクロスさせ胴体への直撃を防ぐための姿勢をとる。

 

 直後

 

 ドゴオオオッッ!!

 

 「がっ……!?」

 

 ボキバキッ!!

 

 直撃をうけた右腕が折れるのを感じながら、あまりの威力とダメージに意識が吹っ飛びそうになる。

 受けた威力を殺すこともできず、吹っ飛ばされているとベジータが追撃を加えんとこちらにさらに迫って来ているのが確認できた。

 

 こ、このままやられるのか?

 

 その時だった。

 横から今まで気配を殺していたのか、クリリンが突然現れた。

 オラとベジータが予想外のクリリンの登場に驚いているとクリリンはそのまま両手を額に添えて、

 

 「くらええ!! 太陽拳っ!!」

 

 カッ!!

 

 暗くなり始めた辺りに圧倒的光量がまき散らされる。

 

 「ぐ、ぐわああああ、目、目があああ!!??」

 

 その光はオラとベジータから視力を奪い、ベジータは突然のことで理解が追いつかないのか、慌てふためいている。

 

 そして次の瞬間

 

 「ぐあああ……がっ!!??」

 

 何やら、ベジータが苦悶の叫びをあげたと思った次の瞬間。

 ベジータの気がみるみるうちに小さくなっていくのが分かった。

 

 一体に何が起きたのか分からなからず、とりあえず地面に着地し、立ち尽くしていると、傍にクリリンとピッコロが近づいて来るのが分かった。

 

 「悟空! 腕は大丈夫か??」

 「あ、ああ、なんとかな。むしろ右腕だけで済んでよかったくらいだ。」

 「そ、そうかそれならよかった。ベジータの奴の尻尾も切れたし、何とかなりそうだな。」

 「……けっ、孫悟空を倒すために編み出した技をあんな化け物の尻尾を切ることに使うとは思わなかったぜ。」

 

 どうも、二人の会話から察するに太陽拳で視界を奪った隙にベジータの尻尾を切ることに成功したらしい。

 だが、尻尾が切れたがベジータはまだ戦闘を続けることは可能だろう。

 ベジータも相当消費しているとはいえ、こっちも右腕が折れている。

 クリリンとピッコロがいるとはいえ状況的には、五分五分といったところだろう。

 

そして、だんだん目の前の光景が見えるようになってくると

 

 「きさまらあああ!! 俺様の尻尾を切りやがってええええ!! そんなに俺を怒らせて殺されたいかあああ!!」

 

 殺気をふりまくベジータが再度、こちらに迫ってきていた。

 

 つづく

 




第14話読んで頂いてありがとうございます!

太陽拳マジで便利……。

というわけで、ベジータ戦でした!
次話では、ラディッツ戦に行こうと思います!

あと、すみません。12話のあとがきで戦闘力についてまとめたものを活動報告で報告すると言っておきながらまだできてません。
意外と時間がかかっており……。もう少々お待ちくださいm(__)m
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