「ようこそ生存者さん!」
若い男性に案内された先にいたのは自分より年下と思われる少女だった。男性の方から少女について紹介された。
「彼女はここの統括をしている『マユさん』です。」
「マユです、よろしく!」
手を出してくる、どうやら握手をして欲しいようだ。相手が気にしないならと自分もそれに応える。ついでに自己紹介もしておく。
「『舞倉 或斗(まいくら あると)』です……。」
互いに自己紹介したあと、マユは若い男性に自分の案内を支持していた。
「では、こちらへ。」
再び歩き出し、マユに会釈してから男性についていく。
「あの、お名前を聞いてもいいですか?」
「ああ、申し遅れました、私はシンヤと言います。よろしくお願いしますね。」
その後、ショッピングモールの中で使っている設備や自分の寝床の代わりである車を教えて貰いながらどうやって生き残ったのか、話を聞いた。
「ははは、情けないことですが私は逃げるので精一杯で、マユさんに助けてもらったんです。」
「救助を求めなかったんですか?」
「気づいた時にはもうヘリは来ないようでしたので。」
「この世界がマイクラみたいになっているのは気づいてますか?」
「ここいる全員が知ってはいます、私やマユさんで能力を駆使して生活をまかない、MOBを撃退しています。」
「ここにいる私とマユさんを含めた計13名はあなたを歓迎しますよ。」
ショッピングモールに立てこもる生存者14人目となった自分はあらかた設備の説明をしてもらった後、シンヤと別れた。そしてここに来るまで費やした数日間の疲れを癒すため、分けてもらった寝床の代わりである車のなかで眠ることにした。
車を寝床の代わりにすることでドアを閉めればMOBに襲われず安全に夜を過ごすことができるという画期的な考えのおかげで久しぶりに安眠することができた。
車のドアをノックされ、窓から覗くとシンヤが手招きしていた。ドアを開けて要件を聞く。
「なんですか?」
「1階にMOBが現れています、手伝って頂けますか?」
「……分かりました。」
シンヤに連れられ1階に移動する。シンヤの他にもあと3人程バールやスコップを構えた男達が付いてきていた。小声でシンヤに話しかける。
「(なんであの3人は剣じゃないんですか?)」
「(あの3人は私達のように剣をクラフトできないんです。)」
シンヤの話を聞く限りではこの世界をマイクラのようなものと認識できていない者はクラフトもブロックとしてアイテムを回収することも出来ないようである。
「(なのでMOBを有利に対処できるのは私と貴方とマユさんだけです。)」
「(なるほど……)」
2階の下りエスカレーター前まで降りてくると1階の店の中にいたり、頭に装備をしているMOBが15体ほどうろついていた。電気などはついていないため、少し暗い。天井がガラス張りになっているため、何体か燃えているが店の中に入ることでそれも消えていった。
「次にここへ助けを求めてくる人のために、ここのMOBを駆除します!」
「「「はい!」」」
エスカレーターにある机や椅子を丁寧にどかして1人ずつ1階まで降りていく。自分たちを認識したMOB達が一斉に襲いかかってくる。
自分は落ち着いた環境によって鉄と木材でクラフトすることができた盾を駆使してスケルトンの矢を弾いていく。
「俺がスケルトンを主に相手します!他の方はゾンビを!」
そう言ってスケルトンへ肉薄していく。矢を弾いたあと、次の矢を番えている間に鉄の剣で5発ほどスケルトンを切りつける。倒れて煙のように消えたあと、すぐにシンヤ達に矢を番えているスケルトンへ向かっていく。
できるだけ矢を放たせないようにスケルトンを中心に攻撃していく。シンヤや他の3人組もゾンビを確実に処理している。
順調に対処が進んでいたが3人組のうち1人が緑色の影を見つけて近づいていく。距離の開いたスケルトンに盾を構えながら進んでいたので気づくことができなかった。
シンヤもゾンビを攻撃しており気づくことができなかった。
直後、
「ぐぁぁああ!!」
叫び声を上げながら空中に放り出される男性、そして爆発音で気づく。むしろ今まで盲点だった。爆発音がした方を見るとそこにもう一体、緑色の、しかしゾンビよりも危険度が高い敵MOBである『クリーパー』がこちらに向かっていた。
「「今すぐそこから離れて!」」
自分とシンヤの声が重なる。2人の男性はそこから離れられたが爆発によって負傷してしまった男性は動けなかった。
「不味い!」
意識を向けていたスケルトンをクリーパーに変える。矢がこちらに向かってくるがそれよりも対処すべきMOBがいる。負傷してしまった男性と向かってくるクリーパーの間に入り盾を構える。
緑色の四足歩行する謎のMOB、クリーパーは白い光を放ちながら体を膨張させていく。膨張した体は臨界点に達し、爆発した。
盾越しに伝わる衝撃、思わずぶっ飛ばされそうになるのを必死にこらえて負傷している男性を守る。
「だい、じょうぶ……ですか……?」
「いてぇ………いてぇよ……。」
痛みでしばらくは動けそうになかった。男性を残り2人に任せて自分はシンヤと残りのゾンビとスケルトンを処理する。
「すみません……!失念していました……!」
「それは自分も同じです……完全に存在を忘れていた!しかもかなり厄介なのを!」
スケルトンの矢を盾で弾き、その隙にシンヤがスケルトンを切りつけていく。2人の連携で少なくなっていたMOBの数が残り3体ほどになる。
「残りはゾンビだけですが、気を抜かないようにしましょう……!」
「はい!」
シンヤの言葉に返事をし、2人でゾンビを切り倒した。なんとか状況を切り抜けられたが盾が壊れてしまった。
「怪我人が出てしまいましたね……。」
「ええ……。」
クリーパーの爆発に巻き込まれた男性を背負いながらエスカレーターを登る。
「今回の件は、私の方からマユさんに伝えます。舞倉さんは今日のところは休んでください。」
「はい……。」
怪我した男性はもう付いてきていた二人の男性に担がれていった。自身もクリーパーの爆破を盾越しとはいえ受けたのでかなり疲労が溜まっていた。個室代わりの車の中で重くなった瞼を閉じた。
主人公の名前、初登場なんですが露骨過ぎましたかね……?