孫悟飯が強くなることに意欲的ならば   作:naonakki

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感想ありがとうございます!

また、最近更新ペースが遅れ、申し訳ありません。

誤字脱字報告いただいた方、毎度ありがとうございます!


第16話 限界を超えろ

 2倍界王拳によって酷使されていた肉体が回復したのを感じると同時に、元々持っていた気を上回る莫大な量の気が体の奥底から湧き上がってくる。

 

 しかし

 

 これは……2倍界王拳でもキツイか!?

 

 確かに飛躍的なパワーアップはした……が、それでも大猿化したラディッツのパワーには届かない。2倍界王拳を使用しても、だ。

 そこまで理解したときには、絶望的な破壊力をもった気功弾はすぐ目と鼻の先にまでに迫っていた。そのあまりの威力に周りの空間が歪んでいるようだ。

 このままでは僕は気功弾の餌食となり、確実にやられるだろう。

  

しかし、この状況を打破するための技が一つだけある。

 それはこの3日間の短い修行の間ですら一度も試してこなかった技である。

 

 ―『3倍界王拳』の使用である―

 

 2倍界王拳ですら、あの負担だった……。

 言うまでもなく危険である。

 最悪、体が耐え切れず爆散する可能性だってある。

 でも……やるしかない!

 

 刹那の逡巡の後、叫んだ。

 

 「3倍界王拳っ!!!」

 

 3倍界王拳を発動させた瞬間、大猿化したラディッツにも匹敵する巨大な気が全身から一気に湧き上がってくる。

 今までとは比較にならない全身から荒れ狂うように吹き出す大量の赤いオーラは、その巨大なパワーと、そのパワーをコントロールできていないことを示していた。

 

 全身が悲鳴を上げるほどのパワーを確認し、すぐさま右の拳を握りしめると同時に左後方に全身を大きく捻る。

 そしてその捻った体を一気にもとに戻す。

 全身の捻りを利用した勢いの裏拳を思い切り気功弾に叩きつけるために!

 

 「うわあああああっっ!!!」

 

 

 

 ズガアアアアアッッンン!!

 

 

 

 気合と共に放った裏拳をくらった気功弾は、凄まじい衝撃音をまき散らしながら、まっすぐに射出元、つまりラディッツのもとへ突き進んでいく。

 

 よ、よし! これで……っっっ!?!?

 

 気功弾を弾いた右の拳がビリビリと痺れるのを感じつつも、ラディッツの攻撃を跳ね返したことに安堵しかけた、その瞬間

 

 ミシミシミシブチブチブチ!!

 

 全身から何かが千切れるような不快な音が聞こえたと同時に想像を絶するほどの痛みが襲ってきた。

 そのあまりの痛みに、思わずその場に四つん這いになってしまう。

 

 「あ、あああああっ!!!???」

 

 まるで肉体を内側から爆破でもされたような痛みだった。

 ポタポタと地面には、僕の顔から滴った血がどんどん染み込んでいく。どうやら大量の鼻血が出ているらしい。

 このタイミングで、僕が弾いた気功弾がラディッツに当たったのか、凄まじい爆音と衝撃波を感じるが、そちらに気を向ける余裕はなかった。

 

 3倍界王拳を発動させた時間は、ほんの数秒ほどだ。

 それでこの有様である。

 いや、体が四散しなかっただけでもまだマシだったと思うべきか……。

 パワーアップした体でなければ間違いなく、体がバラバラになっていただろう。

 

 父さんはこんな危険な技を使用して、ベジータさんやフリーザと渡り合っていたのか……。

 まさに諸刃の剣、改めて界王拳の危険性を知り、父さんの偉大さを理解する。

 

 壮絶な痛みはまったく収まる気配を見せなかったが、それでも何とか気合で、気を集中させ、ラディッツがどうなったかの確認を行う。

 

 ら、ラディッツはどう、なったんだ……?

 

 すると先ほどまで感じていた大猿ラディッツの巨大な気は消失しており、顔を上げ、目を凝らすと尻尾を切られたラディッツがうつぶせの体勢で岩山の上で倒れているのが確認できた。

 

 よ、よし! ヤムチャさんたちが上手く尻尾を切ってくれたんだ!

 

 倒れているのは、僕が弾いた気功弾が直撃したからだろうか?

 死んではいないようだが、ラディッツから感じられる気はほとんどない。

 ラディッツは元々大猿化するまでに界王拳でダメージを受け続けていた。

 そこへ先ほどの弾き返した気功弾でとどめをさした結果になったらしい。

 

 しかし、その考えはすぐさま裏切られる。

 

 グググと、ゆっくりとおぼつかない動きではあるもののラディッツが起き上がり始めたのだ。

 

 く、くそ!! まだもう一押し必要か!

 

 動き出そうとしたが、その瞬間また激痛に襲われ、移動することすらできない。

 どうしようもないこの状況で、どうするべきか頭を回していると、ヤムチャさん、天津飯さん、チャオズさんの3人がラディッツに飛び掛かっていくのが見えた。

 

 き、危険だ!?

 

 いくらラディッツの体力が削れたと言ってもまだまだヤムチャさんたちの気を上回っていることに変わりはない。

 流石に今のラディッツに一撃で殺されるなんてことはないだろうが、それでも危険であることに変わりはない。

 しかし、その状況を理解しても、今の僕にはどうすることもできない。

 ギリリ、と歯ぎしりをするが、それでどうにかなるわけもなく、結局戦いの行方を見守るしかない。

 

 ヤムチャさんたちは、一緒に修行をしていたということもあり、連携のとれた攻撃を繰り出していく。

 ヤムチャさんと天津飯さんが前衛でラディッツと肉弾戦を繰り広げ、後衛でチャオズさんがそれをサポートするフォーメーションだ。

 ラディッツが攻撃をしてきても、ヤムチャさんと天津飯のうちどちらか一方がそれを全力で食い止め、もう一方がカウンターの攻撃を繰り出す。二人の連携がくずれそうになっても、チャオズさんがうまくそれをフォローし、隙の無い攻守のバランスのとれた戦いでラディッツに迫る。

 

 最初は、その連携のとれた攻撃にラディッツも苦戦しているように見えたが、すぐにヤムチャさんたちの攻撃を見極めていくと、徐々にヤムチャさんたちを押し始めた。

 3人の僅かな隙をつくような攻撃を受け、連携が崩れていく。

 

 ……やめろ

 

 ラディッツの繰り出した蹴りをまともにヤムチャさんが食らい、吹っ飛ばされる。

 すぐさま天津飯さんが割って入るが、その動きも全て読めていたのか、振り向きざまに気功弾を打ち、天津飯さんもヤムチャさん同様に吹っ飛ばされ、岩山に突っ込んでいく。

 二人とも生きてはいるが気が大きく減少し、もう一撃くらえばまずい状況だ。

 

 ……やめてくれ

 

 一人になったチャオズさんは、どうしてよいのかわからないのかオロオロしており、そこにラディッツはためらいなく、気功弾で空に浮いていたチャオズさんを撃ち落とし、そのままチャオズさんは地に落ちてしまった。

 

 ……やめろって言ってるじゃないか

 

 ラディッツも3人から攻撃をくらい、かなりフラフラな様子だが倒れることはない。

 決着はついてしまった。

 ラディッツは、3人に止めをくらわすために、まず一番近くにいたチャオズさんに歩みを進める。

 チャオズさんのもとまで辿り着いたラディッツは、チャオズさんを殺すのに十分な量の気を掌に集めて、それをチャオズさんに向ける。

 

 

 

 ―チャオズさんが殺される―

 

 

 

 そう認識した瞬間、僕の中で何かが弾けた

 

 

 

 「やめろおおおおおおおっっ!!!」

 

 

 

 全身を襲っていた痛みなどどうでもよかった。

 体を動かすたびに肉体から鈍い音が鳴り、体の組織が崩壊していくことがわかったが、それと引き換えかのように全身に力がみなぎってくる。

 

 無理やり起き上がらせた体に力を込め、一気にラディッツの元へ迫っていく。

 ラディッツもこちらに気付き、チャオズさんに向けていた掌をこちらに向けなおし、気功弾を撃ってきた。

 僕はそれをあえて避けずに(というか今のこの体ではあの攻撃を躱すことなんて不可能だ)、突っ込む。

 ラディッツが放った気功弾は僕に直撃し、一瞬、意識を持っていかれそうになるが、ぐっとこらえ、勢いを殺さずにそのまま突き進んでいく。

 

 ラディッツもまさか僕がそんな捨て身の攻撃に出てくるとは思わなかったのだろう、明らかに動揺しているのが分かる。これなら攻撃をあてることができるだろう。

 しかし、こちらは無理やり舞空術で体を動かしているが、このボロボロの体では、拳も蹴りも繰り出せない。気功弾を撃つような気の操作をしている暇もない。

 そうなると、僕に残された攻撃手段は一つだった。

 

 『頭突き』だ。

 

 「くらえええええ!!!」

 

 「ドズンッ!!」と、頭突きは見事にラディッツの腹に突き刺さった。

 僕の頭にも頭蓋骨が軋むような衝撃があるが相手にはそれ以上のダメージを与えられたはずだ。

 実際、ラディッツは「ガハッ!?」と、吐血しながら、ヨロヨロと後ずさりし、その場に膝を折り、攻撃をくらった腹部を手で押さえている。

 

 が、そこまでだった。

 

 確かにダメージを与えられたし、相手の気の量も風前の灯火だ。

 だがそれ以上にこちらのダメージが大きすぎた。

 相手はまだ体を動かせるだけの体力が残ってそうだが、こちらはもはや、今の攻撃ですべてを使い切り指の一本すら動かせる気がしない。

 ラディッツもそれを察知しているのか

 

 「……くっ、まさか頭突きをしてくるとはな。……だが、ここまでのようだな? ベジータの方もこちらと同じような状況みたいだが、ここで俺がお前たちを殺し、ベジータに合流すれば、こちらの勝ちは確実だ。」

 

 と、勝利を確信したのか口元に笑みを浮かべ、そう言い放ってくるラディッツ。

 

 ……ここまでなのか。

 

 悔しいけど、ラディッツの言ったことは正しい。

 もはや、僕たちに勝ち目はほとんどないだろう。

 

 そう絶望しかけたときだった。

 

 予想もしてなかった存在がやってきた。

 

 「グエ……」

 

 突然現れた存在にラディッツはばっと振り向き、僕も目だけを動かし、その存在を確認する。

 

 そこにいたのは、小柄で短い手足、全身を緑で包まれ、赤いギョロリとした目が特徴的な生物だった。

 

 

 

 忘れるはずもない、元の世界でヤムチャさんを殺した『栽培マン』だった。

 

 つづく

 




といういわけで16話でした!

いや~、サイヤ人編も終わりが見えてきました!

引き続き、読んで頂けるとありがたいです!!

(面白いと思った方がいましたら高評価頂けると凄く嬉しいです……)

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