孫悟飯が強くなることに意欲的ならば   作:naonakki

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前話でも沢山感想頂きました、ありがとうございます!


第19話 ベジータvsフリーザ2

 超サイヤ人と化したベジータから放たれる膨大な気が、大地を、大気をビリビリと震わせ、フリーザを飲み込んでいく。

 ベジータの戦闘力が爆発的に上昇したことは誰の目から見ても明らかだった。

 

 「な、なんなんだ、その姿は……?」

 

 目の前で起きたことが信じられなかった。

 サイヤ人は、大猿にしか変身しないはずだ。

 しかし、目の前のベジータの姿はまるで……

 

 「……はっ、とっくにご存じなんだろう? 貴様がずっと恐れていた伝説の超サイヤ人ってやつだ。」

 

 ベジータの言葉によって、確信に変わる。

 超サイヤ人……、金色に変身するサイヤ人、伝説は本当だったのか……。 

 

 「……なるほど、その姿を見せられては信じざるを得ないようだな。しかしこの一か月の間に何があった?」

 「一か月か。そういえばこっちではまだ一か月しか経っていないんだったな。」

 「何? どういうことだ?」

 「さあな? 貴様で勝手に想像でもしてるんだな。」

 「ちっ……。」

 

 ベジータの挑発するような言葉に怒りがこみ上げてくる。

 ……何という屈辱、何という失態だ!?

 超サイヤ人という存在は知っていた、警戒しなくてはいけないということも。

 こんなことならば惑星ベジータを破壊したときに、ベジータも殺しておけば……。

 

 「くくく、動揺しているようだな? それもそうか、恐れていた超サイヤ人を目の前にしてはな……。」

 「……あまり調子に乗るなよ? それに俺は超サイヤ人など恐れなどいないし、お前が超サイヤ人になったことが俺に勝てる理由にはなりえないぞ!」

 「ほう? そうか? ならかかってこい、あまり俺を失望させるなよ、フリーザ様?」

 

 「舐めるなああああ!!!」

 

 フリーザの怒号とともに、再び戦闘が始まる。

 

 

 

 「ひゃあああ!!!」

 

 フリーザの小柄な肉体から繰り出されているとは思えないほどの力強く素早い攻撃がベジータの肉体にヒットするたびに、衝撃音があたりに響き渡る。

 ベジータは反撃する間もなく、されるがままにフリーザの攻撃をその身に受け続けていく。

 

 「はああっ!!」

 

 フリーザの大きめに振りかぶった腕から繰り出された強烈な一撃をモロにくらったベジータは、そのまま1キロ以上離れた岩山まで直線上に突っ込んでいく。

 

 「これをくらって、この星もろとも消し飛べえええ!!!」

 

 フリーザはそう叫び、両腕を上方に伸ばし、手のひらを天にかざす。

 力を集中させると恒星と見間違うほどの眩い光球が出現し、力を込め続けると、その大きさは数倍、数十倍、そしてあっという間に数百倍以上の大きさにまで膨張する。 圧倒的存在感を示すそれはまさにもう一つの太陽のようだ。

 フリーザはその出来上がった莫大なエネルギー玉を何の躊躇いもなく、ベジータに投げつける。

 エネルギー玉がベジータのいる瓦解した岩山に真っすぐ突き進み、間もなく直撃するという瞬間だった。

 

 

 

 ズドオオオオオオン!!!

 

 

 

突然の地を揺るがすような衝撃音、それと同時にエネルギー玉の軌道が真上に変わり、そのまま上空に突き進んでいく。

 

 「な、なにっ!!??」

 

 あらぬ方向に飛んでいった自身が作り出したエネルギー玉を驚愕の表情を浮かべなが見つめる。

 ……な、何がおきた!?

 そして視線を下に向けると

 

  「なっ、ベジータ、き、貴様!!」

 

 そこには、まるで何かを蹴りあげたかのように片足を真っすぐに上げた姿勢のベジータがいたのだ。

 

 ま、まさかあれを蹴り上げたとでも言うのか!!??

 

 先ほどの攻撃は、巨大な星をも一瞬で壊滅させるほどの強力なエネルギーが込められていた。それを、ベジータは……。

 信じられないようなことに一瞬目の前が真っ白になってしまうような感覚を覚える。

 だが問題がそこではないことにすぐに気付いてしまう。

 

 ば、馬鹿な……、べ、ベジータの奴、ほとんど無傷……だと。

 

 何度も攻撃を加えてきたはずのベジータの肉体には傷一つ入っていないのだ。

 現状、フリーザはフルパワーの50%の状態で戦っているが、それでもこの世に自分に敵う者などいるはずがない、そういった認識を持っていたのだ。

 いや、実際にこれまでも自らの一族と一部の特殊な存在を除けば、自分に敵う者などいなかった。

 だが、目の前の光景はそんなフリーザにとっての常識を否定している。まさか先ほどのこちらの攻撃もわざと受けていただけとでもいうのか?

 

 ……くっ、こ、こんなはずでは。

 そう思った瞬間だった。

 突如、離れた位置にいたベジータが消えた。

 

 「ど、どこにいったっ!?」

 

 周りをキョロキョロと見渡し、ベジータの姿を捕えようとするが見つからない。

 すると背後から、

 

 「こっちだ馬鹿。」

 「っ!?」

 

 バッと後ろを振り返ると、そこには腕を組んで余裕の表情を浮かべるベジータの姿があった。

 い、いつの間に。まったく見えなかった……。

 

 だんだんとベジータの、超サイヤ人の実力が本物だと理解してきて、冷や汗が吹きだしてくる。

 そしてそんなフリーザに追い打ちをかけるかのように

 

 「くく、はっはっはっ! これが宇宙の帝王フリーザ様の実力か! 拍子抜けもいいところだ!」

 「な、なに……!」

 「遠慮しなくもいいんだぞ? そんな優しい攻撃ではこのベジータ様には傷一つつけられないぞ?」

 「こ、この俺の攻撃が優しい……だと?」

 「生ぬるいと言い換えてやってもいいぞ?」

 「こ、この、調子にのるn、がっ、はっ!!??」

  

 フリーザがしゃべり切る前に、ベジータはフリーザの胴体に向かって強烈な蹴りをお見舞いする。あまりのダメージに身動きがとれないでいるところに再び繰り出された蹴りによって、たまらず吹っ飛ばされてしまう。

 しかしベジータの追撃は止まらない。フリーザを吹っ飛ばす度に先回りし、次々に攻撃を決めていく。あまりの速さにフリーザも対応することができず一方的にダメージを負っていく。

 ベジータはとどめとばかりに、力を込めた気功波を放ち、直撃を受けたフリーザは地に衝突し、小さなクレータ―を形成する。

 

 「ぐ、くぅ……こ、この!!」

 

 ヨロヨロと立ち上がり、ベジータがいる上空をキッと睨みつける。

 ベジータは、まだこちらに敵意があることに満足したのか、ニヤッと笑みを見せると追撃せんとこちらに向かって突き進んでくる。

 フリーザは目を閉じ、一瞬の間に精神を極限までに集中させ、目をカッと見開き、最大出力の金縛りの術をかけにいく。

 

 「む? これは金縛りか?」

 

 術は見事に成功し、ベジータの動きを止めることに成功する。

 術を継続させることに意識を集中させながらも、フリーザは笑みを浮かべ、ベジータに近づいていく。

 

 「ふっふっふっ、油断したねえ。俺の金縛りは強力だろう?」

 「そういえばお前は妙な超能力も使えるんだったな。だが、それがどうした?」

 「なに?」

 「……ふんっ!」

 「……なっ!?」

 

 ベジータが、力を込めるとフリーザがかけた全力の金縛りがいとも簡単に解けてしまう。

 これにはフリーザも驚きを隠せない。こうなってくると本格的にまずい。

 

 まさか今の俺とベジータにここまでの実力差があるとは。

 これはフルパワーで叩き潰す必要があるか、しかしフルパワーになるには時間がかかってしまう……。

 

 「どうした? もう打つ手はなしか? もっと俺を楽しませたらどうだ?」

 「く……、言っておくが俺はまだフルパワーの半分ほどの力しか出していないぞ? フルパワーを出しさえすればお前など敵ではない。」

 「なに? くく、そうか。てっきり全力だと思っていたがな。だとしたら早く全力できたらどうだ?この優しいベジータ様はお前が全力を出すまで待ってやるぞ?」

 

 ここで、ベジータから癪ではあるもののこちらが全力を出すまで待ってくれるとの提案がきた。

 

 前々から、このベジータの相手を馬鹿にし、油断することは欠点だと思っていたが、今は精々利用させてもらうぞ。

 

 「ふふふ、後悔するなよ? はあああ!!!」

 

 フリーザが力を込めると、体内の気がどんどん膨れ上がっていく。

 さらに、気の上昇に合わせて全身が大きく膨れ上がっていき、より攻撃的な体格に変わっていく。

 

 「ふふ、いいぞ。どうやら全力でなかったというのは嘘ではなかったようだな。」

 

 ベジータはそんなフリーザを満足そうに見つめ、静かにフリーザが全力を出し切るまで待っている。

 

 

 

 「待たせたな!! これがお望みのフルパワーだああ!!!」

 

 とうとう、偽りなくフルパワーを出したフリーザ。

 宇宙の帝王を名乗るに相応しい充実した気で満ち溢れるその姿は、通常の者なら近づくことすらできないだろう。

 しかし、そんなフリーザを前に超サイヤ人となったベジータはむしろ少し期待感に満ちた表情を浮かべている。

 

 「いくぞおお!!!」

 

 フリーザはベジータに迫り、おおきく振りかぶった強烈な拳による一撃をベジータの顔面に食らわせる。確かなダメージの感触があった。

 ただのパンチにより、ベジータの背後にあった地形が衝撃波によってめくれ上がる中、その直撃をくらったベジータはというと

 

 「……確かに、かなりのパワーだ。だが、しょせんはこの程度か。」

 

 しかし、ベジータには大したダメージは入っていなかった。

 ベジータは、すぐさまなんでもなかったように、こちらに向き直り、口の中でも切ったのか口から出る血を親指で拭いながら冷たい笑みを浮かべ、こちらを見つめてきた。

 

 フリーザはとうとう理解した。

 

 

 

 こいつには敵わないと

 

 

 

 戦い方を変えれば勝てる、作戦を練れば勝てる、そんな次元の話でないことに気付いてしまう。

 やはり伝説にあったように超サイヤ人には、もっと警戒し、芽を摘んでおくべきだったのだと。

 

 

 

 ……だが、勝敗は別だぞ?

 

 

 

 「……なるほど、どうやら俺はどうやってもお前には勝てないらしいな。」

 「ほう? ようやく気付いたか。中々潔いじゃないか。だが、優しいこのベジータ様は苦しまないようにお前を一瞬で殺してやる。感謝するんだな。」

 「ふざけるなよ……。お前に殺されるくらいなら俺は自らの死を選ぶ。」

 「くくく、そうか。好きにすればいいさ。この俺が見届けてやろう。」

 

 ベジータの馬鹿にしたような言葉に、気にもかけずフリーザは、目の前に意識を集中させ、そこに先ほど放ったエネルギー玉よりもさらに高出力のエネルギーを作り出していく。

 やがてそれは、黒く輝くバスケットボール程度の大きさのエネルギー玉に出来上がった。

 フリーザは自らが作り出したそれをじっと見つめた後、ベジータに視線を移し、口を開いた。

 

 「……最後に聞かせろ。お前はどうやってこの1カ月の間に力を手に入れた?」

 「なんだ? 最後のお願いというやつか? ……まあいいだろう。この世には時間の流れが異なる空間があり、俺はそこで1年間修業したんだ。」

 「……なに? 修行だと? そんなものでこれだけの力を手に入れたというのか??」

 「まあ、お前は修行などしたことがないから分からんだろうがな。さあ、もうこれ以上お前の話に付き合うつもりはない。とっとと死にやがれ!」

 「……ふん、分かったよ。これで終わりだ。」

 

 そう言ってフリーザは観念したかのようにゆっくりと腕を上に振りかぶり、エネルギー玉を上に掲げ、後は自分に振り下ろすだけという態勢になった。

 

 「はっはっはっ!! 馬鹿め!! 死ぬのは貴様だ!! 宇宙空間で生きることのできないお前はここで死ぬんだ!!」

 

 そう勝ち誇ったように叫んだフリーザは、そのまま腕を自分にではなく、地球に振り下ろした。

 

 「死ねえええ!!! ……ん?」

 

 しかし、地球に振り下ろしたはずのエネルギー玉はいつまでたっても現れない。

 

 ……なんだ? なぜだ? 何が起きた??

 

 「……フリーザ、お前の考えることなんてとっくにお見通しなんだよ。」

 

 そう言ったベジータに慌てて視線を戻すと、ベジータの片腕が何やらエネルギーに包まれているのが分かった。その形状はまるで刃のようだ。

 

 ……刃? まさか????

 

 視線をおそるおそるゆっくりとベジータから自分の腕に、いや、腕があるはずの場所に移す。だが、そこには何もなかった。腕は肩付近で、綺麗な切断面ができており、切られていた。

 自身が作り出したエネルギー玉はゆくあてを失い、空中に浮いていた。

 

 「お、俺の腕があああああ!!!???」

 

 事実に気付いた瞬間、激痛が襲い掛かってきた。

 その痛みのあまり叫ぶ中でベジータの凍てつくような声が真っすぐにこちらに聞こえてきた。

 

 「みっともないお前の姿を見れて満足だったぜ。さあこれで終わりだ!」

 

 そう言うと、今度はベジータが片腕を前に突き出し、掌をこちらに向け、力を込めエネルギーを集中させてくる。

 

 「ま、待ってくれ!! お、俺が悪かった!! なんでもするから、ゆるしてくr」

 

 フリーザがそう泣き叫び懇願をするも、それをベジータの無慈悲な叫びがかき消した。

 

 「ビッグバン・アタック!!!」

 

 ベジータの掌から繰り出された強烈な一撃が、長い時間宇宙の帝王の座に君臨していたフリーザを消滅させた。

 

 つづく

 




というわけで、フリーザ編終わっていまいました(はやい)

次話からは、サイヤ人編が終わってから何が起きたのかについて色々明かしていこうと思います。

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