持っていくものだけをバッグに詰めて使うツールはすぐに取り出せるようにしまっておく。必要なくなったものを
腰に巻いたベルトに下がっているラジオからは今日も生存者に向けて激励と集合のメッセージが聞こえてくる。
仮拠点として居座っていたコンビニを出る。旅立つ日にはとても似合わない、今にでも雨が降り出しそうな雲が空を覆っていた。
高速道路を歩いていけば比較的早くラジオから聞こえる集合場所に着ける。どうやらその集合場所には生存者を集めて小さなコミュニティを結成しているようだ。何度も何度も同じメッセージをくり返し言ってくるラジオの電源を切り歩くことに集中する。
しばらく歩くと自動車の窓から緑色の物陰が見え、すぐに身を隠す。唸り声が聞こえて厄介な存在が目の前にいることを痛感する。
いつでも取り出せるようにしていた現代には似つかわしくない鉄の剣を取り出す。隠れていた車から身を乗り出し厄介な存在が2体存在することを確認し1番近くにいた方を4回ほど切りつける。
ゲームのような考え方をすればノックバックしたそれは倒れて白い煙を上げながら消滅した。自身に気付いたもう一方の方も後ろに回り切りつける。動きが俊敏でないため2体ともすぐに消滅した。
唐突に何故こんなことになっているのか、不意に頭にそんな疑問が湧き上がり、それに答え合わせするかのように今までの事を思い出す。ある日突然奪われた平穏から今に至るまでの全てを。
その日は変わったことなど何も無い平穏な日々の中にある一日になる筈だった。毎朝7時50分に着くように学校へ登校し道中、ガードレールが敷かれた歩道を知り合いや友達と話しながら登校する。
最近見たアニメの話やゲームのこと、自分の趣味を語り合える良き友達と校門をくぐって教師たちの挨拶をかわし、そんな何でもない日々が始まる筈だった。
目の前にいきなり大きな筒状の雲が現れ、そこから大量の化け物たちが現れるまでは。
前にも後ろにもいる緑色の皮膚をした鈍足なゾンビ達は未知との遭遇により足が動かない学校の生徒達を襲い始めた。歩道で上がる悲鳴、立ち上る煙。日常な一気に非日常へと切り替わった。
ゾンビを避けようとした車がハンドルを切りガードレールに衝突し煙をあげる。経験したことの無い恐怖に襲われ誰しも全く足が動かない。しかしそんな登校中の生徒の中から逃げるように周りに声をかけるものが現れる。
その声に気付いた者達は一斉にその場から離れ始める。ゾンビに襲われている生徒を救い出す勇敢な者も見かける。自分にはそんな事は恐ろしくてできない、そんな情けなさを感じつつも恐怖が先行して逃げ出す。
ゾンビを見かけた場所からある程度離れ、建物の裏で倒れるように座る。走った疲れで回らない頭で一体何が起こっているのかを必死に考える。
恐怖で震える手足を必死に抑えながら思考し、ニュースになっていないかとスマホを取り出す。ニュースサイトを開き速報として今起こっている状況をニュースキャスターが話す。
『「えぇ現在!謎の筒状の雲から現れたゾンビによって!現場は大混乱となっています!」』
『「ああ!あそこです!!」』
ニュースキャスターが指さす方向には先程見かけた緑色の皮膚をしたゾンビ。よく見てみると自身が思い浮かべるあるゲームのMOBによく似ていた。
そんな事はありえないとその思考を振り払うもスマホの画面に映るそのゾンビの見た目は、先程浮かんだものとどんどん重なっていく。
一人呟くように浮かんできたゲームの名を口にする。
「マインクラフトとゾンビじゃねぇか……。」
突然上がった悲鳴に思わずスマホを落とす。かなりの近さで何かが起き、様子を見るために建物から少しだけ頭を出してみる。
そこには先程のゾンビの他に明らかに最初にはいなかった別のゾンビが混じっていた。先程のゾンビは全員、水色のシャツに青いズボンだったがスーツを着た者や自分とは違う高校の制服を着た者もいる。
「なんだよこれ……こんなのどうすりゃいいんだよ……。」
建物の裏で絶望して顔を俯かせる。不意に見えた建物の裏で生えていた木が目に映る。とある発想が頭をよぎり、そんな訳が無いと一蹴するも藁にもすがる思いでその木を叩いてみる。
強く力を入れたわけでもないのにその木の状態からは想像できないようなヒビが少しだけ入った。
「!?」
驚きで1回しか叩いておらずそのヒビはすぐになくなってしまう。しかし自分の中に浮かんだある発想が馬鹿げたものから希望に変わる。
すぐに木をなんども叩いてみる。力の入れ具合からは想像もできないスピードでヒビはどんどん広がっていきヒビの中から何かが出てくる。
あまりに見慣れたその光景によってもはや疑いの余地はなく確信した。
「今この世界はマイクラみたいになってるのか!」
それからの彼の行動は早かった。何度もプレイしたことのあるゲームであるため、その行動はもはやパターン化したような物だった。
頭の中で今自分が集めたヒビの中から出てきた原木の名付けられたアイテムを自分の中でどうしたいか考える。すると考えた通りのように原木は木材へと変わった。
ゲームの中で何度も繰り返してきた作業と同じである。それを頭に思い浮かべるだけでその通りになる。木材をすぐに作業台へ変えてクラフトできる物を広げる。
剣、ピッケル、斧、スコップ。今できる最大限のツールを作成した。建物の裏から出て、周囲を見回すと車から火が出ていたり色々なものが落ちている。
発達した現代では洞窟なんてものはそう簡単に見つからない。しかしコンクリートでできた地面の更に下はどうかと考え掘り進めていく。
地理の授業で粘土や砂が交互に積み重なりあっていると聞いたことがある気がしたがコンクリートの下は石だった。何十個か拝借したあとコンクリートを埋めて自分のツールのグレードを上げる。
そうして数時間が経ち自分の親と中学生である弟と妹が心配になる。スマホを見るとニュースサイトには政府が自衛隊を派遣し民間人を安全な場所まで避難させているらしい。小・中学校は学校全体での避難が完了しているようである。
とりあえず弟妹への不安は消え、両親も2人を心配して避難しているはずである。自分も自衛隊に救助してもらおうと考え避難所となっている公園へ向かった。
この設定丸々パクってめちゃくちゃ面白い小説書いてくれる人が現れるといいな。