孫悟飯が強くなることに意欲的ならば   作:naonakki

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第5話 魔貫光殺砲

 全身の気を指先に集中し、一気に放つ技『魔貫光殺砲』

 本来ラディッツを倒すはずだった技、そして、この世界ではまだ誰も知らないはずの技だ。

 

 ―この技を編み出したピッコロさん以外は―

 

 本来は、当時敵同士だった父さんを倒すためにピッコロさんが編み出したこの技であるが、僕がピッコロさんに修行を見てもらっていた時に気のコントロールの練習も兼ねて教えられたのだ。

 この技は本当に気のコントロールが難しく、この技を使えるようになるまで当時はかなり苦労したものだ。

 しかし習得してから知ったのだが、この技は、ラディッツを押さえるため、仕方がなかったとはいえ、ラディッツもろとも父さんを死へと誘ったものであったのだ。

 そのせいでなんとなく気が引けて、折角習得したものの一度も使用したことがない技でもあった。

 まあ、父さんは死んだおかげで界王様に会えたから良かったと、笑いながらこの話を聞かせてくれたけれど……。

 

 まさかこの技を使う日が来るなんて

 

 しかし、この技を見せることによってピッコロさんに僕が未来から来たと証明できるはずだ。

 現にピッコロさんは、信じられないものを見るような驚愕の表情を浮かべている。

 僕が、魔貫光殺砲を使おうとしていることが分かったのだろう。

 

 だが

 

 ……気が足りないっ、

 

 全身の気を使用するこの大技はかなりの気を消費する。

 体力を消耗している今の僕には厳しい技だ。

 しかしピッコロさんに話を聞いてもらうには、この技を何としても打たなくては!

 

 それにもし、僕が未来から来たと、ピッコロさんに信じてもらうことができれば、一年後に来るベジータさん達に対抗するために力を貸してくれるだろう。

 ベジータさん達を向かい討つためには1年では時間が全然足りないんだ。

 そういう意味でもなんとしても今すぐに、未来から来たと信じてもらわなくちゃいけない。

 

 「……はあああっっ!!!」

 

 全身の隅から隅まで余すことなく気をかき集めるかのように、意識を最大限集中していく。

 集中のあまり、血管が額に浮かび上がり、鼻血も出てきた。

 無限にさえ感じる極限の集中状態を経て、ようやく指先に気を集中させることに成功する。

 この時点で、意識は朦朧としており空に浮き続けることさえ苦難であったが、クワッと真っすぐ視線を上げ、指先を一気に前に突き出し

 

 「魔貫光殺砲っ!!」

 

 叫びにも近い大声と共に指先から眩ゆく輝く光線が一直線に真っすぐに突き進んでいき、蒼く澄み渡る空へと消えていく。

 

 ……やった、威力こそ弱いが確かに魔貫光殺砲だ。

 しかし、ここで元々薄れていた意識がさらに遠のいていく感覚に陥り、そのまま目の前が真っ暗になっていく……。

 

 

 

 ……ん、ここは? 

 ザザーンと、ゆったりとした波の音によって目が覚める。

 目を開くと、そこには相変わらず雲一つない青空が広がっていた。

 どうやら僕は、地面に仰向けに寝転がっているらしい。

 激しい脱力感に襲われながらも何とか上体をゆっくりと起き上がらせる。

 辺りを見渡すと辺り一面は地平線まで見える海に囲まれていた、どうやら亀ハウスがある島と同じくらいの大きさの小さな無人島であることが分かる。 

 

 「……ようやく目が覚めたか。」

 

 後ろから、少し苛立ちが含まれた声がかけられる。

 振り返ると、そこには腕を組み僕を見下ろすピッコロさんがいた。

 魔貫光殺砲を放った後、気絶してそのまま海に落ちたと思ったけどピッコロさんがここまで運んでくれたのだろうか?

 僕が何を言うよりも前にピッコロさんは続けて

 

 「説明しろ、なぜお前があの技を知っていた? あれはお前の父親を倒すために編み出した『俺』の技だ。俺以外にあの技を知っている者はいないはずだ。」

 「僕が未来から来たからです。」

 

 先ほどと同じ言葉を繰り返す、今度はピッコロさんはそれに対して食いついてくることはなく、もう少し具体的に説明しろと促してくる。

 

 僕は語った。

 本来の世界でのラディッツとの死闘のこと、そこから一年後別のさらに強力なサイヤ人が来ること、今のままではとても勝ち目がないこと。

 僕がピッコロさんのもとで修業を行い、強くしてもらったことを。

 そして僕が記憶を持ったままこの時代にやってきたことを。

 ただし、ピッコロさんが僕を庇って死んでしまったことだけは伏せた。

 

 ピッコロさんは、僕がしゃべっている間、口をはさむことなくじっと耳を傾けてくれた。

 そして、僕が話し終えたタイミングで

 

 「……信じられん、というのが素直な感想だが、あの技を技名も込みで見せられたら信じんわけにもいかんな。」

 

 渋々といった感じではあるが未来から来たということは信じてもらえたようだ、良かった……。

 

 「それで? お前はどうするつもりなんだ?」

 「修行をします、一年後の戦いに備えて。」

 

 ピッコロさんの質問に僕は即答でそう返す。

 

 「……そうか、ならこの俺が修行を見てやる。」

 「え!? いいんですか??」

 

 これには、僕の方が驚いてしまう。

 まさか、ピッコロさんのほうからそう申し出てくれるなんて。

 ちなみにだが、ピッコロさんに修行を見てもらうこと自体は大歓迎である。

 というのも、僕はこれまで自分自身だけの力で修業をしたことがほとんどなく、ピッコロさんや父さんが修行を見てくれていた。

 そのせいで、自分一人で効率よく修行を行える自信がなかったのだ。

 別に父さんに修行を見てもらうように頼んでも良かったのだが、元の世界でも僕が4歳の時には、ピッコロさんに修行を見てもらった経緯がある。

 この世界では、僕は誰も犠牲を出さないように行動していくつもりだが、できるだけ元の世界と歴史の流れを変えたくもないという考えもあるため、できればピッコロさんに修行を見てもらいたかったのだ。

 

 「お前が言うことが本当なら地球がピンチなのだろう? だとしたらつまらん内輪の揉め事をするよりも強い戦士を一人でも多く揃える必要があるだろう。お前は気の量はこの地球上で誰よりも多く、場数を踏んでいるのは先ほどの戦いを見ても分かったが、体づくりがまるでできていない。それをこの俺が鍛えてやる。俺が孫悟空を倒すのは全てが終わった後だ。」

 

 最後にニヤリと妖しく笑みを浮かべそう言ってくるピッコロさん。

 正直、ピッコロさんが父さんに戦いを挑む姿なんて想像もできなかったが、ここでは何も触れないようにしておく。

 それにしても先ほどの戦闘で僕に何が足りないかを見抜いているピッコロさんは流石という言うべきだろう。

 やはりピッコロさんに見てもらえるというのはかなり心強い。

 

 「一年後にとんでもない敵が来ることは、孫悟空たちは知っているのか?」

 「いえ、父さんたちはこのことを知らないです……。」

 「なぜ教えていないんだ? それとも今から話すつもりだったのか?」

 「い、いえ……、どう伝えていいのか分からなくて。どうしてそんなことを知っているのかと疑われるだけでしょうし。」

 「……全く、そんなものは適当にそれっぽい嘘で誤魔化しながら伝えればいいだろう。」

 

 まあ、お前は嘘をつくのが苦手そうだがな、と付け加えたピッコロさんは、続けて口を開き

 

 「なら、それは俺が伝えてやろう、特に孫悟空の力は必須だろう。」

 「あ、ありがとうございます!」

 「勘違いしているようだが、俺はお前に協力しているのではなく、地球を訳の分からんサイヤ人とかいう宇宙人の手に渡らないようにするために、行動しているだけということを肝に銘じておけ!」

 「はい! それでもありがとうございます!」

 「……ちっ、どうも調子が狂う、そうと決まれば早く孫悟空たちがいる場所まで戻るぞ。」

 

 バツの悪そうな表情を浮かべたピッコロさんはそそくさと空に飛び立とうとする。

 

 「あぁ、ピッコロさん待って! 僕もう、空を飛べません!」

 「……何だと?」

 

 先ほどの魔貫光殺砲を放ったせいで、僕の中にはほとんど気が残っていない、というよりこうやって喋っているだけでもかなりきつかったりする。

 そんな僕をピッコロさんは、厄介者でも見るように見下ろしたのち、しばらく考えてから、意を決したように、僕の方をキッと睨んできたかと思うと

 

 

 

 「ありがとうございます、後、すみません……。」

 「うるさい、黙れ。」

 

 僕はピッコロさんに片腕で抱きかかえられる形で亀ハウスまで運ばれていた。

 声をかけると、この通り黙れの一点張りでまともに対応してもらえない。

 ……少しくらい喋ってくれてもいいのにね。

 しばらくすると、僕たちは無事に亀ハウスに辿り着いた。

 するとピッコロさんは僕を雑に地面に放り投げてきた、酷い。

 

 

 

 ~少し前~

 

 「お、おい! 悟空! 悟飯を追いかけなくてもいいのかよ!?」

 

 悟飯が、ピッコロの後を勢いよく追いかけた後、亀ハウス内は騒然をしていた。

 原因はいわずもがなだろう。

 

 「まあまあ、クリリン落ち着けよ、悟飯なら多分大丈夫だと思うぞ?」

 

 「な、なんじゃそりゃ、どうしてそんなことが言えるんだよ? 相手はあのピッコロだぞ?」

 「そうなんだけどさ……まあオラのことを信じてくれよ?」

 

 別に適当に言っているわけではなかった、悟飯のピッコロに対するあの態度、とても初めて出会った時のそれではなかった、それに先ほどの悟飯の戦い。

 そして、ここに来る前に悟飯に聞いた強くなりたいという確固たる意志を持った言葉。

 正直今日の悟飯は違和感があった、まるで生まれ変わったような―うまい表現ができないが―そんな違和感だ。

 まだ頭のなかがぼんやりとしており、詳しいことはよく分からないが、悟飯は特別な何かを持っておりそれが今の悟飯の行動に結びついている、そんな気がする。

 だから、しっかりとした根拠はないが、悟飯が一人でピッコロを追いかけた時も不思議と危機感はなかった。

 

 そして、数十分後

 

 「あ、ピッコロの気が近づいてきた、悟飯も一緒だ! でもかなり気が小さいぞ!」

 「ちょっと、早く外に行くわよっ!」

 

 慌てたように外へ飛び出す皆の後に自分も後に続く。

 ゆっくりとした歩調で外へと踏み出した。

 

 

 

 「お前たちに一つ言い忘れていたことがあったから、戻ってきてやった。先ほどのサイヤ人だが、実はお前たちのところに来るよりも先に俺のところに来ていたんだ。どうも顔についていた機械で強い気を持った奴の居場所を探れるらしい。やつは、孫悟空のことを探していたようだから、似たような気の量を持つ俺のところに来たんだろう。」

 

 ピッコロさんはここでいったん、言葉を途切らし、真剣な表情を浮かべ、続けた

 

 「そこで、奴が話していたんだ―」

 

 ピッコロさんは僕がピッコロさんに語ったすべてを代わりに皆に語ってくれた。

 

 一年後により力を持った強敵がやってくること。

 

 このままでは地球が滅びる可能性があることを。

 

 つづく

 




第5話読んで頂いてありがとうございます!

ちょっと物語の進行スピードがゆっくりですね……個人的にはとっとと、修行をしてベジータ戦にいってほしいんですがね笑
色々順序を追って物語を書くと、進行がゆっくりになるものですね…

引き続きどんどん更新していきますので、次話でもお会いできるのを楽しみにしております!
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