サイコロの1は幸運か? 作:白熊隊員
「大佐…この世界は…いつこんな悪夢が終わるんですかね?」
俺は、そんな部下の一言に答えられなかった。
俺は科学技術が発展した大国の軍隊に所属し、特殊任務遂行部隊の隊長として戦っていた。
神の特典である〈ハンターハンターの念能力〉が運良く適応してくれたおかげでどうにか戦えたと思っている…
この世界に生まれた時には両親は死亡しており、小学生の年齢で強制的に軍隊に徴兵され非人道的な過酷な訓練をしていた。
しかも、娯楽は少なく、どこぞの刑務所みたいなネズミを使ったレース賭博と、捕虜を使った殺人試合などのバイオレンスなものしかなかった。
俺も人殺しは嫌で初めは泣きその後罪悪感と恐怖で嘔吐していたが、昔読んでいた漫画で「どんな人間であれ殺せば恐怖となるが、それが日常的になれば狂気と言う瘡蓋で何とも思わなくなる」というセリフがあったがその通りになった。
こんな荒んだ環境でどうにか生きてこられたのは、念能力の基本である四大行を鍛える修行を休憩時間や自由時間を使って訓練した事で、戦闘の時に身体能力を上げ戦うことが可能になったおかげで生き残れた。
そんな戦闘力を認められ最前線送りを十代後半までされていたが、この地獄が俺をさらに強くしたのは皮肉しかないと思った。
俺は念能力の個別能力の系統…つまり、強化系・放出系・変化系・操作系・具現化系・特質系のどの系統かを調べる為の見分け方法であるコップに水を汲み葉っぱを浮かべてそのコップを包み込むようにオーラを使う練うする水見式で調べた時に、コップから水が溢れた事で強化系だと思っていたが、本当は違った…
それが分かったのは部下の一言だった。
「大佐…この水凄く美味いです。配給されてる水が飲みたくないぐらいですよ」
実は俺の所属する国は最悪と言ってもいい程の土壌汚染や水質汚濁が進み、食事は錠剤で水は浄化装置を使ってはいるが一般市民に配給される事が無い程の高級なものに分類されている。
その為、俺は水見式で増やした水を部下や市民に無償で配っていたが、その言葉を聞いた後に水の味を確認した時に、転生前によく飲んでいたスポーツドリンクの味に似ていた事と、元々水が浄化されていても濁っていたので気が付かなかったが白濁が濃くなっていた事と、浮かべていた葉っぱ変化はないと思っていたのに自分が動かしたいと思う方向に動く事…そして。ごく稀に配った水の中に鉄の破片が混じっていたと報告もあった…
これが意味するのは、俺はすべての念能力の系統を使用出来る念能力者という事実…
マジか?と俺は思いながらも試行錯誤して〈発〉つまり必殺技を作っていったが…ぶっちゃけ言えば
俺が発動できる〈発〉は本当の意味で独特だ。
制約と誓約を厳しくしたおかげでトンデモ性能になっていたのは自分も頭が痛くなったほどだ。
俺はすべての念能力の系統を使用出来る念能力を、如何すれば有効に使えるかを考えた時にハンターハンターのキャラのクロロ…つまり幻影旅団の団長の念能力を思い出し採用しようとしたが…この世界念能力使える奴いねえじゃん!!
という事で、本を題材とした念能力にした結果はトンでもない物になってしまった
分かりやすく言えば、俺の知っている限りの少年ジャンプに出て来る主人公の特殊能力をそのまま自分に使えるようにする念能力だ。
でも、制約と誓約を厳しくしたせいで扱いずらい物になった…
その制約は…
少年ジャンプで連載された主人公に限定する
その主人公と同じ訓練をしなければならない
剣や刀などを使うキャラは愛用している武器と同じ設定で無ければ発現しない
念の使用時にそのキャラクターが禁忌としている行為をした場合二度と使用できない
自分の知らない作品主人公の能力は自分の知っている範囲で発動する。但し第三者に教えられた知識で、自分自身で真実と確認されたら上書きされ強化される。
強化系・放出系・変化系・操作系・具現化系・特質系で同じ部類に属するものは同時使用可能だが、属しない能力を使った時は使用後の24時間をペナルティーとして一切の念能力が使用できなくなる。
自分で言うのは難だけど結構厳しくし過ぎたね…
そのおかげで剣や刀を使ったキャラは発動しませんでした。
理由は、俺のいる世界は銃器を使った戦闘が主で剣や刀を使用する兵士が少ない事や、自己鍛錬してもやはり最低限の武術の師匠が必要で個人的には悟空やキン肉マンの能力が欲しかったが、この二人には師匠がいるので俺が今現在使用できないのはそれが理由だろう…
今使える主人公キャラはこれだけ…
…いやね、本当に好きだった作品だったから嬉しかったけど、自分がこんな地獄を体験していてよく捻くれずにこの性格を保てたと思ったね…
俺が軍にされた事のダイジェストを簡単に説明すると…
幼少期に薬物のモルモットにされ一時期殺戮人形にされた後に、運良く治療が間に合って正気に戻る事が出来た事。
銃や爆薬などの訓練を毎日欠かさずやっていた事…
少年兵だった頃に多くの女性と肉体関係を強制的に持った事でそっちの方で有名になった事…
振り返って見ると本当に辛い人生だと思うわ…あの神に出会う事があったら絶対で文句言ってやる!!
それと軍隊にいて、任務で麻薬製造と販売を違法にしていた組織を壊滅させる事をしたせいか、マニアックな作品も発動した…
…殆どに似たような能力だけど、格闘戦の強化とトラップ感知能力の向上とサバイバル知識が格段に上がったのは運が良かったし
そんな戦場に出れば多くの戦果を上げる俺の部隊は大きく認められ、俺も大佐になった頃は優秀な部下を含めて最高の待遇をされていた。
他国からは最重要暗殺対象とされていた事は言うまでもないが、軍で最も発言力のある幹部として俺の名前があったのは意外だったのは憶えている。
何故、他の国からそう呼ばれている事を知ったかは、俺は部下とその家族と信用出来る者を含めた民間人を連れ、その国に亡命したからだ。
亡命した理由は…もうあの国には愛想が尽きたからだ…
俺の部下の1人が、ある部隊に故郷の親友が配属されていた事を知り、挨拶に行ったが何度も同じような理由で部隊長が面会を許してくれなかったらしく、俺の名前を出しても頑なに面会は拒否されていた事を知った。
実は俺は軍に多くの場所や機密事項を知る権利を持っており、知人の面会であれば俺の部下という特権であっさり許可は出るはずなのに、この時ばかりは不振に思った。
なぜなら、その友人は病弱で前線に出られるはずはないからと聞き、俺だけが扱えるパソコンで名簿しを部下に確認させると「嘘だろ?」とその場で震え出した。
俺はただ事ではないと思い理由を聞くと…
「なんで…ついこの前生まれたばかりの子供の名前があるんだ?それに近所のガキ共や世話になった爺さんまで」
その後、その部下がその親友がいるとされている施設に潜入しようとしていたのを見かけ俺がいれば弁護できる事と一部軍の思想に不審に思った事もあり、一緒に親友がいるとされている建物までいったが、その部屋には人は誰もいなかった。
ボーリングの玉に似たような球状の宝石が大量に置かれ、兵舎のはずなのになんでこんなものが置かれているのかと思っていた時にその玉の正体が分かった。
何故ならその玉を見ていく内に部下のよっぽど悔しかったのか悲しかったのか大きな嗚咽を出しながら泣き崩れていたが、俺は理由が分からず聞くと、親友が見つかったと聞き、嫌な予感をあえて答えにして聞いた。
「まさか…この球体がお前の親友なのか」
「…そうです。さっきまで俺の事呼んでる気がして、その球体に触れた時に、分かりました」
俺は球体に触れると、声が聞こえていた…
念話みたいに話をして、大体の事情が分かってきた。
この球体は人の魂を封じ込める事が出来る装置で、それを使った兵器の為にこのような姿になった事、その兵器は魂をエネルギーとして半永久的に戦う事が出来る様にし自分の意思は関係なしに敵を排除するようにしてあると話してくれた…
後で知ったが俺の部隊は生存率が高く気にしては居なかったが、前線に出て帰ってこなかった者も多くいる…
それの解消として、幼い子供や兵役に向かない物や老人を兵器として使う事を考えた結果だと、開発者から笑いながら話していた事で誰の命令かを聞いた時に…その研究者は疑問に思ったのか、俺と言った時に犯人が誰だかはすぐにわかった。
この国の最高責任者…つまりこの国の王だ。
この時に俺は亡命をする事を決意したのは言うまでもないだろう…
その後、彼の友人や知人には申し訳ないと思っていたが、そのままにして脱出し今後のことを次の日に部下全員に相談した…
新兵器の事実に絶句し中には怒りを壁にぶつける者もいた…俺は隣国の亡命計画を話し決行までにできる事はしようと思っているし、多少の損害を与えていこうかと思っている。
隣国の捕虜にした者で前線指揮官や拉致した政治家などのも使い俺は戦犯として裁かれてもいいとしても、部下や民間人の最低限の生活補助を約束させたが、意外にもあっさりと口約束ではあるが「最大限の擁護と君に処遇についても悪い結果にはしない」と言われ、俺の事を好意的に接してくれたのは意外だったが、その理由は後で分かった。
部下達も本当に優秀過ぎて計画していた期間よりも早く準備が出来て、多少の問題はあったが無事に全員亡命に成功した。
国を出る時にあの忌々しい施設を俺や部下達…そして軍部に不信を持った兵士たちによって跡形もなく壊した。
本当なら元の人間にも出そうとしたが、すでに手遅れ…魂を介抱するのには壊すしかないとの事で破壊していった。
その後、俺と部下達は拘束され処刑台も覚悟したが、あっさり司法取引が成立しほぼ制限なしでくれせる事になったのは運が良かった。
どうやら、俺が好意的にされたのは侵攻作戦時に兵士や抵抗した市民に対しては殺害をしていたが、占領し生き残った女性や子供や老人に対しての対応が良すぎた事で処刑されずに済んだのだ。
占領された都市や村の結末は本当に散々だ…
本当の意味で生き残った事を後悔するような地獄が待っているが、俺はそんな事は出来なかったし、部下達も納得してくれた。
今思えば、そのような事をしていたからこそあの国の王から嫌われていたと思う…
この先、この戦争が終われば、本当にのんびり暮らす事も出来るか…だが俺の人生は近い内に終わるだろう…
その理由は、俺の国がある大型決戦兵器の破壊任務を俺の部隊が実行し…
俺が被害を最小限にするために最後まで残り対応していたからだ。
部下達も最後まで残ると言ってはくれたが、幸せな家庭を築き残された家族の悲痛の顔を思い出すと俺は「俺は独り身だが、お前らは違う…今まで世話になった。新しい時代で家族と生き残ってくれ」と言い撤退させた。
機械のアラームが鳴りやまない部屋に一人っきりとは寂しいが。いい思い出もある…女性の隊員は子供に俺の名前を多くつけて俺を困らせたり、初めて錠剤ではない食べ物を如何食べていいか分からないのを教えたり…薬物や過酷な訓練などで生殖能力が無くなった俺に対して最後まで愛し、最後まで此処に残ると泣きながら訴えていた彼女を気絶させむりやり別れた事…
今思えば彼女は俺が他の女性に性的な接触をした時によく顔面殴られて邪魔されたけど、
そして、麻薬組織を壊滅させた時に助け出したのも彼女だ…
前世でも生まれて一度もやった事が無い事と言えば喫煙のみで、部下のやさしさか冥途の土産でライターと共にくれたのでタバコに火をつけ吸ってみるが、最悪の味でよくこんなものが吸えるものだと、文句言いながらも心を落ち着かせるのにはちょうど良かった。
辛かったが毎日退屈な日々が無い事はよかったのか…
幸いにも通信機は生きていたので最後に彼女から悲痛な声が聞こえ、俺は幸せを祈った後、部下全員と戦友に感謝した後…
「大佐!!お世話になりました!!!」
最後まで作戦に参加していた部下達に見送られ、この言葉のあと俺は光に包まれた…
やっとあの神を殴りに行けるな…
そう思いながら俺は意識を失った…
戦争によって二つの国家が争った結果、環境破壊が進みもう復興は出来ないと言われた惑星は、今では戦勝国の改革によって改善され永い年月をかけ元の生命体が住める世界になったと記録され、その中でも英雄と言われる人物がいた。
多くの国民を救い、次元崩壊を起こし得る程の最悪の兵器を命を懸け止めたその英雄は今でもある書庫に歴史書として埋蔵され語り継がれている。