孫悟飯が強くなることに意欲的ならば   作:naonakki

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※後、前話で重力室のことを重力コントロール室と言っていますが、訂正しました。




第7話 修行

 「これが、重力室……。」

 

 ゴクリと唾を飲み込み、改めてそれを見上げる。

 父さんやベジータさんが元の世界ではこれで修業を行い、飛躍的に強くなった。

 特に印象的なのは、重力室で修行を行った父さんが当時僕たちを苦しめたギニュー特戦隊をまるで赤子の手をひねるように圧倒していたことだろう。

 今回その記憶をヒントに自分も重力室での修行を行うことを思いついたのだ。

 とはいっても、僕自身は重力室で修業を行ったことはないし、具体的にどれほどの効果が見込めるのかは分からない。

 しかし、通常の修行よりも大きい成果が得られることは間違いないだろう。

 ピッコロさんもこの修行方法には賛成してくれており、良い修行方法だとお墨付きをもらっている。

 なんでも、肉体に負荷をかけての修行はとても効果的だとか、そういえばピッコロさんはいつも重い服を着ていたことを思い出す。

 

 その後、ブルマさんから重力室の使い方についての説明を一通り聞いてから早速修行を行うことにした。

 

 「じゃあピッコロさん、最初は10倍の重力に設定しますね?」

 「ああ、頼む。」

 

 一応、100倍の重力まで設定することができるらしいが、いきなりそんな重力で修業を行っても、まともにできないだろうから、ひとまずは10倍の重力で修業を行おうという考えだ。ピッコロさんにもそれでいいか確認するが特に反論はないようだ。

そのまま10倍の重力に設定を行い、起動させる。

 

 直後

 

 ズンッ!!

 

 10倍の重力が一気に自分の体に襲い掛かってくる。

 

 ……お、重いっ!?

 

 動けないことはない、が、ほとんどまともに動くことができない。

 横に視線を向けると、ピッコロさんもかなり苦しそうだ。

 な、なるほど、確かにこれは良いトレーニングかもしれない……。

 全身がギシギシと軋むような感覚を覚え、そう考える。

 ここでどれくらい自分を追い込めるかがカギなんだ。

 

 ……ひとまずは歩くことから始めよう。

 

ザッ……ザッ……

 

 ゆっくりとだが確実に歩を進めていく、歩くことがこんなにもキツイなんて……。

 一方のピッコロさんはというと苦しそうに歯を食いしばりながら、ギギギと壊れかけのようなロボットのような動きで歩を進めていた。

 いつも感情を表に出さずクールなピッコロさんがそんな風な表情を浮かべているのが、どうにもおかしくて、つい、ははっ、と笑ってしまった。

 その瞬間

 

 ビターンッ!!

 

 と、力が抜け、バランスを崩して、思い切り顔面から床に激突してしまう、転ぶスピードも通常の10倍なのだから当然痛い。

 しかもそんな僕に追い打ちをかけるように

 

 「……おい悟飯、今俺の動きを見て笑ったか?」

 「い、いえ! そ、そんなことは……。」

 「……ちっ。」

 

 必死に否定したのが逆にダメだったようで、機嫌を悪くしたピッコロさんはその日は会話に応じてくれなかった。

 やはりこの頃のピッコロさんは少し気難しいようだ。

 でも修行については、変わらず的確なメニューとアドバイスをくれるのだからピッコロさんはやはり良い人なのだ、父さんたちも早く仲良くなればいいのに……。

 

 

 

 その後もピッコロさんと共に修行を行っていき数カ月が経った頃

 

 僕は、10倍の重力のもと、ひたすら戦闘のシミュレーションを繰り返していた。

 というのも少し前には10倍の重力には既に適応できていたが、ピッコロさんがまだ苦戦しているようだったので、この子供の体に慣れるために訓練していた、ということだ。  

 その甲斐あってか随分この体にも馴染んできた。

 リーチという差だけは今でも埋めようがないが、これで以前のラディッツ戦のように攻撃を空振ってしまうということはないだろう。

 一方のピッコロさんも10倍の重力に慣れてきたようなので、そろそろ20倍の重力に上げてもいいのかもしれない。

 

 そう思っていたのだが……

 

 「一緒に修行をするのはここまでだ。」

 

 修行に備えて準備体操をしている僕に突然そんなことを言ってくるピッコロさん。

その顔は極めて真剣であり、冗談でないことを示している。

 なんの前置きもなく放たれた言葉の意味を即座に理解することが出来ず、僕は一種の放心状態に陥ってしまう。

 しかし、ピッコロさんはそんな僕のことはお構いなしでどんどん話を進めていく。

 

 「お前の体もこの数カ月の修行でかなり鍛えられた。これ以上俺が教えることはない。」

 

 ―だからもう俺が悟飯と一緒に修行をする意味もない―

 

 そう言ったピッコロさんは僕から顔を背け、少し間をあけてから再びゆっくりと口を開き、

 

 「後は自分のペースで修業を行うんだ。……次会うのは、サイヤ人が来た時だ」

 

 一方的にそう言い放つと、僕の返事を待たずして飛び立ってしまう。

 

 ―待って―

 

 ようやく意識を取り戻した僕は何とか声を絞り出すがピッコロさんはそのまま飛んで行ってしまう。

 以前と違い、今の僕なら簡単に追いつくだろうスピードだ、しかしできなかった。

 ……なぜか追いかけてはいけない気がした。

 

 結局僕は、小さくなっていくピッコロさんの後ろを見えなくなるまで見つめることしかできなかった。

 

 

 

 『全速力』で飛ぶなか、チラリと後ろを振り返る。

 悟飯が悲しい表情を浮かべこちらを見つめている光景が目に飛び込んでくる。

 胸の中でモヤモヤとした感情が波打つが、すぐに前に向き直りその感情を押し殺す。

 

 「……ちっ」

 

 何かにイラつくように小さく舌打ちすると、そのまま飛び続けるのだった。

 

 

 

 ピッコロさんが西の都から去ってから僕は、吹っ切れたようにこれまで以上の集中力をもって修行に打ち込んでいた。

 

 僕は当初の予定通り、すぐに20倍の重力での修行に取り掛かった。

 10倍の時とは比べようのない負荷が全身を襲ったが、10倍の時と同じようにトレーニングを行い、体に鞭打ち、鍛えていった。

すると10倍の重力に慣れるよりも早い時間で20倍の重力に適応することができた。

 

 その後も、重力の倍数を上げるごとに、より早い時間でその重力に適応していく。

 

 30倍……50倍……80倍……

 

 そしてとうとう僕は

 

 100倍の重力に適応していた。

 

 ちょうどベジータさん達がやってくるまで僅か1週間ほどを残してのことだった。

 

 手ごたえは十分だ。

 正直ここまで力を付けられるとは思っていなかった。

 仮にベジータさんが大猿化したとしても間違いなく勝てるだけの力を手に入れたつもりだ。

 さらにベジータさんがやってくる3日前には、僕が忠告しておいた甲斐もあり、父さんも無事界王星から帰ってきた。

 父さんの気の量は僕の記憶にあるベジータさんと戦った時とほぼ同じであったように感じる。

 父さんから聞いた話だと、修行はバッチリだったが、界王星に向かう途中で食料が尽きてしまい、空腹により、ほぼ死にかけの状態で界王星にたどり着いたという事件があったらしい。

 ……よかった、死ななくて。

 これで父さんが死んでしまったら元も子もなかった。

 

 ちなみに父さんは僕があまりにも強くなったことにかなり驚いているようだった。

 どうやって修行をしたのかについて話すと、オラもその重力室で修業をやってみたいと次の日早速西の都に行こうとしていたが、必死で止めた。

 

 そんなちょっとした予想外のことはあったものの、正直何もかもが上手くいきすぎだと思っていた。

 やれることはすべてした、後は誰の犠牲も出さないようにベジータさん達を迎え撃つだけだ。

 

 

 

 ベジータさん達がやってくる前日、どうしても気持ちが落ち着かなかったので家の外に出て夜風に当たっていた。

 

 明日は元の世界では、ヤムチャさん、餃子さん、天津飯さん、そしてピッコロさんが死んでしまった日になる。

 落ち着かないのは、当然なのかもしれない。

 

 「……ん?」

 

 夜であるのに辺りがやたらと明るいことに違和感を覚え、空を見上げる。

 そこには、ほぼ真円を描く月が夜空を明るく照らしていた。

 

 ……明日は満月、か。

 

 心の中でそう呟き、僕はしばらく月を見上げていた。

 

 つづく 

 




第7話読んで頂いてありがとうございます!

というわけで、次回いよいよベジータ達との戦いが始まります!!
今から書くのが非常に楽しみです!

ちなみ今回の作品を書くにあたってドラゴンボールの原作を読み返してるんですが、やはり面白いですね……。

また、感想・ご意見・ご指摘あればどんどんくれれば嬉しいです!

では、また次話でお会いしましょう!
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