ヒーリングっど❤プリキュア〜新たな伝説の誕生〜   作:ssgss

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今回で放送分のすべてが終わってしまった……どうしよう


戦いへの欲

 ―――治達は今、採石場に来ていた。

 

「ここで特訓をするの?」

 

 のどかが辺りを見回しながら言う。

 だが、その横で治は

 

「何で俺まで…」

 

 不機嫌そうに言った。

 チームワークを高めるための特訓である以上自分は必要ないだろうとあの後帰ろうとした治だったが、のどかとラテのキラキラとした目に断りきれずに着いてきてしまったのである。

 

「チームワークを高める以上、治も一緒に特訓して損はないラビ」

 

「そういう物か?」

 

「そういう物ラビ!」

 

 胸を張って治に言うラビリン。

 そして治は渋々納得しながらのどか達を見た。

 

「特訓…! ふわぁー! ワクワクするー!」

 

「けど、特訓って滝に打たられるとかじゃないの?」

 

 ちゆが聞いた。

 

「階段をうさぎ跳びで登ったり…!」

 

 のどかが続く。

 

「綱渡り…とかしないよね?」

 

 そしてもちろんひなたも聞く。

 

「……もうこの時点でチームワークねえけど?」

 

 三人それぞれが思い描く特訓を聞いた治がラビリンに言った。

 

「全然違うラビ! チームワークを強くするって言ったラビ!」

 

 ラビリンが三人に言う。

 

「テーマは以心伝心ペエ!」

 

 ペギタンは手に持っていた紙を見せる。

 それに同意するようにニャトランも隣で頷く。

 

「以心伝心?」

 

「心と心を伝え合うラビ」

 

「テレパシーを使えるようになるって事? いやそれ無理ゲー!」

 

「違うニャ! 言葉がなくてもお互いの考えてることが分かれば、戦いの時に連携も取りやすいだろ」

 

 と言いながらニャトランとラビリンが四人に見本を見せる。

 

 二人は大きくジェスチャーし、その後互いめがけて走り出した後、ラビリンが転がりニャトランがその上を大きく跳び超えてみせた。

 

 それが一瞬でも間違えればぶつかってしまう器用なものである事は、その場の誰しもが理解できた。

 

「へー、確かにすげえな」

 

「うんうん! 心が通じ合ってる感じするする!」

 

 自信を付けたラビリンとニャトラン。

 両者は再びジェスチャーをした後走り出すも、今度はお互いにジャンプした事で見事に空中で激突した。

 

「いったた…もうニャトラン何やってるラビ!」

 

「何でだよ! 今のはラビリンが転がるから、ニャトランはそれを跳び超えて、だろ!?」

 

「違うラビ! 今のは、ラビリンがジャンプするからニャトランはそれを下から通り抜けて、ラビ!」

 

 目の前で口論をするラビリンとニャトラン。

 その様に四人は呆気にとられてしまった。

 

「ま、まあこの様な事にならないよう、しっかり特訓するペエ」

 

 ペギタンが言うと、治は近くの岩場に歩き出してしまった。

 

「治、どこ行くペエ?」

 

「チームワークの特訓は三人の連携を高めるものだろ? 俺には俺でやらなきゃならない事がある。心配すんな、遠くに行くわけじゃないから、用があったら声かけてくれ」

 

 治はそれだけ言い残して岩場の陰に姿を消した。

 そして彼はその場に座り込む。

 

「さて……どういう必殺技にするか。それが課題だな」

 

 治は目を閉じる。

 そしてあの時元気玉を作ったように、自身の手にオーラを凝縮させようと試みる。

 すると、彼の手のひらには小さな黄色い玉が出現した。

 

「これじゃあ必殺技って言わないよな」

 

 彼は力を抜き、玉を消失させる。

 そして、元気玉の事を思い出した。

 

「……あのとんでもねえエネルギー。どうやって作り出せばいいんだ?」

 

 岩に背を預ける治。

 そしてそんな彼の悩みを知る由もない人物が、そろりそろりとそこに近づいていた。

 

「のどか、か?」

 

「な、何で分かったの…!?」

 

 陰からのどかが驚きながら姿を現す。

 

「どうかしたのか?」

 

 治が聞く。

 するとのどかは彼の手を取った。

 

「まあ、とにかく来てよ」

 

 そのまま彼女は彼を連れて行く。

 そこには、ひなたとちゆも待っていた。

 が、ヒーリングアニマル達の姿はない。

 

「んで、どうしたんだよ?」

 

「いやー、特訓って言ってもあたし達なにすればいいのか分からなくて全然うまく行かないんだよね〜…」

 

 ひなたは苦笑いしながら言う。

 そして彼女に続いてちゆが言った。

 

「治は、普段からトレーニングをしてるでしょう? 何かいい案があればと思って」

 

「いい案って言われてもなー……いつもは俺も単独だし、おまけにお前らの特訓内容はチームワークだから一番いいのは実戦だけど……相手がなぁ」

 

「「「実戦かぁ…」」」

 

 四人とも頭を唸らせる。

 

「あ」

 

「あ」

 

「あ」

 

 するとのどか、ちゆ、ひなたが何かを思いつく。

 

「あ?」

 

 三人の視線は、一人の男に集まっていた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「いや。確かにな、俺は言ったさ実戦形式がチームワークを高めるのに一番だって。それに俺のトレーニングにもなるだろうさ……けどこれは無いだろ!?」

 

 治は目の前で変身したグレース、フォンテーヌ、スパークルの三人に叫ぶ。

 

 そう彼女達の思いついた内容は、治を対戦相手として自分達のチームワークを高めようというものだった。

 もちろん、彼女達のパートナーであるラビリン達もそれには最初反対したが、結局のところ押し切られてしまったのである。

 

「けど、やっぱりこういうのはあなたじゃないと務まらないのよ。わたしたちの中で、一番戦い慣れているあなたじゃないと」

 

「そうそう〜。それにおさむんなら、多分良いアドバイスくれるんじゃないかなって思ってさ〜!」

 

「ごめんね治くん。でも、協力して!」

 

 三名が言う。

 すると治は観念したように大きく息を吐いた。

 

「分かったよ。お前らは決めたら頑固だし、やりたいなら止めない。けど、これは俺のトレーニングにもなるんだ。手加減するなよ」

 

 治はそう言って構える。

 その時の彼の雰囲気に一瞬彼女達は呑まれそうになるプリキュア達。

 

「……ヤバ、おさむんちょー怖いね…」

 

 スパークルがそう溢した。

 

「ええ。いつもは味方として隣に居てくれたのに、いざ相手になるとこうも攻めづらいものなのね」

 

 フォンテーヌも同意する。

 その様子に痺れを切らせて治が言った。

 

「なんだ来ないのか? ……なら、俺から行くぞ!」

 

 叫びと同時に彼は大地を強く踏んだ。

 そして彼女達との間に空いた距離を一気に詰める。

 狙いはまず、目の前に居たグレース。

 

「ふんっ!」

 

 治の回し蹴り。

 三人はそれを回避する。

 

「いきなりラビ!?」

 

「そっちが言い出した特訓だろ? 本気で来いよ」

 

 治にそう言われ、グレースは背後の岩を足場にして彼を蹴りつける。

 

 そんな彼女の攻撃に対して治はガードを取った。

 

「ぐっ…! くう…、今のは効いたぜ」

 

 彼は少しだけ後ずさり、グレースに言う。

 そんな彼の笑顔に、グレースは一瞬動揺する。

 

「「ハアアアアア!」」

 

 グレースを援護しようとフォンテーヌとスパークルも彼へ拳と上からの蹴り落としをしようとする。

 

「危ねえ…!」

 

 その攻撃を即座に治は避ける。

 

「……なんだよ、結構普通にチームワーク取れてるじゃねえか」

 

 治は距離を取って言う。

 

「じゃあ、俺も…!」

 

 そして彼が全身に力を込めようとした時にだった。

 

「くしゅん!」

 

 ラテがくしゃみをする。

 それと同時に治もある方を向いた。

 

「(この気配……メガビョーゲンか? それともう一つよく分かんねえ気配が)」

 

「治くん!」

 

「分かってる! ……向こうだ、行くぞ!」

 

 治に言われて全員がその場へ走る。

 そこには、ショベルカーを模したメガビョーゲンが居た。

 

「よっし、相手を俺からあのメガビョーゲンに変更してやってやろうぜ」

 

 治が言うと三人は頷く。

 そして、四人は同時に上からメガビョーゲンへ攻撃を仕掛ける。

 

「っ!?」

 

「誰っ!?」

 

 だがその攻撃は、間に割って入った一つの影に阻まれ弾かれた。

 

「ちーっす! アンタ達がプリキュアで、アンタがプリキュアと一緒に戦うっていう男っすね! 初めまっしてー!」

 

 その影の正体は、キングビョーゲンに命じられて地球を蝕みに来たバテテモーダであったが、彼を知らない治たちは困惑する。

 

「誰ニャ?」

 

「ダルイゼンでもシンドイーネでも、グアイワルでもないペエ…」

 

「あんなビョーゲンズ見たことないラビ」

 

 それはもちろん、ラビリン達も例外ではない。

 

「はいはいはーい! 自己紹介しまっす! 自分、この度ビョーゲンズの注目の若手として加わったバテテモーダっす!」

 

 バテテモーダはその正体を彼らに明かす。

 

「バテテモーダ…?」

 

 その名前を治は繰り返す。

 

「しくよろみなさん! そして多分さようなら。だって自分、アンタらに負ける気がしないんで」

 

 バテテモーダは強気に言う。

 そんなバテテモーダの目を見た治は誰よりも真っ先に構えた。

 

「用心しろ三人とも。多分あのバテテモーダって奴、これまでのビョーゲンズと明らかに違うぞ」

 

「おおーっ! さすがはビョーゲンズのお三方に認められる人っすね! 自分アンタと一番戦ってみたかったんすよ!」

 

 バテテモーダも構える。

 

「グレース達はメガビョーゲンを頼む。俺はあのバテテモーダってのとやる」

 

「無駄話してる場合っすか? …バテテモーダオンステージ開幕ぅ!」

 

 バテテモーダが四人に飛び込む。

 それを後方に回避する四人。

 

「自分から戦うなんて…!」

 

「だってさ、見てるだけなんて……つまんないっしょ!」

 

 バテテモーダが跳び上がる。

 それに真っ先に反応したのは、やはり治であった。

 

「おほ〜! いいっすねその反応!」

 

「そいつはどうも!」

 

「けど、やっぱそれだけじゃ自分負ける気しないっすわ!」

 

 バテテモーダの拳が治に迫る。

 だが、治はその拳を受け止める。

 そのまま二人は地面に落下していく。

 

「おさむん!」

 

 落下の勢いで土煙が立ち込める。

 その煙の中から先に飛び出してきたのは治であった。

 

「まさかここまで自分から戦いに来るビョーゲンズが居るとはな」

 

「やっぱ戦いは、自分から盛り上げていかないと!」

 

 バテテモーダは標的を治からスパークルに変更する。

 そのままスパークルと数度打ち合いになった後、助太刀したフォンテーヌとの勝負に移行するバテテモーダ。

 

「楽しい楽しい! いいねー! プリキュア達も、思ったよりパワーあるっすね!」

 

「お前の相手は俺だろうが!」

 

「やあああっ!」

 

 バテテモーダの左からスパークル、正面から治が迫る。

 

「でも効かない! 何故って、自分の方が強いから!」

 

 三人を弾き飛ばそうとするバテテモーダ。

 そのパワーにスパークルとフォンテーヌは飛ばされるも、治だけはその場にとどまっていた。

 

「こいつは俺に任せろ! お前らはメガビョーゲンを!」

 

 そんな治がグレース達に言う。

 すると彼女達は彼を信じ、メガビョーゲンへ向かった。

 

「ちょっとちょっと、もうちょっと盛り上げていかないと〜! 自分つまんないっすよ?」

 

 そんな彼にバテテモーダは言う。

 すると彼は、

 

「安心しろよ。…………ハアアアアアッ!!!!」

 

 全身に力を込め、オーラを噴き出した。

 

「すぐにその減らず口……叩き潰してやるよ」

 

 彼は笑った。

 ただ目の前の敵との戦いを楽しむように―――。

 

「おおー!? なんすかなんすか、そんな隠し玉あったんすか!? これは楽しくなりそうっすね!」

 

 二人はまた構える。

 

 そこからはプリキュアの介入する余地のない、二人だけの勝負が始まった。

 

「ふっ!」

 

「いいねいいねぇ! アンタ最高っすよ!」

 

 治の蹴りとバテテモーダの蹴りが衝突する。

 その後、バテテモーダの拳を治は飛び越える形で回避し、反対に彼を殴りつける。

 

「おお! ちょい効いたっすよ!」

 

 俊敏に採石場の岩場を足場にし、バテテモーダも反撃する。

 その攻撃は、治の顔面を的確に捉えて命中させる。

 

「……テメーも中々やるじゃねえか」

 

「そっちこそ、お三方に話を聞いてたけど、正直ここまでとは思わなかったすよ!」

 

 治とバテテモーダ。

 今の彼らには互いの視界に目の前の敵しか映っていなかった。

 

 しかし、そんな勝負に水を刺す形でグレース達はメガビョーゲンを浄化した。

 

「終わったか」

 

「…………」

 

 バテテモーダが治の手を離す。

 

 二人はその後距離を取り、治のもとにはプリキュア達が駆けつけた。

 

「治! 大丈夫!?」

 

 フォンテーヌが聞く。

 それに治はバテテモーダから目をそらさずに首を縦に振る形で答えた。

 

「ハハハハ! いいじゃんいいじゃん、強いじゃん! やられちゃったぜメガビョーゲンちゃん!」

 

 バテテモーダは笑っていた。

 そしてメガビョーゲンを浄化したプリキュア達に拍手と称賛の言葉を贈る。

 

 その姿は、不気味の一言だった。

 

「笑ってる…。何なの、アイツ…?」

 

「ハハハ…! 負けたのは自分じゃないんで、メガビョーゲンなんで! まあでも、今日はこれで引き上げるっす」

 

 バテテモーダの言葉にスパークルが静かに反応した。

 そして、バテテモーダは更に続ける。

 

「それにしても、戦うのって超楽しいわ…!」

 

 バテテモーダから発せられた言葉。

 

「戦うのが、楽しい…?」

 

 そのまさかの言葉に動揺せざるを得ないグレース。

 今までのビョーゲンズは、地球を蝕むためにメガビョーゲンを生み出していたし、プリキュア達と自ら直接戦うことは無かった。

 

 しかし、このバテテモーダは違う。

 自ら戦うことに楽しみを見出している。

 それは、彼女達三人にとっては分からない感情だった。

 

 だが

 

「でも、そちらの人も自分と同じっすよね? 分かるっすよ、アンタと俺は同じ戦うことが好きだって」

 

 バテテモーダは治に言った。

 そう、戦いそのものに楽しみを見出す。

 それをしているのは、何もバテテモーダだけではなかった。

 

 それは、彼女達と共にビョーゲンズと戦う彼もまた同じなのである。

 現に治は、バテテモーダの言葉にただ笑って返したのである。

 

「いや〜、プリキュア達とももうちょっと戦ってみたかったけど自分アンタが一番好きだわ」

 

「くだらねえこと言ってねえでとっとと帰れや」

 

 治がバテテモーダに返す。

 

「勝ったと思って油断しない方がいいっすよ。注目若手新人、自分だけで終わりじゃないかもしれないんで」

 

 バテテモーダはそう言った。

 その言葉に驚愕を隠せないプリキュア達に、さらに続ける。

 

「この前、アンタらが手こずったメガビョーゲンの事覚えてるっすか? 自分、アイツから生まれたんすよね」

 

 バテテモーダの言葉を聞き、治は自分の頬を擦る。

 そう、何を隠そうこのバテテモーダはあの時メガビョーゲンが最後の足掻きで治に吐き出し、彼の頬を掠めたあの何かが生み出した敵であった。

 

「あの時の、か」

 

「注目新人、バテテモーダ爆誕ってわけっす! それじゃあまたアンタと戦えるの楽しみにしてますわ!」

 

 バテテモーダは最後までその口ぶりを変えずに消えた。

 

 その目に、ただ一人の男を映しながら。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ねえおさむん…」

 

 その後、治の元にひなたが来た。

 

「なんだひなた?」

 

「バテテモーダ…どうだったの? 強かった…?」

 

 ひなたが聞いてくる。

 

「……ああ、強かった。すごくな」

 

 治は、正直に答えた。

 その時の彼は口にこそしなかったが、今まで戦ってきた敵の中でバテテモーダの強さは群を抜いているであろう事を、彼は直感していた。

 

 そしてまた、奴とは戦うことになる事も―――。

 

「けど、次は倒すさ! そのつもりで俺も目一杯トレーニング重ねるからな!」

 

 治は明るくひなたに言う。

 

「そんであの花寺さん……そろそろ手離してくれると」

 

「やだ…」

 

「いや、やだじゃなくて」

 

「や~だ〜!」

 

 治は自身の手を強く握り、決して離そうとしないのどかの扱いに翻弄されているのであった。

 

 だが、そんな明るい空気とは対称的……ひなたの顔が晴れることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次はアニメ13話の内容を書きたいのでオリジナルストーリーは無しの方向で行きます。

なので、しばらくこっちは投稿停止になるのかなぁ…
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