公園へ向かう道中、大量のゾンビ達がいることにより大きく迂回しなければならなかったため、かなり時間がかかってしまった。
日が落ちてあたりはかなり暗くなってしまった。息を切らしながらも走りようやく公園が見えてきた。よく分からないが自衛隊のヘリへたくさんの人が乗り込む。どうやらアレで全員のようだ。自分も乗せてもらおうと声をかける。
しかし後ろから聞こえてきた軽い物がぶつかり合うような音がなった気がして振り返ってしまった。そこに居たのは一言で言ってしまえば骸骨だった。どうやって骨同士がくっついているのか分からないその骸骨は弓矢を持っていて既に矢を番えていた。
風を切る音と共に自身の右肩に突き刺さる矢。瞬間に頭に送られてくる肩の激痛はマトモな思考を乱し、倒れて刺さってる肩を抑えるしかない。
「(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い)」
そんな考えしか浮かばずヘリの扉が自衛隊の隊員を乗せて閉じようとしていることに気付かない。
「ああぁぁッ!!」
痛みに少しだけ慣れて余裕がほんの少しだけ出る。骸骨はまた矢を番えている。間違えなくその組み合わせはマイクラのスケルトンである。地面に転がっている自分をもう一度射抜こうとするスケルトン。横にころがって矢を回避し、距離をとる。
ヘリの方を見ると扉が閉まっており焦ってヘリの方へ向かう。プロペラが回りだし強風を押されながらも乗組員に気付いてもらうために大声を出して近づく。
操縦士がこちらに気付き乗せてもらえると思いながらもヘリは離陸を始めた。そのことに困惑しながらもヘリに近づいていく。しかし離陸したヘリはどんどん地上との距離を離していく。
方向を変えて自身とどんどん離れていくヘリをただ眺めていることしかできなかった。照らされていた明かりもなく何も見えない暗闇の中、ただ立ちつくすしかない。
その間に昼に見かけたよりも倍以上のゾンビ、新しく増えたスケルトン、現実では考えられないほど大きいクモ、その数は数えるのも億劫になるほど、それらがこちらに迫ってきていた。
モンスターとも言うべき存在が大量に迫っているのにも関わらず、見捨てられたという絶望からただ立ちつくすしかなかった。分かっているのに動けない。
そんな中、スケルトンが自身の背中を射抜く。痛みで気付き逃げようと試みる。必死に痛みに耐えながらモンスターがいる公園を駆け抜ける。夜になれば大量のモンスターが現れることを忘れていたが明かりがある場所にモンスターが湧かないことを思い出し明かりが灯る場所を目指す。
しかし巨大な公園は最低限の光しか灯らない外灯くらいしか無く、どこを見てもモンスターしか湧いていない。そんな中右後ろから急降下してきた何かが自身に噛み付いてきた。
夜の空に飛んで攻撃してくるMOBはマイクラ内で思いつくのはファントムだけである。見上げると月明かりに照らされて空中を旋回しているファントムが見えていた。
先程射抜かれた肩、背中、噛み付かれた腕からの出血は止まらない。意識が朦朧としだし、歩いている程度のスピードでしか動けない。後ろから何体ものスケルトンが矢を放ってくる。何本も飛んでくる矢をその身に受けて倒れてしまう。
口から鉄の味がして、むせ返るような同じ鉄の匂いがしてくる。仰向けに倒れ血の水たまりができる。
救いはなく、希望もなく、故にこんな考えが頭の中をよぎる。
「も、もう……いい……死のう……。」
ただそんな考えしか浮かんでこない。親のこと、弟と妹のこと、友人のこと、そのどれもが他人事のように思えてくる。
空から一体のファントムが急降下してくる。確実に頭を食いちぎられる位置、防御も回避もなく自分の意識はプツリと切れた。
目を覚ます。あれほど自分を苛んでいた。肩や背中、腕の痛みは全くない。不審がっていると急に吐き気がしてきた。あまりに強いその酔いで思わず吐いてしまう。
見覚えのあるこの場所は自分が初めてマイクラのような世界になっていると気付いた場所、建物の裏である。
そしてフラッシュバックするスケルトンとファントムによる殺害の記憶。それによってまた吐いてしまう。
現在はどうやら日が昇り始めた朝のようで雲もない晴れ。忘れていたようで近くに置いてあった自分の学生カバンを持って殺害された場所へ向かう。
あの時感じた絶望感、痛みは鮮明に思い出すことができ、体の震えが止まらない。しかしマイクラの同様に考えるのならばあの時死亡した場所には自分が持っていたツールやアイテムがあるはずでありそれを確認する。
公園へ向かう道中、太陽の光で燃えているゾンビ、スケルトン、ファントムが見える。燃えている間は自分に構う余裕など無いのか攻撃してこない。しかし頭に兜や帽子をかぶっているMOBは燃えていなかった。
燃えていないMOBを慎重に避けていき、なんとか公園へたどり着くことができた。
少し遠くには血の水たまりが微かに見えた。たどり着くとアイテムは散乱しており回収する。近くにMOBが燃えて落としたのか矢や腐肉が転がっていた。弓矢に使うために矢だけを回収し、血の水たまりから鉄の匂いでまた吐き気がしてきたのですぐにその場を立ち去る。
公園近くのコンビニへ向かい小腹を満たそうと立ち寄る。当然人はおらず商品は棚から落ちたり、棚自体が倒れていたりした。タダで物を持っていくのは気が引けたため、学生カバンに入っていた財布から持っていく分の料金をレジに置いた。
レジの近くにあるお湯をカップ麺に入れる。待っている間にスマホでニュースサイトを確認する。一夜明けたことである程度の情報が整理されているのかニュースキャスターは丁寧に状況を説明していた。
日本では自衛隊が民間人の救助を行い、学校や公園に避難していた人は全員保護できたようである。また、まだ救助されていない民間人はできる限り救助するようである。
そのために公園や学校など、救助ヘリが離着陸できる箇所に移動して欲しいなど、報道していた。
自分はどうするかを考え、まだこの街に取り残された人達を見つけ学校へ避難しようと思いつき、お湯を入れて3分たったカップ麺を胃に流し込むように食べて即座に行動を開始した。
まずはそこらじゅうに湧いている頭を装備で隠し燃えていないMOBを処理することから始めた。