ヒーリングっど❤プリキュア〜新たな伝説の誕生〜   作:ssgss

26 / 26
たまにはこっちの更新もしておかないと…(ビクビク)


意味無い事

 すこやか市にある高台。

 その上でグアイワルとバテテモーダがメガビョーゲンにするべき獲物を見ていた。

 

「それで、一体どうするんすか、先輩?」

 

「生まれたてホヤホヤのお前に、こういうやり方もあると教えてやる。……進化しろ、ナノビョーゲン!!」

 

 グアイワルはナノビョーゲンを広場で親子が使っていたドローンへと向けた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 俺たちがひなたのプリキュア辞めよっかな宣言を聞いた少し後、ラテが顔色を悪くしてくしゃみをした。

 それと同時に俺も遠くの方で嫌な気配を感じ取る。

 それも3つ。

 

「(具体的な場所までは分からねえけど…3つか。メガビョーゲンが1体とアイツ等の誰かから2人……それとも前みたいに2体のメガビョーゲンなのか……この感じ取る力の方はまだまだトレーニングが足りねえな)」

 

「ニャトラン! おでこ何それ!?」

 

「止めるニャ!」

 

 俺が感じた気配に気取られている間、こっちはこっちで騒がしくなっていた。

 見ると、ラビリン、ペギタンの毛が逆立ってニャトランは何故か枕に隠れている。

 

「何やってんだお前らは…?」

 

「あ、ほらニャトラン、おさむんにも見せてよー!」

 

「イヤだよ、絶対!」

 

「何で隠すのさ、可愛いのに~」

 

「だから見せたくないんだよ! ってか、おれのデコよりラテ様だろ!」

 

 ニャトランに急かされ、のどかがラテに聴診器を当てる。

 

「ラテはなんて?」

 

「上の方にメガビョーゲンがいるって…」

 

 俺たちは一様に顔をしかめながらも外に出る。

 しかし、当然そこにはメガビョーゲンの姿はなく、空はいたって快晴だった。

 

「何も無くない?」

 

 辺りを見回してひなたが言う。

 ……っち、気配は感じるのに、どこにいるかまるで分からねえ。

 

「くぅ~ん……」

 

「なあに、ラテ?」

 

 再びのどかがラテに聞く。

 その苦しそうなラテを見て、俺は戦いたい欲求とは別で新しい決意をし、それを伝えるようにラテを撫でて告げる。

 

「辛いのに頑張ってくれてありがとなラテ。……もう少しだけ待っててくれ。お前のその負担、近いうちに俺が減らしてやっから」

 

「おさむん…」

 

 そんな俺の様子を見たひなたが呟く。

 言葉を返してやりたいが、今はビョーゲンズが優先だ。

 

「ラテは、今度何だって?」

 

「う、うん。今度はあっちにメガビョーゲンが居るって」

 

 のどかは住宅街の方を指差す。

 

「という事は今回のメガビョーゲンは移動してるってこと?」

 

「そういう事になるな」

 

「でもでも、いつもはメガビョーゲン、移動なんかしなかったよね? 前の時はおさむんがたあーって集めたけど…!」

 

 ひなたがそう言う。

 

「確かに珍しいことだけど、考えれば不思議でもない。元々ビョーゲンズの目的は地球を蝕む事だろ? なら、その役割があるメガビョーゲンが移動するっていうのは、ある意味当たり前とも取れる」

 

「とにかく、行ってみましょう」

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 ラテが教えてくれた場所まで来たわけだが、

 

「落ち着いてるな」

 

「うん…」

 

「メガビョーゲンが現れたにしては、平和な風景ペエ」

 

 そこには俺たちがいつも見る風景が広がっていた。

 メガビョーゲンが居る、または居たにしてはいつも通り過ぎる。

 まるで、誰にも気づかれずに事を済ませたみたいな。

 

「痛っ!!」

 

「っ! 大丈夫ですか!?」

 

 ドアノブに触ろうとして静電気を受けたおばあさんをのどかが心配する。

 

「ええ、ちょっと静電気がね。でも、一度放電したからもう大丈夫よ。……あ痛っ!」

 

「あ痛っ…! や~ね~、こんな季節に静電気なんて…」

 

 隣でも同じように静電気にやられたおばあさんが言った。

 

「失礼します」

 

 俺はおばあさんの横からドアノブに手を伸ばす。

 すると、とても2度放電したとは思えないほどビリっとした静電気が俺の指先に走った。

 

「う〜ん、まだ収まらないみたいだし、しばらく触らない方が良いかもですね」

 

「そうねぇ…、じゃあ、もう少しだけお話してましょうか」

 

「そうですね〜」

 

 そう言っておばあさん2人はまた会話を開始した。

 俺はすれ違うようにのどか達の場所に戻る。

 

「治くん、大丈夫?」

 

「ああ、あの程度なんてことねえよ…! いつものトレーニングの方がキツい位だ。それより、多分この静電気、メガビョーゲンが関係してると思う」

 

「うええっ…! おさむん、何で分かんの!?」

 

 ひなたが身を乗り出して俺に聞く。 

 

「何でって言われても、ただの勘、としか言えないけど……でもなんか感じるんだよな~。嫌な気配っていうか、普通とは違う感覚みたいなのをさ」

 

「なんだよそれ? 結局絶対じゃねーって事じゃんか」

 

「まあそうなんだけどさ…、それに、どっかでアイツらの気配を感じるんだ」

 

 のどかは俺の言うことを信じてくれたが、他の面々は中々に疑心暗鬼だった。

 そしてその後、俺たちは色んな場所を巡った。

 のどかのお母さんが働いてる場所、和菓子屋さん等、ラテが教えてくれた場所に出向いたが、メガビョーゲンの姿は一向に見えなかった。

 ただどの場所でも共通に、物凄い静電気が確認されているという事だけだ。

 

「ラテが教えてくれた場所ばかりで静電気が起きてるって事は、やっぱり治の言う通りメガビョーゲンの仕業だと思った方が良さそうね」

 

「うん。……ごめんねラテ、次はどっちの方にメガビョーゲンを感じるの?」

 

 のどかが再びラテに聞こうとした時、ひなたが言った。

 

「聞いても、意味無くない?」

 

「え…?」

 

「言っても見えないし、どうせまた逃げられるし……」

 

「おいひなた! 何探す前から諦めてんだよっ!」

 

「探したじゃん! あっちこっち探し回っての今じゃん! ……こうしてる間にもまたメガビョーゲン強くなってるわけでしょ…? そんなの、もっと見えなくなるに決まってるじゃん…!」

 

 ひなたが口にした諦めの言葉にニャトランが気圧される。

 そんな時だった、ひなたを探してきた女の子が、ひなたのお姉さんが車の中に閉じ込められたという情報を持ってきたのは―――。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「お姉ー!」

 

「「「めいさん!」」」

 

「ひなた、ちゆちゃん、のどかちゃん、治くん!」

 

「今助けるし…!」

 

 ひなたがワゴンのドアに手を掛けようとした時、

 

「触っちゃダメ! 危ないから!」

 

 めいさんがそれを止めた。

 

「……しばらくしたら静電気も治まるよ。ま、ダメだったらパパとお兄ちゃんも呼んで、みんなでワゴンのドアぶっ壊してよ、そしたら出られるでしょ」

 

 明るく言うめいさんと対照的にひなたは不安そうに見つめる。

 そんな2人の会話を聞いて、俺はその場に歩み寄った。

 

「う~っし、そんじゃあやるか…!」

 

 腕を軽く回して言う俺に、ひなたもめいさんもキョトンとしている。

 

「治くん、やるって……何を?」

 

 みんなを代表して俺に聞くのどかに俺は返した。

 

「意味無いこと♪」

 

 彼女に笑いかけた後俺はドアに手を掛けた。

 その瞬間、全員の目で分かるほどの静電気……いや、最早ただの電気と化したそれが俺に襲い掛かる。

 

「おさむん!?」

 

「治くん…!? ダメよ、早く離れなさい!」

 

「いいえ、こればっかりは年上の言葉でも聞けないですね…」

 

 電気と格闘しながら、俺の手は着実にワゴンのドアを開けていき、最終的に完全に開いて見せた。

 

「へへっ、勝った…!」

 

 俺はひなたにサムズアップして言う。

 

「おさむん…」

 

「治くん、助けてくれてありがとう。でも、危ないんだからもうこんな事したらダメだからね!」

 

 めいさんに感謝されながらも怒られ、俺たちはその場を後にした。

 そして、誰の目にも付かない繁みの中でラビリンが俺に聞いた。

 

「治、何であんなに危ない事したラビ?」

 

「ん? 何のことは無いさ、俺がそうしたかったから」

 

「じゃあ何で、意味のない事なんて言ったペエ?」

 

「それも簡単だよ、本当に意味無い事だからだ。だってそうだろ? この静電気騒ぎはメガビョーゲンが原因で起こってる事、ならそのメガビョーゲンを倒せば、俺があんな事しなくたってめいさんは出れたはずだ。だから意味無い事」

 

「でもメガビョーゲンは…」

 

 ひなたが言おうとした事に俺は割って入った。

 

「なあひなた、意味がなくてもいいんじゃないか?」

 

「え…?」

 

「今俺たちのやろうとしてる事に、今意味を出す必要は無いんじゃないのか? やれること全部やって、目いっぱい頑張った後でも、答えを出すのは遅くないんじゃないかと俺は思うぞ」

 

「……」

 

 俺の言葉にひなたは俯くが、そんな彼女の手を取ったのはのどかだった。

 

「治くんの言う通りだよ。ひなたちゃん、諦めずにメガビョーゲンを探そう」

 

「のどかっち…」

 

「ひなたちゃんの作ってくれたジュース、すっごく美味しかったよ。確かにめいさんがお店で出してるのとは違ったかもしれないけど、それでもひなたちゃんが作ってくれたって知った時はわたし、嬉しかった、だから……意味、無くなんかないよ?」

 

「確かに、メガビョーゲンはまた強くなってるのかもしれない。だけど、わたし達だって1人じゃないんだもの、そう考えたら、また頑張れると思わない?」

 

「ちゆちー…」

 

 のどかとちゆに背中を押されたひなたの手を今度はニャトランが取った。

 

「オレ達がいるだろ! オレはひなたがパートナーだったから、ここまでやってこれたんだぜ!」

 

「ニャトラン…」

 

 ひなたの手に乗ってニャトランが笑う。

 

「……そうだよね、まだちょっと怖いけど…1人じゃないんだもんね!」

 

 ひなたが笑って俺たちに言った。

 

「よっしゃ、そんじゃあひなたの悩みも解決した事だし、そろそろビョーゲンズにはご退場願うか!」

 

 俺はそう言って目を閉じ、集中した。

 思い出せ、あの時の―――元気球を作った時の、全員の気配を感じるあの感覚を…。

 これまで行った場所からアイツらがどうやって移動してるのかは大体分かった。

 

「治くん、どうしたの?」

 

「悪いのどか、少し集中させてくれ。アイツら、今度こそ逃がさねえ」

 

「何か分かったのかよ?」

 

「……ああ、今回アイツらが生み出したメガビョーゲンは多分、空を飛ぶメガビョーゲンだ」

 

 それなら、短時間での長距離移動、地上を探す俺たちに見えないっていう2つに合点が行く。

 こっちの力はまだまだだけど、

 

「……」

 

「ん、どしたのおさむん?」

 

「……いや、何でもねえよ」

 

 ひなたが立ち直ったんだ、なら俺もこいつらの為にやってやる!

 瞬間、俺は遠くの方でゆったり動く嫌な気配を感じた。

 

「……捉えた」

 

「マジ!?」

 

「治くん、どっちか分かるの?」

 

「……向こうだな、しかも俺たちが来ないのを見てかゆっくり動いてやがる」

 

「何それムカつく~!」

 

「すぐに向かいましょう!」

 

 ちゆの号令の下、俺とのどか達は変身し、その場に向かった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「ハッハッハ! どうだバテテモーダ、少しずつ広範囲を蝕むという、このグアイワル様の繊細かつ高度なテクニックは!?」

 

「ハハ~、流石っす先輩! 新人の自分にはまったく思いつかないっす!」

 

 メガビョーゲンに乗りながら話すグアイワルとバテテモーダ。

 しかし、その会話はある1人の乱入によって遮られた。

 

「ああ、流石に俺も思いつかなったよ」

 

「「っ!?」」

 

 先発で上空に跳んだ治がグアイワル達ごとメガビョーゲンを地面に叩きつけた。

 

「やーっと見つけたよメガビョーゲン!」

 

「おーっとプリキュアに、お、お兄さんもいるじゃないっすか! また会えて嬉しいっすよ!」

 

「ふん、遅かったじゃないか。今からメガビョーゲンを浄化できるのか?」

 

「するよ! 絶対に!」

 

「その意気だスパークル。じゃ、メガビョーゲンの方は任せたぞ」

 

「うん!」

 

 治、もといグレートサイノマンはグアイワル達に向き直り構える。

 

「言うじゃないか。ならばお手並み拝見と行こう!」

 

 メガビョーゲンははるか上空に飛び上がり、グアイワルとバテテモーダは治に跳びかかった。

 治はその攻撃をそれぞれ片腕ずつで受ける。

 

「分断か…」

 

「何を言う、元よりお前もこのつもりだろう…!」

 

 グアイワルは力任せに腕を振りぬき、治は川沿いの石を巻き上げながら踏ん張る。

 

「……ふう~。流石にメガビョーゲンよりは強いみたいだな、いつも後ろで見てばっかりだから弱いのかと思ったよ」

 

「俺ちゃんもいるの忘れてもらったら困るっすよ!」

 

 バテテモーダの跳び蹴りをすんでで躱し、その尻尾を治は掴んだ。

 

「おっ!?」

 

「忘れるわけねえだろが!」

 

 そのまま治は尻尾ごとバテテモーダを振り回し、グアイワルの方に投げつける。

 そして、

 

「ハアアアアアアアアッ!!!」

 

 治は全身からオーラを噴き出しながら2人に突撃する。

 激しいラッシュの攻防を繰り広げた。

 

「いいっすね~! やっぱアンタと戦うのが1番面白いっすわ!」

 

「……だが、この程度で我々に勝てると思っているのか!?」

 

「さあな!」

 

 グアイワル・バテテモーダと治の攻防はまさに一進一退であったが、その時

 

「ヒーリングッバイ…」

 

「「「お大事に」」」

 

 プリキュアたちが先にメガビョーゲンを浄化した。

 

「あちゃ~、やられちゃいましたね…先輩」

 

「……ちっ」

 

 グアイワルとバテテモーダは距離を取った。

 

「今日のところはこれまでだな。勉強になったか? バテテモーダ」

 

「はい。あざっす!」

 

「ならばよい。そして喜べ、男! 貴様はこのグアイワル様のライバルとして認めてやる! 次に会う時には精々腕を磨くことだな!」

 

 グアイワルはそう言い残し、バテテモーダと共に消えた。

 

「……嬉しくねえ」

 

 治は心底嫌そうであった。

 その後、無事に助け出した雷のエレメントによってラテの体調も回復。

 それどころか雷のエレメントボトルまでも授かることが出来た。

 しかし、

 

「ぷっあははは! さっきは見てなかったけどおさむんその髪何!? めっちゃ立ってる、おもしろ~!」

 

「ふふ、本当ね…! さっき静電気に当たりすぎたかしら……ふっふふ」

 

「わ、わたしは、その治くんもカッコいいと思うよ!?」

 

「ん? おお! 本当だすげえ……けどまあ、これはこれでいい男だな」

 

「何それ自画自賛じゃん!」

 

 静電気で髪が逆立った治は、ひなたに少しの間からかわれたんだとか…。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 治たちが騒動を解決したその夜―――。

 治たちのいるすこやか市から、遠く離れたはぐくみ市。

 

「すこやか饅頭?」

 

「はい。近々こちらのすこやか市で開催されるお祭りの大声コンテストで勝利すればすこやか饅頭が100個貰えます。参加してきてください」

 

「あ、俺に拒否権は無い感じですね」

 

「無いです」

 

「そうやって即答されるのもどうかと思うが、ま、じゃあ行ってみんなの分も確保してくるよ」

 

「頑張ってね、拓弥くん! わたし、応援するよ! フレーフレー!」

 

 ほんの少しの、奇跡的な交わりが彼らを待っていることはまだ誰も知らない。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。