ザザザーンッ!!
全力のかめはめ波の余波によって、さながら嵐のように荒れる海とは対照的に、透き通るような青色の空から差し込む陽の光が僕たちを照らす中
「……っはぁっはぁっ!?」
緊張の糸が切れたように、疲労と脱力感が一気に僕を襲ってくる。
思わずその場に膝をつき、荒い息を繰り返す。
あ、危なかった……
ラディッツ、予想以上に強敵だった。
最後に父さんが助けてくれなかったら僕は負けていただろう。
最初は苦戦もせず勝てるだろうと見込んでいただけに実に情けない。
それにこの戦いでたくさんの課題が見つかりもした。
でも、でもっ……
父さんは生きている!
そう、今回の戦いで誰の犠牲も出さんかったのは事実だ。
しかも今回、僕は何の修行も鍛錬もせずに今回の敵に勝てたのだ。
この先、きちんと鍛錬を積んでいけば、誰の犠牲を出すことなく勝ち進めるのではないかという希望にも繋がった。
「悟飯、大丈夫かっ!?」
僕の様子に父さんがそう心配そうに声をかけ、駆け寄ってくる。
「は、はい……なんとか大丈夫です。」
「そっか、よかった……」
僕が何とかそう己の無事を伝える。父さんも安心したのか、ほっとしている。
しかしだめだな、本当にスタミナがない、しゃべるのもキツイ、まずは体力作りから始めないとな……。
そんなことを疲労で上手く回らない頭でぼんやりと考えていると、父さんがキラキラした表情で僕の方を見ていることに気付いた。
「悟飯、おめえとんでもない力を持っていたんだなっ! こりゃ、オラも負けてられないな!!」
まるで、とんでもない宝物を目の当たりにした子供の様にただただ無邪気にそう言ってくる。
はは……父さんは今も昔も変わらないんだな。
この強くなろうとする、ひたすらに純粋な欲求こそが僕に最も欠けている部分であり、そして父さんの偉大な力の源なのだろう。
昔からそうだ、皆が絶望してしまうような強大な敵の存在を前にしても、ただ一人、そんな強敵と戦えることに喜びを感じていたのだから。
「いやいや、悟空の子供とはいえ、凄すぎないか?? 俺なんてあのサイヤ人との戦いを目で追うこともできなかったぞ? しかもかめはめ波まで打ってたし。」
「確かにのう……、まだ4歳じゃったか? その年でこの場にいる誰よりも強い力を持っているとはにわかには信じがたい。」
クリリンさんと亀仙人さんもやってきて僕のことを信じられないようなものを見る目で見つめてくる。
まあ、確かに僕も悟天が4歳の時にこんな戦いを目の前でしていたら同じ反応をしただろう。ちなみにかめはめ波を打てたのは、父さんの真似を無我夢中でした、で無理やり突き通した。
「というより、クリリンっ! あんた、4歳の子が戦ってるのに何突っ立てたのよ! あんたも一緒に戦ってあげるべきでしょうが!」
さきほどまで腰を抜かして地面にへたり込んでいるように見えたが、復活を果たしたブルマさんがクリリンさんに辛辣な言葉を投げかけていた。
「いやいや、無茶を言わないでくださいよ! 俺が行っても一瞬で死んじゃいますよ。」
「なによ、どうせ死んでもドラゴンボールで蘇らせてあげるじゃない!」
「いや、それは無理だ。一度ドラゴンボールで蘇った人はもう二度と蘇ることはできねえんだ。」
「えっ、そうなの?」
「ああ、本当だ。」
「へ~、なんでも願いを叶えてくれるっていうドラゴンボールでもできないこともあるのね~。」
みんなの平和的(?)なやり取りを聞いていたら、本当にこの戦いが誰も犠牲になることなく終えたのだと実感できてきた。
しかし
油断は禁物だ。
なにより、今回の結果によって重くのしかかってくる問題もある。
父さんと界王様の出会いがなくなってしまったことだ。
本来なら、父さんはこの戦いで死んでしまい、その後、神様の計らいで界王様のもとで修業を行い、界王拳と元気玉を習得したのだ。いずれもこれから先、立ちはだかる強大な敵と渡り合うために重要な技であることは疑いようもない。
勿論、父さんが死ぬべきだったなんて思ってもいないが、父さんが強くなる機会を僕が奪ってしまったのは事実だ。
その穴を埋めるために僕は死に物狂いで強くなる必要がある。
それがいかに大変なことかは、その技によって何度も救われたことがある僕は理解しているつもりだ。
そのためにもこれから先どうやって修行していくかを真剣に考える必要があるな。
「おい、クリリン! サイヤ人だったか?を埋葬してやれぃ。 明日になって浜辺に死体が打ち上げられでもしていたら最悪じゃからの。」
僕が、この先どう強くなっていくかを考えていると亀仙人さんがそんなことをクリリンさんに言っていた。
クリリンさんも「確かにそれは嫌だな…」とラディッツが立っていた辺りを探し始めた、が
「……あれ?? 死体がありませんよ? あのとんでもないかめはめ波で消滅しちゃったんじゃないですか? それか沖に流されちゃったか。」
「なに? まあ、それならいいが…。」
この時は、この二人のやり取りがどういう意味を持っているのかなんて、考えもしなかった。
~遠く離れた宇宙の果て~
「ラディッツめ、死におった。」
スカウターを覗き込みながら、スキンヘッドが特徴的な大男、ナッパは嘲笑気味にそう呟いた。
「ふん、ガキを相手に情けない。」
同じくスカウターをつけた、小柄だが圧倒的存在感を放つ男、ベジータがそれに応えるようにそう言い放つ。
昆虫のような生き物―この星の住人だ―をただシンプルに焼いただけのものを口に運び、がぶりとかぶりつく
……ちっ、まずいな。
「でも、カカロットのガキはあまりにも戦闘力が高くなかったですか? 最後の攻撃の一瞬、戦闘力が2000を超えていましたが……。」
「確かに他の同じ年のサイヤ人に比べても高いようだが、ふん、そんなことはどうでもいい! カカロットとラディッツがいなくなったところで大して問題はない! この星を攻め落としたら、予定通り次の星へ攻めに行くぞ!」
地球にいるカカロットとラディッツのことなど最初から眼中になかったかのようにそう言った時だった。
スカウターからぼそぼそとした、弱々しい声が聞こえてきた。
通信が入ったようだが、これは、
「ラディッツ、だと?」
「ん? おっ、本当ですな、ラディッツからの通信のようですね。」
完全に死んだと思っていた仲間からの通信に多少なりとも驚きを示す二人。
相手からの応答を待っていると、再び通信が入った。
「すみません、失敗しました……カカロットのガキを子供だと思って油断した。」
「ほう、完全に死んだと思ったがどうやって生き延びたんだ?」
ベジータは仲間が生きていたことについても、カカロットを連れてくることに失敗したことについても特に興味はなかったようだが、単純にあの状況でどう生き延びたのかが気になるようだった。
「……あの時、俺たちの戦いによって海がかなり荒れていて、たまたま俺に攻撃があたる直前に大波が俺の体をさらって、ぎりぎり直撃を免れたんです。 といっても、かなりの重症に違いはないですが、こうやって喋っているのも辛いくらいです……。」
「はっはっはっ、運のいい奴め! ならお前はそこで体を回復させろ、回復次第、俺たちに合流するんだ、死にかけるような戦いだったんだ、お前もだいぶ戦闘力が上がったはずだ。これ以上地球なんてどうでもいい星に時間をとられるのも癪だ。」
そう言うベジータは、最初からカカロットという戦力にも大して期待していなかったことが分かる。いたらラッキーくらいの考えだったのだろう。
しかし、次にラディッツが放った言葉はそんなベジータの考えを改めさせるのに十分すぎた。
「それなんですが、地球人のやつらが気になることを言っていたんです。なんでも願いを叶えてくれる‘ドラゴンボール’というものがあると。」
つづく
第3話読んで頂いてありがとうございます!
というわけで、ラディッツは生きていました、という展開です!
次話以降どうなるか温かく見守っていただければ嬉しいです!!
最後に、感想頂いた方お気に入り登録していただいた方ありがとうございます!
皆さん、今後どうなるのかと気にしていただいてる方が多くいてとても書き甲斐があります!
でも、どう見ても自分よりドラゴンボールについて詳しそうだなという人が多くてプレッシャーを感じたりもしています笑
(私も相当読み込んでるつもりなんですがね笑)
では、また次話でお会いしましょう!