ヒーリングっど❤プリキュア〜新たな伝説の誕生〜 作:ssgss
昼飯―――。
普段ならのどかとわいわい楽しく喋りながら食べているはずなんだが、
「……」
当ののどかもこちらをチラチラと見てくるだけで話しかけてくるような気配が微塵も感じられない。
「なあのどか」
「な、何かな? 治くん…!?」
「何か、距離遠くね…?」
俺達は一通り水族館を回ったあとそこを後にして、しばらく歩いてからこのベンチでお弁当を食べることの出来る喫茶店に入ったんだが、俺とのどかの距離が大体人二、三人入れるくらいには空いていた。
「き、気のせいじゃ、ないかな…?」
「いやー…これを気のせいとはさすがに言えねえだろ。とにかく一緒に食おうぜ」
と言って俺はのどかに近寄る。
でも、反対にのどかは俺から再び距離を取る。
「……ふっ」
そこまでされると、流石に俺も感づく。
そしてその場に跪き、
「嫌われた…」
ショックを受けて落ち込んだ。
なんでだろう、俺なんか悪いことしたっけ…?
…………駄目だ、全然何も思いつかない。
あーこんな事なら父さん母さんに女の子とお出かけする時の注意でも聞いとけばよかったな…。
俺はいまさら後悔する。
はー、そういえば俺ってずっとトレーニングばっかりだったもんな。
もうちっと世の中の事も勉強しないと…。
「ご、ごめんね治くん! わたし、治くんの事嫌いじゃないよ!」
「……マジで?」
そんな俺に急いで言うのどかに俺は聞く。
するとのどかは勢いよく首を縦に振る。
「はー、良かった…」
「嫌いになるはずないよ。むしろす…………ハッ!」
「す…? す、何?」
ハッとするのどかに俺が聞く。
するとのどかはジト目になりながら
「治くんのそういうところは嫌い…」
と言った。
「何でーーーーっ!?」
俺の叫びが空にこだまする。
そう言うとのどかはただ笑っていた。
「そういえば、治くんも何かいいかけてなかった? さっき水族館で」
「あ、ああ。実はな」
のどかに言われ、俺は朝からの違和感を教えた。
異様に周りから気配を感じるということを。
「気配…?」
「ああ。昨日のあの戦い以来……って言っても一日しか経ってないんだけどさ。今日の朝くらいからやたら感じるんだよ。今だってここら辺の人の気配がやたら感じるし、だからあのお化け屋敷でもそんなに怖がれなかったんだよな」
俺は笑ってのどかに伝えた。
実際、気配を感じたところから仕掛けが来た訳だし、それじゃあちっとも怖がれなくて当然だと思う。
「昨日の……」
と俺が考えていると、横ではのどかが俺の言ったことを繰り返しいて、俺の今の様子を見る。
「治くんは、昨日のケガ大丈夫なの?」
のどかが聞く。
「昨日のケガ? あんなもんもう大丈夫に決まってるだろ。なんだか最近、ケガの治りも早くなっていってるしな!」
俺は自分の胸を叩く。
う…、自分で叩いたとはいえ結構強く叩きすぎた。
「そんな事気にしたのか? 別にのどかが気にすることじゃねえだろ。俺がやりたくてやって、そんでケガしただけの事だし」
「でも…!」
俺はのどかの言葉を遮った。
「心配いらねえよ。俺はもっと強くなってみせるからさ」
そしてのどかにそう言う。
のどかたちが俺を心配するなら、心配されないくらい強くなればいいだけのことだからな。
「……分かった。でも、無理だけはしないでね」
「おう」
その後、俺達は日が暮れるまで至る所へ遊び回った。
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空が朱く染まる中、のどかと治は歩いていた。
「ふわー! 楽しかったね! ……
「ん、何か言ったか?」
「ううん、何でもない。それじゃあ治くん。またね」
のどかが治に別れを告げる。
だが、そんな彼女の手を治が掴む。
「ふえ? 治くん、どうかしたの?」
「最後にあそこに寄ろう」
治がのどかの手を引く。
そんな彼の姿を見てのどかは、
「(今日はわたしから誘ったのに、治くんに引っ張られてばっかりだった。けど、これが最後のチャンス…。ここで言わないと…!)」
再び訪れたチャンスに強く覚悟を決める。
そんなのどかを治が連れてきたのは、彼がお気に入りの場所だと言ったあの高台だった。
その場所から見る街並みは、とても美しい物である。
「ふわー、キレイ」
のどかはその風景に溶け込む。
そして、そんな彼女を尻目に治は後ろに駆けた。
「そこだっ!」
『っ!?』
治は高台の影に顔を出す。
そこには今日一日彼らを尾けていたちゆ達の姿があり、治を追いかけたのどかも彼女達を発見する。
「ちゆちゃん!? ひなたちゃん!?」
「お前らだけじゃなくて、どうせラビリン達もいるんだろ? そこのバッグから気配を感じる」
治が言うとラビリン達は、バッグから恐る恐る登場した。
「ラビリン達も…、みんなどうして?」
「ごめんラビ…。のどかが治と出かけるって聞いて、気になったラビ」
ラビリンが代表して謝る。
するとのどかは、
「ううん。わたしの方こそ、パートナーなのにちゃんと伝えなくてごめんね」
ラビリンを抱いて言った。
そしてそこでようやく決心のついたのどかはみんなの前で、彼に言った。
「治くん」
名前を呼ばれて反応する治。
彼は彼でちゆとひなたを問い詰めていたが、いきなり呼ばれたことにより反応せざるを得なかった。
「わたしね、治くんの事が好き。大好きだよ」
夕陽がのどかを照らす。
それを聞いたひなたやちゆすらも顔を紅くして彼の反応を待った。
当ののどかに至っては今すぐにでもこの場から走り去りたい気持ちに駆られるも、それだけはできないと踏みとどまる。
「…………」
治の沈黙。
それは彼女達にとって不安を煽るものだった。
「おう。俺ものどかの事大好きだぜ」
彼の返事にその場空気が浮つく。
そして、
「ちゆもひなたも大好きだし、ラビリン達もだし……もちろん、ラテもな」
「わん!」
空気が一気に沈んだ。
その空気を理解してないのは、治とラテのみである。
つまり、こういう事である。
のどかの好き→男の子として、付き合いたいの意。
治の好き→友達として、これからもよろしくの意。
いくら彼でもそこまででは無いだろうと高をくくっていた彼女達も、これにはさすがに唖然とする。
そしてなにより、女の子が勇気を出して想いを伝えのを彼は無碍にしたと言っても過言ではない。
「お〜さ〜むん。ラテこっちにちょ〜だい」
「うん? おう」
猫なで声で治にひなたが言う。
そして彼からラテを受け取ったひなたはラテを側に置き、ちゆと目を合わせる。
「ペギタン!」
「ニャトラン!」
「おうよ!」
「やるペエ!」
「え、え!?」
目の前でいきなり変身しようとする二人。
「「スタート!」」
「「プリキュア! オペレーション!」」
「「交わる二つの流れ!」」
「キュアフォンテーヌ!」
「ペエ!」
「「溶け合う二つの光!」」
「キュアスパークル!」
「ニャア!」
まだどうして彼女達が変身したのか分からない治。
そんな彼の腹部を先ずは、
「ふんっ!」
「うぼおぁっ!?」
フォンテーヌの拳が打ち抜く。
そして少しだけ体を浮かせる彼を続けざまに
「おさむんのバカ〜〜っ!!」
「うおおおお……!」
スパークルがヒーリングステッキ下へ叩きつける。
そこから治は、スパークルとフォンテーヌから雨のように打撃を浴びせられ最後の最後に、
「「ハアアアアアッ!!」」
二人のエネルギー波を受け下へと落ちていった。
「お、治くーーーん!!!」
のどかが心配して手すりから下を見る。
「アレに情けは不要ラビ」
だがそんな彼女の横で、非常にも彼女のパートナーは下へと落ちた男をゴミを見るような目で言ったのだった。
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「イチチ……お前ら、俺じゃなかったら確実に死んでるからな」
なんとか下から高台へ戻った治は全身を擦って言う。
さすがの彼でもプリキュアに変身した彼女達の攻撃は相当に応えたようだ。
「大丈夫だよ〜! おさむんとかビョーゲンズ以外には手加減するし〜」
「そもそもやらないわ」
「あ、そうか。そりゃ安心だ。…………じゃねえよ! なんで俺までボコボコなんだよ!?」
「「それは治(おさむん)があんな事言うからでしょ!!」」
「はあ!?」
再び口論を繰り広げる治とちゆ&ひなた。
のどかはそんな様子をハラハラして見守っていた。
そして彼らの口論がひとしきり続いた所で、
「とにかく、私たちはもう帰るわ。これからはあなたがもう一度のどかと話しなさい。のどか、頑張ってね」
「あたしたちは、のどかっちの味方だから。あと今だけはおさむんの敵!」
ということを言って二人はラビリン達を連れて帰った。
そしてその場に残された二人は再び話す。
「アイツら、本気でやりやがった…」
「アッハハ…。だ、大丈夫…?」
のどかは自分の想いに気づかなかったにも関わらず彼を心配する。
「まあ、なんとかな……つっても、話せって何をだ?」
「……ここって、どうして治くんのお気に入りの場所なの?」
頭を捻らせる治。
そんな彼にのどかは唐突に聞いた。
「あー言ってなかったか。ここさ、俺がすこやか市に越してきた日、最後に父さん母さんと寄った場所なんだ」
治は手すりに寄りかかる。
「その時も今日みたいな夕焼けでさ、今みたいな景色が広がってて、俺にはすげえ思い出に残ってんだ。それから、いつの間にかなんかあったらここに来るようになってたってだけだよ」
そう話す彼の横にのどかは着く。
「そうなんだ」
そして彼女は、彼に言う。
他に何も言わず、ただそれだけを。
「治くんは、ビョーゲンズとの戦いで怖いって思う?」
不意にのどかは質問する。
それに治は、
「怖くない」
強く答えた。
「どうして?」
「ビョーゲンズとの戦いは怖くないさ。戦いはなんでか知らないけどワクワクするからな。それに、ラテに約束したからな。必ず親に会わせてやるって。怖がって暇なんてねえや」
治は笑った。
そんな彼の姿にのどかはまた惹かれる。
「……わたしは、怖いな。ビョーゲンズとの戦い」
だが今の彼女はそう告げる。
「わたしもお手当て頑張りたいって、一生懸命やるんだって思っても、昨日みたいに治くんが傷つくのを見るのがすごく怖いの。もし、治くんがわたしたちの前から居なくなっちゃったらって思うと……」
のどかの笑みは、暗いものだった。
「じゃあ約束だ」
「え…?」
突然告げる治の声に反応するのどか。
「俺がもし、お前らの前から居なくなったら。その時は必ず、俺はここに帰ってくる。絶対だ」
治はそう告げた。
彼との約束。
それならなんだか果たされそうだとのどかは思った。
「うん。約束」
二人は笑顔を交わす。
「そういや、結局話せって何の話だったんだ?」
「あ…。それは、ね。治くん」
一番最初の目的を治は掘り返した。
するとのどかが彼を呼び、振り向いた彼の唇と、彼女の唇が…………
「…………」
「…………えーっと、何?」
触れることは無かった。
治とのどかの身長差、それは彼女が背伸びをしたとしてもあと少しの差で彼に届かせることの出来ない物であったのだ。
「はぅぅぅぅ……」
恥ずかしくて蹲るのどか。
「おおい、大丈夫かよのどか」
そんなのどかを心配して治が身を屈めた時、
「えいっ!」
のどかが振り返ることにより、今度こそ二人の唇が重なった。
「!?」
「…………ぷはぁ!」
間を置いて離される二人の唇。
いくら治でもこれは普通ではないと分かっており、彼女のこの行動には動揺してしまう。
「その、さっきのわたしの好きは……こういう物、です…」
のどかものどかで自分がした行動が恥ずかしくなり、しかし顔を紅くしながらも彼女は伝えた。
「あ、あ……その、分からなくてごめん…」
のどか同様治も俯く。
「それでえっと、返事は今聞かせてもらえると嬉しいな〜、なんて…」
中々言葉を続けられなくなる二人。
だったが、
「……その、多分俺はこれからもお前の気持ちに気づいてやれないと思うぞ?」
「大丈夫だよ」
「多分お前のこと泣かせるかもしれないぞ?」
「治くんはそれよりももっとわたしを笑顔にさせてくれるもん」
この問答はいつものように二人の口から言葉を流暢に出させた。
そして、
「えっと……それじゃその、よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ!」
ここに、とてもギクシャクとしたカップルが誕生したのだった。
そしてこの日、彩野家の夕食は赤飯になったらしい。
フォンテーヌとスパークルには彼をボコボコしてもらえるのは決めていたので書いてて楽しかった。
あと、この回で二人をくっつけこそしましたが、普段からイチャイチャさせるとかはしないつもりです。
そもそも書ける気がしない…